2007年12月7日 予算特別委員会 第1分科会 質疑概要(1)
質問者 日本共産党 真下紀子 議員
1 企画振興部所管の問題
福祉灯油支援事業について
○真下紀子委員
私は、地域政策総合補助金の活用について、福祉灯油支援事業を中心にして質問させていただきます。
灯油価格の高騰にかかわって、高齢者や障害者などの低所得世帯の負担軽減のために、このたび、道は福祉灯油支援事業の要件緩和を発表いたしました。
これまで、日本共産党道議団としても、この要件緩和を繰り返し求めてきたわけですけれども、なかなか実現しませんでした。ところが、11月29日に私どもの道議団として申し入れを行いまして、即刻検討を開始され、決断に至ったものと受けとめております。それだけ、灯油価格高騰が暮らしに重大な影響を与えているということだと思います。
これまでに、地域政策総合補助金の要件に適合せずに活用できないために、単独実施となってきた市町村すべてが復活できたのかどうか、また、今後新たに検討している市町村がどの程度か、伺いたいと思います。
○佐藤地域づくり支援室参事
市町村の活用見込みについてでございますが、道では、低所得の高齢者世帯や障害者世帯などを対象といたしまして、灯油を含めた冬期間の増嵩経費への支援を行う市町村に対し、地域政策総合補助金により助成を行っているところであり、補助金の合計額が50万円以上となる場合、補助の対象としてきたところでございます。
今回の措置は、特例的に第3次募集を行う中で、灯油価格の高騰に伴う低所得の高齢者世帯等の負担増の軽減に限定をいたしまして、補助金の下限額を50万円から10万円に引き下げ、対象となる市町村の拡大を図ろうとするものでございます。
この措置により、道の補助を受けずに単独で実施している市町村のうち、少なくとも半数程度の市町村が新たに補助の対象になると見込まれており、道といたしましては、こうした要件緩和を伴う3次募集を実施することにより、より多くの市町村において、この補助制度の活用が図られるものと考えているところでございます。
○真下紀子委員
金額としてはそんなに大きくないかもしれないのですけれども、こんなに活用される地政補助金は大変歓迎されておりまして、行政マンとしても行政マン冥利に尽きるのではないかと思うところですが、今年度の緊急措置として、要件緩和及び第3次募集を行うこととしています。
要件緩和をして、本当に使いやすくなっているわけですから、地域政策総合補助金をより有効に活用するためには、今年度限りではなく、要件緩和というものを継続すべきではないかと考えますが、見解を伺います。
○荒川地域振興・計画局長
灯油に関する地域政策総合補助金の要件緩和についてでございますけれども、今回の措置は、最近、灯油価格が急激に上昇しておりますことから、低所得の高齢者世帯や障害者世帯などにおける負担増を軽減するため、今年度における緊急的かつ特例的な措置として実施するものでございます。
道といたしましては、当面は、単独で灯油支援事業を実施する市町村に対しまして、下限額の引き下げという要件緩和を行うこととしておりますが、国においても、原油高対策の検討がなされていると聞いておりますので、将来の取り扱いにつきましては、国の政策や灯油価格の動向などを踏まえ、検討してまいりたいと考えております。
○真下紀子委員
今の御答弁では、今後、動向を見きわめて、基準緩和を継続していく可能性があるということだと思います。
それで、地域政策総合補助金の要件緩和は年度途中での実施となりますから、年度当初から予算が見込まれていたわけではないというふうに考えるところです。今回の福祉灯油支援事業の拡大分については補正されるべきだと私は考えますけれども、見解を伺います。
○佐藤地域づくり支援室参事
予算の補正についてでございますが、今年度の地域政策総合補助金につきましては、現在、市町村からの2次要望を取りまとめているところでありますが、1次要望と2次要望の合計額は予算の範囲内となる見込みとなっております。
今回、特例的に実施する第3次募集は、灯油購入に対する支援に限定して行うものでございますので、要件緩和による新たな要望に対しましては、既決予算の範囲内で対応できるものと考えております。
○真下紀子委員
そういうことですと、結局、総枠として予算化されていたものが、ほかのメニューも含めて活用し切れていない、しかし、要件緩和をすれば、福祉灯油のように活用が広がるということではないかと思いますので、今後も、福祉灯油のように使いやすい制度として検討すべきであり、来年度に向けては、予算が足りないぐらいに活用されるような地政補助金になってほしいなというふうに私は思っております。
