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道議会での取り組み


2007年決算特別委員会

【真下紀子道議、道立病院事業などただす】 07.11.08

2007年11月8日 決算特別委員会 質疑概要(2)

質問者 日本共産党 真下紀子 議員

  1. 企業局所管の問題について
  2. 保健福祉部所管の問題について

2 保健福祉部所管の問題について

(1)病院事業について

○真下紀子委員

 それでは、道立病院事業会計に関して、影響を与えた要因について、各方面から少し質問をさせていただきたいと思います。

a)病院事業会計における企業債の借入状況

 初めに、借換債についてです。
 借換債については、先ほどと質問が重複しておりますので、簡潔にお伺いいたします。
 道立病院事業会計における企業債の借り入れ状況をまず伺います。

○真鍋道立病院管理局参事

 企業債の借り入れ状況についてでございますが、道立病院におきましては、これまで、病院の建設や医療機器の整備に当たって、企業債である病院事業債を財源として充当してきておりまして、平成19年3月31日現在の企業債発行総額は380億3800万円となっておりまして、そのうち、未償還となっている企業債残高は290億1800万円となっているところでございます。

○真下紀子委員

 公営企業債のうち、利率が5%以上の企業債が繰り上げ償還の対象となると伺っております。道立病院事業会計において、この水準に該当する起債の状況を伺います。

○真鍋道立病院管理局参事

 繰り上げ償還の対象についてでございますが、未償還となっている企業債残高、約290億1800万円のうち、繰り上げ償還の対象となる年利5%以上のものは約16億300万円となっておりまして、道立病院におきましては、現在、総務省の通知に基づき、この年利5%以上の企業債について、2%以下の低金利のものへ借りかえする手続を進めているところでございます。

○真下紀子委員

 繰り上げ償還に伴う効果額がどのくらいになると見込んでいるのか、伺います。
 あわせて、償還方法は一括ということでよろしいかどうか、確認をしたいと思いますので、お願いいたします。

○真鍋道立病院管理局参事

 繰り上げ償還の効果額などについてでございますが、ただいまお答えいたしました年利5%以上の残債、約16億300万円について借りかえによる支払い利息を試算しました結果、約1億9000万円の節減が図られるものと推計しているところでございます。
 なお、返済は一括で行いたいと思っております。

○真下紀子委員

 繰り上げ償還を行えば約1億9000万円の節減が図られるということで、これまでは過払い利息を払い続けてきたのではないかと、国の対応に私は疑念を持っているところです。

b)診療報酬改定の影響について

 次に、診療報酬改定の影響について伺います。
 平成14年度からこの4年間で、入院は延べ8万2415人、1日平均当たりにしますと225.8人、外来者が延べ16万8902人、1日平均でいきますと689人が減少しております。この減少の要因について伺います。

○真鍋道立病院管理局参事

 平成14年度から4年間の患者数減少の要因についてでございますが、道立病院におきましては、平成16年度に寿都病院を寿都町に移管するとともに、釧路病院を廃止したこと、また、平成16年度からの医師卒後臨床研修制度及び医師の開業医志向などの影響から、近年、医師の確保が非常に困難な状況となっておりまして、診療体制の整備ができず、入院、外来ともに患者数が大幅に減少したことによるものと考えているところでございます。

○真下紀子委員

 患者数が減っているということが一つ要因にあると。
 次ですけれども、平成17年度と比較した病院事業収益の減額、約14億6800万円のうち、医業収益の減収が経営に大きな影響を与えていると思います。中でも、診療報酬改定に伴う減収が大きいと考えるところです。
 4年前にも診療報酬が減額をされていまして、そのときにも、前年度と比べて、入院基本料、処方せん、画像診断料、手術料で約7400万円の減額になっており、精神の900万円減額と合わせて、計8300万円が収入減となっておりました。
 そこで伺いますけれども、平成17年度と比較した場合、昨年4月の診療報酬改定に伴う減算額はどの程度だったか、お示しください。

