2007年11月9日 決算特別委員会第1分科会 質疑概要(2)
質問者 日本共産党 真下紀子 議員
2 保健福祉部所管の問題
(1) 特定疾患医療費助成制度の変更の影響について
○真下紀子委員
特定疾患医療費助成制度は、2005年――平成17年10月に制度変更されまして、4億5400万円が減額補正され、道民負担がふえたというふうに認識をしております。
また、難治性肝炎として認定された患者さんは、平成16年度末の2万2133人から、17年度末では1万7060人へ減少しまして、橋本病は、同様に、1万5513人から3858人へと激減をしております。
こういった状況において、2006年度――平成18年度では認定者数がどのように変化をしたのか、また、制度変更前と比較してはどうかについてお示しをいただきたいと思います。
○松田健康推進課参事
認定者数についてでありますが、難治性肝炎の患者として認定されている方は、平成16年度末で2万2133人でありましたが、18年度末では1万5078人となっております。
また、橋本病の患者数は、平成16年度末で1万5513人でありましたが、18年度末では3428人となっております。
○真下紀子委員
平成17年度の数から見ても非常に減っておりまして、16年度末から18年度末では、難治性肝炎で7055人、そして橋本病の患者さんで1万2085人が制度改正の後に対象外とされたという実態が明らかになったのだと思います。
次に、制度改正によって、対象となる患者さんが重症者に限定をされたわけですけれども、公費負担を行った受診件数及び1人当たりの受診回数の変化がどうなっているのか、伺います。
○松田健康推進課参事
受診件数についてでありますが、公費負担を行った受診件数を制度改正前の平成16年度と改正後の18年度で比較をいたしますと、難治性肝炎は、約27万5000件であったものが21万1000件に、また、橋本病は、約11万7000件が5万5000件となっております。
また、公費負担を行った患者1人当たりの受診回数でありますが、難治性肝炎は、約12回であったものが14回に、一方、橋本病は、約8回であったものが16回となっているところであります。
○真下紀子委員
公費負担を行った受診件数は、難治性肝炎が6万4000件減り、橋本病の方は6万2000件減っているという実態ですね。そして、患者さんの方は、重症化した方が対象となっていますから、当然、受診回数がふえている。軽度の方が制度からはじき出されたという状況だと思います。
道の制度の変更というのは、やはり、経過を観察していって、早期に異常を発見する、そのことが一番大事な疾患である中で、特定疾患医療の後退そのものではないかと考えるところです。道の方はいかが認識をされているのか、伺います。
○河合保健医療局長
制度改正についてでございますが、道におきましては、国の制度とは別に、昭和49年度に道単独の特定疾患治療研究事業を創設いたしまして、平成6年度以降、7疾患を対象として事業を推進してまいりました。
道単独事業を始めて30年以上が経過いたしまして、この間、医療技術の進歩に伴い、原因の解明が進んだものや一定の治療法が確立したものがあるなど、事業を取り巻く環境が大きく変化いたしてきましたことから、学識経験者で構成いたします特定疾患対策協議会などの御意見をお聞きするなどいたしまして、平成17年10月、事業の見直しを行ったところでございます。
その結果、ウイルス性肝炎及び橋本病の2疾患につきましては、原因の解明が進み、一定の治療方法が開発されたことなどから、事業の対象とはしないこととしたものでございます。
しかしながら、重症のウイルス性肝炎は肝がんへ進行する危険性を含んだ疾病でありまして、継続した治療は医療費がかさむため、重症の橋本病の患者とともに、早期に治療ができるよう、道単独の医療費助成制度を創設したものでございます。
○真下紀子委員
今御答弁にありましたように、早期に治療ができるように早く発見するのだと、そういうことが本来の目的なわけですから、本来であれば、今までどおりに、軽症の時点から経過観察をするべきです。
そのことに関しては多額の医療費をかけるわけではないですけれども、本人の負担となれば、これは重い負担となるわけですね。負担の増加によって、経過観察の前提が崩れて、早期発見が行われずに重症化するということになれば、この制度の本来の目的が達成できなくなるのではないかというふうに思いますし、やはり、道財政が厳しいということを理由にして道民の健康が犠牲になるという典型となることを私は懸念しております。そういった問題があるということをぜひお含みおきいただきたいということを指摘しておきたいと思います。
(2) ハンセン病対策について
○真下紀子委員
昨年、2006年11月、ちょうど1年前になりますけれども、私は、ハンセン病国家賠償訴訟の原告団協議会会長の谺雄二さんにお会いをしまして、講演を伺う機会がありました。
谺さんは、7歳で発病して、療養所に入れられておりました。講演の中では、一生出ることができない元患者の置かれた状況を、国によって何十年も拉致されてきたと説明されていましたけれども、まさしくそのとおりだったというふうに思います。
谺さんは、差別をなくすために闘うことが生きる意味だというふうにお話をされておりまして、堕胎や断種の強制で自分の子供を持てなかった元患者の方々が、自分の子供ではないけれども、子供たちの声を聞きながら暮らせる治療施設の夢を語っていたのを伺いまして、本当に胸を打たれるものがありました。
高橋知事も、2006年に青森の国立療養所の松丘保養園を訪問しまして、元患者の方々に、長い間苦労を強いてきたことを心からおわびしたい、こう申して、知事として謝罪をいたしました。私は、このことは大変重要なことだと思っています。
そこで、質問に入りますけれども、全国の療養所で暮らす道内出身者が何人と把握しているか、まずお伺いします。
○松田健康推進課参事
本道出身者についてでありますが、全国で15カ所あるハンセン病療養所のうち、青森県に所在する松丘保養園のほか5カ所に、平成19年10月末現在、39人が入所されているところであります。
○真下紀子委員
言うまでもなく、元患者の方たちは高齢化が進んでいるというふうに伺っております。
そこで、道の方も予算をつけて、ハンセン病の問題でさまざまな取り組みを行っていると伺っております。これまでの道の取り組みと、決算状況がどうなっているのか、伺います。
○松田健康推進課参事
これまでの取り組みについてでありますが、道といたしましては、これまで、本道出身の入所者の方々に対しまして、郷土の新聞や道産品をお送りするほか、ハンセン病に関するボランティア活動を行っている団体の役員の方とともに道職員が療養所を毎年訪問し、慰労と懇談などを行うほか、入所者の方々がふるさとである北海道を訪問する里帰り事業を実施してきたところであります。
また、偏見や差別のない社会を築いていくため、講演会やパネル展を開催するなどして、ハンセン病に関する正しい知識の普及に努めてきたところであります。
これらの取り組みに係る平成18年度決算額は289万9000円となっております。
○真下紀子委員
289万9000円の予算ということで、わずかですけれども、毎年、予算を確保して、この対策に取り組んでおられることは私も承知しております。やはり、ふるさととのきずなを大事にしながら生きがいを持って生きていただくことが私たちができる支援の一つだと思いますので、この点では、これからも頑張っていただきたいというふうに思います。
今後についてですけれども、高齢化する元患者さんの方々の御要望におこたえをしていく施策が必要だというふうに考えております。道は、元患者さんの方々の要望をどのようにとらえて施策展開に反映させようとしているのか、伺います。
○河合保健医療局長
