2007年11月9日 決算特別委員会第1分科会 質疑概要(3)
質問者 日本共産党 真下紀子 議員
3 環境生活部所管の問題
(1) 多重債務対策について
○真下紀子委員
多重債務問題は深刻な社会問題です。全国の消費者金融の利用者は約1400万人で、8.5人に1人ということですから、こちらに1人、そちらに3人くらいはいるという割合です。そのうち、多重債務状態に陥っている方が200万人を超えるとも言われていまして、この部屋にいる人の2倍くらいのところに1人は必ずいるというような割合ですから、本当に身近な問題だと言わざるを得ません。
道の消費生活センターにも多くの相談が寄せられているものと思いますけれども、平成18年度の多重債務に関する相談件数と、ここ数年の相談件数の推移についてお示しください。
○二瓶くらし安全課参事
多重債務に関する相談についてでありますが、平成18年度に道立消費生活センターで受け付けた相談件数は1万1168件で、そのうち、サラ金やキャッシングによる債務整理の方法や利息制限法に関する問い合わせなど、多重債務に関する相談件数は525件となっております。
また、平成16年度は、2万2434件のうち750件、平成17年度は、1万5245件のうち711件が多重債務に関するものであり、件数は減少しておりますが、全体件数に占める割合は4%前後となっております。
○真下紀子委員
私は、多重債務に関する相談というのは自治体の仕事だということで、これまでも議会で質問させていただきました。
道や市町村においては、多重債務への対応は、自治体みずからの責務という意識を持ってこの多重債務問題に取り組むという姿勢が本当に重要な時期にあると思います。
道においても、関係部局の連携を図ることが必要でありまして、第2回定例会で私は質問をさせていただきましたけれども、道からは、庁内関係部局や弁護士会、司法書士会など関係団体による協議会を設立するという答弁をいただいておりました。その後の状況について伺います。
またあわせて、市町村に対する支援の状況もお知らせください。
○二瓶くらし安全課参事
協議会の設立などについてでありますが、道は、本年10月12日に、庁内関係部局を初め、道警察、弁護士会、司法書士会等による北海道多重債務者対策協議会を設立し、関係機関・団体が一体となって多重債務者対策に取り組むこととしたところであります。
また、市町村に対する支援については、道立消費生活センターの専用電話による助言や、国が作成した相談マニュアルを配付しましたほか、市町村相談員や職員を対象とする研修の本年度後期日程から、多重債務問題改善プログラムや相談事例など、多重債務に関する内容を取り入れて開催しているところであります。
○真下紀子委員
まさに、その研修が昨日から開催されているという状態だと伺いました。さらに、金融庁のつくったパンフレットやリーフレットも、皆さんのところから市町村の方に送られているということを伺っております。
そこでなのですけれども、一般の道民には、多重債務ではあっても、本人が金融や契約に関する知識が十分でないために多重債務を自分の問題として認識できずに、いまだ苦しんでいる方たちがたくさんいるというふうに聞いております。多重債務に関する情報や知識を知れば知るほど、相談件数は増加していくものと思われるところです。道としても、道民に対して、さらなる啓発が必要と考えますけれども、いかがでしょうか。
○二瓶くらし安全課参事
道民への啓発についてでございますが、道としては、これまでも、消費者被害防止の観点から、市町村や消費者団体と協力してトラブル防止セミナー等を開催しておりまして、多重債務に関しても、そのテーマの一つとして取り上げているところでございます。
また、国が作成した金融知識や多重債務に関するパンフレットやリーフレットを市町村に配付し、住民への啓発を要請しているところであり、今後さらに、道のホームページや広報紙なども活用しまして、周知、啓発を図ってまいりたいと考えております。
○真下紀子委員
道北地域は、道央圏に比べて弁護士の数が不足している状況です。昨年、旭川に開設されました法テラスにも1名のスタッフ弁護士しかいないために、地域が大変広うございますから、移動距離も長くて、さまざまな事案も増加する中で、まさに東奔西走の仕事ぶりだということを聞いております。
