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道議会での取り組み


2007年予算特別委員会

【真下紀子道議、道立病院に関する問題、自治体病院の再編についてただす】 07.12.06

2007年12月6日 予算特別委員会 第1分科会 質疑概要(2)

質問者 日本共産党 真下紀子 議員

2 保健福祉部所管の問題

道立病院に関する問題について

○真下紀子委員

 では、通告に従いまして、公立病院の再編等について伺ってまいります。
 最初に、道立病院に関する次期計画に関連して伺います。
 道立病院の赤字の原因についてですけれども、一体何が経営を圧迫しているのかの十分な分析なしに、単に民間や指定管理者などに丸投げをできるような状態ではないということをはっきりと申し上げておきたいと思います。
 赤字の原因をしっかりと分析して、そこについて抜本的改革をまず道みずからが行うべきではないかと思いますけれども、この点に関してはいかがですか。

○真鍋道立病院管理局参事

 道立病院の経営についてのお尋ねでございますけれども、道立病院は、これまで、道民福祉の向上を図るという公共性の確保とともに、企業としての経済性の発揮に努めながら、広域医療や、精神、結核などの特殊医療、循環器疾患などに対する高度・専門医療を担い、地域医療の確保に努めてきているところでございます。
 この間、道立病院事業の経営計画を策定いたしまして、経営の効率化を進めてきたところでございますけれども、道立病院が、僻地における広域医療や精神医療などといった不採算な医療を担っていること、近年、地域における医師不足の深刻化によりまして、常勤医の欠員や診療科の休診などから患者数が減少していること、医療ニーズの変化に対応した迅速かつ柔軟な人員の配置が難しいこと、さらには、近年の診療報酬のマイナス改定などの要因によりまして、毎年度、多額の純損失を計上し、経営状況は極めて厳しいものとなっておりまして、経営安定に向けて抜本的な見直しが必要となっているところでございます。

○真下紀子委員

 その抜本的な見直しの担い手に道みずからがなると、どうして言わないのでしょうか。そこが非常に不思議なのですね。
 そこで、そのことは後で聞きますけれども、道が考えているように経営形態を見直した場合、過疎医療や救急医療などを担えなくなるのではないか、こういった不安の声が上がるのは当然なのです。現実に、公的病院の方は、不採算な部分について自治体に肩がわりを求め始めています。自治体が肩がわりしなければ撤退をする、こういったことを言ってきているわけです。
 道の方針は公的医療の放棄につながるのではないかと思いますけれども、この点について、公的責任を担う道立病院としてはいかがお考えなのか、伺います。

○高橋道立病院管理局長

 地域医療の確保についてでありますが、道立病院は、これまで、僻地における広域医療や、精神、結核などの特殊医療、循環器疾患等に対する高度・専門医療の機能を担い、地域医療の確保に努めてきているところでございます。
 このたびの改革プランは、広域医療に関しましては、地域の医療需要に対応し得る2次医療機能の確保に努めることや、救急医療や災害医療の中心的役割を果たすこととするなど、地域において必要な医療を確保するとともに、経営形態の見直しや、収益の確保と費用の縮減を図り、大幅な収支改善に向けて取り組むことにより、道立病院が、良質な医療を安定的、効率的に提供できる自律的な経営体制の構築を図るため策定しようとするものでありまして、道といたしましては、今後とも、地域における医療機関などとの役割分担や連携のもと、地域において必要な医療が確保されるよう努めてまいりたいと考えております。

○真下紀子委員

 努めていくという努力目標の決意表明だけなのですよね。それを担保するものというのは見えてこないわけです。だから、地域が不安になるわけです。
 そもそも、地域がどのような医療を求めているのか、調査をしたのかどうか、伺いたいと思います。
 これまでも、中核病院としての機能強化や医師確保も含めて、期待をされてきた道立病院ですけれども、地域は意見を反映されたものと考えていると、道の方は受けとめているのかどうかもあわせて伺います。