今後の施策展開についてでございますが、先ほども申し上げましたが、毎年、道職員が北海道出身者がおられる療養所を訪問いたしまして、道内のさまざまな話題や情報をお伝えするとともに、入所者の方々の近況をお聞きしておりますが、その際に、さまざまな御要望につきましてもあわせてお伺いし、里帰り事業などに反映をしているところでございます。
昨年、知事が青森県の松丘保養園を訪問した際の入所者の方々からの御要望を踏まえまして、今年度、新たに、ボランティア団体との共催で、中学生や高校生などの青少年がハンセン病を正しく理解するための療養所訪問研修を行ったところでございます。
また、本年8月には、里帰り事業でふるさとである北海道へ来られた元患者の皆様と知事が直接懇談して、御意見などをお聞きしたところでございます。
道といたしましては、今後とも、療養所に入所しておられる方やボランティア団体の方々とも御相談しながら、できる限り御要望にこたえられるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
○真下紀子委員
この訪問事業に参加をされた中学生や高校生は5人だというふうに伺いました。予算も少ないですけれども、波及効果が高い取り組みをぜひ考えていただきたいと思います。
また、らいの予防法廃止からことしで10年余りになります。社会とハンセン病患者の間に残る壁を直視する映画で、中山節夫監督の「新・あつい壁」というのが、11月に、旭川、札幌、名寄と、道内で上映されるわけです。北海道はまなすの里や旭川のハンセン病問題を考える会などのボランティア団体がこれに取り組むということになっております。
薬害エイズやC型肝炎などの厚生行政の過ちが続く中で、道民も行政も継続した取り組みをしていくことが本当に大事だというふうに思いますし、国家による隔離政策の間違いを忘れてはならないということを申し上げて、次の質問に移ります。
(3) 障害者自立支援法について
○真下紀子委員
この制度が導入されて1年経過しました。本当にたくさんの矛盾がありまして、利用者の方からも随分と大きな反対の声も上がり、障害者の自立支援ではなく、自立を阻害する法律だ、こういった厳しい批判まで出てきて、制度の見直しが迫られてきたわけです。国の方も1200億円の追加補正を組まざるを得ないというところまで、国民の声が政治を動かしてきたのだと思います。
特に、地域活動支援センターや地域生活支援事業は市町村が主な実施主体となっていますけれども、ガイドヘルパーやコミュニケーション支援は地域生活に本当に重要なサービスだと認識しております。
平成18年度においては、道内の地域活動支援センターの設置や事業の取り組みはすべての市町村でできているのかどうか、伺います。
○中野障害者保健福祉課長
地域活動支援センターの設置状況などについてでございますが、障害者自立支援法におきましては、市町村が実施主体の地域生活支援事業といたしまして、相談支援事業、コミュニケーション支援事業、日常生活用具給付事業、移動支援事業、地域活動支援センターにおいて創作的活動や生産活動などのサービス提供を行う事業などがございます。
平成18年度におきましては、地域活動支援センターは138市町村が設置しているところでございますが、このうち、79の市町村におきましては、精神保健福祉士などの専門職員を配置いたしまして、医療、福祉などとの連携強化、あるいは地域住民ボランティアの育成を実施いたしまして、さらには、就労が困難な在宅障害者に対する機能訓練や社会適応訓練を実施するなど、その機能強化を行っているところでございます。
次に、相談支援事業につきましては、180すべての市町村で取り組まれているところでございますが、このうち、社会福祉士などの専門職員を配置するなど、機能強化を図っている市町村も38存在するところでございます。
また、コミュニケーション支援事業、日常生活用具給付事業及び移動支援事業につきましては、それぞれの市町村におきまして、障害のある方々のニーズに応じた取り組みが行われているものと承知しておりますが、平成18年度におきましては、コミュニケーション支援事業は94市町村、日常生活用具給付事業は170市町村、移動支援事業につきましては130市町村から、それぞれサービス提供の実績があった旨の報告がなされているところでございます。
地域活動支援センターを初めといたします地域生活支援事業につきましては、障害のある方々が地域で自立した生活を送るために重要な役割を果たすものでございまして、道といたしましても、市町村の創意工夫によって適切に事業の実施がなされるよう、支援をしてまいりたいというふうに考えております。
○真下紀子委員
やはり、地域事情があって、すべてに設置されているわけではないということですけれども、このサービスが受けられないという事態が道内全域でないように、実情に合わせて相談に乗っていただきたいというふうに思います。
次に、利用料の減免制度についてです。
私たちは、障害者自立支援法で、利用料という、障害者にとっては納得がいかない負担が求められていることに対して、道としての独自軽減を重ねて求めてきましたけれども、道の方は、財政事情が厳しいということを理由に、補助のお話にはなかなか乗っていただけません。
こういった中で、全国の自治体で利用料の減免などを実施しているところがあるわけですけれども、道の方では今に至ってどうなのかということを伺っておきたいと思います。
○中野障害者保健福祉課長
利用者の負担軽減などについてでございますが、道といたしましては、これまでも、障害者自立支援法に基づきます制度の見直しにつきましては、関係者からの御意見を踏まえまして、国に対して、利用者負担の軽減や事業者報酬に関し、必要な提言や要望を行ってきたところでございます。
こうした中、平成19年4月からは、特別対策において、利用者負担のさらなる軽減策といたしまして、月額の負担上限を4分の1にするなどの措置が講じられたところでございますが、道といたしましては、引き続き、こうした対策の周知を通じまして、制度の定着や関係者の理解が得られるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
障害者自立支援法に関しましては、今後とも、就労支援の推進を通じて障害のある方々の所得の確保を図るとともに、国に対しまして、さまざまな機会をとらえて、特別対策として示された経過措置の取り扱いも含めまして、必要な提言や要望などを行ってまいりたいというふうに考えております。
○真下紀子委員
周知をしなければならない制度ということでお話がありましたけれども、やはり、負担が重いから、こういうことが対策としてとられるわけですよね。また、北海道よりも財政が大変厳しい市町村であっても、障害者の負担と生活の自立を考えたときに、この軽減制度というのは必要だということで取り組んでいるところもあると思います。ですから、北海道の方も考えていただきたいということを重ねて申し上げておきます。
利用料が軽減できないなら、収入の方ではどうかということで、雇用を確保していくという方向性が打ち出されています。しかし、これがまたなかなか難しいわけです。
障害者の多くの方は働くことをもちろん望んでいるわけです。しかし、これまで、障害者の雇用というのは大変厳しい環境にあります。昨年の障害者の雇用の実績が民間と行政でどうなっているのか、お示しください。
○中野障害者保健福祉課長
道内における障害者雇用の状況についてでございますが、厚生労働省が発表いたしました、平成18年6月現在におきます障害者雇用状況報告によりますと、法定雇用率1.8%が適用されます一定規模以上の道内民間企業における実雇用率は1.65%となっているところでございます。
また、地方公共団体につきましては、法定雇用率2.1%が適用されます道及び各市町村などの208機関におきます実雇用率は2.35%となっているところでございます。
