2007年12月7日 予算特別委員会 第1分科会 質疑概要(4)
質問者 日本共産党 真下紀子 議員
4 総務部所管の問題
行政委員会委員報酬について
○真下紀子委員
初めに、行政委員会について伺います。
決算特別委員会で、私は労働委員会について伺ったわけですけれども、労働委員会の精査状況を報告していただきたいと思います。
○赤塚人事課参事
労働委員会の開催状況等についてでありますが、道といたしましては、現在、行政委員会の開催状況や委員の業務内容などにつきまして把握を行うこととしており、労働委員会を初め、各行政委員会の開催状況等につきましては、今定例会の一般質問で知事がお答えいたしましたとおりでありますが、委員の業務内容や勤務状況につきましては、現在、各行政委員会に対して照会を行っているところでございます。
○真下紀子委員
決算特別委員会では、3年間で見て、1カ月間、全く職務実態がない方がいるということで私は指摘をいたしました。そのときは12人だったのですけれども、部長の答弁では、ほかに職務がある、委員会以外にも職務に携わっていたということで、精査をしたところ、4人になりました。
しかし、その後、さらに調査をしましたところ、実際には3年間で延べ14カ月にわたって全く職務実態がないけれども、月額報酬を受けていたという新たな事実を把握したわけですけれども、これは間違いないですか。
○赤塚人事課参事
労働委員会委員の業務についてでありますが、平成16年度から平成18年度までの3カ年で、4人の委員が延べ14カ月、総会への出席や事件処理の業務に携わっていないことにつきましては、労働委員会事務局から報告を受けているところでございますが、ただいまお答えいたしましたとおり、道といたしましては、現在、行政委員会の開催状況や委員の業務内容などにつきまして把握を行うこととしており、委員の業務内容や勤務状況につきましては、現在、各行政委員会に対して照会を行っているところでございます。
○真下紀子委員
今調査中だということですけれども、全く勤務実態がないのに、月額報酬だと、それを受け取ることになる。それが、1カ月とか2カ月とかではなくて、14カ月ということになれば、本当に報酬が妥当なのかどうかということが問われるのではないかと思います。
次に、海区漁業調整委員会というのがあるのですけれども、この海区漁業調整委員会と、内水面漁場管理委員会の仕事の内容がどのようなものか、また、どのような方たちが委員となっているのか、伺います。
○赤塚人事課参事
海区漁業調整委員会及び内水面漁場管理委員会の業務等についてでありますが、漁業法に基づき、両委員会は、各海区の区域や海域内における漁業や内水面漁業及び遊漁に関しまして、操業等に係る調整を行っている行政機関であり、その委員につきましては、漁業協同組合の役員や行政関係者、民間企業役員などが就任していると承知しております。
○真下紀子委員
それでは、両委員会の開催状況と報酬額がどのようになっているのか、伺います。
○赤塚人事課参事
海区漁業調整委員会等の開催状況等についてでございますが、海区漁業調整委員会の開催状況につきましては、平成16年度から平成18年度までの3カ年では、平均して年14回程度、開催時間は1回当たり平均1時間30分程度であり、内水面漁場管理委員会につきましては、同じく3カ年では、平均して年5回程度、開催時間は1回当たり平均1時間15分程度と承知しているところでございます。
また、報酬額は、両委員会とも、会長が月額4万5000円、委員が3万1500円となっておりまして、この額は、10%の減額措置を行った額でございます。
○真下紀子委員
同じ行政委員会委員なのに、ほかの行政委員会委員と比べますと報酬が低いのはなぜか、伺います。
○赤塚人事課参事
海区漁業調整委員会委員等の報酬額についてでございますが、海区漁業調整委員会委員等の報酬につきましては、他の特別職職員との職務内容や職責の差異、交付税算定基礎額の状況、さらには他都府県の報酬額の状況等を総合的に勘案した結果、現在の報酬額としているところでございます。
○真下紀子委員
さまざまな状況を総合的に勘案することによって、道が判断をすれば、引き下げが可能だという事例だと思います。
次に、収用委員会について伺います。
