29番佐野弘美君(登壇・拍手)(発言する者あり)日本共産党を代表して、議案第102号に対し、反対の立場から討論を行います。
反対理由の第1は、TPPの批准を前提とした予算が計上されていることです。
TPP大筋合意の詳細は、いまだに明らかにされていません。国会決議に反し、重要5品目の3割で関税を撤廃し、農林水産物全体の撤廃率は8割を超えるという、史上最大の自由化をしながら、国は、自給率を維持できる、農業生産も減らさないという、安直な試算を示し、道も、国の基準をそのまま適用して、道内の影響額を402億円から598億円とする試算を示しました。
北海道の現状を踏まえておらず、農業関係者を初め、道民から、過小評価との批判の声が上がるのは当然です。
本補正予算のうち、TPP関連予算は556億円に上ります。そのうち、9割以上の512億円が公共事業費です。
農畜産業の競争力の向上に必要な生産基盤の整備として487億円が計上され、農業経営の一層の大規模化が目指されています。
規模拡大一辺倒では、道自身が目指すとしている、家族経営を主体としつつ、法人化や企業の農業参入など多様な担い手の育成確保にも逆行すると、強く指摘しておきます。
第2に、農業の競争力の向上、規模拡大と一体に、地方創生加速化交付金を活用し、農業への民間企業の参入を促進する、新たな担い手確保・経営体質強化対策事業費が盛り込まれていることです。
我が会派の同僚議員の質問で、これまで、農業分野に参入してきた民間企業のうち、44件が撤退していることが明らかになりました。
もうからなければ撤退するのは、企業原理として当然ですが、農業は、それでは務まりません。
4月からは、農業に参入する民間企業の要件が緩和され、役員のうち、農業に従事する者は1人だけでも可能となりますが、企業の参入と撤退が一層激しくなり、農地、農村の荒廃にもつながり、賛成できません。
家族農業を柱とし、農業者による法人化など、多様な農業の経営体の支援こそ強化すべきであることを申し添えます。
第3に、介護福祉士等修学資金貸付事業が、介護分野の人材確保の趣旨からかけ離れていることです。
国が原資を積まなかったことにより、今年度は、希望者が借りられず、道は、生活福祉資金や母子寡婦福祉資金を紹介したとしていますが、借りた人は、わずか8人にとどまっています。こうした事態を生んだ国と道の責任は極めて重いものと言わざるを得ません。
道の説明によると、補正計上された100人分とは、道内の養成学校入学者数に子どもの貧困率の16.3%で積算したと言いますが、そもそも、本事業は、介護人材確保のための貸付事業であって、子どもの貧困率を根拠とすることは、人材育成と貧困対策を混同しているものであり、見当違いも甚だしいものです。
大学生の53%が奨学金を借りていることに照らしても、子どもの貧困率の16.3%を根拠に貸付対象数を計算することは、余りに不十分です。
修学資金を必要としている学生が借りることができる原資を確保し、介護人材の不足を解消するために、一層の財政措置を国及び道に強く求めるものです。
さきに述べましたTPPの影響に懸念を持たれている全ての道議会議員の皆さんに反対の趣旨を御理解いただき、各位の御賛同をお願い申し上げ、反対討論といたします。(拍手)