2008年北海道議会第1回定例会 反対討論
日本共産党 真下 紀子 議員
続いて、議案第1号・北海道一般会計予算案の反対討論を簡潔におこないます。
景気対策という名のもとに、国に追随し、浪費型の公共事業を繰り返したツケとして、道は多額の借金を抱えることとなり、危機的な財政状況となっています。
幾度となく取り組んだ「道財政の健全化に向けた取り組み」も効果がなく、一昨年に策定した「新たな行財政改革の取組み」さえも、わずか2年足らずで頓挫し、今回、見直しを余儀なくされました。
知事は財政健全化の名で、道民には責任がないにもかかわらず、いっそうの痛みと負担を強いられています。
しかし、道民への痛みと負担を増大させても、なお、知事がいうような「持続可能な行財政構造の確立」などは到底望めません。
以下、反対の理由を述べます。
理由の第1は、予算案は、道民の暮らしへの配慮を欠いた内容となっていることです。
例えば、道民が暮らしている各市町村を支援する、地域政策総合補助金をみると、新たに合併市町村への財政支援として、合併前の市町村に1市町村あたり9千万円補助することとされております。
これは、市町村合併を補助金で誘導することに他ならず、知事がふだん言われている「市町村合併は、あくまでも市町村が住民の意向を踏まえて、自主的に判断されるもの」という考えとは、全く相容れないものです。
そして、地域政策総合補助金全体の予算額は、いまの合併補助分を加えても、昨年度よりさらに、約5億円も減額されています。
予算案は、道立高校の授業料や寄宿舎の値上げ、「かでる2・7」使用料や試験場手数料値上げなどが多数含まれており、昨今の灯油の高騰など道民の家計を無視した負担増は、認められません。
第2の理由は、福祉・医療に大変冷たい内容となっていることです。
国は、高齢者の医療費削減を目的として、新年度からの「後期高齢者医療制度」の導入を強行しようとしており、道の予算にも義務費所要額のみ計上されていますが、国民の間では、怒りの声が広がっています。
七十五歳という特定の年齢に達したら別枠の医療保険に囲い込み、負担増・給付減を強いるような制度は、世界にも例がありません。「高齢者だけを切り離して肩身の狭い思いをさせる。医療を受けることをためらわせる。」そのような制度を決して認めることはできません。高齢化社会を迎えるいまこそ、東京都が100億円を助成したように、道としても20億円規模の助成を行うなど、高齢者医療の充実を図るべきです。
また、道単独の医療費助成制度においても、難治性肝炎などの特定疾患医療費に係る低所得者を対象とした経過措置の廃止などにより、昨年よりも道単独医療費が減額されており、医療・福祉施策が後退しています。
反対の第3の理由は、聖域なき行財政改革として、道民に痛みや負担を強いながら、一方でムダな大型開発事業になんらメスを入れず、また大企業を、相も変わらず、優遇していることです。
これまでのわが党の度重なる指摘にも関わらず、わずか4分の短縮のために20億円もかける予定の千歳空港インターチェンジ調査費として2千万円、近隣に室蘭や小樽といった良港があるのに、大型の港湾事業費として、苫小牧港管理組合と石狩湾新港管理組合への負担金が約36億円、サンルダムと平取ダムへの直轄負担金に約8億円を費やすなど、不要不急の公共事業を継続する予算となっています。
大企業優遇としては、道外の大企業の企業誘致を念頭におく企業立地促進費補助金が約30億円計上されております。
これほどのお金があるならば、依然として厳しい若年者雇用などにつかうべきです。しかし、誘致企業への雇用助成金は、最低賃金並みでもよいとする貧弱なものです。激増する非正規雇用の拡大を抑える効果をあげる制度に見直すべきです。さらに中小企業対策、北海道の基幹産業である農林水産業に予算を使うべきです。
予算案に、北電とNTTが主な負担者である、道路・河川の占用料が引き下げが盛り込まれ、道の歳入が2億円近い減収となります。この改定について道は、「国に準拠」と説明しますが、国土交通省は「国に準拠すべきとは言っていない」と発言しているではありませんか。わが党の質問にたいする答弁では、本年4月からの改定を予定しているのは、道を含めて5道都県にとどまっています。
道内市町村も4月実施を予定しているのはわずかで、札幌市と旭川・函館の2中核市なども実施しません。このような状況のもとで、電柱占用料の引き下げを急ぐ道の姿勢は、財政再建に本気で取り組もうとしているのかと、疑わざるを得ません。
以上の理由により、一般会計予算案に反対いたします。
議案第5号は苫小牧東部地域開発、議案第6号は石狩湾新港地域開発への出資特別会計予算であり、ムダと浪費の大型開発の継続に反対です。
議案第12号・道営住宅事業特別会計予算は、今回、道営住宅の駐車場料金の引き上げによる、年間4000万円の負担増が盛り込まれています。 これら一連の、一連の利用料・使用料値上げは、厳しい道財政を理由に公平な負担といいながら、これまでの失政のツケを道民に一律転嫁するものであり、認めがたい提案です。
議案第47号・道心身障害者共済制度条例改正案も、同様に、障害者のみなさんの共済掛け金の値上げであり、賛成できません。
第52号ないし56号の、工業技術機関などの使用料等引き上げは、単なる引き上げにとどまらず、道内中小企業の技術向上を阻害するものであり、賛成できません。
また、第57号ないし62号、第65号、66号は、農林水産分野の試験研究機関の検査料等の引き上げであり、道内第1次産業の厳しさに配慮がなく、反対です。
議案第79号・道立学校条例の一部改正案による道立高校授業料の引き上げをはじめ、教育・分化・スポーツにまで道民負担を押しつけるものであり、納得できるものでありません。
議案第13号は、住宅供給公社経営健全化資金貸付事業特別会計予算です。 わが党は、この返済スキームがきまったときから、問題点を指摘しており、今回も反対します。
議案第16号は、電気事業会計予算です。 今回も、安価すぎる北電への売電の単価が更に引き下げられ、電気料金収入が昨年よりも約9700万円減っており、反対です。
議案第17号・工業用水道事業会計予算は、苫小牧東部開発と石狩新港開発と一体の事業であり、賛成できません。
議案第22号・道後期高齢者医療財政安定化基金条例案は、お年寄りを差別する、後期高齢者医療制度推進のための基金条例案であり、反対です。
議案第27号と第85号、86号、さらに88号は、北海道職員の給与を引き下げるための条例案です。教職員や警察職員も含めて今後4年間、一人あたり7.5%減らしつづけるのは、職員の働く意欲をなえさせるものです。20年度予算の一般財源ベースで344億円にのぼります。知事の公約違反であり、賛成できません。
第28号・北海道部設置条例の一部改正条例改正案は、知事のトップダウンによる政策推進を強化するものであり反対です。
議案第29号は道職員の旅費規定を改定するものですが、知事や特別職の旅費は、いまだ大臣なみであり、削減幅は、まったく不十分です。
議案第32号北海道職員等の定数に関する条例の一部を改正する条例案は、教職員の定数を全体で234人減員するものであり、反対です。35人学級、さらに30人学級の移行にこそ、努力すべきです。
議案第33号は、企業集積区域に進出する会社への優遇税制であり、道財政が厳しさに照らして反対です。
議案第64号と69号ないし72号、75号は、北電とNTTの占有料を引き下げるもので、大企業優遇といわざるをえず、議案第33号と同様、反対です。
以上で討論を終わります。
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[日本共産党道議団編集]
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