収用委員会の仕事の内容及び開催状況、報酬額がそれぞれどうなっているのか、お示しください。
○赤塚人事課参事
収用委員会の業務内容等についてでございますが、収用委員会は、土地収用法に基づき、起業者の裁決申請に対しまして、土地の収用または使用の裁決を行うものでございまして、当事者の合意を前提としない行政処分を行う準司法的行政機関でありまして、委員会の開催状況につきましては、平成16年度から平成18年度までの3カ年では、平均して年18回程度、開催時間は1回当たり平均1時間45分程度と承知しているところでございます。
また、委員の報酬額につきましては、会長が月額30万1500円、委員が27万円となっておりまして、この額は、10%の減額措置を行った額でございます。
○真下紀子委員
平均すると月に1.5回ですね。それで、半日にも満たないような開催時間で、会長が月額30万1500円、委員が27万円です。道民から考えますと、これが本当に妥当な額かどうかということに多くの方が疑念を抱くと思うのですけれども、どのような方が就任をされていますか。
○真下紀子委員
弁護士や不動産鑑定士、税理士等ですから、専門性が高いことは私もわかります。しかし、通常の弁護士相談料に比べても、やはり、相当高いと言わざるを得ないのではないかと思います。
そういった中で、収用委員会委員の報酬というのは、以前は日額制だったことがあると聞きますが、これは事実でしょうか。
○赤塚人事課参事
収用委員会委員の報酬についてでございますが、行政委員会委員の報酬につきましては、昭和31年に、北海道特別職職員の給与等に関する条例を制定いたしまして、その額を定めたところであり、その際には、収用委員会委員の報酬につきましては日額制としたところでありますが、昭和46年には月額制としたところでございます。
○真下紀子委員
他の県――滋賀県ですけれども、平成7年までは日額としていたところもあるわけです。月額報酬でなければならないということはないわけですけれども、どんな理由で月額になったのでしょうか。
○赤塚人事課参事
収用委員会委員の報酬についてでございますが、収用委員会委員の報酬につきましては、昭和46年に、特別職職員等の報酬について、民間給与水準等を勘案いたしまして、すべての特別職職員の報酬額の引き上げの改正を行った際に、その業務内容や職責等を考慮いたしまして、他の行政委員会委員の報酬は既に月額制としていたことや他都府県の状況等も踏まえまして、日額制から月額制に改正したものでございます。
○真下紀子委員
これは、日額制が可能だという事例だと思うのです。
それで、裁決の申請件数及び明け渡し裁決申請件数は年度ごとにそれぞれ何件あったのか、お示しください。
○赤塚人事課参事
収用委員会における裁決等の申請件数についてでございますが、土地収用法に基づく裁決の申請及び明け渡し裁決の申請の件数につきましては、平成16年度はそれぞれ3件、平成17年度はそれぞれ1件、平成18年度はそれぞれ3件であったと承知しているところでございます。
○真下紀子委員
今の、裁決にかかわる申請件数等を見て、果たして、この仕事に対する報酬として妥当だと道民は納得するでしょうか。裁決申請件数が3年間で14件です。それで、年におおむね18回の委員会開催で、毎月毎月、30万円から27万円支給される。これはやはり道民理解は得られないというふうに私は考えるところです。
私が決算特別委員会で、4定の議会では花岡議員が一般質問で取り上げましたけれども、これらの行政委員会委員の報酬を月額制から日額制にするということで計算してみました。そうしますと、日額制ですと1100万円強の報酬になります。逆に、月額制ですと、三つの行政委員会だけで1億1000万円を超える報酬となっているわけです。これを日額制に変えることによって、約1億円も道民の税金の節約になると考えますけれども、このことをどう受けとめるでしょうか。
○喜多総務部次長兼人事局長
行政委員会委員の報酬についてでございます。