さらに、法定雇用率2.0%が適用されます道教育委員会、厚生労働大臣が指定します市町村教育委員会の9機関におきましては1.55%となっているところでございます。
ちなみに、全国では、民間企業の実雇用率は1.52%でございまして、法定雇用率2.1%が適用されます地方公共団体では2.25%、法定雇用率2.0%が適用されます地方公共団体では1.46%となっているところでございます。
○真下紀子委員
教育委員会の方がなかなか進まないということで、その事情も伺っておりますけれども、こういったことがなぜ進まないのか、また、促進への条件整備をどういうふうに進めたらいいのかという分析が必ず必要になってくるわけです。その点は、分析をこれから進めるのか、それとも、分析したものがあるのかどうか、お聞かせいただけますか。
○中野障害者保健福祉課長
障害者雇用の推進についてのお尋ねでございますが、道といたしましても、経済部等の関係部局あるいは厚生労働省の労働局というところと連携いたしまして、雇用支援の合同会議というものを設けております。そうしたところで、それぞれのところがそれぞれの取り組みを話し合いまして、今後の支援策について議論をしているところでございまして、今後、こうした場面を活用しながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○真下紀子委員
いずれにしても、リーダーシップをとるのは保健福祉部ですから、ぜひ、ここのところはしっかりとやっていただきたいと思います。
国も道も工賃倍増5か年計画というのを発表しました。これの具体的な計画はどう考えられているかをまず伺います。
また、18年度の就業実態は、道内のハローワークでの実雇用率で1.65%と、まだまだ低いのが実態です。工賃倍増のめどや民間企業とのタイアップをどのように考えているのか、伺います。
○野村福祉局次長
障害のある方々の就労支援についてでございますが、障害者自立支援法におきましては、障害のある方々の就労ニーズにこたえるため、障害者の就労支援を強化いたしまして、可能な限り一般就労を推進するとともに、福祉的就労についても底上げを図ることといたしております。
道におきましては、一般就労の推進に向け、地域における就労支援のかなめとなる障害者就業生活支援センターの指定拡大を図りますほか、ハローワーク、特別支援学校や企業を初め、地域の関係機関が密接に連携して、情報の共有化を図りながら、障害者の就労支援を効果的に推進することを目的といたしまして、就労支援ネットワーク構築事業を全道11圏域において実施するなど、さまざまな取り組みを行っているところでございます。
また、福祉的就労の底上げのため、道といたしまして、今年度中に工賃倍増5か年計画を定めることとしており、この計画におきまして、企業や地域との連携などの方策についても盛り込むことといたしておりますが、具体的には、本年度、全道8カ所で実施するモデル事業の成果を踏まえまして、本年10月に設置した、福祉、経済、行政等の関係者や学識経験者などから成ります北海道障害者就労支援推進委員会において検討を進めることといたしております。
道といたしましては、企業や市町村などと密接な連携を図りながら、さまざまなネットワークの活用などを通じまして、障害のある方々の就労支援に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○真下紀子委員
福祉的就労の工賃が倍になって、果たして生活ができるのか。これは利用料を払うことが前提ですから、利用料を払って、それだけでは生活できないのは自明のことです。やはり、障害を持った方たちが自立して暮らせるために何が必要かという総合的な検討の中で考えなくてはいけないと思うのです。皆さんの方が専門ですから、当然、そのように考えていらっしゃると思うのですけれども……。
そういった中で、例えば、福祉的就労の場である職場で働いている障害を持っていない方たちの労働環境が犠牲になってはならない。施設経営も大変になっていますから、そこを犠牲にすることもあってはならないし、障害者自身の生活も自立させなければならないということになったときに何が必要かというと、やっぱり、国にも、制度の骨組みのところから転換しなければならないものは転換をしっかりと求める、そこまで考えていただかなければならないというふうに私は思っています。
ですから、実態がどうなっていくのかもよく見据えた上で、今後も議論をさせていただきたいというふうに思います。
(4) 児童虐待について
○真下紀子委員
子供の虐待をめぐってさまざまな報道があるたびに、多くの道民が胸を締めつけられるような思いをしているということは、皆さん、共通していることだと思います。
そこでまず、平成18年度の北海道における児童虐待の相談件数と、その推移及び特徴についてお示しをいただきたいと思います。
○林子ども未来推進局参事
本道における児童虐待の相談件数などについてでございますが、道と札幌市の児童相談所の相談件数の推移を見ますと、平成15年度まで一時減少傾向にございましたが、平成16年度から増加に転じ、平成18年度の相談件数は954件と、過去最高となっているところでございます。
また、平成16年の児童福祉法の改正により、平成17年度からは市町村も児童相談を扱うこととなりましたが、その相談件数を合わせますと、平成18年度は2010件となっております。
虐待の主な特徴といたしましては、児童に虐待を加えた者は、実母が約70%と最も多く、次いで実父となっております。
また、虐待を受けた児童につきましては、小学生の割合が約40%を占め、次いで3歳から学齢前、次いで0歳から3歳未満となっております。
さらには、虐待の種類につきましては、養育の怠慢、拒否といった、いわゆるネグレクトが全体の約60%と最も多く、次いで身体的虐待となっております。
○真下紀子委員
ダブりがあるというふうには伺いましたけれども、平成18年度は2010件の虐待件数が報告されているわけです。本当に驚くような数字です。そしてまた、その中身についても、御答弁がありましたように、愛着形成が一番重要な時期、そして相手、こういったところで虐待が起きているということは本当に悲劇的なことだというふうに思います。
そういった中で、残念ながら、死亡事例なども出るという状況が全国で起こっているわけですけれども、平成18年3月に、児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会というのがあって、そこから出されている報告書というのを私も見せていただきました。この報告書の概要についてお示しください。
○林子ども未来推進局参事
国の虐待事例の検証に関する報告書についてでありますが、この報告書は、国が社会保障審議会児童部会のもとに設置いたしました児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会が、平成16年中に全国で発生しました53の死亡事例について検証を行った結果を取りまとめ、平成18年3月に報告されたものでございます。
虐待による死亡事例の分析・検証方法といたしましては、事例が発生した市町村に対して、市町村が中心的にかかわってきた事例について、専門委員が市町村を直接訪問し、ヒアリングをしたものでございます。
この事例の検証から得られた今後の課題としては、その主なものを申し上げますと、虐待を予防するために、妊娠期から、母子健康手帳を発行するときや健診の機会の活用及び医療機関と地域保健・福祉機関が連携を密にすることによって、要支援家庭を早期に把握し、切れ目のない支援を提供する必要があること、関係者は、子供虐待に関する基本的な知識を再認識するとともに、虐待か否かの判断にとらわれず、保護者による不適切な監護など要支援家庭の要素が確認されれば支援を開始する必要があることなどとなっております。
