真下紀子君(登壇・拍手)(発言する者あり)私は、日本共産党道議団を代表して、知事、教育長、選挙管理委員長及び警察本部長に質問いたします。
まず、知事の政治姿勢についてです。
知事は、道政執行方針の中で、人口減少・危機突破、世界に輝く北海道を重点に掲げ、人口減少による危機を何度も強調されています。
4期目に至って、いまだ危機だと言わなければならないことに対する知事御自身の責任と認識についてまず伺います。
結婚や子育ての最も障害となっているのは、安定した雇用につけないこと、所得を増加できないことと考えます。各種調査でも指摘をされているところです。
しかし、知事は、少子化対策として、結婚支援を最重点政策として、北海道創生総合戦略でも婚活支援に重きを置いています。最も必要とされている対策を重点化せず、先送りしてきた知事の姿勢こそが、人口減少の危機を招いた大きな要因ではないでしょうか。
今後、どのようにして実効性を担保し、危機を突破しようとされるのか、見解を伺います。
次に、安倍政権に対する評価についてです。
私は、2014年第2回定例会で、自衛隊と留守家族支援の協定を結んでいる道内の自治体が27の市と町に上っていたことを明らかにしました。
その後の、道内各地の自衛隊駐屯地と災害・海外派遣等に伴う留守家族支援協定を結んでいる自治体数の推移についてお示しください。
また、そのうち、海外派遣や国際貢献が盛り込まれた協定の締結自治体はどのような状況となっているのか、お示しください。
私は、まるで現代版「銃後の守り」ではないかと指摘をしましたが、事態の進行を知事はどのように受けとめているのか、あわせて伺います。
改定されたPKO協力法では、従来の自己保存のための武器使用から、任務遂行のための武器使用が認められました。
2月19日、国連安保理が断定した、南スーダン政府軍による住民への攻撃は、国連PKOの危険性を一層増すだけではなく、南スーダン政府軍との交戦の可能性を示唆するものです。これは、憲法第9条が明確に禁じている国等への武力行使に当たるのではないでしょうか。
知事は、戦闘状態にある国に、なし崩し的に自衛隊員を送っても構わないというお考えか、見解を伺います。
アベノミクスを掲げる第2次安倍政権の発足から4年目となりましたが、非正規雇用率が4割を超えた北海道の労働者の現金給与額は減少し、増税と社会保障負担の増加等により、子どもや高齢者、障がい者の貧困も顕著となっております。また、1次産業や中小企業の事業承継にも困難が生じています。
そもそも、投資余力がなく、株の取得が少ない北海道で、トリクルダウンなど、実感のしようがありません。
知事は、北海道にとってのアベノミクスをどう評価されるのか、また、来年4月に予定されている消費税の10%への増税がどのような影響を及ぼすとお考えか、見解を伺います。
安倍首相は、施政方針演説で、TPPについて、我が国のGDPを14兆円も押し上げ、80万人もの雇用を生み出す、関税撤廃の例外を確保し、国益にかなう例外を確保したと述べて胸を張りましたが、TPPの大筋合意を受けた道の試算では、農林水産業及び全産業での就業数の減少については全く見込まれていません。
知事は、就業数の減少をどのように見込んでいるのか、また、関連する影響について、どの時点で明らかにされるのか、見解を伺います。
知事は、TPPの影響が長期に及び、状況の変化等により、道内への影響について継続的な把握や分析を行うと、さきの本会議で答弁されましたが、試算方法について検討する必要があると考えます。北海道より農業規模が小さい県でも、独自に影響試算をしています。
前回と同様の方法や、他県のJA、研究者等の試算方法を参考に、国の基準以外の方法で影響試算をし直すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、職員の懲戒処分等についてです。
さきの第4回定例会で、警察本部長は、連続して起こっている警察職員の不祥事の再発防止について、極めて深刻な現状を踏まえ、不祥事等の防止に努めると答えました。
しかし、その後、職員の処分の公表について、道警みずからが定めた指針に基づき、公表すべきものと公表しないものがあることが、新聞等の報道で明らかになりました。プライバシー保護等を名目にした例外規定に基づく取り扱いだということですが、不祥事を隠しているのではないかという声も道民からは上がっています。
そこで伺います。
知事部局においても、道警と同様、公表に係る例外規定を設けていると承知しておりますが、この規定により非公表とした事案はあるのか、あるとすれば、どのような理由で非公表としたのか、伺います。
また、北海道警察においては、懲戒処分の公表基準に基づき、過去5年で非公表としたものが何件あり、その非公表とした具体的な理由は何か、伺います。
知事部局と道警の公表基準では、職務外のことによる懲戒処分については、停職以上しか公表の対象とされていません。
しかし、道教委や札幌市では、職務に関連するか否かにかかわらず、全ての懲戒処分を公表しています。
また、同様の取り扱いをしている県も多いと聞いていますが、どのように把握をしているのか、伺います。
道においても、より透明性が高く、不祥事に対する抑止効果の高い公表となるよう、全ての懲戒処分を公表すべきと考えますが、知事及び警察本部長の見解を伺います。
これまで知事が重きを置いてきたはずの女性幹部職員の登用が全国最低となっています。知事の記者会見を見ると、ショックを隠せないようでしたが、長きにわたって女性の登用を応援してきた私も同じ気持ちです。
この事態をどう受けとめ、なぜ、知事の意気込みのある取り組みが功を奏していないのか、伺います。
北海道の課題を解決しながら、目標設定を高い水準に見直し、取り組むべきと考えますが、いかがか、伺います。
次に、道民生活について伺います。
本道の子どもの貧困は、全国と比較しても厳しい状況であり、山形大学の戸室健作准教授によると、北海道の子どもの貧困率は19.7%と試算されています。子どもの貧困対策は火急を要します。
道は、子どもの貧困対策計画の中で、子どもと保護者の生活支援に取り組むとしていますが、残念ながら、施策の達成年次と目標、財源の確保については明らかにされていません。
子どもの貧困対策にこそ、重要施策目標を示し、達成年次を明らかにし、PDCAサイクルで、精魂を傾けて取り組むべきではないでしょうか。なぜ、知事の姿勢が消極的なのか、お答えください。
道の貧困対策の対象は、生活保護、就学援助、児童養護施設等で社会的養護を受けている子どもたちに限定され、高校、大学等の進学率の目標を全道平均以下に設定しています。子どもの貧困の捉え方が狭い上に、目標も低いのではないでしょうか。
これまでも指摘をしてきましたけれども、なぜ、対象を限定し、全道平均以下の目標値としたのか、理由を伺います。
また、子どもの命と健康を守る上で重要な医療費助成事業の拡充に踏み出さないのはなぜか、全国的には拡充の流れにある中で、知事が先駆的に取り組まない理由を伺います。
次に、地域医療についてです。
産科・婦人科医師の不足を補完する医師派遣は、名実ともに生命線とも言え、相当の処遇は当然と考えます。
しかし、公的な意味合いから、北海道医療対策協議会による医師派遣は派遣業の対象外ですが、それ以外は派遣元の言い値となっており、相場が上昇していると聞いています。医師不足で苦しむ地方の困難に拍車をかける事態ではないかと、懸念の声が寄せられました。
道は、実態をどう把握し、どのように受けとめるのか、伺います。
市場原理に任せて、医師不足を背景に報酬が上昇することになれば、常勤医師の確保などに困難を来すことが懸念されます。
医師確保とともに、市場任せにしない派遣のあり方を検討する必要があると考えますが、いかがか、伺います。
出産ができない自治体が全道で119自治体、初産ができないのは二つ多い121の自治体にも上り、安心な出産にはほど遠い、深刻な事態が改善されていません。
私は、せめてもの支援として、7年以上前から、妊婦健診時や出産時の交通費助成等を求めてきました。妊婦健診時、出産時の交通費、宿泊費の助成が新年度予算に5300万円計上されたことは朗報と言えます。知事、本当によかったと思います。
この決断に至った経過と、期待される効果を伺います。
今回の補助対象には、距離制限が設けられています。私は、妊産婦や、休暇をとって付き添われている御家族の皆さんの負担を勘案すると、今後、距離制限の緩和などが必要と考えます。
今後の事業の推移を踏まえ、充実を検討していくことが必要と考えますが、いかがか、伺います。
次に、地方交通についてです。
JR北海道は、道内で唯一の鉄道事業者として、公共交通を支える立場にありながら、経営の厳しさを口実に、地方ローカル線の合理化や、利便性を無視したダイヤ改正など、道民の願いに逆行し、公共交通機関の責任を放棄するかのような姿勢であり、到底看過できません。
昨年末、JR北海道の函館本線の嵐山トンネルで火災が発生し、乗降客に多大な影響を及ぼしました。JR石勝線の火災事故を思い起こされた方もいらっしゃったと思います。
ケーブル損傷や、旭川市内の変電所設備の爆発、小樽市の張碓トンネルの補修材の剝離など、安全上のトラブルが相次いでいます。これらは、安全な運行を脅かす事態であり、利用者に大きな不安を与えています。
トンネル点検では、道と同様の打音検査等は行われているのか、まず伺います。
1月18日、私は、黒煙の跡が生々しい嵐山トンネルの事故現場を調査しましたが、嵐山トンネルでの避難訓練は一度も実施されていないことがわかりました。これで、本当に安全だなどと言えるのでしょうか。
