道内のことし1月から3月の完全失業率(失業者数)が8.1%(23万人)と過去最悪の事態が広がっているため、日本共産党北海道委員会と同道議団は13日、高橋はるみ知事に、失業・雇用危機から道民生活と雇用を守る対策をとるよう緊急に要請しました。
大橋晃、花岡ユリ子、日髙令子、真下紀子の全道議と道委員会の吉永春雄政策委員会責任者、小村貞三労働部副部長が参加。道からは山口博司副知事が応対しました。
大橋道議は、緊急対策についての要請書を山口副知事に手渡し、「緊急地域雇用創出特別交付金事業」の活用と拡充、制度確立、中小企業などの雇用創出のための独自策を講じること、介護ヘルパー増員や特別養護老人ホーム建設など道民生活を支える分野の雇用を抜本的に強化すること、青年労働者の生活と雇用を守ること、冬期雇用援護制度の改善・延長を国に求めるなど8点での緊急対策を要請しました。
山口副知事は「緊急地域雇用創出特別交付金事業」の「原則6カ月未満」となっている現在の雇用期間について、「昨年は一定改善されたが、少なくても1年未満は働けるよう国に要望していきたい」と回答。冬期雇用援護制度延長については「情勢は大変厳しいが、道として関係団体とも連携して一生懸命やっていく」とのべました。
また、若年者の雇用拡大の一環として昨年度137人を採用した行政実務研修生を、今年は昨年度の2倍の300人を採用したことを明らかにしました。
真下道議は高卒者の就職内定率が過去最低水準となっている実態を示し、青年労働者の雇用問題について「経済的自立ができる賃金と雇用の確保のために、対策をぜひお願いします」と重ねて強調しました。
- 失業者の生活保障とつなぎ就労対策を
- 親が失業中の子弟の学費・授業料などの緊急助成制度、生活福祉資金貸付事業などを拡充する。
- 失業者の住宅ローンのつなぎ融資について、長期、低利、無保証人など使いやすいものに改善する。
- 失業者のためのつなぎ就労対策として、苫小牧市は、独自の「雇用創出奨励交付金制度」、「新規高卒者雇用奨励金制度」を創設している。道としても、緊急地域特別交付金事業の活用や独自の予算措置もおこない、つなぎ就労の場を積極的につくる。
- 「緊急地域雇用創出特別交付金事業」の活用と拡充、制度確立を
- 国の交付金に、道独自に50億円の上乗せをおこない、積極的な活用をはかる。
- 「人件費比率80%」要件のため、他の必要経費が確保できず事業の障害になっている。道は、人件費以外の経費を保障する独自の対策を講じること。
- 道・市町村は、事業者に、職安の求職者の優先雇用、事業報告で「新規雇用比率75%」を証明する資料の提出を求めるなど、徹底をはかること。
- 「原則6ヵ月未満」の雇用期間について、少なくとも1年未満は働けるように国に改善をもとめること。
- 企業組合、高齢者事業団、NPOなど、実際に失業者を組織し交付金事業をすすめている団体にたいしては、事業の委託は随意契約とし、指名競争入札を実施する場合でも、就労者の賃金確保、最低価格制度、プロポーザル方式を採用すること。
- 中小企業等の雇用創出支援のための独自策を講じる
リストラなどによる離職者を雇用した中小企業、企業組合、NPO等にたいし、支援をおこなうための基金を設置する。
- 道民生活を支える分野の雇用を抜本的に強化する
ムダな公共事業を見直し、福祉、教育、環境など道民生活に必要な分野の人員を計画的に増やすこと。
- 介護―道の「高齢者保健福祉計画・介護保険支援計画」(2003〜07年)の訪問介護サービス目標を達成するために、5千人以上(常勤換算)のヘルパー増員が必要です。また3千床の特養ホーム建設を前倒しして促進し、福祉の雇用拡大にもつながります。
- 理学療法士、作業療法士―理学・作業療法士などの2004年の配置目標は3800人ですが、道内の養成校卒業者などの推定数は2800人程度と、追いつかない状況です。養成する体制を整備し、採用も前倒しで行うよう道の援助をつよめるべきです。
