第3回定例道議会で11日、日本共産党の宮川潤道議(札幌市東区)が代表質問にたち、「戦争法案」の先取りの動きを厳しく批判。くらし・福祉に冷たい高橋道政の背景に知事の政治姿勢が反映していると具体例を示し、党として子育て支援策等を提案しました。
歴史認識を問う
戦後70年に関連して宮川氏は、道が1999年にまとめた「朝鮮人強制連行実態調査報告書」について知事の歴史認識を問いただしました。
報告書には「北海道に連行された朝鮮人労働者は14万~15万人、全国の20%以上」と記され、前知事も「強制連行」の実態を明らかにすることは、「正しい認識を共有するうえで大切なこと」と述べています。
高橋知事はその報告書について「客観的事実をとりあげたものと承知している」と答えたことは重要です。
防災の名で米軍が訓練
8月26日~30日、米軍・オーストラリア軍が参加する「防災訓練」(ノーザンーレスキュー)が実施されました。自治体が指揮権を持たない外国軍を組み込んだ訓練は、軍事調整所や兵站前線基地の設置など軍事的な連携の習熟が見込まれ、「戦争法案」の先取りととれます。
荒川裕生副知事は、「大変意義のある防災訓練」知事は「(関係市町村から)ご理解を頂いた」としましたが、道が米軍と自衛隊の共同輸送訓練に参加要請した13自治体のうち、参加したのは、3自治体だけでした。
宮川氏は、「自治体に抵抗感が強い証拠であり、自治体が自前の防災を構築するのが基本」と厳しく指摘しました。
貧困と格差拡大
―知事の政治姿勢が反映
最低賃金の格差拡大―
全労働者に対する非正規の割合が全国トップクラス(42.8%)の北海道こそ、最低賃金の引上げが求められていますが、今年も16円しか上がらず、若年層の賃金が高い東京への流出を防ぐためにも、引上げを要請すべきと迫りました。
宮川氏は、東京都の最低賃金との差が約10年前は73円だったが、15年度で143円に拡大していると指摘。このままでは格差広がり、低賃金構造を固定化する危険性があるとして、「物価上昇を加味した最賃の大幅な引き上げを」「9割を占める中小企業に中長期の支援を」と求め、再質問では、北海道地方最低賃金審議会の審議を公開している、「透明度を高め、格差是正のための役割を果たすべき」と審議会の公開を強く迫りました。
子どもの貧困と健康―
子ども医療費では、群馬県が中学卒業まで入通院無料化していることに言及。道独自の施策として中学卒業まで対象に、現物給付による実施をすべきと要求しました。
知事は、国が制度化すべきと答弁しましたが、群馬県の進んだ施策を評価するどころか、「各県で地域間格差が生じる」などとする見解を持ち出して単独助成の考えがないことをあらわにしました。
地方交通―
地域の足の確保は「地方創生」にとっても重要です。「JR北海道再生推進会議」の「提言書」は、「選択と集中」の名によって、赤字路線等採算が取れない分野からの撤退を示唆するもの。JR北海道はその後も、日高線復旧に乗り出さないどころか、留萌線(留萌-増毛間)廃止や駅の廃止、無人化を次々と打ち出しています。
宮川氏は、JR北海道の一連の計画は、「利潤追求一辺倒の横暴」と厳しく批判し、道は「(日高線の)早期復旧が可能となるよう、議論を加速する」「(駅無人化は)地域の関係者の十分な理解を得て進めることが必要」と表明しました。
教育施設の粗末さ浮き彫り―
また、宮川質問で、教育施設の貧困が改めて浮き彫りになりました。開設から37年がたつ帯広養護学校は、老朽化、狭あい化が指摘されながら、党道議団の調査で、3年前と同じ場所に雨水受けのバケツが置いてあることが明らかになりました。
「十勝管内全体として特別支援学校の配置、分校や学校新設を含めて検討すべき」…との質問に、柴田達夫教育長は、「臨時・応急的な対策を早急に検討」「教室不足の解消に係る方策など対応策について検討」と笞えました。
終了後の報告集会では、真下紀子道議団長が、「『戦争法案の議論が尽くされたかどうかは国会が判断する』という答弁は、宮川質問が引き出した知事が初めて明らかにした本音」と解説。自分の言葉を持たない高橋知事の姿勢を厳しく批判しました。
(千田)
(15年09月20日付「ほっかい新報」より)