全道で実効性のある避難訓練を実施するよう求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
こうした中、JR北海道が、道北の中川駅と幌延駅から保線社員を撤退させるとの報道がありました。
稚内駅と音威子府駅の間は130キロメートルにも及んでいます。暴風雪により、列車の立ち往生がありましたが、こうした事態に即応できるのかと、不安を覚えます。
常駐の保線社員が全くいなくなることは、安全対策の後退ではないでしょうか。
また、駅の無人化や無人駅の廃止に加え、JR北海道は、3月のダイヤ改正で、ローカル線で79本もの普通列車の減便など、次々と、利便性の向上に反する信じがたい施策を発表しています。
知事は、新幹線の波及効果を全道に広げると言いますが、道民は、これでどうしてその効果を実感できるとお考えなのでしょうか。
利便性の向上に逆行するこのようなJR北海道のやり方をどう受けとめるのか。道は、JR北海道が公共交通機関としての役割を果たすよう、実効ある取り組みを強く求めるべきではないでしょうか、お答えください。
また、被災から1年が過ぎたJR日高線の復旧のめどが示されないままです。この間のJR北海道の対応は、条件を追加し、みずからの責任と負担を回避しているかのような無責任さがあるのではありませんか。
沿線自治体、道、JR北海道による協議会も、2月28日に、ようやく2回目の協議が行われましたが、全く進捗が見られません。
協議会での議論を進展させるために、知事は、これまで以上に積極的な調整に努めるべきと考えますが、いかがか、伺います。
昨年、私ども日本共産党道議団が取り上げた銭函駅のエレベーター設置の着工が決定するなど、バリアフリー化に向けて一歩前進と評価します。
一方、市長を初め、地元を挙げて要望が強い深川駅などでは、今後の対応が懸念されています。
国や関係機関に対して働きかけを行ってまいると力強く答弁された知事として、国やJR北海道に対して、バリアフリー化の働きかけをさらに強めるべきと考えますが、見解を伺います。
次に、最低賃金についてです。
昨年の第3回定例会の代表質問で、知事は、最低賃金額の上昇は多くの働く方々の生活の向上に寄与すると答弁されました。
また、石破地方創生担当大臣は、地元の鳥取県と東京都の最低賃金を比べ、賃金の格差ほど物価に格差があるわけではない、賃金を上げていくことが地方創生のために不可欠とまで答弁されています。
しかし、以前にも指摘したように、地域別最低賃金のままでは、都市と地方との格差は広がるばかりです。既に、北海道と東京では143円もの差があり、その差は拡大しています。
格差是正のためには、全国一律の最低賃金の実現は不可欠であり、知事の重点政策である人口減少の克服と持続可能な北海道づくりのためにも欠かせないと考えますが、知事の認識を伺います。
秋田県は、国に、地域間格差の是正を図るために、地域別最低賃金の見直しを求めています。福岡県知事は、毎年、最低賃金の引き上げを求めていますが、高橋知事はどう受けとめるのか、伺います。
実質、いまだ最低賃金が生活保護基準を下回る北海道においては、なおのこと、北海道知事として、中小企業支援とあわせて、最低賃金の大幅引き上げと全国一律の最低賃金制度を求めるべきと考えますが、いかがか、伺います。
次は、これも私が第2回定例道議会で取り上げた厚幌ダムの問題です。
水道の取水量は減るにもかかわらず、総事業費が90億円もふえ、当初は340億円だった事業費が450億円にも膨れ上がる、極めてずさんな計画だと指摘をしました。
ところが、わずか8カ月もたたないというのに、総事業費がさらに30億円も増額になるとのことです。2回で120億円もの巨額な上乗せです。
30億円といえば、知事が渋っている、子どもの医療費助成事業における中学生までの通院分への拡充に匹敵する金額です。それだけの予算があれば、どれだけ福祉や教育の充実に役立つことでしょうか。
90億円増額した前回の計画変更から、わずか8カ月しかたっていないのに、今回、30億円もの道民の血税を投入するのは、誰が考えても納得できないと思いますが、知事の認識を伺います。
また、いま一度立ちどまって見直すつもりはないのか、あわせて伺います。
次に、経済産業政策についてです。
レベル7の福島第一原発事故から5年がたちますが、いまだに原子炉内の状況もわからず、高濃度の放射線量の中での廃炉作業は困難をきわめ、先を見通すことすらできません。10万人近くの避難者は、いまだ苦難の状況に置かれています。
しかし、安倍政権は、事故原因の検証や避難計画の実効性なども真摯に検討することなく、国民の反対の声にも背を向け、原子力規制委員会の新規制基準の審査のみで、川内と高浜の原子力発電所の4基を再稼働させ、プルサーマル発電まで再開させました。
知事は、安倍政権の原発再稼働の判断をどう受けとめているのか、また、福島原発事故の検証は十分に行われたとお考えか、伺います。
巨大津波が来ることは2年半前に社内で承知しながら、対応をとならなかった東京電力が、福島第一原発事故当時、炉心溶融 ― メルトダウンの判断基準があったにもかかわらず、5年間も公表しなかったことが明らかとなりました。
日経新聞は、「東電の説明には不可解な点がある。第三者を入れて早急に原因や経緯を調査し明らかにすべきだ。」と、異例の社説を掲載しました。このような東電が原発再稼働に走ることは許されません。
知事は、こうした隠蔽体質をどう受けとめたのか、伺います。
原発再稼働の地元判断について、知事は、地元の範囲を明らかにしていません。
これまで、1984年 ― 昭和59年から、約1415億円もの、原発関連の立地交付金、補助金と給付金等を受けている道と立地4自治体のみに再稼働の判断が委ねられることは、道民からどのように受けとめられるとお考えでしょうか。
全国で、新電力の購入が最低クラスだった北海道が、電力自由化を前に、やっと新電力会社との契約をふやしたやさき、契約先の日本ロジテック協同組合が契約を廃止することになるという重大な事態が起きました。
今回の入札により、道民生活に直結する道の出先機関である振興局の庁舎などの電力需給の安定性が損なわれかねない結果となったことをどう受けとめているのか、知事の見解を伺います。
次に、中小企業支援についてです。
道内の企業の9割が小規模企業であり、地域の経済や雇用を支えているところですが、人口減少や消費の低迷等による需要の減少などで、その経営環境は非常に厳しく、約7割の企業が赤字経営となっています。
こうした中で、赤字であっても納めなければならない消費税や地方税、国民健康保険料・税などが重くのしかかっており、困窮した実態を訴える声もお聞きしております。
北海道の小規模事業者については、直近3年で1万社以上も企業数が減少し、また、後継者不在率が全国一であり、休廃業、解散が10年前と比べて倍増しており、この対策は喫緊の課題となっています。
道では、こうした課題に対応するため、小規模企業振興条例を本定例会に提案しており、大いに期待しているところです。
さきの12月議会において、削減し続けた中小企業予算について指摘した私の質問に対して、知事は、予算確保も含めて、中小企業支援に努めると力強く答弁をされました。
当然、予算案に反映されているはずですが、中小企業振興条例に基づき、どのような施策を展開していくのか、伺います。
最後に、教育問題についてです。
私たち日本共産党道議団は、標茶町を訪ね、全国一の敷地を有し、酪農を初め、さまざまな実習施設を持つ標茶高校への釧路養護学校分校の設置を求めている方々から直接お話を伺ってきました。
標茶町では、障がいのある子どもたちの保護者を中心に、子どもたちの成長に合わせて、放課後の居場所づくりや学習支援、発達相談などに積極的に取り組んできた先進的経過があることがわかりました。
ところが、高等部に入学となりますと、今は、40キロメートル離れた寄宿舎で生活するしかありません。子どもたちが、自宅から身近な高等部に通学し、卒業後も、地元で働き、暮らしたいと強く願っていることを伺ってきました。
教育長は、12月に分校設置等の要望を直接受けておりますが、保護者の皆さんの思いと期待をどのように受けとめたのか、伺います。
近年、高等学校における特別支援教育の推進が重要な課題になっているのに対し、現行制度上、高等学校においては、教育課程の弾力的運用を行うことはできますが、小中学校の通級による指導や、特別支援学級のような特別な教育課程の編成を行うことができません。
このため、中教審等においても、特別な教育課程の編成に関する検討の必要性が指摘をされており、現在、文科省では、高等学校における通級による指導の制度化を見据えて、特別な教育課程の編成について検討されていると承知をしておりますが、このような国の動きを踏まえ、本道における高等学校の特別支援教育のあり方について、道教委としてどのように考えているのか、教育長の見解を伺います。
私たち日本共産党は、党創立以来、一貫して、18歳選挙権の早期実現を訴え続けてきました。18歳選挙権の実現により、さらに広い民意が反映されることは、民主主義の発展にもつながるものであり、若者の政治参加を広げる大きな転機にもなります。
18歳選挙権制度が実施される意義について、教育長、選挙管理委員長の見解を伺います。
18歳選挙権制度が実施されることにより、若者を初めとした投票率の向上や投票機会の拡大に向けて、より一層の取り組みが求められます。