行政委員会委員につきましては、各行政分野におきまして、独立した執行機関の委員としての行政責任を担いながら、専門的な知識、見識に基づき職務を行っているものでございまして、定期的に開催される委員会や諸会議への出席のほか、随時、審査事案の検討や、道からの求めに対する調査、助言などもいただいておりますことから、その職責を勘案し、報酬は月額制としてございまして、他都府県との比較におきましても、その額は妥当なものと考えているところでございます。
○真下紀子委員
道の方が妥当だ妥当だと言えば言うほど、道民の実感とはかけ離れていくのではないかと思います。
知事は、決算特別委員会の知事総括質疑で、あらゆる経費を見直しの対象にすると述べておりますけれども、当然、行政委員会も入っていると思いますが、いかがでしょうか。
○宮地総務部長
行政委員会委員の報酬についてでありますが、先ほどもお答え申し上げましたように、行政委員会は、知事から独立して行政責任を担う執行機関でありまして、その委員が担う職責や他都府県の取り扱いなどを勘案して、報酬額を定めているところでございます。
道といたしましては、現在、各行政委員会に対し、委員会の開催状況などのほか、それぞれの委員の業務内容や勤務状況などについて照会を行っているところでありますが、今後とも、道の厳しい財政状況の中、道民生活への影響を踏まえつつ、あらゆる経費について聖域なき見直しを講じてまいらなければならないものと考えているところでございます。
○真下紀子委員
きょうの質問では、新たに、1カ月丸々職務実態がない事例、月額報酬にしても、委員会の状況を総合的に勘案すれば引き下げが可能だという事例、また、日額報酬にすることも可能だという事例をお示ししながら、質問させていただいたわけですけれども、そういったことも新たに知事にもお示しをしながら、もう一度伺いたいと思いますので、知事総括質疑に上げていただきますように、委員長においてお取り計らいをお願いいたします。
特別職に関する旅費などについて
○真下紀子委員
次に、知事や副知事など特別職に関する旅費などについて伺ってまいります。
北海道知事等の給与等に関する条例では、知事など特別職の旅費が定められていますけれども、知事などの特別職の宿泊料が高過ぎるのではないかという声が上がってきております。ほかの県では見直しが進められているところもあると聞きますけれども、近くの東北各県と北海道を比較した場合、宿泊料の状況がどのような状態になっているのか、まず伺います。
○赤塚人事課参事
東北各県との宿泊料の比較についてでございますが、道では、知事など特別職職員が出張した場合の、夕食代及び朝食代を含みます宿泊料につきましては、東京都など大都市に宿泊する場合は1万9000円、その他の地域の場合は1万4900円としているところでございます。
東北各県の特別職職員につきましては、その職により差異がございますが、東京都など大都市に宿泊する場合は1万8400円から1万3100円、その他の地域の場合は1万6700円から9800円となっていると承知しております。
○真下紀子委員
一つの事例を除いて、最も高い金額になっているのが北海道です。大都市については5900円の差がありますし、その他の地域については5100円の差があって、最も高くなっているのが北海道なわけです。
それで、実勢価格と差があるのではないかという意見が届いております。東京や札幌の宿泊料の実勢価格がどのようになっているのか、伺いたいと思います。
○赤塚人事課参事
宿泊料金の実勢価格についてでございますが、宿泊料金につきましては、宿泊する場所や宿泊施設によりまして差がありますことから、一概に実勢価格を把握することは難しいところでございますが、大手ホテルの宿泊料金を調査いたしましたところ、宿泊料金に朝食代を含んだものではありますが、東京都では平均でおおむね1泊1万8000円、札幌市では同じく1泊1万3000円となっているところでございます。
○真下紀子委員
平均でも、実勢価格より北海道の方が高くなっているわけです。相当高いホテルも入っていますので、そういったものを省くと、これはもう少し節減できる領域ではないかというふうに思うわけです。
確かに、交通費は東北各県とは違うと思いますけれども、低額なホテルでも安全に泊まれているわけですから、これは見直しができることではないかというふうに思うわけです。
そこで、知事などの特別職の旅費額がどのような考えで定められているのか、伺いたいと思います。