多重債務問題の解決には、やはり、弁護士や資格を有する司法書士の協力は欠かせないものです。都道府県と弁護士会、司法書士会が協力して行う12月の全国一斉多重債務者相談ウイーク、これを成功させることが大切だと考えております。そして、これを機会にして、多くの道民に知らせるということが本当に必要だという思いで質問しているわけです。この取り組みに向けた現在の進捗状況と、部長の意気込みについて伺いたいと思います。
○高井環境生活部長
多重債務者相談ウイークについてでございますが、国の多重債務者対策本部では、日本弁護士会連合会、日本司法書士会連合会との共催によりまして、本年12月10日から16日までの1週間を全国一斉多重債務者相談ウイークとして設定したところでございます。
この取り組みは、潜在的な多重債務者が相談窓口を訪れる契機を提供する上で大変重要であると考えておりまして、道といたしましても、初めての多重債務者相談ウイークの実施に向けて、各地の弁護士会や司法書士会との連携を密にいたしまして、現在、鋭意準備を進めているところでございます。
○真下紀子委員
初めての取り組みです。弁護士や司法書士の方たちには多忙な中で協力をしていただくということで、道の担当の方も大変御苦労されていると思いますけれども、応援しますので、ぜひ成功に向けて頑張ってください。
(2) 製紙工場などの違法なばい煙の排出について
○真下紀子委員
製紙工場等では、大気汚染防止法に定める排出基準の超過が報告されないまま何年も継続していたということが明らかになりました。
私は、釧路の日本製紙の釧路工場、王子製紙の釧路工場、日本製紙の旭川工場と、現地を視察させていただきました。日本製紙の方は、1年前から改ざんまでやっていたということが社内調査でわかっていたにもかかわらず、なぜこれが放置されてきたのかということを大変疑問に思います。道はなぜこれが見つけられずにいたのか、伺いたいと思います。
○藤澤環境保全課長
行政への報告のおくれについてでございますけれども、工場からの釧路支庁への説明によりますと、工場内のすべてのボイラーについて、3年分の連続記録紙と日報の突き合わせ作業を行っていたことから、取りまとめまでに時間を要したとしているところであります。
道といたしましては、排出基準の超過はもとより、工場からの報告が大幅におくれたことはまことに遺憾であると考えており、厳重に注意をしたところであります。
○真下紀子委員
釧路支庁でも厳重な対応をしたということを伺ってきました。しかし、連続記録紙を見れば、違法なばい煙の排出状態というのは一目瞭然なのです。やはり、そのことが行われていなかったことが今回の大きな発見のおくれにつながったのだというふうに思います。
大気汚染防止法では抜き打ちによる検査が行えることになっていると承知をしております。支庁の抜き打ち検査が行われたのはどのくらいなのか、お示しください。
○藤澤環境保全課長
大気汚染防止法に基づく立入検査についてでございますが、季節操業の穀物乾燥施設やアスファルトプラントなど、稼働状況をあらかじめ確認する必要がある場合などの約30件を除きまして、今年度は、これまで、約1500件について抜き打ちで実施してきているところでございます。
○真下紀子委員
そこで、連続記録紙の確認についてなのですけれども、大気汚染防止法では、ばい煙の排出者は、発生施設のばい煙量やばい煙濃度を測定して、その結果を記録しておかなければならないとされています。これまでの立入検査で、連続記録紙やチャート紙の提出をなぜ求めてこなかったのか、伺います。
○藤澤環境保全課長
連続記録紙の確認についてでございますが、これまでは、大気汚染防止法に基づく所定の様式に記載された定期測定結果について確認を行っていたため、連続記録紙の提出は求めていなかったところでございます。
このため、本年6月に立入検査マニュアルを作成し、立入検査に際しては連続記録紙や燃料使用量等を記載した原簿等についても確認するなど、検査内容の充実強化を図り、万全を期しているところでございます。
○真下紀子委員
6月にマニュアルを作成したということです。日報に移すときにパソコンで操作し、改ざんが行われていたということも伺いましたけれども、これは、改ざんできないようなシステムに改善するということで、もう既に実施をされておりました。
会社側の効率優先の経営体質、また、製紙業界は今再編が進んでいますから、競争が物すごく激化していることが背景にあると思いますけれども、そういった中で安定操業を優先させる考え方が背景にあったのではないかということは、会社側でも認めていたわけですけれども、こういった経過から考えても、会社任せでは環境は守られないということがわかったのだと思います。