熊本県では、全国で初めて、県立高校に期日前投票所を設置することとしました。県選管が、各市町村選管に対して、手挙げ方式による公募を行い、県立高校の2校に設置することを決めたとのことです。
県選管のイニシアチブを発揮したこのような取り組みは大変意義深いと考えますが、18歳選挙権制度が実施されるもとで、若者の投票率の向上や投票機会の拡大に向けて、道選管として、具体的にどのような取り組みを行うのか、選挙管理委員長に伺います。
文科省の通達では、高校生の政治的活動は必要かつ合理的範囲で制約を受けるとしています。
しかし、主権者としての政治活動の自由は最も尊重されるべきものであって、決して法律で禁止されるものではありません。
道教委では、高校生の政治活動を学校への届け出制にすることについて、各校ごとに判断すると報道されておりますけれども、主権者としての政治活動の自由が抑圧されたり、萎縮が生まれるようなことがあってはなりません。
主権者たる高校生の思想信条の自由や政治活動を行う自由を道教委としてどのように保障していくのか、教育長に伺います。
以上、再質問を留保し、私の質問を終わります。(拍手)(発言する者あり)
○議長遠藤連君 知事高橋はるみ君。
○知事高橋はるみ君(登壇)日本共産党、真下議員の代表質問にお答えをいたします。
最初に、私の政治姿勢に関し、まず、道政運営についてでありますが、我が国全体が2008年には人口減少の局面に入ったと指摘されている中、一昨年、日本創成会議から、若年女性の減少などの影響も含めた新たな人口推計が示されたことから、道といたしましては、改めて、これまでの取り組みの進捗状況や課題の検討を踏まえて、昨年10月、本道の人口の将来展望を提示する人口ビジョンと、施策の基本的な方向性などを示す創生総合戦略を策定いたしたところであります。
今回の国勢調査では、本道の人口は約538万人となっているところであり、道の人口ビジョンの見通しとほぼ同水準となっているところでありますが、私といたしましては、改めて危機感を持ってこれを受けとめ、現実を直視し、道民の皆様方と課題や目標を共有し、将来にわたり安心して暮らし続けられる地域社会をつくっていくため、人口減少の進行を抑制する施策に、総力を挙げて取り組んでまいる考えであります。
次に、予算編成などについてでありますが、人口減少を抑制し、豊かな地域社会をつくっていくためには、生活基盤の中核をなす、安定的な所得が得られる就業の場の確保や就業環境の整備は大変重要であります。
このため、戦略産業雇用創造プロジェクトなど、産業振興と雇用対策の一体的な展開による、良質で安定的な雇用の創出のほか、若者などの就業促進、正社員化や賃金の引き上げなどといった処遇の改善に加え、基幹産業である農業や水産業にあっては、6次産業化への取り組みや、サケ・マス流し網漁禁止に伴う乗組員等の雇用確保対策など、さまざまな取り組みを進めることといたしているところであります。
道といたしましては、今後とも、こうした雇用対策を初め、少子化対策、生活環境の整備などの総合的な施策を展開し、若い人たちが、希望を持って、地域で暮らし、地域をつくり上げることができるよう、全力で取り組んでまいります。
次に、PKO活動などについてでありますが、長年にわたる内戦を経て、分離、独立した南スーダンでは、その平和と安定を実現するため、国際社会が協力してPKO活動を展開しているところであり、我が国においては、平成23年から、自衛隊員による活動を行っていると承知いたします。
昨年成立した安全保障関連法により追加された業務を、南スーダンに派遣されている自衛隊が担うかについては、政府において、その要否等も含めて、慎重に検討を進めていくとの認識が示されていると理解いたしております。
次に、国の経済政策の本道経済への影響などについてでありますが、最近の本道経済の状況は、商業販売額や来道者数が増加しているほか、有効求人倍率が高い水準となるなど、生産活動や個人消費などの一部に弱い動きがあるものの、全体としては、緩やかながら回復傾向にあるというふうに認識をいたします。
我が国が厳しい財政状況や少子・高齢化の進行に直面する中、持続可能な社会保障制度の確立は、いつまでも先送りできない課題と認識をするところでありますが、今後、消費税率を引き上げた場合、消費者の買い控えや駆け込み需要の反動による売り上げの減少などで、本道経済への影響が懸念されるところでもあります。
このため、道では、全国知事会とともに、経済状況の好転を図った上で消費税率を引き上げることや低所得者対策などについて、国に対して要請してきているところであり、今後とも、地域の実情などについて、しっかりと訴えてまいる考えであります。
次に、TPPによる地域への影響についてでありますが、国では、GDPや就業者数の算出に当たっては、国家間の国際経済分析モデルであるGTAPを使用して経済効果分析を行ったところでありますが、これを用いて都道府県別の算出を行うことは困難との説明を受けているところであります。
道といたしましては、農林水産物への影響について、国の試算を参考に取りまとめたところでありますが、農林漁業者、地域の方々の御不安や懸念を払拭し、本道の農林水産業が持続的に発展していくことができるよう、関係団体とも連携をし、道内への影響について、継続的な把握や、必要に応じて分析を行いながら、各般の施策を着実に推進してまいる考えであります。
次に、懲戒処分の公表基準についてでありますが、道においては、開かれた道政の推進や職員の綱紀保持を図るといった観点などから、国の取り扱いなどを踏まえ、平成19年に公表に係る基準を策定し、職員の処分について公表をいたしているところであります。
しかしながら、東京都、大阪府、神奈川県など七つの都府県で全ての懲戒処分を公表していることや、基準を策定して以来、一定の期間が経過していることなどから、改めて他府県の状況も把握した上で、不祥事の発生防止や、道民の皆様の道政に対する信頼の確保といった観点から、社会情勢の変化に即した効果的な公表のあり方について検討し、職員の服務規律がより一層確保されるよう取り組んでまいる考えであります。
次に、女性職員の登用についてでありますが、道では、国の女性活躍推進法の制定に先駆けて、昨年6月、初めて、女性登用に係る数値目標を掲げ、積極的な登用を行っているところではありますが、転居を伴う広域の異動が多く、育児などで転居が困難なことによる昇任のおくれなどの要因から、女性の幹部職員への登用割合は、他の都府県と比べて低い状況にあるところであります。
現在、課長級以上の職員に占める女性の割合は、道全体で、一昨年の3.5%から、昨年6月の人事異動後は4.3%となり、知事部局では5.3%となったところであり、策定中の、女性活躍推進法に基づく行動計画では、平成31年度までに、課長級以上の職員に占める女性の割合を8%に高める数値目標を設定いたしているところであります。
道といたしましては、これまで以上に、仕事と家庭の両立支援に向けた取り組みや、女性職員支援室により人事管理の総合調整を図るなど、女性職員の意欲と能力を引き出し、活力ある道庁づくりを進めてまいる考えであります。
なお、家族支援の状況など、その他の項目については、担当の副知事から答弁をさせていただきます。
次に、道民生活に関し、まず、子どもの貧困対策の推進についてでありますが、道では、平成27年度から5カ年を期間とする子どもの貧困対策推進計画を昨年12月に策定し、教育支援、生活支援、保護者に対する就労支援、経済的支援の四つを柱とする施策に重点的に取り組むことといたしたところであります。
また、道民の皆様方と、計画の目指す姿を共有するため、進学率や就業率などの目標値を設定し、毎年度、施策の効果を検証、評価するなどして、適切な進行管理を行っていくことといたしているところであります。
道といたしましては、新年度において、新たに、子どもが安心して過ごせる居場所づくりのほか、一人親の資格取得の促進のための貸し付けや、児童養護施設退所者等の進学、就職に向けた支援策を講じるとともに、児童扶養手当の拡充を図るなど、全ての子どもたちが夢と希望を持って成長していける社会の実現に向け、積極的に取り組んでまいります。
次に、子どもの医療費についてでありますが、道では、結婚、妊娠・出産、子育て、自立のライフステージに応じた切れ目のない支援を行うため、新年度、子育て世帯の経済的負担の軽減も含めた施策をパッケージとして実施することといたしたところであります。
子どもの医療費助成については、地域で格差が生じていることや、市町村国保財政に対するペナルティーなど、国において見直すべき事項がありますことから、これまでも、あらゆる機会を通じて、全国一律の制度の創設を強く求めてきているところであり、現在、国では、子どもの医療制度について議論されていると認識をするところであります。
道といたしましては、こうした国の動きを注視するとともに、今後とも、子育て世帯の負担軽減に効果的な施策を検討し、できることから速やかに取り組む考えであります。
次に、産婦人科医師の確保についてでありますが、派遣される医師の報酬については、勤務条件や医師の経験年数など、個別の条件により決定されるため、一律に定めることは困難であります。
このため、道では、北海道周産期医療体制整備計画において、総合周産期母子医療センターを中心に、産婦人科医師の確保に向け、医育大学への派遣要請や産婦人科医師の養成に対する支援、ドクターバンク事業など、道外の医師の招聘などの仕組みづくりに取り組むとともに、医育大学の地域医療支援センターからの医師派遣や緊急臨時的医師派遣事業などを活用して、地域における産婦人科医師の確保に一層努めてまいる考えであります。
