水産業の町、北海道根室市がロシア200カイリ内でのサケ・マス流し網漁禁止の決定で揺れています。日本共産党道議団の真下紀子、菊地葉子両議員の調査(13日)に、漁民らは強い危機感を示し、異口同音に「国も道も対応が遅すぎる」「このままでは根室は沈没する」と訴えました。
(党道議団事務局・三上博介調査員) |
落石(おちいし)漁協の中野勝平組合長は開口一番、「国や道の対応はなぜこんなに遅いのか」と、怒りが収まらない口調で話し始めました。市民からは「政府は『ロシア対策』で根室を見捨てるのでは」との声まで上がっているといいます。
ロシアは6月末、来年から200カイリ内のサケ・マス流し網漁の禁止を決定しました。日本漁船の操業機会が大きく制限されることになり、北洋サケ・マス漁の拠点となっている根室市への影響は251億円にも及ぶと試算されています。
同漁協の浄土昭雄専務は、「組合の収入は2割落ちる。職員の首は切りたくない。不安で眠れない」「漁船漁業を残したい。国の来年度予算で対策を示してほしい」と、充血した目で話しました。
街が存続できぬ
昨年末の高潮で大きな被害を受けた緑町商店街には二重の痛手です。懇談の申し入れに、理事長以下10人以上が集まってくれました。
鮮魚店の日沼茂人社長は「私の店だけで約1億円の減収となる。このままでは、商店街も根室の街も存続できない」といいます。
他の商店主も「商店街には国からの補償はまったくない」「国や道は『地方創生』を言うが、いったいどうやって実現するのか」と、行政への不信感を募らせます。
従業員130人余を抱える市内トップクラスの水産加工場・小林商店の岩崎祥治社長は「流し網漁禁止で最も影響を受けるのは私たちだ」と話します。
魚が根室に水揚げされなければ工場が動かせないからです。「船は移動できるが、工場は移動できない。来年以降を考えると背筋が凍る」と厳しい表情で窮状を訴えました。
真下、菊地両道議は、関係者の切実な訴えを聞き逃すまいと耳を傾け、道議会で高橋はるみ知事に「地元と一体で国に具体的な対策を」と求めたことを伝え、激励しました。調査には、神忠志、鈴木一彦、橋本竜一の3市議が同行しました。
ともにたたかう
調査で改めて痛感したのは、根室市民の行政に対する強い不信、やり場のない怒りです。「なぜこんなに対応が遅いのか」。悲鳴にも似た問いかけは、根本対策を示せない国や道だけでなく、すべての政党に対しても向けられています。私たちにできることは、領土問題を抱えて最前線で苦闘するこの地域に寄り添い、ともにたたかうことです。根室を孤立させてはなりません。
日本共産党が調査に入った同じ日に、自民党も3人の国会議員を含む10人以上の大調査団が根室市に入りました。「まるで『自共対決』の様相」(地元マスコミ記者)です。翌日の地元紙「根室新聞」は、1面に写真付きで「共産党道議団根室入り」と大きく報じ、自民党調査団の記事は3面に回りました。
地域支える対策政府に真下道議団長の話
北洋サケ・マス流し網漁の禁止が、根室経済を通年にわたって支えている原料が途絶えるという点で、影響は極めて深刻と感じました。漁業者への補償はもちろん、領土交渉も視野に、関連する地域経済全体を支えるために、緊急対策と中長期の対策でしっかり支えていくことが重要です。政府にしっかり申し入れたいと思います。 |