そして、ここに行政の監視機能を発揮すべく頑張っていかなければならないことが明らかになったのだと思うのですけれども、今後、行政のチェック機能をどのように高めていくのか、伺います。
○村井環境局長
今後の対策についてでありますが、このたび違反のあった各事案につきましては、再発防止対策が確実に履行されているかなどについて、立入検査などにより確認し、引き続き監視指導に努めることとしております。
また、今年度は、10月末現在で約1500施設について抜き打ちで立入検査を実施しているところでありますが、違反の判明や事業者からの自主申告につながるなど、一定の成果を上げており、引き続き、今回作成した立入検査マニュアルに基づき立入検査を実施し、事業者が大気汚染防止法を遵守するよう監視指導を強化していく考えでございます。
○真下紀子委員
日本製紙の方も、それから王子製紙も、釧路工場の方では環境インターロックを設置するということで行っていますけれども、すべてのボイラーに設置されるわけではありません。
旭川は中核市ですから、環境行政は市が担うことになりますけれども、空は上川支庁管内にも広がっているわけで、大気の汚染というのは関係がないわけではないのです。
しかし、旭川工場では、環境インターロックはすべてのボイラーにつけるということでした。そのほかにも、自社で10億円近い環境対策を講じるということで、今回のこういった経過の中で、会社側も環境に対する意識を非常に高めたのだというふうに思います。
私は、本当はこれで質問を終わろうと思ったのですけれども、本日、新日本石油精製株式会社の室蘭精油所から排出されるばい煙について、排出基準を超過していたことが報道されました。なぜ今回発見できたのか。そして、マニュアルの効果ーー先ほど、立入検査マニュアルをつくったと言っていましたね。立入検査マニュアルをつくって、立入検査についても1500件行っているということがあったのですけれども、このマニュアルの効果との関係でどうだったのか、そして、今後の対応についてあわせて伺いたいと思います。
○村井環境局長
新日本石油精製株式会社室蘭精油所に係るばい煙の排出基準超過についてでありますが、先ほども申し上げましたが、本年6月に作成した立入検査マニュアルに基づき、胆振支庁が11月1日に同工場に対し抜き打ちでの立入検査を実施したところ、連続記録紙のチェックなどによって、ボイラー2基の測定データが過去において窒素酸化物濃度の排出基準を超過していることを確認いたしました。このため、同工場に対し、他の施設を含め、過去3年間のデータを精査し、11月8日までに報告するよう指導したところであります。
同工場からの報告では、3基のボイラーで窒素酸化物の濃度の超過があり、その主な原因は、平成18年2月に発生した火災事故に伴う保安措置に追われたためとされていますが、その他にも、ばい煙の連続分析計の故障や、ボイラーの起動・停止時に一時的に基準超過があったことが明らかになりました。
昨日、再度、立入検査により内容を確認したところでありますが、今後、同工場に対し、原因究明や再発防止策を求めるなど、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
道といたしましては、今後とも、この立入検査マニュアルに基づき検査を実施し、道内の大気環境の保全が確保されるよう、事業者に対し監視指導を強化してまいりたいと考えております。
○真下紀子委員
道のつくったマニュアルがこんなに即効的な効果を上げるとは私も思っておりませんでしたけれども、本当にきちっと実効あるマニュアルができて、そのことで行政が本当に監視機能を持っていくことで、道民は安心して暮らせると思うのです。
そうすれば、職員給与の9%のカットとかと言いますけれども、道にだって頑張ってもらわなきゃならない、職員頑張れという声も道民の中からわき出てくると私は思うのです。道民の信頼をかち得るような、そういう仕事をこれからも続けていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
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[日本共産党道議団編集]
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