次に、妊産婦安心出産支援事業についてでありますが、広大な北海道において、分娩が可能な医療機関がない地域の妊産婦の方々が、健診や分娩のため、不安を抱えながら遠方の医療機関を受診することは、心と体だけではなく、経済的な負担も大きく、私といたしましては、母子ともに健康で、元気な赤ちゃんを産んでいただくためには、こうした負担を少しでも軽くすることが大切であると考えるところであります。
このため、新年度から、地域の保健師や助産師などによる、妊娠期から出産後までの切れ目のない支援や、妊産婦健診と出産のために要する交通費や宿泊費の助成に取り組むこととしたところであり、経済的・精神的負担を軽減し、安心して出産や子育てができる環境の整備を推進してまいる考えであります。
次に、JR北海道の減便等への道の対応についてでありますが、JR北海道は、厳しい経営状況を背景に、利用の少ない駅や列車の運行本数の見直しなどを進めてきているところでありますが、こうした業務の見直しに当たっては、沿線自治体や住民の皆様方の御意見に十分配慮した対応が求められるものと考えているところであります。
このため、道では、JR北海道に対して、利用者への影響を最小限に抑えるよう、道議会の皆様方と合同での要請を行うなど、これまでも働きかけを行ってきたところであります。
道といたしましては、JR北海道による業務見直し等の動向の把握に努めるとともに、市町村との連携を強めながら、地域の実情や意向を踏まえた慎重な対応について、引き続き、JR北海道に強く求めてまいります。
次に、JR日高線についてでありますが、被災から1年が過ぎ、運行再開を願う地域の皆様方の声は、一層切実なものとなってきていると理解をいたします。
こうした中、国、道、JR北海道によるJR日高線検討会議、いわゆる3者協議においては、復旧を目指すという共通認識のもと、議論を重ねてきているところであります。
これまでの協議において、JR北海道から、運行再開に向けた、継続的な運行のための仕組みづくりが必要との提案があったところであり、道といたしましては、今後、JR北海道から示される具体案について、沿線自治体協議会での議論を深め、一日も早い復旧を目指してまいる考えであります。
次に、駅のバリアフリー化についてでありますが、深川など、階段が多い駅は、お年寄りやお体の不自由な方々にとって御負担が大きいことから、誰もが安全で快適に利用できるバリアフリー化の推進は大変重要であると認識をいたします。
このため、道では、深川など、バリアフリー化が未整備の駅における取り組みが着実に進められるよう、JR北海道に対し、早期の対応について要請するとともに、道府県等で構成する全国鉄道整備促進協議会を通じて、国などに対し、支援制度の充実強化を求めてきたところであります。
道といたしましては、引き続き、駅のバリアフリー化の推進に向けて、市町村等と連携を図りながら、国やJR北海道など関係機関に対し、粘り強く働きかけを行ってまいる考えであります。
次に、地域別最低賃金の改善についてでありますが、最低賃金については、国において、地域における賃金の実態や企業の賃金支払い能力などを踏まえて、地域別に決定しているものであり、北海道の最低賃金についても、平成22年の最低賃金引き上げに関する政労使合意の目標設定に配慮して決定されていると承知をいたします。
道といたしましては、最低賃金の大幅な引き上げは、働く方々の生活の安定に寄与する一方で、道内の中小企業の経営基盤に少なからず影響を与える懸念がありますことから、中小企業、小規模企業が賃金の支払い能力を高めることができるよう、引き続き、企業への助成制度の拡充を要望してまいる考えであります。
なお、道民生活に係るその他の項目については、担当の副知事から答弁をさせていただきます。
次に、経済産業施策に関し、まず、国の原発再稼働の判断についてでありますが、国は、エネルギー基本計画において、原子力規制委員会で新たな規制基準に適合すると認められた原発については、その判断を尊重し、再稼働を進め、立地自治体を初め、国民の理解が得られるよう丁寧に説明を尽くすとしており、原発の安全性やエネルギー政策上の必要性などに関する説明については、国が行ってきているところであります。
また、新たな規制基準は、福島原発事故の教訓や最新の技術的知見、IAEA等の国際機関の安全基準を含む海外の規制動向などを踏まえて策定したものと承知いたしているところであり、今後、新たに得られる知見についても、いわゆるバックフィット制度により取り入れていくなど、安全性の向上に向けて、不断の取り組みがなされることが重要と考えるところであります。
次に、福島原発事故についてでありますが、東京電力においては、当時の社内マニュアルで炉心溶融の判定基準を明記していたにもかかわらず、事故当時の経緯を説明する中で、これを十分に確認せず、炉心溶融を判断する根拠がなかった旨の説明を行っていたとの事実を認め、謝罪したものと承知をいたしております。
原子力施設の異常事態に関する情報について、国及び地方公共団体に迅速かつ正確に通報することは、事業者として果たさなければならない責務であり、重大な事象が通報されなかったことは極めて遺憾であると認識をするものであります。
最後に、小規模企業の振興についてでありますが、今般制定を目指す小規模企業振興条例では、経営体質の強化や円滑な事業承継、創業等の促進を施策の基本方針として掲げ、さらには、これらを支える取り組みとして、地域における支援体制の整備と円滑な資金供給を掲げているところであります。
道といたしましては、今後、この基本方針に沿って、企業や地域のニーズを踏まえた施策の展開に努めるとともに、商工団体や金融機関はもとより、弁護士、税理士などの専門家や先輩起業家など、地域ごとに支援する方々の顔が見える、きめ細やかな支援体制の構築を進めていくほか、道の融資制度の充実やクラウドファンディングの普及を図るとともに、新たな資金供給手法の検討を進めるなど、地域の経済と雇用を支える小規模企業の振興に全力で取り組んでまいる考えであります。
なお、経済産業に係るその他の項目については、担当の副知事から答弁をさせていただきます。
以上であります。
○議長遠藤連君 副知事荒川裕生君。
○副知事荒川裕生君(登壇)初めに、自衛隊の派遣に関し、自治体と自衛隊との留守家族支援に関する協定についてでありますが、この協定は、東日本大震災の発生をきっかけとして、大規模災害時などに被災地に派遣される自衛隊員の御家族に対し、子育て、健康、福祉などに対する不安感を少しでも軽減することを目的として、駐屯地と地元自治体との間で締結されているものと承知をしております。
道内では、平成26年6月末で27団体が協定を締結しておりましたが、本年2月現在では36団体となっておりまして、このうち、災害時に加え、国際平和協力活動等による海外派遣について記述があるのは5団体となっているところでございます。
こうした協定は、人命救助や復興支援などのための派遣に伴い、長期間にわたり地元を離れることとなる自衛隊員の御家族に対し、地元の自治体として支援を行うために締結されているものと受けとめております。
次に、地方交通に関し、JR北海道におけるトンネルの安全対策についてでありますが、JR北海道では、平成23年5月に発生したJR石勝線の列車脱線火災事故を受け、同年9月以降、安全教育の一環として、全社員を対象に、トンネル火災に関する習熟訓練を行うとともに、管理する176カ所のトンネルのうち、これまで、14カ所で計35回、現地での避難訓練を実施してきており、今後とも、訓練内容の充実を図っていく方針であると聞いております。
また、トンネルの定期点検につきましては、国が定める基準により、全てのトンネルで2年ごとに目視検査を行い、必要な箇所については打音検査も行っているものと承知しております。
道では、これまでも、JR北海道に対し、安全対策について重ねて要請を行ってきておりますほか、昨年12月の嵐山トンネルの火災の際にも、早期の復旧と原因究明を含めた再発防止に取り組むよう申し入れを行ったところであり、引き続き、安全対策の徹底を求めてまいる考えでございます。
最後に、経済産業対策に関し、原発の再稼働についてでありますが、再稼働については、国が前面に立ち、立地自治体等、関係者の理解と協力を得るよう取り組むとしているところであり、関係自治体の範囲も含め、国が責任を持って、具体的な手続を明確に示すとともに、安全性やエネルギー政策上の必要性などに関する説明を行うべきものと考えます。
道としては、そうした内容が具体的に示された場合には、道民の代表である道議会の御議論などを踏まえながら、適切に対応していかなければならないと考えております。
以上でございます。
○議長遠藤連君 副知事山谷吉宏君。
○副知事山谷吉宏君(登壇)まず、TPPの影響試算についてでありますが、影響額につきましては、関税のみならず、セーフガードの発動状況や国際市況、為替レートなど、さまざまな変動要因が複雑に絡み合いますことから、単純な積み上げ方式による算出は難しいものと考えております。
こうしたことから、道といたしましては、昨年12月に公表されたTPP協定の合意内容や、体質強化対策及び経営安定対策などを考慮した国の試算方法を品目別に検討して、今回、その手法により影響額を算出するとともに、特に、本道の主要な農林水産物であるタマネギやスケトウダラなどについては、独自に影響額の試算に加えたところであります。