○浅利道立病院管理局参事

 地域医療ニーズの把握についてでございますが、道立病院におきましては、日ごろから、御意見箱の設置やアンケート調査などを実施しながら、病院に対する患者さんの要望等の把握に努めるとともに、こうした要望等を、各病院に設置しております経営計画推進会議などの場で検討するなどしているところでございます。
 また、広域医療を担います江差病院、紋別病院、羽幌病院の3地域におきましては、道立病院長と関係市町村や自治体病院などの関係者で構成します地域医療連携検討会議を設置するなどして、地域の医療提供体制のあり方などについて協議検討を行ってきているところでございます。
 このほか、国保受療動向調査などにより、各道立病院所在圏域におきます患者の受療動向を調査したほか、昨年は、すべての道立病院所在地におきまして、地域意見交換会を開催し、御意見をいただいたところでございます。
 このたびの改革プラン素案の取りまとめに当たりましては、これらの会議や意見交換で出された御意見や調査結果などを踏まえながら、地域の医療事情をつぶさに把握しております病院長も参画しております、北海道病院事業に関する次期計画検討委員会第2専門部会で検討してきたところでございます。
 今後におきましても、12月中旬から1月中旬にかけまして、地域での意見交換やパブリックコメントを実施することとしているところでございまして、これらの御意見なども参考にして、プランを取りまとめてまいりたいと考えてございます。

○真下紀子委員

 今、日ごろから御意見箱の設置やアンケート調査を実施しているという御答弁がありましたけれども、お伺いしますけれども、こういった意見の中に、「経営形態の見直しについて」という項目があったり、そういう意見は入っていますか。
 まだ全部は集約されていないのですよね。それで、一部を見ましたけれども、経営形態のことについてなんか、一言も入っていないのですよ。その病院のサービスをどう向上するか、そういったことが問題になっているだけでして、そういった意見というのは、皆さんはまだ積極的に募集していない段階なのです。だから、地域の中では、この案は唐突だというふうに見られても当然なのではないかと私は思います。
 それで、経営形態の見直しについてですけれども、指定管理や機能継承を基本として経営形態を見直すということですが、先ほども言いましたけれども、これでは、民間や指定管理者などへの丸投げと道民からとられても仕方がないのじゃないでしょうか。
 地域医療を守るためにも、やはり、道が主体となって道立病院を経営すべきであって、そして、公的医療を提供して責任を果たす、これが道が本来果たすべき役割ではないかと思います。
 私は、道の職員は大変優秀な人が多いと思います。ですから、道立病院の経営についても抜本的な見直しをするというときに、道の職員の能力をもっともっと発揮させて、一気に指定管理者制度などを導入せずに、道が直接経営するように頑張るべきなのじゃないでしょうか。道民の期待にこたえる病院づくりを道みずからが進める、このように考え直すことを私は求めたいと思いますけれども、いかがですか。

○髙橋保健福祉部長

 経営形態の見直しについてでございますが、道立病院は、これまで、地方公営企業法の一部適用により経営を行ってきたところでございますが、この経営形態は、地域において必要な医療を安定的に提供するという点では有効であるものの、国の医療制度改革、道の行財政改革など、道立病院を取り巻く環境が急速に変化する中にあって、効率的な経営のための迅速性、柔軟性に欠ける面があることなどから、これまでの種々の経営改善方策にもかかわらず、収支の改善には至っていないところでございます。
 近年、独立行政法人制度や指定管理者制度など、公共性を確保しつつ病院を経営する手法が多様化してきておりますことから、経営の効率化が一層求められております道立病院において、良質な医療を安定的、効率的に提供できる体制を早期に構築するため、経営形態に踏み込んだ見直しが必要となってきたところでございます。
 こうしたことから、多額の累積債務を抱え、効率的な経営が求められている道立病院におきましては、経営形態の見直しの基本として、病院の経営に民間の能力を活用する、いわゆる公設民営と言われる指定管理者制度の導入を図りますほか、道立病院が担っている医療機能を他の医療機関が確実に担うことが可能な場合においては、機能継承について検討することとしたところでございます。

○真下紀子委員

 部長に確認させていただきます。
 ただいまの答弁の最後で、他の医療機関が確実に担うことが可能な場合においては、機能継承について検討するということですので、これが確実に担えるかどうかという基準についてもよく議論をし、見切り発車はしない、そういうことでよろしいですか。

○髙橋保健福祉部長

 他の医療機関が確実に担うことができる場合ということについてでございますけれども、地域での医療機関の整備状況あるいは医療の提供体制といったものを総合的に勘案して、道が担っている医療機能をそこが担うことが可能となった場合ということでございますけれども、さまざまな条件なりを考えてございますので、そういうものはきちっと提供してまいりたいというふうに考えております。

○真下紀子委員

 最後の方がはっきりと聞こえなかったのですが、見切り発車はしないということでいいのですね。
 答えられなかったら、知事に聞きます。

○髙橋保健福祉部長

 先ほど申し上げましたように、今回、経営形態として、指定管理者制度、機能継承ということを示してございますけれども、何よりも、基本は、やっぱり、道立病院が今担っております医療機能について、これからも地域の中できちっと提供体制がとれるということが前提でございますので、先生の御指摘を十分踏まえながら対応してまいりたいと思います。

