天空を裂くごう音
「ステイヒア!」(そこを動くな)−。鉄条網ごしに基地を視察していた私たちを迎えたものは、無線機を持ってにらみつける米兵2人の押し殺すような言葉でした。
中村さんにそでを引かれそこを立ち去ろうとした私たちに、身の丈2メートルはあろうかと思われる黒人兵が片言の日本語で「だめぇ!動くなぁ」。
よく見ると腰の拳銃ホルダーに、彼らの手が伸びているではありませんか。「殺される」、彼らの殺意がにじむ目を見たとき、冷や汗が流れるのが分かりました。ピリピリしている沖縄基地。あれが戦場の空気なのでしょうか。あんな兵隊が北海道にくるなど、とんでもないことです。
嘉手納基地を視察する(右から)
大橋、前川両道議=6月9日
「バリバリバリ、グオー」。天空を引き裂けば、あんな音がするのかと私たちに思わせた嘉手納基地での戦闘即応訓練中のF15の離陸時のごう音。幹線道路から直線距離で200メートルと離れていない滑走路でのアフターバーナーの使用は鼓膜がやぶれんばかりの騒音でした。
周辺住民に難聴や流産多く
基地の周囲には、難聴や流産が多いとも聞きました。あまりのひどさに、F15部隊の即時撤去と即応訓練の全面中止を決議した嘉手納町議会。嘉手納でだめなものを北海道で受け入れるなど許せません。
海兵隊の普天間基地と、そのすぐ近くの沖縄国際大学でのヘリ墜落現場の調査では、住宅の中まで破片が飛び込んだ話に、危険と隣り合わせで暮らしている沖縄の現実を実感しました。そして、それが移転されようとしている美しい辺野古の海を見て、環境破壊をもたらす米軍基地に怒りがこみ上げてきました。
キャンプ瑞慶覧(ズケラン)では、思いやり予算による立派な米軍住宅の建設が急ピッチで進むなど、税金のたれ流しの実態が見えました。
また、東海岸のホワイトビーチでは、自衛隊のイージス艦や潜水艦など、10隻以上が集結。日米共同作戦の急展開を目の当たりにしました。
世界自然遺産にという声も出ている北部のヤンバルの森にも基地の拡大が進み、「基地の中に沖縄がある」という沖縄の現実を再確認しました。
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