日本共産党の宮川潤です。
通告に従いまして、知事及び教育長に質問をいたします。
まず、障がい者の権利保障等についてです。
ことし、JR駅で視覚障がい者の転落死亡事故が起き、また、昨年は、相模原市の障がい者施設で殺傷事件がありました。
相模原市の事件の容疑者は、障がい者は役に立たないなど、危険で誤った考えを持っていたようですが、このような風潮や、障がい者に対するあらゆる差別も排除も許さないという、障がい者の命と尊厳を守る知事の姿勢を道民の前に明らかにしてください。
全国に約1900カ所の加盟事業所を持つ共同作業所全国連絡会 ― きょうされんは、毎年、全国大会を行っていますが、ことしは、9月15日と16日に、記念すべき第40回大会がこの北海道で行われます。
車椅子の方や、視覚障がい、聴覚障がい、知的障がい、精神障がいの方、作業所で働く職員など約2000人が、札幌市白石区のコンベンションセンターに集います。JRやバス、地下鉄などの交通機関を多くの障がい者が利用します。ホテルのバリアフリー対応の部屋が不足すると考えられます。
この大会を成功させることを契機として、障がい者に優しいまちづくりに向けて、ホテル業界やJRなど交通関係機関、札幌市等との協議調整などが必要と思いますが、いかがか、伺います。
次に、介護保険等についてです。
正式な介護保険認定申請書に基づく認定とは別の、簡易な方法であるチェックリストだけで判定する問題についてです。
「椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっていますか」などの質問項目から成るチェックリストによって、軽度の方を介護予防・日常生活支援総合事業で受け入れようとしていますが、介護保険認定申請書に基づく認定が行われず、要介護認定が得られなかったという声をよく聞きます。チェックリストだけで終わらせるのではなく、要介護認定審査が受けられるよう、丁寧な対応が求められています。
本人の意に沿わない形でチェックリストだけで済ませることがないよう、市町村への徹底を図るべきですが、いかがか、伺います。
新総合事業への移行の問題についてです。
要支援者への市町村独自の介護予防・日常生活支援総合事業への移行は、ことし4月1日に、道内の全ての市町村で完了する予定です。
この総合事業では、介護サービスを受ける対象、サービスの内容、単価等について、市町村や広域連合が独自で決定できますが、サービスの水準低下が起きてはならないと考えますが、いかがか、明確にお答え願います。
介護事業所から見た問題についてです。
介護事業所では、介護サービスの単価や提供時間等の切り下げによる事業収入の削減を問題視しています。人員削減や事業所の閉鎖にもつながる問題です。
介護事業所の収入削減とならないようにすべきと考えますが、いかがか、伺います。
介護人材の不足についてです。
2015年度から2017年度までを期間としている第6期北海道高齢者保健福祉計画・介護保険事業支援計画の「介護人材の現状と推計」の項では、介護職員について、2016年度に500人不足、2017年度に700人不足と書かれています。
この推計どおり、今年度は500人不足し、来年度は700人不足するという状況にあるのか、今後の見通しと対応策についてお示しください。
次に、働き方改革等についてです。
働き方改革の一環として、国において、残業規制について議論されています。労働基準法に基づく労使の協定、すなわち三六協定で定める時間外労働は、大臣告示で、原則、月に45時間以内かつ年に360時間以内とされています。
その根拠は医学的知見に基づくものと考えますが、知事はどのように認識されているのか、最初に伺います。
また、政府の働き方改革実現会議では、原則の2倍に当たる年に720時間まで、月平均で60時間までを特例として認めるという案が出ています。これでは、過労死はなくなるどころか、逆にふえます。
大臣告示が厳格に守られ、過労死をなくすことが必要と考えますが、いかがか、知事の認識を伺います。
北海道電力の三六協定についてです。
ことし2月、衆議院で、日本共産党の高橋千鶴子議員が、全国の原子力発電所の三六協定について取り上げましたが、北電泊原発の残業時間の一日の上限は16時間、年間の残業時間は1200時間で、全国の原発の中で最長です。残業の16時間と所定労働時間を合わせて24時間となります。年間で1200時間ということは、毎月、100時間平均となります。
このような現状でよいはずがないと考えますが、いかがか、知事の見解を伺います。
道内の企業への支援についてですが、知事は、新年度の重点政策に、働き方改革によるワーク・ライフ・バランスの実現を掲げ、長時間労働の是正など、就業環境の改善に向けた企業の取り組みを支援するとしています。
支援をするためにも、道内の企業でどのような働き方になっているのか、道が補助金を出している誘致企業を含めて調査を行い、把握する必要があると考えますが、いかがか、伺います。
次に、中小企業支援について質問します。
まず、北海道小規模企業振興条例の実効性についてです。
今年度から北海道小規模企業振興条例が施行されました。一方で、新年度予算案において、北海道小規模企業振興条例に基づく四つの事業のうち、二つで予算が減額となっております。
2015年の道内の企業の休廃業や解散は1935件と、前年比で9.2%の増加となっているのです。
北海道小規模企業振興条例に基づき、使いやすく、実効性を持った対策が必要と考えますが、いかがか、また、スピード感を持って施策を実行するために、どのような手だてをとるのか、伺います。
小規模企業への融資の円滑化についてであります。
北海道小規模企業振興条例第7条では、円滑な資金供給や経営の支援などの役割が金融機関にあることを明記しています。
小規模企業が事業を行う上で必要な資金が円滑に供給されるために、道が金融機関と綿密な連携を行い、融資制度の利用拡大を進めていくことが必要と考えますが、道としてどのような手だてをとるのか、伺います。
所得税法第56条についてです。
この規定は、事業者が同一生計の親族に給与などの対価を支払った場合、事業所得の必要経費とはできないという規定であり、家族従業員の権利を抑制した戦前の家父長制の名残ともいうべきものであります。