○真鍋道立病院管理局参事

 平成18年度診療報酬改定の影響についてでございますけれども、平成18年度の病院事業において収益となった診療報酬の額を、平成18年度の診療報酬が仮に平成17年度と同じであったとして試算した額と比較いたしますと、入院収益でマイナス1.9%、金額にしまして約1億1700万円、外来収益でマイナス1.9%、約5600万円、入院、外来でマイナス1.9%、約1億7300万円の減収となる計算結果になったところでございます。
 また、内容別に、増減となった主なものといたしまして、食事療養費が約5500万円の減、薬剤料が約1億4000万円の減、検査料が約9300万円の減、リハビリテーション料が約2700万円の減で、総額約4億4300万円の減となっている一方、手術料が約1億100万円の増、入院料が約5000万円の増、麻酔料が約3900万円の増で、総額約2億7000万円の増となっているところでございます。

○真下紀子委員

 診療報酬改定の影響は約4億4300万円で、これが減となっているわけですね。
 それで、入院をして、手術をしたり、麻酔をかけたりする場合は増額の対象となるけれども、そうでない場合は増額の対象とはならないような診療報酬体系だということがわかったわけです。
 差し引きしても1億7300万円減収になっていると。これは道立病院の事業だけではどうしようもない。国のやった診療報酬改定の結果がこういう病院経営を圧迫する結果になっているのだと指摘せざるを得ないと思います。
 前段の患者さんの減少についても、医療保険料が高くなって、負担が多くなり、税負担がかけられてくる中で、やはり病院になかなかかかりにくい状況が生まれてきているのではないかと推察をできるところです。

c)リハビリ日数制限による影響について

 さらに、リハビリ日数制限による影響について伺います。
 病院が持ち出さなければならない状況も生まれているということは、これまでに指摘をしてきました。関係者から改善を求める声が広がっているわけですけれども、道立病院における平成18年度の状況について伺います。

○真鍋道立病院管理局参事

 リハビリの日数制限の影響についてでございますけれども、平成18年度の診療報酬改定によりましてリハビリテーションに日数制限が設けられまして、脳血管疾患などのリハビリテーションは180日、それから、運動器リハビリテーションは150日、呼吸器リハビリテーションは90日までとなったところでございますが、道立病院におきまして、現在、リハビリテーションの診療報酬の届け出をしております江差、紋別、羽幌、苫小牧の4病院におきましては、この上限日数を超えましても引き続きリハビリテーションが必要と医師が判断した場合には、これらの上限日数を超えた患者さんにおきましてもリハビリテーションを継続しているところでございます。
 また、平成18年10月の1カ月の影響を調査した結果でございますけれども、羽幌、苫小牧の両病院におきまして、運動器や呼吸器のリハビリの算定日数上限を超える患者が27名おりまして、金額にして8万円程度の収益が減少しているものと考えているところでございます。

○真下紀子委員

 リハビリを一生懸命やっていけば病院の減収につながる。わずかながら、8万程度ですけれども、道立病院はそれをカバーして患者さんの治療に専念されている。国のやっていることは本当にひどいやり方だなというふうに私は思います。
 そういった声が高まった中で、2007年にリハビリテーション料の再改定が部分的ながら行われて、一部改善されました。
 しかし、リハビリ本来の目的から考えますと、まだ十分な見直しとはなっていないと思います。今後、国に対してさらに見直しを求めるべきではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。

○真鍋道立病院管理局参事

 国への要望についてでございますけれども、平成18年度の診療報酬改定におきまして、リハビリテーションの算定日数の上限が設けられましたことにより、道立病院におきましても収益への影響が懸念されましたことから、昨年12月にその見直しについて国に要望したところでございます。
 また、19年度から新たにリハビリテーション医学管理料が設けられまして、診療報酬上の措置がされたものの、改定前の診療報酬には至っていないことから、本年7月に、全国自治体病院協議会を通じまして、引き続き国に要望したところでございます。
 今後とも、必要に応じまして、全国知事会など関係団体を通じまして要望してまいりたいというふうに考えております。

○真下紀子委員

 国による診療報酬の改定というものが見直されるたびに病院経営が困難になる。道立病院だけではなく、道内の民間病院も同様ですけれども、道立病院の場合は、道の経営努力だけで解決できない重荷を国が押しつけている、こういう状況ではないかというふうに思うわけです。国の医療費抑制政策の害悪が出ているということを私は指摘しなければならないというふうに思います。

d)医師・看護師不足の状況と対策について

 次に、道立病院の医師・看護師不足の状況と対策について伺います。
 支出に当たる医業費用のうち、給与費、材料費などが、平成17年度に比べ、平成18年度は大幅に減少していますが、どのような要因でしょうか。