○真下紀子委員
この報告書で新しい観点が示されたのだと思います。一つの観点は、妊娠期からの取り組みについてということです。望まない妊娠による虐待というのは本当に悲劇だと思います。しかしながら、これは防止できる問題だと私は考えています。望まない妊娠による虐待を避けるための対策が望まれるところです。そのために、周産期からの対策にどう取り組んでいくのかも伺います。
○林子ども未来推進局参事
周産期からの対策についてでございますが、本人が望まないで妊娠した場合は、母親になる自覚を持てないまま出産に至るケースもあり、この場合、子供への愛着が十分に形成されずに、養育困難な状況に陥りやすいことから、こうした家庭を早期に把握し、支援する対策が児童虐待を未然防止する上で必要であるというふうに考えております。
このようなことから、道では、平成15年度から、虐待予防ケアマネジメントシステムを構築するよう市町村に働きかけ、このシステムにより、市町村が実施する乳幼児健診などにおいて、虐待のおそれがあるなど援助が必要な母子を早期に把握するとともに、医療機関、保育所、子育て支援センターなど関係機関の連携による適切な養育支援を行ってきており、さらに、平成18年度からは、対象者に妊娠・出産期の母子を加えるとともに、市町村と産科医療機関の連携を強化するなど、問題を抱える母子の早期発見、早期対応に努め、児童虐待の未然防止に取り組んでいるところでございます。
○真下紀子委員
この報告書のもう一つの特徴は、要支援の確認で支援開始が必要となると。深刻な相談への対応も大事だというふうに思いますけれども、要支援の確認で支援開始が必要となるということなのです。虐待報告の方は、時間を問わず、24時間、地域住民や関係機関から児童相談所に通告されることになりますけれども、児童相談所では、どのように通告を受けて、また、子供の安全確認がどのように行われているのか、伺います。
○林子ども未来推進局参事
児童の安全確認についてでございますが、児童相談所では、虐待の通告を受理した場合、速やかに所内において緊急受理会議を開催し、虐待の確認や一時保護の判断、援助の方向性など、対応の方針を決定するとともに、市町村の職員や児童にかかわりのある保育所などの関係者から情報を収集した上で、虐待を専門的に扱う児童福祉司が中心となって、家庭訪問などを行い、子供の安否を確認しているところでございます。
その際、虐待のおそれがあると認められる場合には、一時保護を行うなど、子供の安全を最優先に対応しております。
また、夜間や土・日、祝祭日の対応につきましては、一時保護を担当している保護指導員や一時保護対応協力員が通告を受理し、速やかに所長や担当の児童福祉司などに報告した上で、安否確認が行える体制を整えているところでございます。
○真下紀子委員
24時間対応ができるような体制を整えるということなのですが、体制の問題は後で質問します。受け入れ体制としてはできるということですね。
報告書の中では、児童相談所の関与の有無にかかわらず、関係機関の連携、進行管理や役割分担、外部専門家からのアドバイスなど、組織的対応が求められています。組織的な対応には虐待防止ネットワークが重要な役割を果たしていますけれども、その設置状況はどうなっているのか、また、どのような対応を行っているのか、お示しください。
○林子ども未来推進局参事
虐待防止ネットワークについてでございますが、道では、虐待を受けている子供を初めとする要保護児童の早期発見、早期対応を図るため、市町村に対して、児童福祉法に基づく保健や福祉の行政機関、教育委員会、警察や医療機関などをメンバーとする要保護児童対策地域協議会の設置を働きかけておりまして、この協議会では、例えば、就学前の児童が虐待を受けるおそれがある場合には、関係する保健師、保育士、児童委員、医療機関などが連携して、それぞれが役割分担の上、相談、援助を行ってきております。
道内の要保護児童対策地域協議会の設置数は、札幌市を含めまして、平成19年11月1日現在、124市町村となっております。
このほか、平成9年の国の通知に基づき市町村が設置しました、福祉、保健、医療、教育、警察などの機関で構成する虐待予防のためのネットワーク会議がありまして、44市町村に設置されているところであり、未設置は12市町村となっております。
○真下紀子委員
道内180の自治体すべてには設置されていないわけですけれども、設置されていない理由や設置の見通しについてはいかがお考えでしょうか。
○林子ども未来推進局参事
地域協議会が未設置の12の市町村などについてでございますけれども、これまで未設置となっていた理由といたしましては、市町村によりましてさまざまな事情によるものでございますけれども、主な例といたしましては、市町村の人口が少なく、虐待の事例も少なかったことや、虐待の情報も比較的得られやすいなどの認識がございまして、設置が見送られていたということがございました。
それから、必要だとの認識はあるものの、関係機関との調整に時間を要し、立ち上げの準備に手間取ってしまったことなどによるものでございます。
いずれにいたしましても、児童虐待は、特別な地域に起きるものではなく、小規模な町や村などでも起こり得る問題でございますので、今後とも、未設置である12市町村につきましては、地域協議会の設置に向け、準備を現在進めているところでありまして、今年度中にはすべてが設置される見込みとなっているところでございます。
○真下紀子委員
小規模な市町村では対応がなかなか大変かと思いますけれども、御答弁にあったとおり、小規模なところでも虐待が起きる可能性はあるわけですから、ぜひとも推進に努めていただきたいと思いますし、相談にも乗っていただきたいというふうに思います。
地方公共団体での死亡事例等の検証の現状と課題についてですけれども、検証委員会の設置が必要とされています。北海道では今後どのように取り組むのか、伺います。
○加瀬子ども未来推進局長
検証委員会の設置についてでございますが、ことし5月、児童虐待防止法が改正され、児童が重大な被害を受けた事例につきましては、地方公共団体は検証の責務を負うとともに、都道府県知事による都道府県社会福祉審議会への報告義務が規定され、来年4月に施行されることとなってございます。
また、この改正にあわせまして、国から、その検証組織としては都道府県の社会福祉審議会の部会などを活用することが示されていることから、道といたしましては、北海道社会福祉審議会児童処遇部会から、検証の基本的な考え方や進め方などについて御意見をいただいているところでありまして、来年度の検証組織の設置に向け、取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○真下紀子委員
先ほど来、児童虐待について質問させていただいておりますけれども、24時間体制で虐待の対応に当たらなければならないという児童相談所の体制充実というのがどうしても欠かせない課題になっております。北海道は、厳しい財政状況中で、ここのところに一定程度の人を配置し、充実をさせてきたという経過はあるものの、これだけ児童虐待がふえて深刻化する中で、やはり、予防の観点、そしてまた、不幸にして児童虐待に至ってしまった場合は再発防止がどうしても欠かせない課題になってくるわけです。
国は、どんどんと報告書を出したり、いろんな通達を出したりして、充実をするようにということで求めますけれども、お金はなかなか出さない。そういった中で対応するためにも、やはり、ここのところは、知恵もお金も出しながら、児童相談所を充実させなければならないのではないかと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
○髙橋保健福祉部長