知事は、このような規定についてどうお考えですか。この廃止を国に求めるべきと考えますが、いかがか、伺います。
次に、道営住宅について質問いたします。
駐車場の料金変更が入居者に通知されています。私のところに、ある道営住宅の入居者から、駐車場の利用者の2人に声をかけたところ、それぞれ、本当に高くなるね、公営住宅なのにどうしてこんなに値上げするのでしょうねという話になったとの手紙が届きました。近隣の民間マンションの駐車場料金よりも高くなることも大きな不満となっているようであります。
まず、道営住宅の入居者の所得が減り、生活が厳しくなってきていると思うのですが、この点についての認識をお示しください。
次に、アスベスト対策等について質問します。
現行の道のマニュアルでは、建築物石綿含有建材調査者などの専門家に相談の上、定期的に特定粉じんの濃度の測定を行うとされていますが、そもそも、石綿含有建築物かどうかを見きわめるためにこそ、専門家の知見が必要とはお考えになりませんか、伺います。
十分な知見を有さない者による目視だけで石綿含有建築物かを判別することは難しく、逆に暴露の危険性が増すだけではないでしょうか。調査に当たっては、専門家の調査を必須にすべきと考えますが、いかがか、伺います。
また、アスベスト対策の有資格者を抜本的にふやしていくことなしに、今後、解体が急増していく事態に対応することは困難ではないでしょうか。有資格者の拡大に向けて、どのように対策を行うのか、明らかにしてください。
暴露対策についてですが、道のマニュアルでは、点検の際の暴露対策について規定がありません。これまで暴露対策がなかったことをどう認識しているのですか。
厚生労働省の石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアルでは、作業時における防じんマスクの着用はもちろん、保護衣または作業着の着用についても規定しています。
道において、一刻も早く暴露対策の規定を強化する必要があると考えますが、どのように対処されるおつもりか、お示しください。
次に、災害時の市町村連携について質問します。
まず、札幌市との相互連携に関してです。
被災した市町村への支援を行う際、大規模自治体である札幌市との連携は、人的な面や物流など、さまざまな面で大きなポテンシャルを発揮できると考えますが、道は、大規模災害時における札幌市との連携についてどう認識しているのか、伺います。
次に、主要農作物種子法の廃止について質問いたします。
まず、主要農作物種子法の意義についてです。
主要農作物種子法の廃止法案が今国会に提出されていますが、安全で良質な農作物の生産は、すぐれた品種選びと安全で良質な種子づくりから始まります。
主要農作物種子法において、原原種、原種の生産や奨励品種を決定するための試験などが義務づけられている道の役割について、どのように認識しているのですか、伺います。
主要農作物種子法の廃止に伴う影響についてですが、政府の規制改革推進会議は、民間の品種開発の意欲を阻害しているとしています。
現行法では民間の品種開発の意欲を阻害するという認識が道にはありますか、お聞かせください。
また、主要農作物種子法を廃止することで、どのような影響が生じると認識しているのですか。
海外との共同開発となった場合、これまで道総研が営々として築き上げてきた知的財産が流出することも懸念されますが、どのような対策がとられるのか、伺います。
次に、丘珠空港について質問します。
まず、丘珠空港の役割と課題についてです。
札幌市東区内の丘珠空港は、都心に近く、ビジネスのほか、高度医療を必要とする各地の道民にも多く利用されています。
2月、本道と札幌市が、丘珠空港の利活用に関する検討会議の中間報告を発表し、2017年度には最終報告をまとめるとしています。
知事は、丘珠空港の果たす役割と今後の課題についてどのように認識しているのか、お示しください。
近隣住民の要望についてですが、住民が最も心配するのは騒音と事故です。住宅地に隣接しているため、便数や運航時間帯にも配慮が必要とされています。
中間報告が発表されてから、道内あるいは近隣住民からの反応にはどういうものがあるのか、お示しください。
また、今後の検討に当たって、近隣住民の要望を丁寧に聞き、丘珠空港のあり方を一緒に考えていく姿勢が必要だと考えますが、住民対応についてどのような姿勢で行うのか、伺います。
もし、住民から反対が起こった場合には、聞く耳を持たず、一方的に押し切るようなやり方はしないことを明らかにしてください。
次に、特別支援学校生への就職支援等について質問をいたします。
まず、高等支援学校、高等養護学校の卒業生の就職の実態についてですが、一般就労、就労継続支援A型、B型、就労移行支援及び未就職等の状況をお示しください。
最低賃金が保障される一般就労及び就労継続支援A型への就職率はふえているのですか、教育長に伺います。
次に、行政による位置づけについてですが、私ども日本共産党道議団は、今金高等養護学校の視察を行いました。今金町のまち・ひと・しごと創生総合戦略における「安定した雇用を創出する」という項目の第1番目に、「障がい者が地域産業の担い手としての活躍の場づくり」が挙げられ、町を挙げての支援がしっかりと位置づけられていることを実感しました。
私は、今金町総合福祉施設やAコープなどで職員として働いている卒業生にもお会いしましたが、どの方も、生き生きと働き、周りの職員からも厚い信頼を得ていたことが印象的でした。
高等支援学校の卒業者が働きながら普通に暮らしていけるまちづくりを行政がしっかり位置づけた上で、事業者に採用を働きかけることが重要だと考えますが、いかがか、今後、就職支援について強化する考えがおありなのか、知事に伺います。
次に、教育機会確保法について質問をいたします。
まず、法制定に関する認識についてです。
昨年12月に教育機会確保法が成立いたしました。道教育委員会として、教育機会の確保をどう具体化するか、注目されるところですが、まず、法制定についてどう認識されていますか、お聞かせください。
この法律では、フリースクールや夜間中学にも言及されていますが、道教委として、それらとどのようにかかわっていくおつもりか、伺います。
以上、再質問を留保し、私の質問を終わります。(拍手)(発言する者あり)
知事高橋はるみ
「宮川議員の御質問にお答えをいたします。」
