私は、日本共産党道議団を代表して、議案第1号平成28年度北海道一般会計予算については撤回し、組み替えの上再提出を求めるとともに、議案第5号平成28年度北海道苫小牧東部地域開発出資特別会計予算、議案第6号平成28年度北海道石狩湾新港地域開発出資特別会計予算、議案第10号平成28年度北海道公共下水道事業特別会計予算、議案第12号平成28年度北海道営住宅事業特別会計予算、議案第13号平成28年度北海道住宅供給公社経営健全化資金貸付事業特別会計予算、及び、議案第17号平成28年度北海道工業用水道事業会計予算については撤回を求める動議の提案説明を行います。
議案第1号平成28年度一般会計予算案は、2兆8246億円と、前年度比で0.8%の増加となっています。
法人2税のたび重なる制度改正により、道の税収は、黒字の企業からの税収はほぼ横ばいとなっています。
しかし、外形標準課税の拡充により、7割が赤字と言われる中小企業では、赤字であっても課税され、経営が成り立たなくなっています。 また、8%に増税された消費税の負担は、最低賃金の引き上げにもかかわらず、現金給与額が減少している労働者や、所得の低い道民、中小企業にとって重い負担となる構造であり、消費税の持つ逆進性のため、格差を拡大する要因となっています。
2割に近いと言われる本道の子どもの貧困率は、健全な成長を阻害し、食べ物、成長に適した靴や衣類にも事欠き、貧困の連鎖が子どもたちを苦しめています。 こうした格差を是正する対策にこそ重点配分する予算編成が道の役割ではないでしょうか。 ところが、高橋道政の2016年度予算案では、こうした分野に背を向け、外国人観光客の増加などによる外需頼みが際立ち、公共事業費が前年度比で20.4%増の642億円もの増加となる予算を計上し、不要不急の大型公共事業を見直す姿勢が全く見られないことは、まことに残念であります。 道民所得の向上と地域産業の支援によって内需を温め、深刻な子どもの貧困対策など、道民が希望を持つことができる予算にこそ、抜本的に組みかえることが必要であります。
また、東日本大震災、福島第一原発事故から5年がたちましたが、いまだに、事故原因そのものが解明されず、道民の多くが原発のない北海道を求めています。
今こそ原発に依存するエネルギー政策から脱却し、北海道の持つ再生可能エネルギーの高いポテンシャルを最大限に活用し、再生可能エネルギーの拡大と普及を進められる予算への切りかえが必要です。
よって、日本共産党道議団は、次の五つの柱に沿って、予算案の抜本的組み替えを求めるものです。
第1に、子どもの貧困対策と子育て、教育、医療、福祉の拡充を行うことです。
妊産婦安心出産支援事業として、遠隔地からの妊産婦健診、出産時の交通費や宿泊費の助成が、新年度予算に5300万円計上されたことは一歩前進ですが、北海道子どもの貧困対策推進計画に達成年次を定め、予算規模を拡充することが急がれます。 命と健康を守る立場から、子どもの医療費助成事業を入院、通院ともに中学校卒業まで拡充することが必要です。 また、貧困の連鎖を断ち切り、教育の機会確保のために、道独自の給付型奨学金制度を創設し、幅広く若者の進学を支援することも必要です。
第2に、良質で安定した雇用環境の拡大と、中小企業と農林水産業の担い手対策を行うことです。
限定正社員など多様な正社員を名目にした不安定雇用ではなく、本来の正社員化の目標と、その実現に向けたロードマップを策定し、正社員化と処遇改善の具体的対策をとることが必要です。特に、介護・保育・福祉分野の処遇改善が図られる予算を計上すべきです。 中小企業と農林水産分野において、担い手の所得を保障し、きめ細かい対策を予算化することが必要です。
第3に、どこにいても安心して暮らせる地方交通の整備を行うことです。
道民の生活交通としての鉄道、バスの利用を促進する事業を行うことが必要です。
第4に、不要不急の公共事業を見直すことです。
私ども日本共産党道議団が代表質問で厳しく指摘した厚幌ダムでは、わずか8カ月の間に、2回で120億円の事業費増額、開発道路では131億円の事業費増額、道負担で26億円の増額を盛り込んだ予算となっております。 これを厳しく見直し、事業費を絞り込み、事業の中止も含めて、大幅なコスト削減を決断することです。
第5に、再生可能エネルギーを大規模に普及し、原発に依存しない北海道へとかじを切ることです。
地域の経済循環を高めるために、エネルギーの地産地消をダイナミックに進め、地域の経済循環の可視化を図るプログラムをつくるべきです。
道の消費税収入は、税率5%では、年間で760億円から867億円だったものが、今年度予算では、2倍近い1360億円規模となっています。 こうした財源を用いて組み替え予算を実現することは十分可能であり、格差の是正、貧困対策など、社会保障の充実のためにこそ使うべきであります。 以上、組み替えの五つの柱により、財政の再建と経済の再生が図られ、道民が切実に求める医療、福祉、教育などに予算を手厚く振り向け、道民の支えになる道政への新たな一歩につなぐことができます。 議案第13号平成28年度北海道住宅供給公社経営健全化資金貸付事業特別会計予算についてです。
一般会計からの税金投入が続いている北海道住宅供給公社では、不明瞭な会計処理の実態が包括外部監査報告において明らかになりました。債務超過は92億円を超え、さらにふえる見込みもあります。 これまでも、副知事をトップとする公社運営監理委員会があったにもかかわらず、このような重大問題を見逃し続け、包括外部監査で指摘されるまでわからなかったということは、ずさんきわまりないものであり、知事の責任は免れません。
公社の債務返済計画の見直しが必要であり、道への債務についても、計画的に、確実に返済する指導が必要です。 以上、議員各位におかれましては、御賛同を心よりお願いいたしまして、組み替え動議の提案説明を終わらせていただきます。(拍手)