児童相談所の体制についてでございますが、道におきましては、平成12年の児童虐待防止法の成立を受けまして、平成13年から平成14年にかけまして、児童虐待を専掌する児童福祉司や心理職員、児童虐待対応協力員の配置など、全道8カ所の児童相談所に39名の増員を行いまして、児童虐待の相談・援助体制の強化に努めますとともに、平成17年度には、児童福祉司の8名の増員や一時保護対応協力員の配置を行い、虐待対応の強化を行ったところございます。
また、本年度には、虐待等で保護を必要とする児童に対し、できるだけ家庭に近い環境を提供するため、中央、函館、釧路の三つの児童相談所に里親推進の主査を配置し、里親委託の促進に努めているところでございます。
道といたしましては、今後とも、児童相談所が地域におきます第一線の専門機関として、児童虐待に適切に対応するため、その機能を十分果たすことができるよう、相談・支援体制の充実に努めてまいりたいというふうに考えているところございます。
(5) 性感染症対策について
○真下紀子委員
近年、携帯小説などでエイズを扱うものが多くなっています。また、若年の女性が出会い系サイトの被害者となっている状況にも大変胸が痛む思いをしております。
しかし、性に対する情報がはんらんしながらも、余りにも子供たちには正確に届いていないことに懸念を持っており、思春期保健の必要性を特段に感じております。
ちょうど3年前になりますけれども、2004年11月には、19歳の女性の50人に1人、18歳の64人に1人の割合で2003年度において人工妊娠中絶をしていたということが厚生労働省から報告され、衝撃が広がりました。同様に、STDの低年齢化も心配されるところであります。
HIV感染の易感染性が高くなるSTDの動向というのは、人口妊娠中絶とも連動し、性行動を反映する指標とも言えて、潜在化するエイズの予防や、人工妊娠中絶、望まない妊娠の防止にも効果が期待できると考えて、以下、STD対策について質問をするものです。
そこで、道内のSTDの発症状況と特徴について伺います。
○松田健康推進課参事
道内のSTD、いわゆる性感染症の発症状況についてでありますが、医療機関が感染症を診断した場合、感染症及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づき、梅毒は全医療機関から、また、クラミジア感染症やヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ及び淋菌感染症の四つの疾病については、道内42カ所の定点医療機関から保健所に対し届け出がなされることとされております。
平成18年における本道の性感染症に係る届け出数と、その中の未成年者の件数、割合でありますが、梅毒は9件で、うち、未成年者はゼロ件、他の四つの疾病は、合わせて3871件で、そのうち、未成年者は504件、その割合は13%となっております。
全国の状況を見ますと、平成17年の統計数値でありますが、四つの疾病を合わせて6万7110件で、うち、未成年者は6921件、割合は10.3%となっておりまして、本道はこのとき15.9%でありましたので、本道における未成年者の性感染症の割合は、全国と比べ高い状況となっております。
○真下紀子委員
私は、これは北海道としてきちっと対策をとって、こういった現状を何としても改善したいというふうに思っています。その対策をとるために実態を把握することが欠かせないわけですけれども、北海道の場合は、医療機関の協力を得て定点調査を行っていると伺いました。
しかし、小さな産婦人科のクリニックでもこういった受診が多いと聞いておりまして、これまでの定点調査だけでは十分だろうかという思いをしております。調査対象となっていない婦人科などにも協力をしてもらっての調査が必要ではないかと考えますけれども、この点はいかがでしょうか。
○松田健康推進課参事
感染症に係る届け出についてでありますが、国におきましては、感染症法に基づき、インフルエンザやO157及び性感染症など、感染症全般について発生状況を迅速に把握、分析し、国民や医療関係者にその結果を公開、提供するために、感染症発生動向調査を実施しているところであります。
ぺストやSARSなど、危険性が極めて高く、周囲への感染拡大を緊急に防止する必要のあるものや、狂犬病など発生数が希少なものについては全医療機関が届け出ることとされており、一方、患者数が多数で、全数を把握しなくても発生動向を把握することができると判断されるものにつきましては、知事が指定した定点医療機関が届け出を行うこととされているところであります。
道におきましては、定点医療機関の指定は、国の要綱に基づき、関係団体の意見もお聞きし、行っているところでありまして、性感染症については、産科、婦人科、泌尿器科から42カ所の医療機関を指定しているところであります。
今後とも、関係医療機関や関係団体とも連携を密にして、性感染症の発生情報の正確な把握に努めるとともに、的確な情報提供を行うなどして、感染の拡大防止に取り組んでまいりたいと考えております。
○真下紀子委員
実は、私の地元の旭川市も非常に高いのですよね。そういう中で、やっぱり、STDが上位という汚名を返上するために、全道を網羅した実態調査を一度行うべきだということを指摘しておきたいというふうに思います。
その上で、こういったことは、やはり、自分の体をどう守るかという健康教育が最も大事なわけです。正しい健康教育が行われていないということがこの背景にあるわけです。
子供たちがみずからの健康を守るために、一つは、科学的で正しい知識を持つこと、二つは、適切な行動をとるためのスキルを持つこと、三つ目に、命や健康を守ることが大切だという価値観を持てるような健康教育が必要だという指摘があります。道内ではどのような取り組みとなっているのか、伺いたいと思います。
また、これは教育の分野との連携が欠かせません。教育の分野の壁はなかなか厚いものがあるというふうに私も認識をしておりますけれども、この点でも取り組みが進んでいるのかどうか、伺います。
○河合保健医療局長
感染症に係る予防対策についてでございますが、道といたしましては、現在、ホームページによる性感染症に関する情報提供や予防啓発のためのパンフレットを配布するほか、保健所の保健師などの専門職員が中学校や高等学校に出向きまして性教育の授業を行ったり、市民講座などと連携をするなどいたしまして、性感染症の予防教育を実施いたしております。
本道におきましては、性感染症に占める未成年の若者の割合が全国と比べまして高く、心と体の発育、発達の著しい若者にとりまして、将来の健康や社会生活にも大きな影響を及ぼすことが危惧されるところでございます。
道といたしましては、今後とも、北海道教育委員会と密接に連携を図りながら、学校における性教育授業に保健所が積極的に協力するなど、若者の性感染症の予防に資することができますよう、一層努めてまいりたいと考えております。
○真下紀子委員
私がここで申し上げておきたいのは、子供たちだけの問題じゃなくて、やっぱり、何というのですか、男性の価値観というのですか、ここのところにも大きな問題があるのだというふうに思うのです。ですから、あわせてそういった教育も必要ではないかということを申し上げておきます。
(6) 病院の耐震化について
○真下紀子委員
2006年2月の保健福祉委員会で私も質問させていただいた病院の耐震化について伺ってまいります。
厚生労働省の調査で、道内の災害拠点病院の24カ所のうち、4施設が耐震化されておらず、新年度以降に移転改築して整備するとのことでしたけれども、進捗状況はどうなっていますか。
○粟井医療政策課医療参事
災害拠点病院の耐震化についてのお尋ねでございます。