最初に、障がいのある方々の権利擁護についてでありますが、昨年4月に障害者差別解消法が施行され、障がいのある方々の人権や尊厳を尊重する取り組みが進められる中、非人道的な事件が発生したことは許されるべきではなく、一人一人の命が等しく大切にされなければならないと認識をいたします。
道といたしましては、障がいのある方に対する虐待や差別の禁止はもとより、障がいの特性や、それに応じた合理的配慮の提供などに関して、道民の皆様に理解していただけるよう、障がい者条例や差別解消法などの理念の一層の普及に努め、障がいのある方もない方も、ともに安心して暮らすことのできる社会の実現に積極的に取り組んでまいります。
次に、時間外労働の上限規制についてでありますが、先日開催された国の働き方改革実現会議においては、労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても、年間の時間外労働時間の上限を720時間、月平均で60時間に規制する内容の事務局案が示されたと承知いたしております。
現在の制度では、臨時的な特別の事情がある場合には、労使が協定を結ぶことにより、国が定める基準以上の時間外労働が可能となることから、時間外労働の規制に当たっては、労働者が疲労を回復することができないような過重労働を排除していくとともに、労働者の健康管理に係る措置を適切に実施することが重要と認識いたします。
次に、小規模企業の振興についてでありますが、地域の経済と雇用を支える小規模企業の事業活動の継続は喫緊の課題であり、道では、小規模企業振興条例の着実な推進を図るため、昨年7月に小規模企業振興方策を策定し、基本方針である、経営体質の強化や事業承継の円滑化、創業等の促進に向けた各般の施策を展開してきているところであります。
道といたしましては、今後とも、この振興方策に沿った具体的な取り組みを進めるとともに、商工団体や金融機関はもとより、中小企業診断士等の専門家、先輩起業家、事業承継コーディネーターなどによる地域ごとの支援体制の構築を進めるほか、制度融資や、事業承継のための新たなファンドによる円滑な資金供給を図るなど、企業や地域のニーズを踏まえた施策の推進に努めてまいります。
最後に、道営住宅の入居者についてでありますが、公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸する住宅として、高齢者や障がい者のほか、子育て世帯など、多様な世帯の方が入居しているところであります。
道営住宅においても、さまざまな職業や年齢の方々が入居しており、入退去などに伴い、低所得者の割合が増加傾向にあることなどにより、入居者の平均所得は、過去5年間で見ると漸減しているところであります。
道といたしましては、引き続き、収入が著しく低額な入居者などに対して適用される家賃減免制度の周知に努めるなど、適切に対応してまいります。
なお、その他の御質問につきましては、担当の部長から答弁をさせていただきます。
以上でございます。
保健福祉部長 村木一行
まず、福祉のまちづくりについてでありますが、道では、障がいのある方や高齢者など、全ての道民の方々が等しく自由に行動し、社会参加が促進されるよう、平成9年に福祉のまちづくり条例を制定いたしまして、行政機関を初め、交通関係団体などで構成する福祉のまちづくり推進連絡協議会を設置し、連絡調整、情報共有を図りながら、公共的な施設や交通機関などを円滑に利用できる地域社会づくりを目指して、公共的施設などのバリアフリー化を推進しております。
本年9月には、全国の障がい者の方々が参加する大会が札幌で予定されておりますが、多くの方々が安全に交通機関などを利用できますよう、協議会の場を活用して、構成団体に対する働きかけを行ってまいります。
次に、介護人材の確保についてでありますが、道では、平成27年3月に策定をした第6期介護保険事業支援計画における介護人材の需給推計において、人材不足が生じている結果を踏まえまして、その人材不足の解消に向け、これまで、潜在的な有資格者などを臨時的に介護事業所に派遣し、正規雇用に結びつける、即効性のある取り組みに加え、中長期的な取り組みとして、介護の魅力などの普及啓発などによる、多様な人材の参入を促進する事業を実施しているところであります。
また、新年度からは、離職した介護福祉士などの届け出制度を有効に活用するなどの取り組みを進めていくこととしておりまして、道といたしましては、今後とも、市町村や介護サービス事業所からの声をお伺いしながら、介護サービスを支える人材の確保に向けて、幅広い施策を総合的に推進してまいる考えであります。
最後に、特別支援学校の卒業生への就労支援についてでありますが、障害者総合支援法に基づき、障がいのある方々が地域で暮らせる社会を目指し、市町村は、障がい福祉計画に、就労移行支援などの障がい福祉サービスの目標を定め、道は、広域的な見地から、市町村に対する支援を行ってきております。
道といたしましては、これまで、経済団体などに対する要請や就職面接会の開催などにより、特別支援学校の卒業生の雇用の確保に努めてきているところでございますが、今金町における先駆的な取り組みも参考としながら、農業を初めとする幅広い産業分野における雇用の創出につなげられるよう、ハローワークや就労移行支援事業所などと連携して、切れ目のない、きめ細やかな支援を行い、障がいのある方々の就労促進に取り組んでまいります。
保健福祉部少子高齢化対策監 田中宏之
介護保険などに関し、まず、要介護認定についてでありますが、介護保険制度における要介護認定の申請は、介護サービスの利用を希望する高齢者やその御家族の意思に沿って行われるものでございます。
市町村などの相談窓口において、簡易な質問で本人の状況を確認し、介護予防・日常生活支援総合事業の利用可否をチェックリストで判断する仕組みが、平成27年4月から導入されておりますが、この手続は優先されるものではなく、要介護認定の申請が可能であることを相談者に説明する旨、国のガイドラインにも明記されております。
道といたしましては、引き続き、市町村や地域包括支援センターの職員などを対象とした研修会などを通じ、制度の根幹にもかかわるこうした取り扱いの徹底を図ってまいる考えでございます。
