2007年12月6日 予算特別委員会 第1分科会 質疑概要(3)
質問者 日本共産党 真下紀子 議員
3 環境生活部所管の問題
サニックスの大気汚染物質の排出について
○真下紀子委員
協定基準を超過したサニックスの排出について伺ってまいります。
苫東地区でプラスチックを燃料として発電するサニックス苫小牧発電所への9月中旬の立入調査において、協定値超過があったことが11月27日にわかり、操業を停止したわけです。2004年にも2基の発電機で基準を超過していたように、これまでも、サニックスは、公害防止協定の排出基準の超過を繰り返してきたわけです。
これまで、協定値超過排出の実態はどのようになっているのか、まず伺います。
そして、今回の原因についていかがお考えかもあわせてお答えください。
○藤澤環境保全課長
協定値を超えたこれまでの事案についてでありますが、事業者と道及び地元自治体が締結しております公害防止協定では、ばい煙に係る大気汚染物質などについて協定値を設定しておりますが、これらのうち、平成15年7月及び9月、17年8月、19年6月に塩化水素の排出量が協定値を超過しております。
また、16年10月にはばいじんの排出量が、さらに、16年10月及び本年9月にダイオキシン類濃度が協定値を超過したところであります。
次に、今回の協定値超過の原因についてでありますが、現在、胆振支庁において、事業者に対し、原因の究明と再発防止策について、期限を定め、報告を求めているところでありまして、その結果を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。
○真下紀子委員
ダイオキシンや塩化水素などの有毒物質を基準を超えて排出しているということですけれども、今回のダイオキシンの測定というのは、北海道環境科学研究センターが分析したということを伺っておりますが、立入調査を行って試料を採取したのが9月19日と20日です。その結果から、協定値を超過していることを確認したのが11月27日で、2カ月を要しているわけです。この間も排ガスの排出は継続していたことになると考えますけれども、この間の影響というのをどのようにとらえているのか、伺います。
○藤澤環境保全課長
協定値超過に係る影響についてでありますが、公害防止協定に定める協定値は、ダイオキシン類対策特別措置法に定める排出基準を準用することとし、大型の廃棄物焼却炉に対する排出基準の1立方メートル当たり0.1から1ナノグラムのうち、厳しい側の値を設定しているところであります。
このたびの、1立方メートル当たり0.5または0.52ナノグラムという値は、法律の排出基準のレベルと比較しますと、直ちに環境に影響を与えるものではないと考えているところであります。
なお、事業者が10月に実施した自主測定の結果では、協定値は遵守されていたところであります。
○真下紀子委員
基準は厳しい方をとっているので、すぐさま影響が出るということはないとしても、やはり、こういうことが繰り返されていて、ましてや、ダイオキシンですから、住民としては非常にナーバスになっている問題ですので、これは非常に大きな問題だというふうに考えるところです。
また、サニックスは、火災を連続して発生させたり、環境問題で大きな問題を抱えている企業であると言わざるを得ないわけです。これまでも対策をとってきたはずですけれども、どのような対策だったのか。
また、今回も、ダイオキシンが協定基準を超えて排出されたわけですけれども、その対策が効果的ではなかったというふうに思うのですが、その理由をどうお考えか、伺います。
○浅利道立病院管理局参事
火災の発生予防対策等についてでありますが、これまで、火災発生の都度、燃料破砕機の改良や、散水装置、監視カメラの設置、従業員に対する安全教育など、さまざまな対策を講じてきたと承知しているところであります。
また、平成16年度のダイオキシン類濃度の超過原因はバグフィルターの破損であったため、バグフィルターをすべて交換するとともに、その後は、メーカーによる寿命診断により交換することとしたと承知しているところであります。
今回の協定値超過は、現在、事業者により原因究明中であることから、結果が判明し次第、その対策について検証してまいりたいと考えております。
○真下紀子委員