○真鍋道立病院管理局参事

 医業費用の減少要因についてでございますけれども、平成18年度の決算における医業費用につきましては、平成17年度決算と比べまして、約19億300万円減少しておりまして、その主な要因といたしましては、給与の独自縮減措置などによる給与費が約10億7600万円の減、患者数の減少などによる材料費が約4億7300万円の減、平成17年度に移転改築した羽幌病院の解体撤去費などの資産減耗費が約2億1600万円の減となっているところでございます。

○真下紀子委員

 給与の独自縮減が10億円を超えているわけですけれども、本当に大きな影響があったというふうに思います。そういった給与を減らされた中でも、医師、看護師は頑張っているわけです。
 道立病院の医師は、平成18年度末に比べまして、現在11名減少しているというふうに伺っております。そういった中で、当直回数は平成14年度から18年度にかけて3カ所で増加をし、特に残業の増加が顕著であるというふうに伺っております。看護師の勤務状況については、残業は軽減傾向にあるものの、夜勤回数は減少しておりません。
 医師の勤務状況は大変過酷であり、看護師の勤務状況は改善されていないと考えますけれども、道の認識はいかがでしょうか。

○浅利道立病院管理局参事

 医師及び看護職員の勤務状況についてでございますが、道立病院の医師につきましては、平成16年度から開始されました医師の卒後臨床研修制度の影響や、近年の都市部での開業志向の高まりなどにより、その確保が極めて難しい状況にあることから、1人当たりの当直回数や時間外の勤務時間が増加しているなど、厳しい勤務環境にあるものと認識しているところでございます。
 また、看護職員につきましては、看護師等の人材確保の促進に関する法律などに基づき、病棟においては、夜勤複数体制、月8日以内を基本として配置しておりますが、道立病院全体の病棟における月平均夜勤回数は、平成17年度は8.4回、平成18年度は8.3回となっているところであり、いずれも月平均8回を上回っておりますが、これは、病気、出産などの長期休業者や欠員が生じていることが影響しているものと考えているところでございます。

○真下紀子委員

 先に看護師の問題について指摘をしておきますけれども、看護師についてはは、結婚して出産しても働き続けられる環境があるかどうかということが、その人材が確保されるかどうかにかかわるわけで、本当に重要な課題だと思います。
 安心して子供を預けられる環境というのがどうしても必要なわけですから、出産後の保育園のサポート、この点については道としてもぜひ御努力をいただきたい。不安定な状況に陥らないようにということで、指摘をさせていただきます。
 医師の問題で質問いたしますけれども、ただいま、平成16年度から開始された医師の卒後臨床研修制度の影響などで医師の確保が困難となり、医師の当直回数や時間外勤務が増加しているとの御答弁がありましたけれども、具体的な増加状況についてお伺いいたします。

○浅利道立病院管理局参事

 医師の当直回数などについてでございますけれども、平成16年度から開始されました医師の卒後臨床研修制度の影響などによりまして医師の確保が困難となりましたことから、平成18年度における医師の当直回数や時間外勤務について平成16年度と比較いたしますと、当直回数につきましては、道立病院全体の1人当たり月平均回数が、平成16年10月では3.9回でございましたが、18年10月は4.0回となっております。
 時間外勤務につきましては、1人当たり年間平均実績が、平成16年度は147.8時間、平成18年度では181.9時間で、34.1時間増加しているところでございます。

○真下紀子委員

 時間外勤務というのは減少させていくというのが今の社会の流れの中で、医師の過酷な状況というのが明らかになったと思います。こういった過酷な医師の勤務体制の中で研修は保障されているのかどうか、伺います。

○浅利道立病院管理局参事

 医師の研修についてでございますが、道立病院が地域に良質な医療を提供していくためには、医師を初めとした医療技術者は、みずからの診療技術向上に向け、研さんに努めていく必要がございます。
 特に、医師につきましては、各種学会や研修会などに出席し、日々進歩している医学の中で、常に最新の知識や技術を得ていくことが大切と考えているところでございます。
 平成18年度におきます道立病院医師の道内外の各種学会などへの出席状況につきましては、常勤医師1人平均では1.5回となっているところでございます。