次に、新たな介護予防・日常生活支援総合事業についてでありますが、要支援の方の通所介護及び訪問介護につきましては、2年間の経過措置期間はありますが、平成27年4月に、介護予防給付から、市町村が行う新たな総合事業に移行したところであり、従来の介護事業者に加え、ボランティアなど、多様な主体から、これまでと同様、それぞれのニーズに応じたケアプランに基づき、必要なサービスを受けることができることとなっております。
また、総合事業への移行に当たり、市町村においては、要支援者等が必要とするサービスの効果的かつ的確な実施に向け、介護事業者との協議や住民説明会の開催などを経て、サービスの内容、適切な単価、利用料等を設定しているものと承知しております。
道といたしましては、今後とも、サービスの利用者と提供者の双方の視点に立って、総合事業が適切に運営されるよう、市町村を支援してまいります。
以上でございます。
経済部長 阿部啓二
働き方改革等に関し、初めに、時間外労働などについてでありますが、労働基準法の定めでは、法定労働時間を超えて時間外労働や休日労働をさせる場合には、同法第36条に基づき、労使が合意して、書面による協定、いわゆる三六協定を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があり、その場合においても、国が定める基準により、原則として、月に45時間、年間で360時間を超えてはならないとされているところでございます。
この基準は、時間外労働や休日労働の時間が月に45時間を超えて長くなるほど、業務と脳疾患や心臓疾患の発症との関連性が強まるとの医学的知見を踏まえて設定されているものと承知いたしております。
次に、電気事業における時間外労働についてでありますが、国が定める時間外労働の限度に関する基準においては、公益上の必要により、集中的な作業が必要とされる業務については、延長時間の限度が適用されないことになっており、発電用原子炉等の定期検査などの業務がこれに指定されているところでございます。
なお、国では、本年3月末で、これらの業務を指定から除外することにしていることから、今後は、労使間の協定に基づき、時間外労働の限度が定められるものと承知をいたしております。
次に、道内の企業の就業環境についてでありますが、道では、働く方々の就業環境の実態と動向を把握し、施策推進のための基礎資料とするため、道内の民間事業所の約1400社を対象といたしまして、平成12年から、毎年、労働時間や休日・休暇制度の状況、労働時間短縮や、仕事と家庭の両立支援の取り組みなどについて調査を実施しているところでございます。
これによりますと、本道では、調査を始めて以降、ほぼ一貫して、全国に比べ、年間総労働時間が長く、年次有給休暇の取得率が低いなど、就業環境が厳しい状況にあるところでございます。
次に、中小企業支援に関し、小規模企業への融資の円滑化についてでありますが、道では、小規模企業の経営安定には資金供給の円滑化が極めて重要と考えており、資金繰り支援の強化の観点から、短期資金の取り扱いを設けるとともに、融資期間を7年間から10年間に延長したほか、新たに、小規模企業貸し付けの保証料率の引き下げを行うなど、制度の充実に努めてきたところでございます。
道といたしましては、引き続き、金融機関に対し、道の制度の活用による積極的かつ弾力的な融資の取り扱いについて、個別訪問や文書により要請するほか、金融機関の研修会、各種会議等、さまざまな機会を捉えて、制度の周知や利用促進を図るなど、金融機関とのより一層の緊密な連携のもと、小規模企業に対する金融の円滑化に努めてまいります。
以上でございます。
総務部長 笠置隆範
中小企業支援に関しまして、所得税法第56条についてでございますが、この規定は、生計を一にする配偶者その他の親族に対して支払った給料等をそのまま必要経費として認めた場合、適正な給料等の認定が実際上困難であることなどから、税負担の回避を防止するために設けられているものと認識いたしております。
一方、親族がその給料等を得るために要する賃借料などの必要経費がある場合には、その金額を事業主の必要経費に算入するとされております。
小規模企業等に係る税制のあり方につきましては、平成29年度の与党税制改正大綱の中で、個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランスなどにも配慮しつつ、所得税、法人税を通じて総合的に検討するとされており、今後、国において、お尋ねの点も含め、十分に議論しながら検討されるものと考えております。
以上でございます。
環境生活部長 小玉俊宏
アスベスト対策に関し、石綿含有建材の調査についてでありますが、建築物の利用者等へのアスベストの暴露を防止するためには、石綿含有建材の使用状況や、使用されている建材の劣化、損傷の状態を的確に把握し、適切な措置を講じることが重要であります。
このため、国は、石綿含有建材データベースを公開し、建築物の管理者等に広く周知するとともに、適切に石綿含有建材の使用状況を把握できるよう、建築物石綿含有建材調査者制度を設けているところであります。
道では、昨年11月に、道有施設における石綿含有保温材等点検マニュアルを作成し、国のデータベースの活用等による石綿含有建材の把握や、その劣化状況等の定期的な点検方法を示すとともに、除去等、必要な措置を講じるまでの間は、専門家に相談の上、特定粉じんの濃度測定を行うこととしたところであります。
道といたしましては、アスベスト対策の専門家が一層ふえますよう、国の調査者制度等の周知に努めるとともに、講習会の地域での開催などについて、国に働きかけてまいります。
次に、石綿含有建材の点検時の対策についてでありますが、道では、これまで、石綿除去作業時や建築物等の解体時のほか、解体前に実施する調査時における健康被害を防ぐため、関係機関と連携を図り、注意喚起や指導等に努めてきたところであります。
石綿含有建材の点検時におきましては、こうした作業時に比べ、暴露のおそれは低いものの、より安全に点検を実施できるよう、今後、防じんマスクの着用などについて、アスベスト問題対策連絡会議を通じて周知するとともに、点検マニュアルの見直しに合わせて反映してまいります。
以上であります。
総務部危機管理監 佐藤嘉大