TPP協定の影響は相当な長期に及びますことから、今後、状況の変化や新たな課題が生じた場合において、国における算定方法の条件などが前提条件と合致しなくなることも考えられますことから、関係団体とも連携を図り、道内への影響について継続的に把握するとともに、必要に応じて分析を行うなど、適切に対応してまいります。
次に、職員の懲戒処分に関し、懲戒処分の公表についてでありますが、道におきましては、懲戒処分の公表指針に基づき、職務遂行上や職務に関連する行為に係る懲戒処分のほか、職務に関連しない行為に係る停職以上の懲戒処分について公表することとしておりますが、被害者または関係者の権利、利益を侵害するおそれがある場合などについては、その内容の一部または全部を公表しないこともできるとしているところであります。
懲戒処分の公表に当たりましては、この指針に基づき、厳正に運用しているところであり、過去5年間の150件の懲戒処分のうち、指針に基づき公表の対象とならなかったものが78件で、指針に基づく公表の例外として取り扱ったものは、叙勲に関する不適正事務に関し、個人が特定されるため、非公表としてほしい旨、関係者から申し出があった1件のみとなっているところであります。
次に、道民生活に関し、子どもの貧困対策推進計画の対象等についてでありますが、道では、子どもの将来が、その生まれ育った環境によって左右されることがないよう、貧困の状況にある全ての子どもを対象とする計画として策定いたしたところであります。
また、この計画における目標値のうち、生活保護世帯や児童養護施設の子どもに係る高等学校への進学率につきましては、傷病などで進学が困難な者を除き、面談等により、進学を希望する全ての子どもが高校に進学することを目標とした数値であり、大学等への進学率については、学費や生活資金の貸付制度の活用のほかに、その子どもの適性や世帯の状況に応じた自立方策も十分勘案しながら、一人一人に合った進路指導が必要でありますことから、一律の目標値の設定を行わず、きめ細やかな相談対応や学習支援に努めることとしたところであります。
こうした目標値については、道民の皆様と、この計画の目指す姿を共有し、貧困が世代を超えて連鎖することのない環境づくりを目指すため、毎年度、検証、評価を行ってまいる考えであります。
次に、産婦人科医師の派遣についてでありますが、全道的に産婦人科医師が減少する中、地域においては産婦人科医師の確保が困難となっており、北海道医療対策協議会に対しては、多くの医療機関から、産婦人科医師を含めた派遣要請が寄せられておりますが、派遣医師の報酬については、一般的には、派遣に係る当事者間の協議により、派遣先医療機関の給与規程や、派遣される医師の経験年数等に応じて決定されているところであります。
こうした中、産婦人科医師の報酬については、これらに加えて、派遣期間中、昼夜を問わず待機状態にあることや、分娩や救急対応が多いなどの多忙な勤務実態を踏まえた報酬が設定されているものと聞いているところでありますが、地域における産婦人科医師の確保に、なお一層取り組んでまいらなければならないと考えるところであります。
最後に、妊産婦安心出産支援事業の対象についてでありますが、2次医療圏ごとの周産期母子医療センターにおきましても医師確保が困難となっているなど、地元で出産できない地域が増加していることを踏まえ、今回、交通費の助成を行うこととし、出産が可能な病院から各市町村までの距離をきめ細かく把握するとともに、妊産婦が通院する際に、移動に要する時間が30分を経過するころから不安が増大する傾向があるといったアンケート調査の結果なども参考に、助成対象を、25キロメートルを超える地域としたところであります。
道といたしましては、今後も、地域における、分娩を取り扱う医療機関や公共交通機関の状況など、妊産婦を取り巻く環境の変化を踏まえながら、適切に事業を実施してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長遠藤連君 副知事辻泰弘君。
○副知事辻泰弘君(登壇)道民生活などについてお答えします。
まず、地域別最低賃金についてでありますが、最低賃金制度は、労働者の生活の安定や雇用のセーフティーネットとしての機能を果たすものであり、道としては、最低賃金が確実に遵守されることが何より重要と考えているところでございます。
なお、地域別最低賃金の改定に当たりましては、最低賃金法に基づき、公労使から構成される地方最低賃金審議会が、地域における労働者の生計費や賃金の実態、企業の賃金支払い能力などを総合的に勘案し、慎重な検討の結果行う答申を踏まえて、国において決定するものであります。
次に、ダム事業についてでありますが、道では、公共事業の効果的、効率的な実施と、実施過程の透明性の一層の向上を図ることを目的とした公共事業再評価を実施してきており、ダム事業についても、節目節目で、その必要性や妥当性を検証しながら、事業を進めてきたところでありますが、厚幌ダムについては、工事の進捗に伴い、想定より強固な岩盤が出現したことによる掘削工法の変更や、不安定な掘削のり面への対策工の追加など、新たな総事業費の変更が生じてきているところであります。
一方で、地元からは、地域住民が安全で安心して生活するための治水対策や、安定した水道用水、かんがい用水の供給などが強く要望されており、その必要性は変わっていないことから、ダムの整備については、引き続き、早期完成に向け、着実に推進してまいりたいと考えております。
最後に、電力自由化等に関し、新電力会社の事業停止による影響などについてでありますが、道では、電力コストの節減を図るため、振興局庁舎など77施設で使用する電力について、新電力会社を含め、入札により調達することとし、日本ロジテック協同組合と契約したところでございます。
このたび、同組合が、小売電気事業者の登録申請を取り下げ、電力事業を停止することとなりましたが、この場合においても、電気事業法に基づき、一般電気事業者により、最終的な電気の供給が保障されることとされており、電力の調達には支障が生じないところであります。
道といたしましては、今後とも、コスト縮減を図りつつ、電力の安定的な確保に進める必要があると考えており、今回の施設に係る電力の調達に当たっても、この考えに沿いながら検討してまいる考えでございます。
以上でございます。
○議長遠藤連君 教育長柴田達夫君。
○教育長柴田達夫君(登壇)日本共産党、真下議員の代表質問にお答えをいたします。
教育問題に関しまして、まず、特別支援学校高等部の設置についてでございますが、昨年12月に、標茶町の住民の方々や関係団体などから、標茶高校への釧路養護学校高等部の分校の設置を求める要望を、署名とともにいただいたところでございます。
標茶町では、障がいのある子どもに対する早期からの一貫した相談支援体制の充実に取り組んできており、このたびの要望につきましては、義務教育を終えた後も、生まれ育った地域で子どもたちを学ばせたいという保護者や地域の方々の強い思いのあらわれであると受けとめているところでございます。
特別支援学校の配置に当たりましては、できるだけ身近な地域において専門的な教育を受ける機会を確保するとともに、効果的な学習や集団活動を行うための教育環境を確保することも重要でありますことから、道教委といたしましては、今後とも、児童生徒の在籍状況やその推移、さらには地域の実情などを十分踏まえ、検討を行ってまいる考えでございます。
次に、高等学校における特別支援教育についてでございますが、国においては、インクルーシブ教育システムの理念を踏まえ、児童生徒等、それぞれの教育的ニーズに的確に応える、多様で柔軟な仕組みを整備することが重要であるとの考え方のもとで、現在、高等学校における特別な教育課程の編成の制度化について、検討が進められているところでございます。
道教委といたしましては、こうした国の動向を注視しつつ、本道の高等学校における特別支援教育のあり方を検討するため、昨年4月に、外部有識者等で構成する検討委員会を設置し、地域特性を踏まえたインクルーシブ教育システムの構築、通級指導教室の必要性とその役割などにつきまして、検討を進めているところであり、今後は、こうした検討や高等学校における調査研究の状況なども踏まえ、生徒の自立や社会参加に必要な力を育成するという観点から、高等学校における特別支援教育のなお一層の充実に取り組んでまいる考えでございます。
次に、選挙権年齢の引き下げについてでございますが、選挙権年齢を18歳以上に引き下げることとしたこのたびの法改正は、将来、我が国を担っていく世代である若い人々の意見を、国のあり方を決める政治に反映させていくことが望ましいという考え方に基づくものであると認識いたしております。
道教委といたしましては、生徒が、有権者として、みずからの判断で権利を行使することができるよう、各学校に対し、政治参加の重要性や選挙の意義について理解を深め、さまざまな課題を多面的、多角的に捉え、根拠を持って自分の考え方を主張しつつ、他人の考えに耳を傾け、合意形成を図っていくという政治的教養を育む教育の一層の充実を図るよう指導してまいる考えでございます。