また、日当も他県より高く、宿泊料についても、一般的なホテルを利用した場合の実勢価格を上回っているわけです。さらに、外国出張で1カ月未満の場合、7万8000円もの支度料が支給されるなど、旅費についても見直すべき余地があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○宮地総務部長
特別職職員の旅費についてでありますが、知事等の特別職職員の旅費制度につきましては、国の制度に準じることを基本に、旅費額についても、国務大臣の額を基本として定めてきたところでありますが、平成8年には、東京などの大都市における宿泊事情などを考慮し、日当及び東京都などに宿泊した場合の宿泊料について増額を行ったところでございます。
こうした中、道といたしましては、旅費制度は、時代の変化に応じて不断に見直しを行う必要があると考えておりまして、近年の道路網、交通システム等の発達や旅行に係る諸状況の変化に的確に対応するため、来年度に向けて、日当や宿泊料、外国出張に係る支度料の実費支給などについて見直しをしてまいりたいと考えているところでございます。
○真下紀子委員
来年度に向けた見直しの方向が部長から表明をされたことは重大だというふうに思いますけれども、私は、この答弁を聞いて、すごくびっくりしたのです。国務大臣の額よりも多いのですよね。間違いないですよね。
○赤塚人事課参事
現行は、国務大臣の額よりも多くなってございます。
○真下紀子委員
例えが悪いかもしれませんけれども、破産寸前の社長が大臣より高い宿泊料をかけて国に支援要請をする、こういうことが理解されるでしょうか。私は、非常に問題だというふうに思うわけです。
道財政が逼迫していて、道民に対してはいろんなサービスを削って、職員は給与カットを4年間まだ続ける、こういうことをどんどんとやっていく中で、知事や副知事が大臣よりも高い宿泊料について見直しをしてこなかったというのは、非常に大きな責任があるのではないかというふうに思います。
宿泊料、日当、支度料に関して、知事などの特別職職員について実費主義を原則とした見直しをする、もう一つは、一般職と差をつけるのはもうやめて同額とするなど、知事みずからが財政再建に貢献する姿をしっかりと見せるべきときではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○宮地総務部長
特別職職員の宿泊料などについてでありますが、日当及び宿泊料を実費支給とした場合、旅行中のさまざまな費用に係る領収書の添付が必要でありまして、旅行者や旅行事務担当者の事務処理が相当煩雑なものとなること、また、そのための経費も要することから、国や他都府県の取り扱い等も踏まえますと、従来どおり定額で支給することが適当であると考えているところであります。
なお、支度料につきましては、海外旅行に必要な携行品が限られていることや、支給件数が極めて少数であることなどを踏まえまして、実費支給を基本に見直しを行いたいと考えております。
また、一般職員と旅費の額を同額とすることについては、知事などの特別職は、その職務内容や職責が一般職と異なるものでありまして、国や民間企業におきましても、職位に応じて旅費額に差を設けていることが一般的でありますことから、現行の取り扱いが適当であると考えているところでございます。
○真下紀子委員
部長から御答弁をいただいたのですけれども、それでは、知事の財政再建にかける思いというのは伝わらないと私は思います。
日ごろから、私みずからが先頭に立ってとおっしゃっている知事が、宿泊料のことについては特別なのだというのは、今のホテル事情を考えますと、そうはならないのではないかというふうに思います。この点についても知事にお伺いをしたいので、総括質疑のお取り計らいをお願いいたします。
道立試験研究機関の独法化について
○真下紀子委員
次に、道立試験研究機関の地方独立行政法人化について、数点伺ってまいります。
道では、26のうち、22の試験研究機関を独立行政法人にしようとしていますけれども、これまで、北海道の1次産業を中心に、道内の産業振興について役割を果たしてきたものと承知しております。道は、これまでの各研究機関の役割をどのように評価しているのか、また、独法化しない県もあると聞きますけれども、道が22の研究機関を単一の法人とする理由は何かについてお示しください。