大規模災害時における札幌市との相互連携についてでありますが、道内において大規模な災害が発生し、札幌市以外の地域が被災した場合には、本道の交通、物流の拠点であり、かつ、マンパワーが豊富な札幌が果たす応援の役割は大変大きいと考えております。
こうしたことから、道では、札幌市と連携した取り組みとして、昨年から、道内全域を対象とする応援、受援のあり方について、自衛隊など防災関係機関の参画をいただきながら検討を進めてきており、今後、災害の種類や被災地域に応じた具体的なマニュアルを策定するなど、本道のさらなる防災力の向上につなげてまいる考えでございます。
以上でございます。
農政部長 土屋俊亮
最初に、主要農作物種子法における道の役割についてでございますが、この法律では、我が国の主要な農作物である稲、麦、大豆の種子に関して、地域の条件に適した奨励品種を決定するための試験を初め、原原種や原種の生産、種子生産圃場の審査や種子審査を都道府県に義務づけております。
道では、この法律に基づきまして、道内の試験研究機関等が開発した新品種について栽培試験を行い、試験結果を踏まえて優良品種の認定を行いますとともに、農業団体等と連携した、生産者への安全な種子の安定供給を通じて、稲、麦、大豆の品質や収量の向上など、本道農業の振興に重要な役割を果たしてきたと認識しているところでございます。
次に、主要農作物種子法の廃止に伴う影響についてでございますが、道内では、これまで、民間研究機関と道総研が共同で育成した水稲の「ほしまる」や、ホクレンが育成した小麦の「春よ恋」、サッポロビールが育成したビール大麦の「札育2号」といった品種が開発されておりまして、道といたしましては、必ずしも主要農作物種子法が民間の品種開発意欲を阻害しているとは認識しておりません。
一方で、主要農作物種子法の廃止が、直ちに道の新品種開発に特段の影響を与えるものではないと考えておりまして、仮に、海外との共同育成となった場合におきましても、国際条約や種苗法による権利保護によりまして、不当な権利の流出は生じないと見込んでおりますが、現時点で、国は制度の具体的な内容を明らかにしていないことから、国の動向等について情報収集に努めますとともに、知的財産の流出といった事態が生じないように、国に強く求めてまいります。
以上でございます。
総合政策部交通企画監 渡邊直樹
丘珠空港に関しまして、丘珠空港の役割などについてでございますが、丘珠空港は、札幌都心部と直結するすぐれた立地条件や利便性を有し、ビジネス、地域医療の確保、観光などの面において、道央圏と道内外を結ぶ重要な役割を担っております。
一方で、丘珠空港は、市街地に隣接する都市型空港であり、また、防衛省が管理する共用空港でありますことから、発着枠、運用時間などの制約、滑走路の長さによる運航機種や運航期間の制限といった条件下にあるほか、札幌都心部、新千歳空港との交通アクセスの改善や、航空路線などの認知度の向上が課題であると認識いたしております。
次に、住民の方々への対応などについてでございますが、丘珠空港の利活用に関する検討会議における現時点での検討内容に関し、周辺住民の方々などから、不安、御懸念などの声は道や市に寄せられてはおりませんが、新年度に調査検討を行う空港の制約要因やアクセスの改善、さらには、防災機能、プライベートジェットによる利活用などの検討内容に関しても、広く情報を開示するとともに、周辺住民の方々への説明が適切に行われるよう努めてまいる考えでございます。
いずれにいたしましても、丘珠空港の利活用を進める上で、空港周辺の住民の皆様方の御理解と御協力を得ることは何より大切なことと認識してございまして、これまでも、さまざまな課題について、札幌市とともに、住民の方々への説明や情報提供を行ってきたところでありまして、引き続き、札幌市と十分に連携をして取り組んでまいります。
以上でございます。
教育長 柴田達夫
宮川議員の御質問にお答えをいたします。
まず、知的障がい特別支援学校高等部の卒業生の就労状況についてでございますが、昨年3月の卒業者数は、17校で664名であり、このうち、一般就労した者が185名、事業主と雇用契約を結び、就労等に向けた必要な訓練を受ける就労継続支援A型の者が64名、雇用契約を結ばずに、必要な訓練等の支援を受ける就労継続支援B型の者が170名、通常の事業所への就労を目指す就労移行支援の者が159名、進路未決定の者が8名であったところでございます。
また、一般就労及び就労継続支援A型を合わせた就職状況といたしましては、平成23年3月が116名であったのに対し、28年3月は249名であり、5年前との比較で133名増加しており、全卒業者数に占める割合についても、24.7%から37.5%へと12.8ポイント増加をしているところでございます。
道教委といたしましては、引き続き、労働や福祉の関係機関と連携しながら、経済団体等への雇用要請を行うなどいたしまして、生徒の希望の実現につながるよう取り組んでまいる考えでございます。
次に、教育の機会の確保等に関する法律についてでございますが、昨年12月に公布された、いわゆる教育の機会の確保等に関する法律は、全ての児童生徒が安心して教育を受けられるための環境の確保のほか、不登校児童生徒の状況に応じた支援の充実や、義務教育を十分に受けていない方々に対する教育の機会の確保などを基本理念としており、児童生徒等が豊かな人生を送ることができるよう、その能力を伸ばし、社会において自立的に生きる基礎を培う上で重要なものであると認識いたしております。
道教委といたしましては、今後、同法に基づき国が定めることとしている、教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進するための基本指針を踏まえ、各市町村教育委員会のほか、フリースクール等の民間施設や自主夜間中学等の関係者とも連携を図り、必要な支援のあり方等について協議を進めるなどいたしまして、児童生徒等の実情に応じた支援の一層の充実を図りながら、多様な教育の機会の確保に努めてまいる考えでございます。
以上でございます。
宮川潤 再質問
指摘を交え、再質問を行います。
障がい者の権利の保障等について
まず、障がい者の権利の保障等についてですが、きょうされんの全国大会の成功に向け、バリアフリー化の課題を一つ一つ解決していくことが、障がい者に優しい北海道を全国と世界に向けてアピールすることや、パラリンピック誘致にもつながるものです。