○真下紀子委員

 医療の進展というのは本当に速いものですけれども、それを技術として身につけて、さらに患者さんに反映させる立場から、年間1.5回の研修というのは本当に少ないのではないかというふうに思います。
 特に、過疎地域に勤務する医師の皆さんは、技術研修ですとか知識の研修ですとか、そういったものも含めて、足りないということで、なかなか行きにくいと。そういった中で、研修を保障できるような体制というのがどうしても必要になると思います。
 こういった勤務状況改善のための対策についてどのように検討しているのか、伺います。

○浅利道立病院管理局参事

 医師などの勤務状況の改善についてでございますが、地域における医師不足が深刻となっている中、道立病院においても医師の確保が極めて難しい状況にあるため、医師の配置が少ないことなどから、医師の負担が大きい病院につきましては、医育大学などから当直の応援を得るなどして、負担軽減に努めているところでございます。
 道立病院が地域に安定した医療を提供するためには医師の確保が重要でございますことから、道としては、引き続き、その確保に最大限努めてまいりたいと考えているところでございます。

○真下紀子委員

 後で質問をします医療事故との関係で調べている中に、予定時間が10時間の手術をした後に、引き続き22時間の解離性大動脈瘤の緊急手術をやったドクターが、残念ながら、極度の疲労があったためか、事故につながっていたという事例が公表されておりました。
 医師がこういった過酷な状況の中でバーンアウトして、さらに離れていくという状況が繰り返されないように、私たちもこれまで医師確保対策について質問してきましたけれども、ぜひこの点についても実効ある対策をとっていただきたいということを申し述べておきます。
 次に、卒後医師臨床研修制度の取り組みについてです。
 平成16年度から必修となった卒後医師臨床研修制度ですけれども、当時の小田清一部長は、道としては地域医療の特性を生かした中での研修医の募集を今行っておりますので、そういう方向で内容の充実を図っていきたいと、自信を持ってお答えになっておりました。
 私は、そのとき質問して、本当に大丈夫かなという思いはしておりましたが、こういった御答弁があったものですから、その状況を見ておりましたけれども、実際、臨床研修医は確保されていない状況です。どこに問題があると考えるのか、伺います。

○浅利道立病院管理局参事

 臨床研修医の確保についてでございますが、道立病院におきましては、医師確保・定着を図るため、平成16年度から卒後医師臨床研修を、江差及び紋別病院におきまして、それぞれ定数2名で募集しているところでございます。
 そのマッチング結果は、16年度につきましては応募はなかったところですが、17年度につきましては、紋別病院で2名、18年度、19年度につきましては、両病院とも2名となったところでございます。
 また、先月発表されました平成20年度の医師臨床研修マッチングの結果、江差病院で募集定員どおりの2名の応募があったところでございます。
 道立病院におきまして募集定員どおりの応募が得られなかった背景として、医師不足により診療体制や研修医に対する指導体制が十分でないといったことが考えられるところでございます。

○真下紀子委員

 魅力ある研修プログラムを充実させるとともに、指導医を確保していくということは非常に重要な課題だと思います。
 札医大があるわけですけれども、指導医の確保などについては御協力をいただくなど、いろんな知恵と工夫を凝らしながら臨床研修医の確保に取り組むべきと考えます。今後の取り組みについてどのようにしていくのか、伺っておきます。

○浅利道立病院管理局参事

 今後の取り組みについてでございますけれども、臨床研修医の確保のためには、病院における診療体制や指導体制の充実が何よりも重要であることから、今後とも、医師確保に最大限努力してまいりたいと考えております。
 また、研修医のニーズなどを踏まえた研修プログラムの充実を図るとともに、こうした研修医が道立病院の医師として定着することが重要と考えておりますので、平成19年度から、新たに、緑ヶ丘病院におきまして、臨床研修終了後のいわゆる後期研修に取り組んでいるところでございます。

○真下紀子委員

 道立病院もそこそこで専門的な力量の高い病院もあるようですので、ぜひそういったことも活用して、確保のために頑張っていただきたいということを申し述べておきます。

e)医療事故と損害賠償金の経営への影響について

 次に、医療事故と損害賠償金の経営への影響についてです。
 これも4年前になりますけれども、せっかく出した収益を医療事故と損害賠償金が台なしにしているということを私は指摘させていただきました。平成18年度の医療事故がどういう状況なのかをお示ししていただきたいのと、あわせて、経年推移がどうなっているかを伺いたいと思います。