○林行政改革局次長
試験研究機関の評価と法人化についてでございますが、道の試験研究機関につきましては、その設立目的に応じまして、道民生活の向上や道内産業の育成発展のために、各分野や地域における課題などに応じた研究開発を行い、その成果を道民に還元する重要な役割を果たしてきたと認識しているところでございます。
しかしながら、試験研究機関を取り巻く状況の変化や、北海道科学技術審議会からの答申などを踏まえまして、質の高い研究開発や、効果的、効率的な業務運営が可能となる地方独立行政法人制度を導入することといたしまして、法人化に当たりましては、研究開発機能の強化や行財政改革の視点に立って、総合力の発揮、自律的な運営、外部との連携、効果的・効率的運営といった四つの柱に沿った抜本的な改革に取り組むこととし、分野横断型の総合的な研究開発の推進、初期費用や運営費用などの経費の縮減といった観点なども踏まえまして、北海道の試験研究機関として求められております役割と機能を最大限発揮できるよう、22の試験研究機関を単一の法人とする方針案を取りまとめたところでございます。
○真下紀子委員
独法化を見送ったところについては御答弁がありませんでしたけれども、技術指導や普及機能を有する農試、水試等については地方独立行政法人化は適当ではないとの見解を示す県もあって、はっきりと制度導入を見送る県や市も出ているというふうに聞いておりますので、こういった点についてもぜひ調べていただきたいというふうに思います。
また、東大の教授だった神野直彦さんは、知恵ですとか知的財産について一部の者の利益に供してはならないという考え方を札幌でお示しになりました。これは本当に学ぶべきではないかというふうに私は思います。
次に、非公務員型による法人化でいろいろな人材を活用するとなれば、これまでの研究員の身分や待遇がどうなるのか、伺います。
○髙田行政改革局参事
法人職員の身分などについてでございますが、このたび取りまとめた方針案におきましては、地方独立行政法人法の趣旨に基づきまして、一般型法人とすることとしたところであり、法人職員の身分は非公務員となるものでございます。
また、職員の労働条件についてでございますが、本年4月に法人化をいたしました札幌医科大学におきましては、移行型の法人であることや、既に法人化していた他大学の状況なども踏まえまして、法人移行時の給与や勤務時間などにつきましては、道に準拠するものとしたところでございます。
例えば、法人となった場合の給与につきましては、地方独立行政法人法において、法人の業務の実績を考慮すること、社会一般の情勢に適合したものとすることと定められている事項を踏まえ、基本的には、規則等により決定されるものでございますが、札幌医科大学の例なども参考としながら、検討していかなければならないものと考えております。
○真下紀子委員
基本的には道に準拠するという立場をとられるのかなというふうに思いますけれども、次の質問に移ります。
先行しているところでは、渡し切り交付金の削減といいますか、そういう状態が続いていたり、評価・成果主義が横行して、モラル低下が顕在化してきたというのがこの間の流れではないかと思います。
全国の中では、導入コストや独立行政法人化後の運営コストの負担が非常に大きくなっていることを理由にして、制度導入そのものを見送っているところもあると聞いております。
道は、導入コストや法人化後の運営コストがどのようになると考えているのか、お答えください。
○髙田行政改革局参事
法人化のコストについてでございますが、法人制度の導入に当たりましては、財務会計システムの整備などの初期費用、あるいは会計監査費用などの新たな経常経費が必要となりますことから、厳しい道財政の状況も踏まえまして、より簡素で効率的な業務処理体制の構築や、中長期的なコストの抑制が不可欠であると考えているところでございます。