北海道を挙げた歓迎の気持ちを知事からぜひあらわしていただきたいと思います。
介護保険等についてです。
要支援者に対する新たな介護予防・日常生活支援総合事業でサービス水準の低下を招かないのか、伺いましたところ、答弁では、市町村でサービスの内容や単価等を設定しているとのことでした。
介護保険と同様のサービスは存続させる一方で、低い介護報酬で、無資格者による介護サービスの提供も加えようとしているところがあると伺っております。低水準のサービスを新たに導入し、そちらへ誘導が行われれば、事実上の介護水準の低下が起こることが懸念されます。
専門職によらない介護サービスの提供を導入しようとしているところ、低報酬のサービス体制をつくろうとしているところについて、道として把握しているのか、お示しください。
また、介護人材に関して、高齢者保健福祉計画・介護保険事業支援計画で、2016年度に500人不足、2017年度に700人不足と推計されていることについて、そのようになっているのか、今後の見通しとあわせて伺いましたが、その答弁はありませんでした。500人不足は事実となっているのですか。それとも、推計だけして、事実確認をしていないのだとすれば問題ですが、いかがですか。
働き方改革についてです。
原子力発電所の安全審査等の業務を対象とした時間外労働の上限の適用除外通知が今月で廃止されることは大きな前進です。
しかし、北電は、1日で16時間の残業を是認し、所定内労働の8時間と合わせれば、24時間連続勤務を2日でも3日でもできることになるのです。
北海道電力は、9代連続で道経連の会長を出しているリーディングカンパニーです。北電が、過労死が起こり得るような協定を労使間で結んでいることの影響ははかり知れません。
知事は、直接、北電など道内のトップ企業の経営者に対し、月に45時間、年間で360時間を時間外労働の上限とする大臣告示の原則を厳守するように求めるべきと考えますが、そのおつもりがあるのか、お答えください。
知事は、過労死、過労自殺をゼロにし、健康で働き続けられる北海道を目指すお考えか、見解を明らかにしてください。
中小企業支援について
次に、中小企業支援についてですが、小規模企業の融資の円滑化について、資金供給の円滑化は極めて重要との答弁でありましたが、道の融資制度の利用実績は年々減少しています。
北海道経済を下支えしている小規模企業の中には、つなぎ融資や短期貸し付けで厳しい経営環境を乗り切ろうと頑張っている事業者も多くあります。
小規模企業の安定的な事業継続に向けて、金融機関等が積極的な役割を果たすため、道の力を発揮するよう指摘しておきます。
道営住宅について
道営住宅についてですが、札幌市東区の光星地区には、札幌市営住宅と道営住宅が混在するように並んでいますが、市営住宅の駐車場は1台分で5500円であるのに、今回の値上げで、道営の光星第4団地は6370円と高くなります。ほかにも同様のところがあります。入居者も納得できないと思います。
入居者の所得が下がっていることにも鑑みて、今からでも値上げについては撤回すべきですが、道としての考え方を伺います。
アスベスト対策について
アスベスト対策についてですが、これまでの道のマニュアルで暴露対策を規定してこなかった責任を道は重く受けとめるべきであります。
道総研林業試験場では、煙突の断熱材のアスベストが劣化していた事態を受け、点検時の防じんマスクや手袋の着用を独自で取り決め、気中濃度測定も実施していると聞いています。点検時の防護対策を講じることと、職員の判断に任せず、専門家による点検及び気中濃度測定の実施が必要ではないでしょうか。
こうした対策を道のマニュアルの見直しに当たって反映させるべきと考えますが、いかがですか。また、いつまでにマニュアルを整備するのか、伺います。
災害時の市町村連携についてですが、札幌市が持つ消防などの技術力や災害対応のノウハウを全道の市町村と共有することは、災害対応時の相互連携においても重要なテーマであると考えます。
災害対応の技術の向上や経験の伝承といった市町村への支援においても、今後、札幌市からの協力をより一層求めることが期待されるところでありますが、道において、札幌市に対して、どのように協力を求めていくのか、伺います。
主要農作物種子法の廃止について
次に、主要農作物種子法の廃止についてですが、本道は、我が国の食料基地としての役割を担っています。種子法の廃止により多大な影響が懸念される中、法制度の廃止は行うべきではありません。
道として、国に対して、法制度廃止の見直しを求める考えはないのか、伺います。
教育機会確保法について質問
最後ですが、教育機会確保法について質問をいたしました。答弁では、フリースクールと自主夜間中学との連携を図るとのことでした。
そこでまず、フリースクールについてですけれども、法の制定前には、不登校ゼロ法案なのかとか、学校復帰が前提で、子どもと親を追い詰めるなどの懸念の声が出されていました。
不登校は誰にでも起こり得ることであり、フリースクール、自宅など、学校以外の居場所や、不登校児童生徒の休養の必要性を認めることが重要と考えますが、教育長はいかがお考えですか、伺います。
今後、道内にあるフリースクールに対してしっかりと支援していくべきと考えますが、あわせて教育長の見解を伺います。
また、夜間中学との連携についてですが、国会では、公立夜間中学について、都道府県に少なくとも一つは早急に設置されることが欠かせないと強調した我が党の梅村さえこ議員に対して、文科省の初等中等教育局長は、そのように設置を促進していきたいと答えました。
教育長は、法によって、北海道に公立夜間中学の設置が義務づけられたというお考えですか、伺います。
また、これまで、夜間中学の設置に関する国の調査研究事業を、札幌市に協力を依頼して行ってきましたが、設置について、日程や場所、自主夜間中学である遠友塾との関係をどう考えておられるのか、お示しください。
以上、再々質問を留保して、私の再質問を終わります。(拍手)(発言する者あり)
知事 高橋はるみ
宮川議員の再質問にお答えをいたします。