最後に、高校生による政治的活動等についてでございますが、このたびの法改正により、18歳以上の生徒が、有権者として選挙権を有し、選挙運動を行うことが認められることとなりましたことから、国の通知におきましては、放課後や休日等に学校の構外で行われる高校生による政治的活動等については、家庭の理解のもと、生徒が判断して行うものとしておりますが、生徒の学業や生活などに支障があると認められる場合や、学校教育の円滑な実施に支障があると認められるなどの場合には、学校において適切に指導を行うことが求められているところでございます。
道教委といたしましては、こうした考え方を十分踏まえ、生徒の政治的教養が適切に育まれるよう、家庭や地域と連携しながら、各学校において適切に指導を行うことが必要であると考えております。
以上でございます。
○議長遠藤連君 選挙管理委員会委員長高橋一史君。
○選挙管理委員会委員長高橋一史君(登壇・拍手)(発言する者あり)日本共産党、真下議員の代表質問にお答えをいたします。
初めに、選挙権年齢の引き下げについてでありますが、今回の選挙権年齢の引き下げは、少子・高齢社会の中で、若者の声がより政治に反映される必要があることや、諸外国の多くでは選挙権年齢を18歳以上としていることが、その背景にあるものと承知をしております。
最近の各種選挙においては、特に、若い世代の投票率が極めて低く、政治への無関心や政治離れがうかがわれる中での改正でありまして、今回の選挙権年齢の引き下げを契機といたしまして、若者を初め、有権者の政治意識の向上につながることを強く期待しているところであります。
次に、投票率の向上、投票機会の拡大に向けた取り組みについてでありますが、昨年6月の公職選挙法の改正により、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことを踏まえまして、道選管といたしましては、選挙の仕組みや投票参加の意義について、高校生に理解を深めてもらうことを目的に、今年度から、高校生出前講座を実施しておりまして、これまで66校で実施をし、今年度中には80校を超える高校での実施を予定しているところであります。
また、昨年11月に、18歳選挙権をテーマとした北海道政治講座を開催するなど、選挙権年齢の引き下げや、投票参加への周知、啓発に取り組んでいるところであります。
国においては、現在、投票環境の向上対策といたしまして、投票機会の拡充や利便性の観点から、共通投票所の設置や、期日前投票における投票時間の弾力的な設定、投票所に入ることができる子どもの範囲の拡大などの制度改正が予定をされているところであります。
私ども道選管といたしましては、若年層の投票率の向上を図るため、引き続き、効果的な啓発事業に取り組むとともに、制度改正の内容について、有権者や市町村に対しまして広く周知徹底するなど、市町村選管を初め、関係機関・団体との連携を深めながら、公正な選挙の管理執行と投票機会の拡大に努めてまいりたいと考えております。
以上であります。(拍手)(発言する者あり)
○議長遠藤連君 警察本部長北村博文君。
○警察本部長北村博文君(登壇)日本共産党、真下議員の代表質問にお答えいたします。
初めに、懲戒処分の公表基準の運用についてでありますが、道警察では、警察庁の懲戒処分の発表の指針を参考とし、職務執行上の行為及びこれに関連する行為に係る懲戒処分と、私的な行為に係る懲戒処分のうち、停職以上の処分について発表を行うこととしているほか、行為の態様、行為の公務内外に及ぼす影響、職員の職責等を勘案し、国民の信頼を確保するために発表することが適当であると認められる懲戒処分について発表を行うこととしております。
ただし、発表の例外として、被害者、その他関係者のプライバシー、その他の権利、利益を保護するため、やむを得ない場合には発表を行わないこととしております。
道警察において過去5年間に懲戒処分を受けた127人の処分を確認しますと、82人の処分は、原則発表を行う対象となる処分に該当し、残る45人の処分は、発表を行う対象に該当しない処分でありました。
なお、過去5年間において、被害者、その他関係者のプライバシー、その他の権利、利益を保護するため、異性関係信用失墜事案や強制わいせつ事案において発表を控えた処分が4件あったと承知いたしております。
次に、懲戒処分の公表基準の見直しについてでありますが、道警察では、引き続き、警察庁の懲戒処分の発表の指針を参考に、適時適切な懲戒処分の発表を行うとともに、同種事案の再発防止のため、必要な諸対策を推進してまいります。
以上でございます。
○議長遠藤連君 真下紀子君。
○75番真下紀子君(登壇・拍手)(発言する者あり)それぞれ答弁をいただきましたが、指摘を交えて、具体的に再質問をいたします。
知事は、安全保障法制による、南スーダンでのPKO活動に係る自衛隊の危険性については、みずからの見解を示さず、政府の見解を述べたにすぎません。
2月29日の衆議院予算委員会で、我が党の議員の質問に、防衛省が、PKOの駆けつけ警護で、人質救出のために、武装集団に対する狙撃、射殺はおろか、文民まで死亡させるリスクを検討していることについて、中谷防衛大臣がそれを認める重大発言をしました。
安全保障法制の戦争法たる姿が一層明らかになり、戦慄すら覚えます。知事はそう受けとめないのでしょうか。
海外派兵の危険の増大とともに、道内で留守家族支援協定を結んでいる自治体が27から36自治体に広がり、海外派遣を協定に記述した自治体が2から5自治体にふえている実態が明らかとなったことは重大です。
戦時のように、家族や住民を動員し、戦闘地域へ送り出す現代版「銃後の守り」とならないよう、知事として、憲法遵守の立場を明確にし、安保法制を行使することなく、あくまで憲法に沿った非軍事の貢献に徹することを国に求めるべきではないでしょうか、お答えください。
アベノミクスについてです。
日経新聞とテレビ東京の調査によりますと、「評価する」が31%に対して、「評価しない」は50%に上っています。また、日経新聞の世論調査では、消費税の10%への増税に賛成は33%、反対は58%と、反対が断然多くなっており、安倍内閣のブレーンでもある内閣参与が、公然と、消費税増税時期の延期を求めています。
知事は、消費税増税による影響について懸念を示しながら、道内は全体として緩やかな回復傾向にあると答えましたが、前提となる経済状況の好転に至っていると判断をされているのか、伺います。
私ども日本共産党は、消費税に頼らない財源を示しながら、社会保障の確立を求めており、消費税の引き上げに反対の立場ですが、知事、今は、せめて、消費税増税は延期せよと声を上げるべきときではないでしょうか、いかがですか。
TPPによる影響について、道は、GDPも就業者数の減少も算出できていないと答えました。安倍首相が言う80万人の雇用を生み出す根拠はないということです。
秘密交渉で、何が決められたのかもわからず、やみくもな対策の効果を評価できようはずがありません。
道において、今後、関係者や有識者の意見も取り入れ、総合的な試算として道民に示すことを求めますが、いかがか、伺います。
今回の、懲戒処分の公表に関する私の質問で、知事部局における過去5年間の懲戒処分の150件のうち、約半数の78件が、道の指針によって非公表となっていることが明らかとなりました。
その中には、窃盗や住居侵入、セクハラ等々、一般社会では当然犯罪として処分されるべき案件が含まれていたことには驚きを隠せません。
道は、今後、職務上、職務外を問わず、全ての懲戒処分の公表を目指すとのことですから、知事が、他都府県並みの透明性の高い公表基準の策定にスピード感を持って取り組むよう、強く指摘しておきます。
同様に、道警でも、過去5年間で127人の懲戒処分者のうち、指針により45人が非公表となっています。
処分理由の中には、ひき逃げや万引き、デジタルカメラを使用した卑わいな言動、あるいは不適切異性交際等事案など、本来取り締まるべき立場の道警において、取り締まりの対象となるような事案が並んでいます。
一般市民であれば、逮捕、送検されてもおかしくないケースが含まれているとの指摘もあります。道民が知るべき情報が知らされていないと言えます。
警察本部長は、警察庁の指針を参考として、適時適切に公表を行うと答弁されましたが、公表基準を見直すことなく、道民からの信頼を回復することができるでしょうか。再発防止のために、今後、知事部局と同様、抑止効果と公開性を高めるように見直すことを求めておきます。
次ですが、JR北海道が管理する176カ所のトンネルのうち、青函トンネルを除きますと、わずか13カ所で23回の避難訓練しか行われていないことがわかりました。
トラブルが連続している嵐山トンネルは、積雪時には救急車が入るのが精いっぱいで、消防車は、ワゴンタイプのものしか入れないと聞いております。にもかかわらず、避難訓練は一度も行われていません。
それだけでなく、嵐山トンネルで、漏水対策のために可燃性被膜が使われていることも、旭川消防には事前に知らされていなかったというではありませんか。
列車脱線火災事故を起こしたJR石勝線では、事故直後の2012年に避難訓練が1度実施されただけで、避難ルートの確保が困難な張碓トンネルでは、一度も避難訓練は行われていません。
JR北海道の安全軽視の姿勢は甚だしく、道からの安全を求める申し入れが、残念ながら、功を奏しているとは言いがたいのが現状です。
知事は、こうした事実を今回初めて知ったと思いますが、今後、JR北海道の実効ある安全対策に向けて、知事のイニシアチブをどう発揮するのか、伺います。
知事、JRの利便性の後退については、減便だけではございません。JR北海道は、突如、特急列車の割引切符のSきっぷフォーやRきっぷの廃止を発表しました。実質値上げにもかかわらず、利用者の意見も全く聞いていないのです。