○浅利道立病院管理局参事

 医療事故等の状況についてでございますが、道立病院では、医療事故等の公表基準に基づき、平成18年度から公表を行っているところでありますが、平成18年度では、事故が起こりそうな環境に前もって気がついたなど、いわゆる、ひやり・はっとと呼ばれる事例が7病院合計で3184件発生しているところでございます。
 また、何らかの治療などを要した事故については、患者さんが移動中に転倒してひざを打ったなど、軽度な事故が309件、転倒時に足を骨折したなど、濃厚な治療を要した事例が18件、院内での自殺など、死亡事故が4件発生しているところでございます。
 次に、病院に医療過誤があり、損害賠償を行った事故について申し上げますと、平成15年度から平成17年度にかけて、院内感染や治療用機器の操作ミスなどによる事故が6件発生しており、これらの医療事故に伴って、約5364万円の損害賠償金の支払いを行ったところでございます。
 また、平成16年度には、抗がん剤の過量投与事故が1件、平成18年度には、手術後、体内にガーゼを残置した事故が1件発生しており、現在、これらの事故について損害賠償額の協議を行っているところでございます。
 なお、これらの医療事故に伴う損害賠償金については、道が加入している病院賠償責任保険により、いずれも補てんされているところでございます。

○真下紀子委員

 こういった、ひやり・はっとと言われる未然に防止をされている状況というのがこれだけあるということは、医療の現場が大変過密で過酷で、スピーディーに対応しなきゃいけないし、正確にやらなくちゃいけないということで、非常に緊張した状況がある中で未然に防げた数だというふうに受けとめたいと思います。
 しかしながら、やはり医療事故が起こっている。
 ただ、これを公表するに当たっては、きちっとアセスメントして、公表したことで、こういったことを起こさないというふうに再発防止のために次の事例にきちんと使えるということでいえば、公表というのはマイナスのイメージだけではないと思うのです。
 しかし、医療事故はあってはならないわけです。ましてや、保険をかけているからいいのだというような対応は絶対許されないことだと思うのです。医療事故が起きれば、その医療機関の信頼がまず崩れますし、経営への影響も、指摘をしたとおり、大きなものがあります。道はこの影響についてどうお考えか、伺っておきます。

○浅利道立病院管理局参事

 損害賠償金の経営への影響についてでございますけれども、道立病院では、平成8年度から病院賠償責任保険に加入しており、平成8年度以降に発生した医療事故の損害賠償金は、同保険から補てんされるため、賠償金の支払いに関しては、病院経営上の収支には直接影響しないところでございます。
 しかしながら、医療事故は絶対に起こしてはならないものであり、一度発生した場合、地域の信頼を大きく損なうこととなり、患者数の減少など、長期間にわたり大きな影響を及ぼすものと考えられますことから、医療安全体制の確立が極めて重要であると考えているところでございます。

○真下紀子委員

 道立病院においては、医療事故防止対策委員会が設置されていたり、医療事故防止対策マニュアルなどを活用して再発防止に努めるはずでした。効果がどのように出ていると考えるのか、伺います。

○浅利道立病院管理局参事

 医療事故の再発防止についてでありますが、道立病院では、平成11年度から、医療事故防止対策マニュアルを作成するとともに、医療事故防止対策委員会を毎月開催し、医療事故を防止する基本姿勢や、薬剤や輸血などに関する留意事項など、事故防止に関します情報の共有化を図り、医療事故の再発防止に取り組んでいるところでございます。
 しかしながら、近年、全国的に医療事故による訴訟などが増加する傾向にありまして、道立病院においても、平成13年度以降、毎年、損害賠償を伴う事故が発生しているところでございます。
 このような状況を踏まえ、道立病院では、平成18年度から、病院運営の透明性を高め、医療に対する道民の信頼を深めるとともに、医療事故などの情報を共有化し、医療事故の再発防止に資することを目的といたしまして、半年ごとに医療事故などの発生状況の公表を行っているところでございます。
 こうした取り組みの効果については、直ちに判断することはできませんが、このたび公表いたしました平成19年度上期の発生状況におきましては、前年同期と比較いたしまして、医療事故が約50件減少しているのに対し、一方で、ひやり・はっと事例の報告件数は約300件増加しており、これは職員の医療安全意識が高まっている結果であるとも言われておりますことから、今後とも、こうした取り組みを継続して実施し、医療安全体制の強化に努めてまいりたいと考えております。