それで、道の方は、国に対しても予算要望をしているというふうに伺っておりますけれども、その見通しについて最後に伺います。
○荒川地域振興・計画局長
灯油価格の高騰に関連いたしました国への要望についてでございますけれども、道といたしましては、11月29日及び12月5日に、国に対しまして、低所得の高齢者世帯や障害者世帯などに対し、経済的な負担軽減を図るため、灯油購入費等の経費に対する支援措置を講ずることなどについて要望してきたところでございます。
国におきましては、今回の原油価格高騰で深刻な影響を受ける中小企業や国民生活を支援するための緊急対策について、関係省庁で検討が進められていると承知しておりまして、道としては、今後とも国に対する働きかけを行ってまいりたいと考えております。
○真下紀子委員
そもそも、原油価格の高騰というのは、国のエネルギー政策や外交に起因するところが大きいわけですから、国に責任を果たしてもらうのは当然だと思いますので、私どももあわせて要望を続けていきたいというふうに思います。
支庁再編について
○真下紀子委員
次に、支庁再編について伺います。
道が地域主権型社会を目指すと言っている一方で、地域振興に取り組む支庁の縮小というのは、地方分権を財政再建の犠牲にするという印象である、このように道民には映るのではないでしょうか。地方分権推進と支庁再編の整合性についてまず伺います。
○佐藤企画振興部長
地方分権改革との関連などについてでございますが、支庁を取り巻く環境の変化などへの的確な対応、また、より効率的、効果的な組織改革が求められている中で、支庁制度改革は、支庁の所管区域の見直しなどの取り組みとあわせて、新しい総合計画における地域づくりの方向に沿って、地域課題に対応し、より広域的な観点から地域政策の展開ができるように、体制を整備しようとするものでございます。
また、住民に身近な行政はできるだけ住民に近いところで行うという観点から、今後、環境分野あるいは道民生活などにかかわります約400項目の権限について、本庁から総合振興局への移譲を推進いたしますとともに、振興局におきましては、市町村への権限移譲を予定している事務を中心に担うことによって、地方分権改革の方向性に対応した体制を整備してまいりたいと考えているものでございます。
○真下紀子委員
今御答弁がありましたように、地方分権改革の方向性に対応した体制を整備していくのだと、道はこういうふうに説明をするわけですけれども、支庁再編については、市町村を初め、道議会の中でも、もっと慎重な議論が必要ではないかということがるる述べられているわけです。
そういった中で、再編提案までの手続と地域意向の把握については、十分な手続が行われたとは言いがたい状況ではないかというふうに考えるところです。地元からも、道議会各会派からも異論が出ている中で、道としてはどう考えているのか、また、支庁再編案に対して賛成しているところがあるのであれば、どこかを伺いたい。
特に、振興局に縮小するとされた5支庁管内でどれだけの賛成意見が出ているのか、参考のためにお聞かせください。
○川城地域主権局長
市町村からの意見などについてでございますけれども、支庁制度改革の検討に当たりましては、これまでも、改革案の取りまとめの節目節目に、市町村や道民の皆様から御意見を伺いながら取り組んできたところでございます。
これまで、市町村や道民の皆様から、支庁所在地の変更に伴う地域に対する影響を懸念される声、また、道州制や市町村合併の動きを踏まえることが必要といった慎重な対応を求めるもの、一方、社会経済状況の変化などへ的確に対応すべき、支庁の機能を強化すべき、そして、行財政改革の必要性といった観点から積極的な取り組みが必要といった御意見など、さまざまな御意見をいただいているところでございます。
支庁制度改革を進めるに当たりましては、市町村や道民の皆様の御理解と御協力が何よりも大切と考えております。
道といたしましては、地域に伺いまして、支庁所管区域の具体的な考え方を含めまして、今回お示しをいたしました原案につきまして御説明し、意見交換をさせていただく、また、パブリックコメントを実施するなど、広く御意見を伺うということで、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
○真下紀子委員
局長は、振興局にするとされたところから、賛成の意見、歓迎の意見が出ていることを紹介できないということだと思うのです。そこに特定すれば、歓迎の声を聞くことは今後もなかなか難しいのではないかというふうに私は思っております。