最初に、障がいのある方々の全国大会についてでありますが、障がいのある方お一人お一人が、働くことの喜びと生活の豊かさを真に実感できる社会を実現するため、研究・学習活動などに取り組まれている方々が一堂に会して、その成果を発表し、今後の取り組みを話し合っていくことは、北海道が目指している、障がいがあっても生き生きと働くことができる地域社会の実現にとっても有意義なものであると考えるところであります。
本年9月に、40回目となる大会が北海道で開催されることを心から歓迎申し上げますとともに、関係機関や団体と連携して、大会の運営が円滑に進められるよう協力をしてまいります。
次に、介護保険等に関し、まず、新たな介護予防・日常生活支援総合事業についてでありますが、道が昨年12月に行った調査では、本年4月時点において、156の保険者の全てが、既存の介護事業者によるサービスを継続するとともに、新たに、基準を緩和したサービスやボランティアによるサービスなどを提供するのは、訪問型が50保険者、通所型が66保険者となる見込みであります。
今後、住民主体の集いの場や保健師等による居宅での相談指導などが可能となったことから、道といたしましては、これらのサービスが、高齢者の方々のニーズに沿ったケアプランに基づき適切に提供されるよう、介護予防・日常生活支援総合事業の運営手法に関する技術的な助言や、先行している保険者の好事例を提供するなどして、市町村の取り組みを支援してまいります。
次に、介護人材についてでありますが、現行の第6期高齢者保健福祉計画・介護保険事業支援計画における介護人材の需給推計は、国が設計した全国一律のワークシートにより、需要と供給の人数を算出したものであり、算出基礎としている事業所調査の回収率が100%ではないことなどから、実際の需給ギャップについては把握し切れない実態にあり、現在、国において、推計方法の見直しを検討していると承知いたします。
道といたしましては、次の第7期計画の策定に向け、新年度に、平成30年度から3年間における介護人材の需給推計を含め、必要な対策の検討を行うこととしているところであり、道みずからが市町村と連携し、介護事業所等における実態の把握に努め、第6期計画で立てた推計値を検証し、新たな計画に生かしてまいります。
次に、長時間労働の削減についてでありますが、国が定める基準では、労使が協定を締結し、法定労働時間を超えて時間外労働や休日労働を行う場合においては、延長することができる労働時間をできる限り短くするよう努めなければならないとしているところであります。
長時間労働の削減に向けては、企業経営者の意識の醸成を図ることが重要でありますことから、道では、労働関係セミナーを開催するほか、国と連携し、業界団体等に対する要請を行うなどして、働く方々の就業環境の改善を促進してまいります。
次に、働きやすい職場環境についてでありますが、働くことにより労働者が健康を損なうことがないよう、働く方々の健康管理に関する措置が適切に実施されることが重要であります。
道では、これまで、労働関係法令の周知、ホットラインによる労働相談の実施や、産業医の研修事業への支援を行うとともに、本年度は、国や学識者、労使団体で構成する職業病対策懇談会を開催し、長時間労働をテーマに意見交換を行ったほか、国と連携し、業界団体等に対し、長時間労働の削減を要請してきたところであります。
今後は、これらの取り組みに加え、昨年12月に開設した働き方改革支援センターを通じて、経営者の意識の醸成を図るとともに、企業の相談にワンストップで対応するなどして、働く方々の就業環境の改善を促進し、誰もが安心して働くことができる社会の実現につながるよう努めてまいります。
次に、道営住宅の駐車場使用料についてでありますが、道では、このたびの見直しに当たり、昨年5月、住宅対策審議会に、道営住宅駐車場使用料の適正な負担のあり方について諮問したところであり、審議会からは、公有財産台帳価格帯を活用した制度を維持し、民間駐車場の料金との均衡に配慮すること、使用料が著しく上昇しないよう配慮すること、使用料の区分設定は、公有財産台帳価格による地域格差を考慮した合理性のあるものとすることとの答申をいただいたところであります。
道といたしましては、これらを踏まえ、全道の204団地の駐車場使用料について見直し、値上げとなるのが69団地、値下げとなるのが56団地となったところであり、今後とも、審議会の答申を踏まえ、適切に対応してまいります。
次に、アスベストに係る点検マニュアルの見直しについてでありますが、石綿含有建材の点検に当たっては、マニュアルには示されていなかったものの、これまで、作業服やマスクの着用など、一定程度の対応がとられていたところであります。
今後、より安全に点検ができるよう、専用の防じんマスクの着用などについて、アスベスト問題対策連絡会議を通じて周知を図り、早急に対応を求めてまいる考えであります。
また、点検マニュアルについては、防じんマスクの着用といった点検時の暴露防止対策のほか、劣化、損傷のより具体的な判断基準や、判断が難しい場合の専門家への相談、気中濃度測定による飛散状況の確認方法などについてマニュアルに追加するなど、所要の見直しを行っており、今月いっぱいをめどに点検マニュアルを改定し、施設管理者等に周知してまいります。
次に、災害時の札幌市との連携についてでありますが、昨年の大雨等災害において、道は、自衛隊や道警察、札幌市消防などの防災関係機関と連携し、総力を挙げて迅速な人命救助に当たったほか、被害が甚大であった被災町には、札幌市から、復旧工事などに係る技術職員を派遣していただいたところでもあります。
また、札幌市消防は、全国有数の高い技術力を有する消防であり、この技術を道内の各消防に普及し、本道の消防力の向上につなげるため、道消防学校との合同訓練などを行っているところであります。
加えて、新年度には、札幌市との合同防災総合訓練を防災関係機関と共同で実施することとしているところであり、こうした連携を通じ、北海道全体の防災力の充実強化を図ってまいる考えであります。
最後に、優良な種子の生産、供給についてでありますが、これまで、道が試験場や農業団体等と連携して行ってきた新品種の開発を初め、安全な種子を安定供給するための計画的な増殖といった取り組みは、本道農業の発展に大きく貢献してきたところであります。
このたび、国は、主要農作物種子法の廃止や農業競争力強化支援法の制定により、民間事業者による新品種の開発や種子の流通などを促進することとしておりますが、道といたしましては、安全で優良な種子を引き続き生産者の方々に安定的に供給していくとともに、これまで試験場が蓄積してきた財産を本道農業のために生かしていくことができるよう、国に強く求めてまいります。