○真下紀子委員

 ぜひ、医療事故が一つもなかったという事態が生まれるように頑張っていただきたいというふうに思います。

f)ジェネリック医薬品の普及について

 次に、ジェネリック医薬品の普及についてですけれども、ジェネリック医薬品の採用状況の変化及び影響額を伺います。

○真鍋道立病院管理局参事

 後発医薬品、いわゆるジェネリック医薬品の採用状況についてでございますけれども、平成18年度の後発医薬品の採用は、道立病院全体で593品目で、全医薬品5295品目の11.2%となっておりまして、平成14年度の5.1%に比べまして6.1ポイント上昇しているところでございます。
 また、後発医薬品の使用による経営効果についてでございますけれども、平成18年度における後発医薬品の購入総額は6611万円でございまして、先発医薬品を購入したと仮定した場合の金額は約1億360万円になると試算されますことから、約3749万円の費用が節減されたものと見込まれるところでございます。
 一方、後発医薬品は、先発医薬品と比べまして薬価基準が低く設定されておりますことから、後発医薬品を使用した場合の薬価は約7823万円であったのに対しまして、先発医薬品を使用したと仮定した場合、約1億1879万円になると試算されますことから、後発医薬品の使用により、収益は約4056万円の減収になったものと見込まれるところでございます。
 この結果、費用は約3749万円節減されたものの、収益は約4056万円減となりまして、差し引き約307万円の減収になったものと見込まれるところでございます。

○真下紀子委員

 これは本当に矛盾しているなというふうに思うのですけれども、ジェネリック医薬品を使うことで、病院の方は減収になって、経営上大変困難になる。しかし、患者さんや医療保険者の負担は軽減される。ですから、医療保険や患者さんの負担軽減のために非常に効果的ということで、国の方も、今後、原則ジェネリック医薬品という方針を持つやに聞いております。
 しかし、努力すればするほど経営上困難になるわけですから、国に対しては、ジェネリック医薬品を使った場合には何とかしなさいというようなことを言っていってもいいのではないかと私は思っております。
 そのほかに、医薬品の方では、薬事委員会を開催して、デッドストックを改善したり共同購入をしたりということを検討されているというふうに伺っておりますけれども、こういった開催状況や購入状況などについてはどうなっているでしょうか。

○真鍋道立病院管理局参事

 薬事委員会の開催状況についてでございますけれども、道立病院の薬事委員会は、院長、事務長、薬局長、総看護師長などにより構成されておりまして、医薬品の購入契約時期あるいは必要の都度、開催することとしておりまして、平成18年度におきましては、各病院で年2回から3回開催しておりまして、新規医薬品の採用や後発医薬品の導入、さらに、病棟におきます配置薬剤などの管理の徹底、遊休薬品の病院間での管理がえなどによりまして、死蔵品、いわゆるデッドストックの発生防止に努めることなど、医薬品の適正使用に関する検討を行っているところでございます。
 また、医薬材料の共同購入につきましては、道立7病院中2病院以上で使用しており、比較的大量に購入を予定しているもので、かつ価格にばらつきがあるものなどについて、本庁一括契約により実施しているところでありまして、平成18年度におきましては、薬品32品目について共同購入を行ったところでございます。

○真下紀子委員

g)入札改善による経営への影響について

 次に、入札改善による経営への影響について1点伺っておきます。
 4年前に、競争入札をしなければならないのに、道立病院の方で随意契約を繰り返していたということが監査委員から指摘されて、改善を求められておりました。こういった状況というのは改善されたでしょうか。

○真鍋道立病院管理局参事

 契約方法の改善についてでございますが、道立病院の契約事務につきましては、これまで、道の定期監査におきまして、被服の購入契約や薬品の単価契約などで、7者以上が参加して指名競争入札を行うべきところを、特別な理由もなく7者未満の指名となっていたものや、臨床検査業務の単価契約につきまして、競争入札を行うべきところを随意契約により契約を締結していたものについて指導を受けてきたところでございます。
 この間、契約事務に関する研修会の開催ですとか、各道立病院への実地指導を徹底してきたところでございまして、平成18年度の定期監査におきましては、このような指導事例はなかったところでございます。