それで、総合振興局と振興局の違いについても、これまでも議論がありましたけれども、道の説明を伺いますと、2重・3重行政の懸念の声が上がるのは当然かなというふうに感じます。
振興局については、地域の意見が届きにくく、決定権が縮小されて、地域振興を真剣に考えた提案とはなかなか考えられないわけです。総合振興局と振興局の役割と違いについて、道民に対してわかりやすい説明をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○出町地域主権局参事
総合振興局と振興局の関係についてでございますが、新しい支庁におきましては、申請等の手続や各種相談といった地域住民との関係につきましては振興局で、また、補助事業の執行、さらには関係団体の指導といった市町村や各種団体等との関係につきましては総合振興局において基本的に対応することとなりますが、それぞれの業務が重複しないよう、適切に機能分担をしてまいります。
また、振興局が所管いたします事務につきましては、重ねて総合振興局に出向いていただく必要が生じないようにするため、事務決裁の関係規程を整備いたしまして、振興局で事務処理が完結できるようにしてまいります。
なお、地域課題への対応に当たりましては、現行の支庁所管区域ごとに、地域づくりを検討する場を設けるとともに、日常的な相談に対応するなど、市町村などとの連携協働に努めてまいりたいと考えております。
○真下紀子委員
わかりやすい説明をしていただいたのだと思うのですが、なかなか理解ができません。
現行の支庁所管区域ごとに、地域づくりを検討する場を設けるということになれば、今までどおりで進めることとはどこに違いがあるのだろうか、そういった議論を踏まえた上で、うちの地域は振興局になってもいいですよというような意見が出てくるのであれば、まだわかるのですけれども、そういう議論が熟成している段階にはなかなか至っていないのではないかなというふうに思っております。
最後に伺いますけれども、私は以前も支庁のことを褒めました。褒めた後に上川支庁でいろんなことが起こっていますけれども、基本的には、支庁の方たちはよくやっているというふうに思っています。
支庁は、地域にとって財産であり、人脈だと言われています。これは目に見えない知恵袋ではないかというふうに私は感じているところです。今回の再編によって、その貴重な財産をなくしていいのかといえば、私は、なくしてはならないというふうに思うわけです。
市町村の財政はますます厳しさを増して、地域の格差が拡大する中で、支庁が地域において役割を果たすためには、効率的な組織改革という名のもとに支庁から職員を引き揚げるのではなく、例えば、留萌支庁のタコのオーナー制度の成功例がありましたけれども、むしろ、地域に根づいて、目には見えないけれども、市町村とともに地域振興に知恵を出すことができる支庁を目指すことが本当に必要ではないかと思うのです。この点についてはいかがお考えか、見解を伺います。
○佐藤企画振興部長
新しい支庁の役割についてでございますが、道といたしましては、本格的な人口減少や高齢化が進行する中で、地域の振興は道政上の最重要課題というふうに考えており、こうしたことから、新しい支庁における道行政の展開に当たりましては、市町村や住民の参加をいただきながら、連携地域ごとに、地域が主体となって広域的、戦略的に取り組みます重点プロジェクトというものを盛り込んだ政策展開方針を策定し推進することとしております。
この方針の推進に当たりましては、地域づくりを検討する場を設定するなど、管内一律ではなくて、それぞれの地域の実情や特色を踏まえた課題を把握し、きめ細かく施策の検討を行いますとともに、支庁所在地が変更となる地域には、地域の政策課題などを踏まえて、必要な機能を地域に配置することとしているところでありまして、今後とも、地域と一体となって取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○真下紀子委員
地域を思う気持ちについては部長と一致はできると思いますが、手法についてなかなか理解と合意が形成されていないと思いますので、これからも議論を熟成させていくことに努めていくことが必要だと思います。
以上申し上げて、質問を終わります。
※人名・地名等、コンピュータの機種によって表示できない旧字、異字等は通用字体に改めているものがあります。
[日本共産党道議団編集]
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