- 医療―患者が安心して健康を託し、看護師自身が生き生きと働き続けられるために、大幅増員が必要です。
- 教員―小中学校での30人学級の実現で、約4700人の教職員増が可能です。
- 防災―道内の消防職員の充足率は73.9%、不足数は、3,253人にものぼっています。住民の安全と安心のために緊急に増員し、体制も強化すべきです。
- 環境の保全、食品の安全―森林の荒廃をくいとめ、河川や道路周辺の環境整備をすすめる造林・保育・間伐などの事業を強化し雇用を拡大すること。また食品安全監視体制の拡充のため、食品衛生監視員を増やす。
- 青年労働者の生活と雇用を守る
2003年3月末現在の高卒者就職内定率は、79.7%と前年同期を3.5ポイント下回る過去最低の水準であり、厚生労働省の施策なども十分に活用した具体化をはかること。
- 管内ごとに就職率のばらつきがあり、実態を調査して、地域の条件や特性も生かした対策を急ぐこと。
- 若年者トライアル雇用を「つなぎ就労」の一環として位置づけ周知する努力をつよめるとともに、道としての独自の対策などを創設・拡充すること。
- 道が補助金を支出している企業や、経済団体への求人要請を継続しておこなうこと。
- 未来を担う青年の単身者がまともに生活出来るように、地域最低賃金額を「月額15万以上、日額7,400円以上、時間額1,000円以上」に引き上げること。
- パート、派遣労働者の権利を守る
パート・アルバイトなどは、雇用者全体の21%、50万人(97年)となっています。正規雇用に比べて賃金は半分程度、一時金や退職金、休暇や通勤手当まで大きな格差があります。違法な「雇い止め」解雇が増え雇用不安は深刻です。不安定雇用労働者の権利と雇用を守るために積極的に行動すること。
- 建設労働者の雇用の安定を
公共事業の1割削減で2万人の雇用に影響が出るとの試算もあります。建設現場で働く建設労働者の雇用安定をはかるために、サンルダムや平取ダム、船のこない大水深岸壁などムダ使いの大型開発をやめ、雇用拡大にも役立つ公共事業を増やすとともに、積極的な対策をとること。
- 公営住宅建設5千戸、校舎耐震化、高齢者・障害者向け住宅改造助成など生活密着型公共事業を充実する。
- 特養ホーム40箇所、グループホーム100箇所、ミニディサービスなど介護サービス基盤を整備する。
- 市町村振興基金運用を25億円ふやし、公営住宅や校舎の修繕・改修などの事業を促進する。
- 賃金、有給休暇、退職金など雇用の安定、労働条件の改善をすすめること。
- 冬期雇用援護制度の改善・延長を国にもとめる
冬期雇用援護制度は、1年間(01年度)に7万7,957人が活用し、建設・季節労働者の冬の生活の「命綱」として、また通年雇用と建設業者などの経営の安定、地域経済の支え手として、重要な役割を果たしています。ところが政府は、この制度のうち、冬期雇用安定奨励金と技能講習助成給付金の期限が今年度で終わるのを前に、雇用保険財政の困難を理由に、この制度と短期雇用特例求職者給付(50日一時金)を改悪する方向を明らかにしています。これまで3年間の期限を迎えるたびに、道民ぐるみの運動で制度の延長を実現させ、25年間、継続させてきました。季節労働者が夏場でさえ働けない事態がひろがり、冬期間の工事量の確保も十分とは言えないなかで、制度の改悪、廃止は、深刻な影響を与えることは明らかです。
当面、来年度の政府予算の概算要求が決まる8月にむけて、政府、厚生労働省に、この制度の存続・改善をつよく要求していただきたい。また、道自ら、市町村がすすめている冬期就労対策を積極的に支援することをはじめ、独自の建設・季節労働者対策を抜本的に強化するよう全力をつくされたい。