自社で調べているということですけれども、サニックス本社のホームページを調べてみました。そうしますと、このホームページでは、「サニックスES事業部では、(中略)廃棄物処理・土壌浄化・ダイオキシン/PCBの除法等を含む総合的な環境エンジニアリングに力を入れています。」と技術を宣伝し、「お困りのことがあればぜひご相談下さい。」といって、さらに、資源循環型発電をうたっているわけですけれども、自分の会社が困っているのじゃないかと思うのです。
今回のダイオキシンの超過排出など、一連の問題から明らかになっていることとして、自社の事故でさえも処理できない会社ではないだろうか、こういうふうに考えるところです。また、このような企業が果たして環境問題で信頼するに足るのかどうか、道の認識を伺います。
○藤澤環境保全課長
企業の信頼性についてでありますが、この事業者は、廃棄物由来のプラスチック燃料による発電を行っておりますが、たび重なる火災や協定値超過を起こしてきたことについては、道としても、極めて遺憾であり、協定締結自治体である地元2市3町とともに、厳しく申し入れを行ってきたところであります。
事業者に対しては、今後とも、法律はもとより、公害防止協定を確実に遵守するよう指導を行い、立入検査などにより、監視指導を強化してまいりたいと考えております。
○真下紀子委員
道が一企業に対して極めて遺憾だと表明をするということは、本当に異例のことだと思うのです。それくらい、サニックスは、環境に対する認識が低い企業なのではないかというふうに考えるところです。
そういった中で、監視体制を十分にとっていくということですけれども、苫東地域にある環境監視センターは、公害防止協定にかかわって、道の窓口として、工場や関係市町村との連絡調整を行っているということを施設紹介の中で言われております。苫東への企業立地に伴って、環境汚染を監視するために苫小牧市民が設置を要望したものだというふうに伺っております。
今回、道が撤退を明らかにした苫小牧地方環境監視センターがある苫東地区は、道が積極的な企業誘致を進めている地域であり、また、サニックスのような問題が起きている地域でもあるわけです。新たな環境破壊が進む可能性もあり、苫東の環境保全のためには欠かせない監視センターではないかというふうに考えますけれども、この点はいかがお考えでしょうか。
○村井環境局長
苫小牧地方環境監視センターについてでありますが、センターは、苫小牧東部地域の開発計画の策定に伴い、苫小牧地方における環境監視を行うため、昭和55年に苫小牧東部地域内に設置をしております。
業務内容としましては、テレメーターシステムによる大気汚染の広域モニタリングや工場のばい煙排出状況監視並びに航空機騒音監視、また、苫小牧海域や白老海域及び苫小牧地域の河川等の公共用水域の常時監視、工場等の立入検査や公害防止協定事務等を実施してきたところでございます。
これらの業務のうち、公共用水域の常時監視業務につきましては、平成13年度から民間に委託をし、現在は、テレメーターシステムによる監視や工場等の立入検査等が主たる業務として行われているところでありますが、このテレメーターシステムによる監視につきましては、情報通信技術の向上により、コンパクト化が図られたこともあり、効率的な環境監視体制を構築する必要が生じてきたところであります。
このため、現在のセンターの機能につきましては、本庁並びに支庁に移管し維持することとしており、苫小牧地域における立地企業等との連絡調整や工場等に対する立入検査などを含め、今後とも、苫小牧地方の環境監視体制が確保されるよう、万全を期してまいりたいと考えております。
○真下紀子委員
苫小牧地域の環境監視体制が確保されるように万全を期するということなのですけれども、苫東地区というのは、リサイクル産業や大規模な企業の立地が進められますし、今後、環境企業ですとかリサイクル企業だとかという名目でどんどんと企業が入ってくるわけです。
そういったときに、サニックスのような環境を汚染する企業が入ってくるということも当然考えられますし、住民としては、環境汚染や公害への不安があるわけです。一度なくしたものを再度設置するということはなかなか難しいと思いますので、住民の皆さんとの十分な話し合いの上、不安がないように進めていただくことを申し述べて、質問を終わります。
※人名・地名等、コンピュータの機種によって表示できない旧字、異字等は通用字体に改めているものがあります。
[日本共産党道議団編集]
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