平成17年2月に厚生労働省の研究班が実施しました、病院の地震対策に関する実態調査の結果によりますと、道内の24の災害拠点病院のうち、4病院につきましては、災害時の救急患者の受け入れ場所となります救急処置室や救急医療病棟などに着目いたしまして、耐震化整備がなされていないとされたところでございます。
その後、道としても、災害拠点病院の耐震化整備状況を詳細に把握するため、平成18年3月、24カ所すべての病院について調査を実施したところでございます。
その結果、12病院につきましては、すべての建物が昭和56年に定められました耐震基準を満たしておりましたが、11病院につきましては、一部の病棟などが耐震基準を満たしておらず、残り1病院につきましては、すべての建物が耐震基準を満たしていないという状況でありました。
建物の一部あるいはすべてが耐震基準を満たしていない12病院につきましては、現在、2病院が耐震化整備を進めており、残り10病院につきましては、今後、改築などの施設整備を行う中で耐震化整備がなされるものと考えております。
○真下紀子委員
道の調査で実態が明らかになったのだと思います。
平成17年2月の厚生労働省の調査によりますと、道内の627病院中444の病院から回答がありまして、耐震化されているのはその4割にとどまっておりました。このときに、耐震化促進計画の早期策定を求めるとともに、国の補助事業なども活用して耐震化整備を進めるべきだと提言いたしましたけれども、進捗状況はいかがでしょうか。
○菊沢医療政策課長
病院における耐震化についてでございますが、平成7年に制定されました耐震改修促進法によりまして、病院のうち、3階建て以上で1000平方メートル以上の面積があり、かつ、耐震関係規定に適合しないものにつきましては、特定建築物とされまして、所有者は耐震性能の向上に努めることとし、また、都道府県は、耐震診断及び耐震改修の促進を図るための計画を定めることとされたところでございます。
このため、道では、平成18年12月に北海道耐震改修促進計画を策定しまして、病院を含む、多数の者が利用する建築物について、耐震診断、耐震改修を促進してきたところであります。
また、道におきましては、病院の耐震化の状況を把握するため、本年7月、道立保健所が所管する299病院のうち、現行の耐震基準に適合している134病院を除く165病院についてアンケート調査を実施したところ、建物の全部が耐震関係規定に適合している病院は31、建物の一部が適合していない病院は30、建物のすべてが適合していない病院は56、回答がなかった病院が48となっておりまして、基準に適合している病院は約55%となっていることを確認したところでございます。
道では、これまでも、病院に対し、文書やリーフレットを送付するなどして、耐震化の促進を図ってきたところでありますが、今後におきましても、耐震診断や耐震改修に伴う国庫補助制度の活用や、独立行政法人福祉医療機構などの低利な融資制度の紹介を積極的に行い、病院の耐震化に一層努めてまいりたいと考えております。
○真下紀子委員
それでは、病院だけではなく、老人ホームなどの耐震化も検討するというふうに御答弁されておりましたけれども、進捗状況をお伺いします。
○藤野総務課参事
老人ホームの耐震化などについてでございますが、ただいまもお答えいたしましたとおり、道といたしましては、北海道耐震改修促進計画策定のための庁内会議を設置し、昨年12月にその計画を決定し、多くの者が利用する建築物の耐震化促進に努めているところでございます。
老人ホームなどの社会福祉施設につきましては、耐震改修促進法では、階数2以上かつ1000平方メートル以上の施設は所有者が適切な措置をとらなければならない建物とされており、道といたしましては、今年度、所管対象施設に対し、啓発パンフレットを送付し、耐震化を促すとともに、その対応状況について確認することとしており、あわせて融資制度の紹介を行うなど、その促進に努めてまいります。
なお、平成18年7月現在、地方公共団体の所有する一定規模以上の社会福祉施設は168施設あり、その70.8%が耐震化されている状況にございます。
(7) 介護保険について
○真下紀子委員
要介護認定者や寝たきりの高齢者が障害者として認定されれば、所得税法上の障害者控除を受けることが可能であるということがわかりました。この件については、1定の最終日前日委員会でも、周知していただきたいということを申し上げてきたわけですけれども、この間、市町村に対して、どのような周知、指導助言に努められてきたのか、伺います。
○末澤高齢者保健福祉課長
要介護認定者等の障害者控除についてでありますが、所得税法などにおきましては、知的障害者や身体障害者のほか、精神または身体に障害のある65歳以上の方で、障害の程度が知的障害者または身体障害者に準ずるものとして市町村長の認定を受けている方は、課税所得の計算に当たりまして、障害者控除の適用が受けられることとなっているところでございます。
道といたしましては、この制度の趣旨について、道税広報誌「くらしとぜい」に登載いたしまして、広く周知に努めたほか、各種会議を利用し、市町村に対しても、広報誌や窓口などでそれぞれ周知を図るように働きかけをしてきたところでございまして、今後とも、こうした取り組みを通じまして、制度の周知が一層図られるように努めてまいりたいと考えております。
○真下紀子委員
旭川でも2倍近くに増加をしておりまして、高齢者の負担軽減策として歓迎をされております。一層頑張っていただきたいというふうに思います。
次に、平成18年度から改定介護保険制度が実施をされて、史上初めて介護給付費が減少となりまして、本当に必要な介護サービスが提供されているのかどうかという声が上がりました。道内の総給付費はどうなのか、お伺いします。
○佐藤介護保険課長
介護給付費の支出状況についてでございますが、北海道における平成18年度の介護給付費につきましては、172保険者の合計で2688億5527万6327円となっておりまして、平成17年度と比較いたしまして、189億6936万1095円、7.6%の増加となっているところでございます。
○真下紀子委員
そこで、これまで、訪問介護サービスにおける生活援助サービスは、1回120分の訪問介護サービスが受けられたのに対して、60分ないし90分に制限をされた例が続出しております。このような現実、実態があることに対して道はどのように認識をしているのか、伺います。
○佐藤介護保険課長
生活援助サービスについてでございますが、訪問介護サービスのうち、掃除や洗濯、一般的な調理などを援助する生活援助サービスにつきましては、1時間以上のサービス提供の場合、30分を増すごとに介護報酬が加算されておりましたが、18年度の制度改正におきまして、サービス内容などの実態を踏まえまして、利用時間の適正化を図るため、1回当たりのサービスの上限が1時間30分未満とされたところでございます。
道といたしましては、制度改正後におきましても、高齢者の状況に応じまして居宅介護支援事業所が作成するケアプランに基づき、必要かつ適切なサービスが提供されているものと考えております。
○真下紀子委員
使い勝手がどうかということなのですけれども、次の質問に移ります。
苫小牧市の場合、介護予防サービス給付費が、7億円の当初予算が2億円へと激減しました。道内主要都市の決算状況がどうかをお示しください。
また、この減少の背景には、要支援認定が厳しいことがあると考えますけれども、国の要支援認定基準について緩和を求めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○佐藤介護保険課長
市町村における平成18年度の決算状況などについてでございますが、苫小牧市の介護予防サービス給付費につきましては約5億円の補正減があったものの、一方で、介護サービス給付費について3億円を超える補正増が行われておりまして、保険給付費総額では6.7%の補正減となっております。