利用者からは、利便性の後退どころか、事実上の値上げだと、不満の声が寄せられ、出張などが多い経済界にも波紋を広げています。
私は、2月19日、日本共産党旭川市議団とJR北海道本社に出向いて、直接、見直しを求めてきました。
道内の利用者に不利益を押しつけるJR北海道の経営姿勢は、これまでJR北海道を利用してきた道民に対する背信行為ではないでしょうか。到底容認できません。知事はどうお考えでしょうか。
道民の声をしっかり聞き、利用拡大と利便性の向上に努めるよう、知事はJR北海道に毅然と求めるべきと考えますが、認識を伺います。
また、JR日高線の早期復旧、駅のバリアフリー化については、一層の努力を求めておきます。
厚幌ダムの事業費は、昨年、90億円もの大幅な増額があったばかりだというのに、わずか8カ月余りで、さらに30億円、総額で120億円もの増額です。こうした例はこれまでもあったのか、伺います。
今回の計画変更に当たっては、公共事業評価専門委員会の委員からも、現地が急峻な斜面であることは設計段階でわかっていたはず、事業を実施する前にしっかりと調査し、対応しておくべきではなかったのか、前回の見直しのときに予算の変更をしておくべきではなかったのかなど、余りにずさんな道の対応に疑問を呈する声が上がっています。
また、このような見通しのない計画変更を求める事業者が道の入札業者として適切かという厳しい声もあります。道民は全く納得できないと思います。
知事は、ずさんな計画変更に対する評価専門委員会の委員の意見を重く受けとめるべきではないでしょうか。
これ以上、事業費をふやすような計画変更は認められないと道民に約束できるのか、あわせてお答えください。
原発についてですが、私は、国や道議会にげたを預けるような答弁を求めたのではありません。
関西電力高浜原発4号機は、原子炉補助建屋での1次冷却水漏れに続き、2月29日、プルサーマル発電を再開する発送電開始を前に、原子炉が緊急停止しました。
知事が極めて遺憾と答弁された、東京電力のメルトダウンの隠蔽などが厳しく検証されなければなりません。
知事は、国が、道議会がと繰り返すことなく、道民の原発ゼロを願う声に応え、廃炉工程を明らかにすべきではないですか。
4月の電力自由化を前に、全国の自治体でさまざまな動きが広がっており、山形県では、昨年、やまがた新電力を設立し、高校などへの販売を始めるとお聞きいたしました。
最大出力が8万4000キロワットの道営水力発電所を有している道としても、いろいろな取り組みが考えられるのではないかと思います。
先ほどの答弁で、電力供給の安定は保たれるとのことでしたが、新電力会社の大半は本州の大手資本であり、77施設の電力受給契約に係る入札参加者については、道内の事業者は1事業者のみです。
今後の契約に当たっては、道が進めるエネルギー自給・地域循環システムの方向性に沿い、再生可能エネルギーの活用と、地域の新電力会社の参入機会も確保できるよう検討すべきと考えますが、いかがですか。
昨年、私ども日本共産党道議団が視察した美深町では、山口信夫町長が、胸を張って、2014年度に全道に先駆けてつくったと紹介してくれた商工業担い手支援制度が効果を上げています。対象は、道の小規模企業振興条例と同じ事業者の規模です。
人口が4600人の町で、2年間で、新規開業が6件、親族以外も含む事業承継が7件、人材育成奨励金が13件、研修・調査助成金が9件、異業種進出が1件など、37件、約5000万円の利用があったと報道されました。
私は、まさしく地方の力強い取り組みだと考えるところです。ほかの市町村でも同様の取り組みが進んでいると承知をしております。
道の小規模企業振興条例についても、こうした取り組みなどによく学ぶべきところがあると考えますが、知事は、実効ある対策にどのように取り組むお考えか、伺います。
最後に、教育長、私は、地元・標茶町でお聞きをしたお母さんたちの言葉をお届けしたいと思います。
お母さんのお一人は、家族でこの町で一緒に生きていきたい、この町のために、この子と一緒に生きていきたいと話されていました。
また、障がいを持つ子どもは、自分自身の生きづらさや自分の気持ちを伝えられないつらさを持っている、親は後ろめたさも持ち、隠したいとも思っている、でも、標茶のお母さんたちが何度も壁を取り払って頑張ってきたのを見て、頼ってもいいのかなと思えるようになったと、涙を拭いながら話していらっしゃいました。
私は、胸がぐっと詰まる思いで受けとめました。
あふれる思いは、それにとどまりませんでした。
お母さんたちが立ち上げたNPO法人には、若い専門職の職員が何人も雇用され、移住してきて、結婚し、子どもも生まれています。一人一人の住民が主役になって、この土地にとどまって、家族で生活を営んでいきたいとお話しされていました。
教育長と道教委の皆さん、そうした親御さんたちの気持ちをしっかり受けとめ、一日も早くその期待に応えられることを強く求めておきます。
以上、再々質問を留保し、私の質問を終わります。(拍手)(発言する者あり)
○議長遠藤連君 知事。
○知事高橋はるみ君(登壇)真下議員の再質問にお答えをいたします。
最初に、平和の考え方についてでありますが、憲法が示す、国民主義、基本的人権の尊重、平和主義といった考え方は、国民の間に広く定着をし、普遍的かつ重要な理念であり、こうした憲法の理念は最大限尊重すべきと考えるところであります。
国際平和の実現のためには、世界の国々や地域が、さらに連携と協力を強めて取り組んでいくことが何より重要であり、我が国においても、国際協調や平和をとうとぶ考え方に基づき、平和を守っていくための努力を積み重ねていくことが大切であると考えるところであります。
次に、消費税率についてでありますが、最近の本道経済の状況は、生産活動や個人消費の一部などに弱い動きが見られるものの、商業販売額や来道者数の増加、有効求人倍率の上昇など、全体としては、緩やかに回復傾向にあると認識をするところであります。
持続可能な社会保障制度の確立は、いつまでも先送りできない課題と認識しているところでありますが、消費税率の引き上げに当たっては、低所得者層を初め、国民、道民の皆様方の暮らしや、中小企業など、地域経済への影響についても十分考慮する必要があるものと考えるところであります。
次に、TPPによる影響についてでありますが、地域や関係団体の御意見をお伺いするとともに、今回、国の考え方を参考に、生産額への影響を試算したところでありますが、TPP協定の影響は相当な長期にわたり、前提条件の変化なども考えられますことから、今後とも、道内への影響について、継続的に把握、分析を行うなど、対応してまいる考えであります。
次に、地方交通に関し、まず、JR北海道における安全対策についてでありますが、JR北海道では、JR石勝線の列車脱線火災事故を受けた国の事業改善命令及び改善指示に基づき、避難誘導マニュアルの作成やトンネル内の照明設備の充実、車両への避難はしごの搭載など、ソフト、ハードの両面で改善に取り組んできているところであり、また、運転士や車掌等、避難誘導に当たる全ての乗務員を対象に、実際の車両を用いた習熟訓練や、トンネルでの実地訓練を実施してきていると承知いたします。
JR北海道においては、今後とも、訓練内容の充実などに取り組む予定と聞いておりますが、私といたしましては、不断の改善を図りながら、安全対策の徹底がなされるよう求めてまいります。
次に、JRの利便性の向上についてでありますが、JR北海道においては、商品体系の簡素化等を図るとして、割引切符の見直しを予定しているところでありますが、利用者の皆様方からは、利便性の低下を指摘される声もあるものと承知いたします。
広い本道において、鉄道は重要な公共交通機関であることから、JR北海道においては、その業務の見直しに当たり、より利用者のニーズに配慮した対応が求められるものと考えるところであります。
道といたしましては、引き続き、地域の実情などを踏まえた、利便性やサービスの向上に向けた取り組みをJR北海道に求めてまいります。
次に、厚幌ダムについてでありますが、昨年、東日本大震災の影響などに伴う労務費や資材価格の高騰などにより、総事業費の変更を行ったところでありますが、その後、工事の進捗に伴い、事前の調査では想定できなかった強固な岩盤の出現などにより、総事業費の増額が見込まれ、このたびの、有識者で構成する公共事業評価専門委員会において、確認、了承されたところであります。
厚幌ダムの整備については、地域の方々が安全で安心して生活するための治水対策や、安定した水道用水、かんがい用水の供給など、その必要性は変わっていないことから、今後とも、早期完成に向け、適時適切に必要な対応をしながら、着実に推進してまいる考えであります。
次に、原発の安全対策についてでありますが、高浜発電所4号機の一時冷却水漏れや原子炉の自動停止などのトラブルについては、極めて遺憾であります。
原発は何よりも安全性の確保が最優先であり、事業者の責務として、規制基準を満たすことはもとより、保安体制の充実に努めるなど、安全対策の徹底が不可欠と考えるところであります。
私といたしましては、道民の安全を守る知事として、国や事業者に対し、その責任において安全対策に万全を期すよう、今後とも強く求めるとともに、原子力防災対策については、その充実や強化に不断に取り組んでまいる考えであります。