自治体病院の再編について

○真下紀子委員

 それでは、自治体病院の再編についての質問の方に移ります。
 民間病院などが進出しない地域にとって、自治体病院は地域の命綱と言っても過言ではない存在になっています。
 道は、自治体病院等広域化・連携構想の名のもとに、国の政策によって赤字で苦しんでいる自治体病院を一方的に診療所にしようとねらってきているように見えます。道は、自治体病院の存在意義をどのように認識して、このような案を出してきたのか、伺います。

○河合保健医療局長

 自治体病院に対する認識についてでございますが、現在、道内の自治体病院におきましては、僻地医療や小児医療、救急医療などの不採算部門を含めまして、住民に身近な初期医療から比較的高度な医療までを担っておりまして、本道における地域医療の確保に大きな役割を果たしていると認識いたしております。
 しかしながら、近年、医師や看護師の不足、過疎化に伴う患者の減少などによりまして、自治体病院をめぐる状況は極めて厳しく、これまでのように、一つの病院が、身近なかかりつけ医機能から高度な急性期医療までのすべてを提供することが困難となってきているところでございます。
 こうした中で、地域医療の確保と病院経営の健全化を図るためには、高齢化の進行や人口の減少など、地域の将来を見据えながら、医師や看護師などの人材や医療資源を効率的、効果的に活用し、病院相互の役割分担と連携を構築することが重要と考えているところでございます。

○真下紀子委員

 議論を進めますけれども、地域意向をどう把握したかについてですけれども、由仁町の竹田光雄町長は、診療所化の話は、地元の意向を聞かないで、突然でびっくりした、こう述べております。多くの自治体から同様の声が聞こえてきています。
 構想案の議会報告に先立って、関連地域、すなわち、自治体病院を入院、通院や検診などで利用している患者さんや地域の意向というのはどのように把握されたのでしょうか。

○菊沢医療政策課長

 地域意向の把握についてでございますが、広域化・連携構想は、地域医療の確保と病院経営の健全化を図る観点から、北海道市長会や北海道町村会を初め、医育大学や医師会などの関係団体などで構成いたします北海道医療対策協議会の分科会におきまして1年余りの協議を経て、このたび、道として素案を取りまとめたものでございます。
 本構想は、道から市町村や住民への提案と位置づけておりまして、先般、パブリックコメントを実施するとともに、21の保健医療福祉圏ごとに設置している地域保健医療福祉推進協議会や市町村からの御意見をいただいたところであり、議会での御議論はもとより、こうした御意見を踏まえながら、必要な見直しを行った上で、成案を得てまいりたいというふうに考えております。
 今後、30の区域ごとに、市町村や医療機関、関係団体、住民代表などから成る検討会議を設置し、地域における医療機関相互の役割分担と連携のあり方などについて協議していただくこととしておりますが、関係する市町村におきましては、医療機関を利用する住民の方々のさまざまなニーズや御意見を把握し、検討会議での議論に反映していただきたいというふうに考えております。

○真下紀子委員

 道の提案の前に打診など何もなしに、だれもが唐突と感じるような提案を道が今回されたのですよね。そういう受けとめを道民はしていると思います。
 そこで、一番問題になってくる救急医療への対応についてですけれども、地域において救急対応ができる病院は確保しなければならないものでありまして、自治体病院の方向性の中で診療所化が検討されるという地域から、救急医療に対応するためには病床確保は欠かせないのだと言われていますけれども、この点はいかがですか。

○菊沢医療政策課長

 救急医療への対応についてでございますが、道といたしましては、それぞれの区域におきまして、中核となる病院を中心に、近隣の病院や診療所が広域的に連携して、効率的な救急医療体制をつくることが重要であるというふうに考えておりまして、今後、検討会議におきましては、区域の中核となる病院の医療機能や、関係市町村における1次医療レベルの連携とともに、救急搬送体制の確保などにつきましても十分協議していただきたいというふうに考えております。

○真下紀子委員

 やっぱり、そういった協議をする前に、診療所化が先にありきのような印象を与えてしまったことは、手続としては非常に民主的でないと言わざるを得ないというふうに思います。
 地域ニーズと予防医療の観点に立って、新しい展開をしていくことが地域医療には求められていると思います。確かにそれは必要だと思います。しかし、道は、財政効率を優先する自治体病院の再編案を示しているわけですけれども、こういった取り組みへの視点というのが道民には伝わってきていないと思うのです。この点はいかがですか。