主要都市の決算状況につきましては、保険給付費総額で申し上げますと、札幌市が6.0%の減、函館市が4.2%の減、旭川市が0.5%の増となっているところでございます。
各保険者の介護保険の予算は、介護保険事業計画に基づくサービス量により積算されたものでございますが、利用者の利用状況などの動向によりまして増減が生じるものと考えているところでございます。
なお、要支援者に対する新予防給付につきましては、できる限り要介護状態にならない、あるいは重度化しないよう、介護予防を重視したサービスとして新たに導入された制度でございまして、実施状況などを見きわめてまいりたいというふうに考えております。
○真下紀子委員
3年間の中での単年度決算ですし、見込みが制度の変更によって変わるということは理解できますけれども、やはり、実態に合った認定が最も重要だということを申し上げておきます。
次に、要介護状態から要支援2に移行した人については、通院等乗降介助を使えなくなったけれども、がん末期の方やパーキンソン病、人工透析などの疾患を持っていても、予防給付の対象となっている高齢者が相当数おります。
通院等乗降介助がなくなったことは、経費負担増と受診抑制を引き起こしていると考えるところです。これらの疾患を有する方々において、通院等乗降介助が使えるようにすべきと考えますけれども、いかがでしょうか。
○佐藤介護保険課長
通院等乗降サービスについてでございますが、介護保険制度は、心身の状態に応じまして、介護の手間のかかりぐあいなどについて審査を行い、その方が必要とするサービスを提供するものでございます。
今般の制度改正によりまして、要支援2と認定された方々は、新予防給付のサービスの提供により、状態の維持改善の可能性が高い方でございまして、介護給付として提供される通院等乗降サービスは適用されないこととされてございます。
○真下紀子委員
使い勝手が悪いということで、このことについても、そういう声があることを認識していただきたいというふうに思います。必要があれば、やはり、国に声を上げていくということでお願いいたします。
次に、介護サービス利用者負担軽減事業費補助金が当初3億3000万であったのですけれども、決算では1億6000万円に減って、かつ、9712万円の不用額が生じています。この理由と内訳を伺います。
○佐藤介護保険課長
介護サービス利用者負担軽減事業費補助金についてでございますが、本事業は、介護保険サービスを利用する際に、所得の低い方の利用者負担が過重にならないよう、介護サービスの利用者負担額の減免を行う三つの事業で構成されておりまして、毎年度、各市町村からの所要見込みに基づき計上しているところでございます。
内訳につきましては、一つ目は、障害者施策によるホームヘルプサービスを利用していた低所得者の方に対しまして、利用者負担を軽減する事業で、当初予算額は7226万3000円、補正後は5880万9000円、決算額は5278万6000円となっております。
二つ目は、社会福祉法人などが低所得者の方の利用者負担を減免した場合の助成措置でございまして、当初予算額は2億5862万3000円、補正後は2億92万9000円、決算額は1億999万9000円となっております。
三つ目は、離島などの地域における訪問介護の介護報酬がその他の地域に比べ15%高く設定されておりますが、その場合の利用者負担が割高なものとなりませんように、9%に軽減する事業で、当初予算額が54万2000円、補正後は114万1000円、決算額は97万4000円となっております。
合計では、当初予算額が3億3142万8000円、補正後は2億6087万9000円、決算額は1億6375万9000円となっておりまして、9712万円の不用額が生じたところでございます。
このうち、社会福祉法人等利用者負担軽減事業が最も不用額が生じておりますが、各市町村の実績が見込みを大きく下回ったことが要因でございます。
○真下紀子委員
最後に御答弁のありました社会福祉法人等利用者負担軽減事業、これは施設の方にも負担が生じるわけですね。ですから、なかなかここに踏み込めないという事情があったのだというふうに思います。
介護保険の問題での最後ですが、小樽市の場合は、平成18年度の介護保険特別会計で3億7000万円の剰余が出ています。保険料の値上げが不要だったのではないかという声もあります。また、今も出てきましたけれども、制度改定について、矛盾と問題の検証をすべきではないかと考えますけれども、道のお考えを伺います。
○場谷福祉局長
介護保険制度についてでございますけれども、介護保険制度は、3年を1期としておりまして、保険料につきましても、介護保険事業計画に基づく3年間のサービス量を基礎といたしまして算定されておりますことから、単年度の状況での判断は難しいものと考えているところです。
また、今回の改正においては、新予防給付について、施行後3年を目途に実施状況を踏まえ検討することと介護保険法附則に定められているところでございます。
道といたしましては、これまでも、地域特性に配慮した介護報酬の設定あるいは利用者負担に係る低所得者対策の確立など、介護保険制度全般について国に対して要望しているところでございまして、今後におきましても、各市町村の御意見を伺いながら、介護保険制度がよりよい制度となるよう、国に対して要望してまいりたいと考えております。
(8) 喫煙対策の効果について
○真下紀子委員
たばこを吸われる方としては、午後1時からの委員会継続で、もうそろそろ、たばこを吸いたいなという方がふえてきているのではないかという中で質問するのは恐縮ではありますけれども、勇気を持って喫煙対策について伺ってまいります。
まず、喫煙率と保険診療の普及状況についてあわせて伺います。
本道の喫煙率がどうなっているのか、全国との比較を含めて伺います。
あわせて、2006年――平成18年4月から禁煙指導に医療保険が適用されて、6月からはニコチンパッチも保険適用となったわけですけれども、保険診療の普及状況を道はどのように把握しているのか、また、ニコチンパッチの効果とその成功率の状況はいかがかということをお伺いします。
○田中健康推進課長
まず、喫煙率についてのお尋ねでございますけれども、平成17年度の地域保健・老人保健事業報告によりますと、40歳以上の基本健康診査を受診した人のうち、本道の男性の喫煙率は38.4%でありまして、全国の30.0%に対して8.4ポイント上回っており、都道府県での順位は、喫煙率の高い方から数えて第3位となっております。
また、女性につきましては、12.5%で、全国の6.2%に対して約2倍の割合となっており、都道府県での順位は第1位となっております。
次に、保険診療の普及状況についてでございますが、道内の約4000カ所の病院、診療所を対象として、本年6月1日現在の状況を調査した結果、禁煙治療を実施している医療機関は615カ所でありまして、そのうち、保険診療を行っているのは239カ所でございました。
また、ニコチンパッチについてでありますが、これは禁煙時に出現するいらいら感や倦怠感などの症状に対して、ニコチンを喫煙以外の方法で体内に供給し、それらの症状を軽減するものでございます。
その治療効果につきましては、今年度、中央社会保険医療協議会が行いました禁煙成功率の実態調査によりますと、5回の指導を終了した患者が指導終了時に4週間以上禁煙を継続している割合は72.3%でありまして、さらに、指導終了後9カ月が経過した時点で禁煙を継続している割合は45.7%と報告されております。
○真下紀子委員
取り組みが非常に進んでおりまして、保険診療の効果も上がってきているのだというふうに思います。禁煙を希望するという意思があれば成功する確率は格段に高くなるわけですから、ぜひ、広がった医療機関も含めて、さらに普及に力を入れていただきたいと思います。
次に、禁煙の手法と禁煙施設の普及状況についてあわせて伺います。