○真下紀子委員

 競争入札については改善をされてきていると。
 一般競争入札については、寝具の入札状況を見させていただきましたけれども、1カ所が、1者しか入札に参加をしておりませんでした。ほかは2者で、その企業自体が少ないということを理由に挙げておりましたけれども、2者の入札のときには、初めに昨年度実績とかけ離れた金額で入札し、2回目は辞退するという例もありましたので、競争性が確保されていないのではないかという点もあったということを申し上げておきたいと思います。

h)病院給食への道内農産品の使用状況について

 次に、道内農産品についてですけれども、道立病院の方では、お米は道産米を使って好評でないかというふうに思っておりますが、北海道は、有機農業とクリーン農業に取り組んでいく、こういったことを言っております。こういった有機農産物とクリーン農産物を病院給食に使ったことがあるのかどうか、伺います。

○真鍋道立病院管理局参事

 有機農産物とクリーン農産物の使用状況についてでございますけれども、道立病院におきましては、より安全な食材の使用や地元農産物の利用を進めるため、地産地消の取り組みを行ってきておりまして、特に、委員のお話にございましたように、お米につきましては、すべて道産米を使用しているところでございます。
 ところが、有機農産物などの食材につきましては、現時点では極めて生産量が少なく、その流通も限られておりまして、その安定的な確保が難しい状況にありますことから、今後の生産量や流通状況などを踏まえまして、こうした食材の使用につきましても検討してまいりたいというふうに考えております。

○真下紀子委員

 皆さんの所管のところではないので、これ以上申し上げませんけれども、やっぱり、量が圧倒的に足りないわけです。ですから、ここのところは確保していくことが大事だなと。それだけではなく、北海道の農産物というのは、おいしいですし、極めて安全性も高いと思いますので、ぜひ御活用をお願いいたします。

i)道立病院の禁煙への取り組みついて

 次に、道立病院の禁煙への取り組みついて伺います。
 禁煙外来、おいしい空気の施設等として指定されている病院などの紹介をお願いいたします。

○真鍋道立病院管理局参事

 禁煙の取り組み状況についてでございますけれども、道立病院におきましては、江差、羽幌、苫小牧病院で敷地内禁煙、紋別、北見病院では全館禁煙を実施しているところでございます。
 また、緑ヶ丘病院、向陽ヶ丘病院や江差病院の精神科病棟につきましては、禁煙により治療上の支障が生じる患者さんもいらっしゃいますことから、病棟内に喫煙室を設置して、分煙としているところでございます。
 なお、羽幌病院、苫小牧病院は、おいしい空気の施設として保健所に登録しているところでございます。

○真下紀子委員

j)道立病院の果たす役割について

 道立病院は、地域への貢献も含めて、公共的な病院機能を発揮するために御努力もされながら、医師確保で苦労しながら、国の制度によって経営が困難になる中でも頑張っているという状況がわかってきたのではないかと思います。そういった中で道立病院が果たす役割について最後に数点伺います。
 昨年も議論されているのですけれども、道立病院の果たす役割について、そもそも、どういう認識をしているのかということをまず確認させてください。(発言する者あり)

○高橋道立病院管理局長

 道立病院の果たす役割についてでありますが、道立病院は、これまで、北海道保健医療福祉計画におきます医療提供体制の整備の考え方、あるいは市町村と道との役割分担の考え方などを踏まえまして、僻地における広域医療や、精神・結核医療といった不採算の医療を担ってきたところでございます。
 また、本道の医療を取り巻く環境は、少子・高齢化の進展によりまして、医療ニーズが多様化、高度化する一方で、地域における医師不足が深刻化しており、安定的、効率的な医療提供の確立を図ることが求められております。
 こうした中で、現在、病院事業の次期計画の策定作業を進めているところであり、策定に当たりましては、地域における医療提供体制や医療ニーズを把握するとともに、北海道医療計画や自治体病院等広域化・連携構想などとの整合性を図りながら、地域における医療機関等との役割分担や連携のもと、地域において必要な医療機能が確保されるよう努めてまいりたいと考えております。

○真下紀子委員

 地域における必要な医療機能というのがどういうレベルのもので、どういうボリュームのものかということについては、これから少し議論をしていきたいと思いますが、きょうの委員会ではこれ以上議論はしません。
 先ほど来お話にありましたように、今、国の方は、自治体病院の再編に向けて、総務省が公立病院改革ガイドラインを検討しています。その中で、国は、入院率70%を指標にしようとしているわけです。そうすると、道立病院は大変困難な状況だと思いますけれども、現状をお聞かせください。
 あわせて、病床利用率を改善すると、4年前の議会で答弁されていたのを私は見つけました。4年前にそう言っていたのですが、推移はどうなっていたのかを伺いたいと思います。