次に、電力に係る今後の契約のあり方についてでありますが、ことし4月からの電力の小売全面自由化により、さまざまな分野から電力市場に参入する新電力会社が、地域の事業者も含め、増加しているものと承知をいたしております。
道といたしましては、庁舎等で使用する電力の調達に当たって、電力の安定的な確保とともに、適正な競争によるコストの節減を図っていく必要もあると考えるところであります。
このため、今後とも、道内を供給地域とする新電力会社について、営業形態、料金メニュー、電源構成といった事業特性や、電力取引の動向などを注視しながら、電力受給契約が適切かつ効率的なものとなるよう努めてまいる考えであります。
最後に、小規模企業の振興についてでありますが、今般制定を目指す小規模企業振興条例では、経営体質の強化や円滑な事業承継、創業等の促進を施策の基本方針として掲げているところであります。
道といたしましては、今後、この方針に沿って、国や市町村、関係団体との緊密な連携を図りながら、きめ細やかな施策の展開に努めるなど、地域の経済や雇用を支える小規模企業の振興に全力で取り組んでまいる考えであります。
ただいまの、平和の考え方に関する私の答弁の中で、憲法が示す国民主義と申し上げましたが、国民主権の誤りでありますので、訂正させていただきます。
以上であります。
○議長遠藤連君 真下紀子君。
○75番真下紀子君(登壇・拍手)(発言する者あり)知事に再々質問をいたします。
まず、安保法制と自衛隊の危険性の高まりについてですが、国民主権を国民主義と言い違えるなど、非常に危機感のない答弁に驚きました。(発言する者あり)
知事、南スーダンでのPKO活動のリスクの高まりだけではなく、国内では別の危険が高まっています。
安倍首相は、公然と、参議院選挙の公約に任期内の憲法改正を掲げるとし、中谷防衛大臣は、軍隊を保有するのは常識だなどと、まるでたがが外れたように、大臣に課せられ憲法遵守義務を忘れた傍若無人な発言をしています。
民主主義の根幹である立憲主義に真っ向から反し、暴走に拍車をかけていますが、道内の自衛隊員が犠牲になることを、私たちは力を合わせてとめなければなりません。
私は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることがないように決意をした日本の国の主権者の一人として、これまでも、これからも、国際貢献については非軍事の立場を貫くために力を尽くしたいと、改めて決意するものです。
知事は、平和を守る努力を積み重ねることが大切と答弁されましたが、その手法は、あくまで憲法にのっとった非軍事の立場を貫くべきとお考えになるのかどうか、明確にお答えください。
次に、地方交通についてですが、知事が、トンネルの安全対策の不断の改善、地域の実情に応じた利便性の向上について答弁されたことは重要です。ぜひ、その実現を確認するように求めておきたいと思います。
さて、知事は北海道150年と言っていますが、忘れてはならないのは、北海道の歴史は、アイヌの歴史と、1880年に開通した鉄道とともにあったということです。
本州との鉄道の開通で本格的な発展を遂げたわけですが、本州とは違って、まちからまちをつなぐのではなく、鉄道が道内各地に敷かれ、その先にまちができたのが北海道の歴史と言われています。知事は、その歴史に思いをはせたことがあるでしょうか。
また、今、新幹線開業を間近に控え、訓子府町の菊池一春町長は、新幹線を心からは喜べませんと言っていることを知事は御存じですか。
菊池町長は、池田町と北見市の間の第三セクター鉄道のふるさと銀河線が、道に、これ以上応援できないと突き放され、存続を求めていた沿線地域では廃線を決断せざるを得なかった、1世紀近い歴史を刻んだ鉄道の最後の日、北見に向かう最終列車を見送った、今、JR北海道があの悲しみを繰り返そうとしていると述べています。それは単なるノスタルジーではありません。
国は、地方創生だといって、人口をふやす努力を迫っていますが、地域の努力を本当に理解しているのでしょうか。鉄路がなくなり、通院や通学ができなくなって、母校である学校がなくなり、病院がなくなっています。効率優先で切っていくと、北海道の鉄道も人も地域に残れなくなってしまいます。
4期目を迎えた知事が、地域を回り、声を聞いたというのであれば、今は、ない袖は振れないと言った当時とは違う決断をされるのではないかと思います。
新幹線開業と同時に、まるで、毎年約50億円の新幹線の赤字の穴埋めのように、ローカル線の安全や利便性が後退するのでは、道内を挙げて、喜びを心から共有することはできないのではないでしょうか。
野々村仁幌延町長は、利便性が悪くなり、さらに合理化の対象となるJR宗谷線の活性化について、JR北海道は自治体と一緒に考える姿勢を示してほしいと述べたとも報じられています。
また、2月20日の北海道新聞の「読者の声」には、JR北海道は乗客増へ努力不足だとの声が寄せられました。
知事は、海外観光客と新幹線にばかり目を奪われず、北海道の鉄道の長大路線が持つ重要な意味をいま一度考え、乗客増に向けた取り組みをしっかりとJR北海道に求めるとともに、鉄道を生かした観光商品開発に業界としてもしっかり取り組むよう発信していくべきではないでしょうか。時間があれば、ローカル線にもお乗りになってはいかがでしょうか、お答えください。
厚幌ダムに関して伺います。
知事は、胸を張って、着実に進めるとお答えになりました。しかし、8カ月の間に2回で120億円もの事業費の増額は異例なことですよ。公共事業評価専門委員会の委員の方々が問題視するのも当然です。
確かに、庁内手続は済んでいるかもしれません。しかし、水需要も減少する厚幌ダムについて、計画の見直しもせず、言われるがまま、340億円の当初予算を480億円にまで膨らませることを、給料も減り、やりくりに苦しむ多くの道民はどう見るでしょうか。
長年にわたって給与を削られながら、道財政が厳しいため、何万円、何十万円の予算をやりくりして、道民の暮らしを支えようとしている道職員の目には、120億円の増額はどのように映るとお考えになっているのか、お聞きします。
道民の目線に立った事業執行を求めたいと思いますが、いかがか、伺います。
最後に、原発とエネルギーについてです。
原発は、新規制基準をクリアして再稼働したものの、トラブル続きです。泊原発では、北電が安全対策として2000億円以上を費やし、泊3号機の停止以降は、年間で812億円の維持管理費と、冷却費用が4年間で約3200億円など、合計で5000億円を超える費用が、総括原価方式で電気料金として道民負担となるわけです。道民生活、道内経済の不利益は非常に大きいと言えます。
さらに、先ほど申し上げましたように、1415億円もの補助金などの原発マネーは国民の負担であり、原発は、莫大な国民の費用負担を前提にしなければ成り立たない電源であることは明らかです。
これだけの予算を再生可能エネルギーや廃炉に投じれば、道民が、原発事故のリスクを心配し、延々と安全対策費用を負担することなく、安心してエネルギーを使うことができるのではないでしょうか。
知事、原発の危険を回避し、高い電気料金の負担から道民を解放するためにも、もう原発を諦めるべきではないですか。
泊原発の再稼働という苦渋の選択などをせずに、再生可能エネルギーに大きくシフトしていく、廃炉を含めた現実的スケジュールを示すべきではないでしょうか、お答えください。
以上、知事に率直な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)(発言する者あり)
○議長遠藤連君 知事。
○知事高橋はるみ君(登壇)真下議員の再々質問にお答えをいたします。
最初に、国際平和についてでありますが、私といたしましては、平和で争いのない世界を実現していくことが何よりも大切であり、憲法の理念の一つである平和主義を最大限尊重し、擁護すべきものであると考えるところであります。
我が国においても、憲法が示す平和主義や国際協調主義のもと、世界の国々や地域と連携協力しながら、国際平和の実現に向けて取り組んでいくことが重要であると考えます。
次に、JR北海道への対応についてでありますが、道といたしましては、JR北海道の業務の見直しについて、市町村との連携を強めながら、地域の実情や意向を踏まえた慎重な対応とともに、観光事業者との連携による魅力ある商品の開発なども含め、利便性やサービスの向上に向けた取り組みなど、公共交通機関として果たすべき役割を踏まえた対応をJR北海道に求めてまいります。
次に、厚幌ダムについてでありますが、東日本大震災の影響などに伴う労務費や資材価格の近年にない高騰などにより、発注に際し、昨年度、総事業費の変更を行い、その後、工事の進捗に伴い、事前の調査では想定できなかった強固な岩盤の出現などにより、総事業費の増額が生じたところでありますが、地域住民が安全で安心して生活できるための治水対策や、安定した水道用水、かんがい用水の供給など、その必要性は変わらないものと考えるところであります。
こうしたことから、ダムの整備につきましては、地元からの整備促進への強い要望を踏まえ、コスト縮減にも十分配慮しつつ、早期完成に向け、着実に推進をしてまいります。
最後に、新エネルギーについてでありますが、暮らしと経済の基盤である電力については、それぞれの電源の特性が生かされた多様な構成としていくことが必要であります。
私といたしましては、こうした考えのもと、将来、原発に依存しない北海道を目指し、新エネルギーが主要なエネルギー源の一つとなるよう、道内のさまざまな資源を生かし、その導入拡大を図ってまいります。
以上であります。