以上であります。
教育長 柴田達夫
宮川議員の再質問にお答えをいたします。
まず、不登校児童生徒への支援などについてでございますが、不登校児童生徒の状況はさまざまであり、一人一人の状況に応じて、学校以外の場で学習を行うことや、一定期間ゆっくり休むことなど、必要な支援を行い、社会的自立を支えていくことが大切であると考えております。
このため、道教委では、これまで、フリースクール等の民間施設への訪問、意見交換などを通して、子どもたちや施設の実情等を把握し、一人一人の学びの充実に向けた協議を行うとともに、机や椅子などの教育器具を提供するなどの支援を行ってきたところでございます。
今後は、フリースクール等の民間施設の活動内容などに関する資料を作成し、学校、家庭、地域に広く周知するとともに、市町村教育委員会や学校に対し、民間施設との一層の連携を働きかけるなど、不登校児童生徒の状況に対応した、きめ細やかな支援の充実に努めてまいります。
次に、夜間中学についてでございますが、教育の機会の確保等に関する法律では、夜間中学などにおける就学の機会の提供について地方公共団体に義務づけており、道教委といたしましては、学齢期にさまざまな事情や病気などの理由により義務教育を終了されていない方々などの実情を踏まえ、教育の機会を提供していく必要があると考えております。
道教委では、これまで、夜間中学の設置に関して、国の調査研究事業を行い、設置に当たっての課題などについて、札幌市と連携しながら検討してきたところであり、今後、調査研究の結果などを踏まえ、公立夜間中学へのニーズの把握を行うなど、引き続き、夜間中学の設置に関して検討を進めてまいる考えでございます。
また、札幌遠友塾など、道内の4市に設置されている自主夜間中学は、義務教育を終了されていない方々に加え、学び直しを希望される方など、さまざまな理由で学習を希望される幅広い年齢層の方々に対して学ぶ機会を提供するなど、重要な役割を果たしており、関係者の御意見も十分に伺いながら、教育活動の充実に向け、一層の支援に努めてまいります。
以上でございます。
宮川 潤
指摘を交え、再々質問を行います。
9月のきょうされんの第40回大会について、知事が、北海道で開催されることを心から歓迎する、大会運営が円滑に進められるよう協力すると答弁されたことは、障がい者と大会に対するお気持ちが込められており、関係者を初め、障がい者、その家族も含め、大いに励まされ、喜ばれるものと思います。
大会には、全国から、障がいのある方、ボランティアの方が来道します。これを絶好の機会と捉え、交通、宿泊、その他のバリアフリー化についての要望や意見を聞き、今後、北海道のユニバーサル化を進めることに生かすように指摘しておきます。
知事の答弁で、新たな介護予防・日常生活支援総合事業で、緩和したサービスとボランティアによるサービスを提供しているのが、訪問型は50保険者、通所型は66保険者とのことでした。先ほどの少子高齢化対策監の答弁でも、新総合事業が優先ではなく、要介護認定の申請が制度の根幹とのことでありました。
くれぐれも、緩和したサービスやボランティアによるサービスに誘導し、要介護認定が行われないということがないように、市町村に徹底していただくことを強く指摘するものであります。
介護人材についてです。
介護保険事業支援計画で、今年度は500人不足、新年度は700人不足とされていることについて、事実なのかとお尋ねしました。明確な答弁はありませんでしたが、今後、道みずからが実態把握に努め、次の計画に生かすとの答弁でした。
介護現場での人手不足は深刻であります。人材不足の解消を次期計画でしっかりと位置づけ、実現させるよう、強く指摘をしておきます。
働き方改革についてです。
昨年4月、関西電力の課長が過労により自殺しました。道内では、2012年、KKR札幌医療センターの看護師が、65時間ないし91時間もの時間外労働の末、自殺しました。
北電は、9代にわたって道経連の会長を出している道内のリーディングカンパニーです。そこで24時間連続勤務が行われることによって、北海道じゅうの企業と労働者に与える影響はどういうものになるでしょうか。
再質問で、知事に、過労死ゼロ、過労自殺ゼロの北海道を目指すのかと質問させていただきました。健康管理や就業環境の改善に関する答弁はありましたが、過労死には言及されませんでした。
過労死ゼロ、過労自殺ゼロの北海道を目指すことをぜひこの場で宣言してください。
アスベスト対策についてですが、札幌市は、市有施設で、アスベストを含む煙突用断熱材が剝がれ落ちていたことを受けて、大気濃度測定を始め、ボイラー稼働時についても、過去の飛散状況の検証を専門家に依頼する対応を行いました。厳格に点検を行おうとすれば、専門家による点検は不可欠です。
道がマニュアルを改定するに当たっては、より厳しい点検基準とアスベスト暴露対策を設けるとともに、専門家による点検を必須とするよう、強く指摘をしておきます。
教育機会確保法に関連し、夜間中学について指摘をいたします。
道は、調査研究事業で札幌市に協力を依頼したわけですから、今後とも協力し、札幌市内に設置すべきと考えるものであります。その場合、自主夜間中学である遠友塾との関係がどうなるのか、気になるところであります。
自主夜間中学には、公立とはまた別のよさがあると思います。自主夜間中学と公立夜間中学のそれぞれの長所を生かした共存が望ましいということを指摘して、再々質問を終わります。(拍手)(発言する者あり)
知事 高橋はるみ
宮川議員の再々質問にお答えをいたします。
働きやすい職場環境についてでありますが、働くことにより労働者が健康を損なうことがないよう、道といたしましては、ホットラインによる労働相談の実施や、産業医の研修事業への支援などのほか、労使双方に対して、長時間労働の削減のための意識啓発を図るとともに、国と連携し、業界団体等に対し、長時間労働の削減などの要請を行うなどして、過労死がなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることができる社会の実現につながるよう努めてまいります。
以上であります。