○浅利道立病院管理局参事

 道立病院の病床利用率についてでございますが、病床利用率の推移につきましては、平成15年の北海道病院事業経営計画の改訂以降、計画期間内に廃止した病院を除きます7病院で申し上げますと、15年度は68.3%、16年度は64.4%、17年度は62.6%、18年度は55.8%となっているところでございます。
 また、平成16年度から18年度までの3年間において病床利用率が連続して70%未満となっている道立病院は、北見、羽幌、緑ヶ丘、苫小牧の4病院となっているところでございます。

○真下紀子委員

 4年前の答弁は何だったのでしょうか。利用率はどんどんと下がってきているわけです。再編等々を含めた計画案をこれから審議するということだと思いますけれども、自治体病院の再編との関係でいえば、救急医療や災害医療、それから、先ほど来議論になっておりますけれども、不採算の部門ーーもともと、医療というのは採算がとれるようなものではないわけです。公的な力を発揮して、初めて必要な医療が確保できるわけで、こういった不採算部門をだれが担うのかなど、どういった役割分担を考えているのか、伺っておきます。

○高橋道立病院管理局長

 自治体病院の広域化・連携における役割分担ということでございますけれども、江差、紋別、羽幌の広域医療を担う道立病院につきましては、これまで救急医療や不採算医療などを担ってきたところでございまして、病院事業の次期計画の策定に当たりましては、先ほど申し上げました自治体病院等広域化・連携構想などとの整合性を図りますとともに、地元市町村や関係団体などから幅広く御意見をいただきながら、地域において必要な医療機能が確保されるよう努めてまいりたいと考えております。

○真下紀子委員

 自治体病院等広域化・連携構想等との整合性を図るということですけれども、市町村立病院との医療連携というのが欠かせなくなってくると思いますけれども、この点をどのように考えているのか、伺います。

○髙橋保健福祉部長

 市町村立病院との医療連携についてでございますが、広域連携の取り組みにつきましては、限られた医療資源を有効に活用し、地域全体で効率的な医療提供体制を構築するという観点から、地域の医療機関相互の役割分担、連携を図ることが重要というふうに考えているところでございます。
 このため、広域医療を担う道立病院の3地域におきましては、平成16年度以降、関係市町村や自治体病院等関係者で構成いたします地域医療連携検討会議を設置するなどいたしまして、地域の実情や課題を把握しながら、連携方策などについて検討を行ってきたところでございます。
 今後におきましては、北海道医療計画や自治体病院等広域化・連携構想などとの整合性を図りますとともに、総務省におきます公立病院改革ガイドラインの動向というものを十分把握しながら、地域において必要な医療機能を確保するという観点に立って検討してまいりたいというふうに考えております。

○真下紀子委員

 一言申し上げておきたいのですけれども、その検討の際に、黒字を目標にするようなことがあっては、北海道の地域医療の病院経営というのは成り立たないというふうに思います。
 また、民営化という提案などもあるようですけれども、企画振興部の方との質疑の中でも、公的役割を担っている公的病院というのは、経営が成り立たなくなって、そこの市町村から直接支援をもらえなければ撤退する、こういった状況が生まれています。
 また、地方公営企業法の全部適用をした、西の横綱と言われる病院にも私は視察に行ってまいりましたけれども、介護を包括した医療経営を行っていて、バックグラウンドは30万人規模の人口を医療圏としておりました。大学からのドクターの支援というのが非常に有効に働いておりまして、臨床研修医の確保にかかわっても非常に人気があるところで、看護師もどんどんと確保されるという状況でした。しかし、ここも、今後、介護保険法の改悪によって経営がどうなるかと言っていたのは、たしか2年か3年前だったと思います。
 医療だけで病院を経営して、それで過疎地域の医療を担えるというような状況ではない中で、どうやって医療の確保を模索するかということになれば、当然、国に物申すということが必要になっていくわけです。そのときに、ぜひとも道の実態を踏まえた上で北海道がきちっと意見を言っていただきたいし、強く要望も上げていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

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[日本共産党道議団編集]


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