このため、法人化に際しまして、会計や庶務などの総務業務の見直しなどを行い、簡素で効率的な組織体制を構築いたしますとともに、法人の業務運営に当たりましては、道が決定する中期目標に基づき法人が作成する中期計画に、業務運営や財務内容の改善に関する具体的な措置を盛り込み、業務の適切な見直しの徹底、外部資金の積極的な活用、知的財産の創出や活用などを図りながら、これまで以上に、効果的、効率的な運営に努めてまいりたいと考えております。
○真下紀子委員
1月23日に、道立試験研究機関の未来を考えるというシンポジウムがあったというふうに伺いました。
その中で、北海道環境科学研究センター地域環境科長の石川さんの資料によりますと、先行して行っている国立の研究機関では、目立つ研究に飛びつく傾向から、部、課の再編活発化がなされ、煩雑なスクラップ・アンド・ビルドが起きたり、高級官僚の天下り先か、機械的な予算削減に伴う収入確保のため、手数料、相談料の発生や値上げ等が起こっている、経費節減に伴う大幅な人員削減や機器更新の停滞等がある、こういう指摘も出ているわけです。
先行事例から、本当に独法化がいいとは言いがたい状況が出ているわけですから、後発のところは、ここのところをしっかりと学ばないうちに拙速に進めることがないようにしていかなければならないというふうに思うわけです。
研究については、財政面だけではかられるものではなく、当然、短期間に成果が出るものばかりではございません。期間を限っての達成度によって予算を削減するとなれば、財政効率ばかりにとらわれて、しっかりした研究がおろそかになるのではないかと考えるところですけれども、この点はいかがでしょうか。
○宮地総務部長
研究開発機能についてでありますが、試験研究機関の法人化につきましては、北海道の試験研究機関として求められている役割と機能を最大限発揮し、複雑化、多様化する道民や企業のニーズに迅速かつ的確に対応できるよう、一層の機能強化を図ることをねらいとしております。
法人化後におきましても、基礎的な調査研究を初めとする研究開発や技術支援などにつきましては、これまでと同様の視点に立って取り組まなければならないものと考えており、道や道議会の関与のもとで、法人が自律的かつ迅速的確に対応することにより、これまで以上に、研究開発機能の充実が図られるものと考えております。
○真下紀子委員
今御答弁がありましたけれども、道民ニーズにこたえるということになっておりますけれども、道民は一体どういうことを期待しているのでしょうか。やはり、道民や産業等が抱えている問題や難題に対して解決するための手段の模索や提案を行い、かつ、依頼者のバックグラウンドで差別化しないという親身性と公共性を強く持っている道立試験場だからこそ、安心して、そこに期待をしてきたのではないでしょうか。
また、先に独法化している国立研究機関は6年たち、国立大学も3年が経過していますけれども、一部の国立大学の病院では、病院経営の方が赤字になってきて、昔は白い巨塔と言われてきたけれども、病院経営の赤字を大学全体でカバーしなければならないために、今は、白い巨塔から白い廃墟へ変わってきている、こういった、岐阜大学学長の黒木さんの発言もあります。
そして、生き残りをかけた基礎研究体制が縮小されると長期の基礎研究ができなくなると、皆さんもよく御存じの、スーパーカミオカンデでノーベル賞を受賞した小柴さんは言っています。スーパーカミオカンデが壊れたときに、国は予算をつけなかったのです。それで、小柴さんが一生懸命になって国会に要請をして、国会で取り上げてもらって、やっと故障が直されて、そしてノーベル賞受賞に至ったわけです。ですから、お金のことだけを考えると、基礎研究は成り立たないのだということを小柴さん自身も話しておりましたけれども、そういう性格のものではないでしょうか。
今、知事は、どんどんと財政再建に向かっていますけれども、やっぱり、こういう基礎研究を大事にしていくべきで、北海道の宝を独法化によって壊すようなことがあってはならないと思いますので、十分検討していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
※人名・地名等、コンピュータの機種によって表示できない旧字、異字等は通用字体に改めているものがあります。
[日本共産党道議団編集]
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