禁煙に対するさまざまな手法があるというふうに聞いておりますけれども、この機会にぜひ紹介をしていただきたいと思います。
また、タクシーを初め、公共の場での禁煙、無煙が広がっております。禁煙施設の敷地内で待機するタクシーも禁煙車としている病院などが旭川でもふえています。道はこれらの状況をとらえているのか、伺いたいと思います。
あわせて、道が進めている、おいしい空気の施設の普及状況などはどうなっているかもお答えください。
○田中健康推進課長
禁煙の手法についてでございますが、国内外の研究者などからさまざまな禁煙法が提唱されているところでありますが、近年、新たな手法も提唱されておりまして、そうしたものの一つである禁煙マラソンにつきましては、禁煙を希望する方々に対し、医師や保健師、禁煙成功者などが、24時間・365日体制で、電子メールにより禁煙支援を行うものでございます。
また、最近注目されているリセット禁煙法につきましては、食後の喫煙行動などに関する質問を展開することによりまして、これまで喫煙をやめられなかった理由を喫煙者自身に理解させ、禁煙につなげるものでございます。
国におきましては、禁煙希望者に対し、より効果的な禁煙支援が行えるよう、昨年5月に禁煙支援マニュアルを作成しておりまして、この中で、禁煙を段階的にステップアップする方法やグループ学習などについて解説されているところでございます。
また、禁煙施設の普及状況についてでありますが、道におきましては、平成16年に策定した、たばこ対策推進計画の一層の推進を図るため、本年3月に実施要綱を策定し、禁煙施設の推進や禁煙支援、さらには未成年者の喫煙防止対策などに取り組んでいるところであります。
この実施要綱の策定に当たりまして、昨年11月に、公共交通機関や比較的規模が大きなスーパー等474社を対象に、禁煙・分煙対策に関する実態調査を行い、291社から回答を得たところであります。
その結果、禁煙・分煙対策を実施している割合は、JRの駅舎が100%、スーパー等が約89%、バスターミナルが約84%でありまして、また、禁煙車両を導入している割合は、路線バスが約99%、タクシーが約4%となっておりました。
実施要綱では、3年に1回、公共施設等の実態調査を実施することとしておりまして、今後も、こうした施設における禁煙や分煙の状況把握に努めてまいりたいと考えております。
また、おいしい空気の施設についてでありますが、この事業は、禁煙や適切な分煙対策を行っている施設に対し、ステッカーを交付したり、道のホームページに掲載する事業でありまして、本年4月に、対象施設を、飲食店から、医療機関や官公庁など、健康増進法で定める多数の方々が集まる施設に拡大したところでございます。
その登録状況でありますが、札幌市は独自の制度を持っているため、それ以外の市町村について申し上げますと、本年3月には約500施設であったものが、この9月には約1100施設となっておりまして、今後とも、この事業の周知を図り、登録施設の増加に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○真下紀子委員
禁煙、無煙の流れというのが本当に広がっている状況がわかりました。
また、道の調査が功を奏したかどうかは別として、この時点ではタクシーが約4%だったのですけれども、この後、タクシーの禁煙化というのも非常に積極的に取り組まれていることが報道などでも知られております。
そこで、新しい課題になるのが喫煙の低年齢化だと思うのですけれども、この低年齢化について道はいかが認識をされているのか、伺います。
○河合保健医療局長
喫煙の低年齢化ということでございますが、平成16年度に国が行いました未成年者の喫煙及び飲酒行動に関する全国調査によりますと、調査時前1カ月間に喫煙をした生徒の割合は、男子では、中学1年生が3.2%、高校3年生が21.7%、女子では、中学1年生が2.4%、高校3年生が9.7%となっております。
また、高校3年生の喫煙経験者が、小学校卒業時期であります12歳までに喫煙を始めた割合は、男子で29.2%、女子で23.6%となっております。
喫煙を年齢の低い時期に開始することにつきましては、ニコチン依存症になりやすいこと、肺がんや心筋梗塞などの病気にかかる危険性が高まることなどが指摘されておりまして、こうした喫煙の低年齢化や中・高校生の喫煙実態は、道民の健康を増進する上で大きな課題であるというふうに考えております。
○真下紀子委員
本当に子供たちの健康を考えるときにも重要な問題ですし、また、喫煙を入り口にして、さらにひどい薬物依存症になっていくことが懸念されるわけです。
我が国は、2004年6月8日にたばこ規制枠組条約を批准しました。日本のJTは世界で第3位のたばこを売り上げていることがありながら、よくぞ日本の国は批准した、このように言われているようです。
この条約には、たばこの煙にさらされることからの保護や、未成年者に対するたばこ製品の販売禁止などが盛り込まれておりますが、こうしたことからも、特に未成年者に対する喫煙の防止対策が重要と考えます。
喫煙を長期に続けると薬物依存症に至ることを、これから未来を担う子供たちに対して正しく伝えることが大人の役割であり、その意味からも、保健、福祉と教育との連携が何よりも大切と考えますけれども、今後どのように取り組むのか、伺います。
○河合保健医療局長
喫煙対策に係る教育部局との連携についてでございますが、道におきましては、平成18年度に、教育庁や総務部、環境生活部などの関係部局で構成いたします、たばこ対策検討会議を設置いたしまして、未成年者の総合的な喫煙防止対策を進めているところでございます。
具体的な事業といたしましては、今年度、道立保健所が、主に小学生と教職員、保護者を対象といたしまして、健康教育の一つのテーマといたしまして、喫煙防止講座を実施いたしております。
また、本年10月に網走市で開催いたしました、がん予防道民大会では、若年期からの予防知識を普及するため、教育庁との連携のもとに、360名の高校生が参加をいたしまして、たばこの害などについて講演を行ったところでございます。
道といたしましては、今後におきましても、たばこ対策検討会議での協議を踏まえ、具体的な事業を実施しながら、未成年者の喫煙防止対策に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○真下紀子委員
ここで質問をやめようと思ったのですけれども、1問だけ、部長に伺っておきたいと思います。
こういった喫煙対策について道は一生懸命取り組まれているなというふうに思うのです。保健福祉部の職員の中にも禁煙に成功されている方たちを多数お見受けしますが、喫煙について常に北海道が上位にランクインしている中で、これを何とか返上するといった決意も含めて、部長に一言だけ感想的な発言をしていただければと思いまして、それを聞いて、終わります。
○髙橋保健福祉部長
今お話がありましたが、私自身もまだ完全な禁煙に至っていないということで、なかなか答えにくい部分がございますけれども、先ほどから、いろいろな質問や答弁がありましたように、若いときからの喫煙も含め、いろんな意味での害が指摘されているところでございまして、そういう予防、防止を図るという観点から、禁煙へ持っていくということは大事だと思っております。
そういう意味で、道庁の中におきまして、我が部はそういうような仕事を所管している部でございますので、我が部の方では率先してそういう体制がとれるように、私自身も含めて努めてまいりたいと思います。
※人名・地名等、コンピュータの機種によって表示できない旧字、異字等は通用字体に改めているものがあります。
[日本共産党道議団編集]
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