○高野保健医療局次長

 予防医療などについてでございますが、このたびの医療制度改革においては、安心、信頼の医療の確保と予防の重視というものが柱の一つとして位置づけられておりまして、現在、改定作業を進めております道の健康増進計画の中に、生活習慣病の予防対策などについて盛り込むこととしているところでございます。
 道といたしましては、今後、区域ごとに設置されます検討会議におきまして、高齢化の進行や人口の減少など、将来の姿を見据えながら、地域において予防を重視した医療サービスが効果的に提供されるよう、協議していただくことが望ましいと考えており、道といたしましても、必要な情報提供や助言を行ってまいりたいと考えております。

○真下紀子委員

 ですから、そういったことも議論が必要なのですよね。そういったことを踏まえて、では、自分たちの地域にどういった医療が必要なのかということを考えなくちゃいけないのです。それが、先に診療所化ということだけが来ると、道民がびっくりするのは当たり前だと思うのです。
 そもそも、なぜ自治体病院が経営危機にさらされているのかを道は考えたことがあるのでしょうか。いや、考えたことはあると思っていますし、当然だと思うのですけれども、これまでも議会で論議してきましたけれども、結局、その原因というのは、診療報酬の引き下げであり、地方交付税削減など、まさに地域の安全と安心を無視した自民党と公明党の政府の政策的赤字誘導によるものだったのじゃないでしょうか。
 先ほど、自民党の議員の中からも、医師不足を招いた政策の間違いを指摘する声がありました。本当にそのとおりだと思いますよ。道が素案で示した自治体病院の一方的な診療所化については、こういった状況で診療所となっても経営が改善する見込みがないわけです。これは、今からでも診療所化を撤回して、まず、良質で安心な医療をどうやって保障するのかという議論から始めるべきではないかと思いますけれども、いかがですか。

○河合保健医療局長

 病院経営についてでございますが、この構想は、自治体病院を一律に再編しようとするものではなく、それぞれの地域の実情を踏まえながら、地域みずからが主体となって検討していただきたいとの考えから、市町村や住民の皆さんへの道の提案としてお示しをするものでございます。
 今後、区域ごとに、市町村や医療機関、関係団体などから成る検討会議を設置いたしまして、患者の受診動向や住民の方々の医療ニーズを踏まえながら、地域における医療機関相互の役割分担と連携のあり方などにつきまして、十分に協議をしていただきたいと考えております。
 道としても、この検討会議に積極的に参画をし、必要な情報提供や助言にも努めてまいる考えでございます。
 また、広域化の推進に当たりましては、地方交付税措置や診療報酬上の評価など、国による支援が必要な事項につきましては、国に対して強く働きかけをしてまいりたいというふうに考えております。

○真下紀子委員

 押しつけや強制的な形で地域医療を考えても成功しないことは当然だと思います。今回はそのように映ったということでは、やはり、軌道修正が必要ではないかというふうに思うわけです。
 地域において安定的に医療を確保していくためには、医療機関の役割分担や連携について議論していくことが重要だと考えております。
 今後、道は、地域ごとに検討会議を設置しようというのであれば、地域へ丸投げをするというのではなくて、そのときにはよく相談に乗って、先ほどの例にもありましたように、病病連携ですとか病診連携といった、地域にふさわしい医療連携の姿も模索をし、選択肢として入れながら、自発的に地域議論をリードしていく責任が道にはあるのではないかというふうに考えますので、部長の決意も含めて、最後にお伺いします。

○髙橋保健福祉部長

 自治体病院等広域化・連携構想の推進に伴う道の役割についてでございますが、道といたしましては、地域における協議が円滑に進みますよう、医療を中心に、福祉や介護と連携した高齢者のケア体制づくりの必要性、あるいは患者の移動手段の確保などをこの構想にも盛り込んでございますが、地域での検討に当たって考慮すべき事項につきまして提示し、説明をさせていただくとともに、患者の入院、通院の状況や、病院の経営状況などの地域の実態に関するデータを提供するなど、必要な情報提供や助言に努めてまいる考えでございます。
 いずれにしましても、近年の深刻な医師不足、過疎化に伴う患者の減少などにより、自治体病院をめぐる状況は極めて厳しく、こうした中で、地域医療の確保と病院経営の健全化を図るためには、地域における医療機関相互の役割分担と連携のもとに、住民に身近な医療提供体制が確保される必要があるというふうに考えておりまして、道としては、こうした考え方に立って、道の役割を積極的に果たしてまいりたいというふうに考えております。

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