実情に合わせた医療構想に
地域から病床なくすな
2次医療圏 21医療圏 |
2013年 (床)① |
2025年厚労省令 による病床数案 |
65歳以上 人口比較 | |
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最大値 (床) |
①との比 | 2025 /2010 | ||
合計 | 83,556 | 73,070 | ▲12.6% | 24.20% |
南渡島 | 6,130 | 4,848 | ▲20.9% | 14.50% |
南桧山 | 450 | 245 | ▲45.6% | ▲2.6% |
北渡島桧山 | 1,005 | 543 | ▲45.9% | ▲1.1% |
札幌 | 36,265 | 35,726 | ▲1.5% | 47.10% |
後志 | 3,471 | 2,919 | ▲15.9% | ▲1.3% |
南空知 | 2,390 | 1,923 | ▲19.5% | 5.10% |
中空知 | 2,114 | 1,607 | ▲24.0% | ▲3.3% |
北空知 | 747 | 522 | ▲30.2% | ▲7.0% |
西胆振 | 3,872 | 2,823 | ▲27.1% | 7.40% |
東胆振 | 2,441 | 2,458 | 0.70% | 28.20% |
日高 | 758 | 636 | ▲16.1% | 8.20% |
上川中部 | 7,223 | 5.614 | ▲22.3% | 21.00% |
上川北部 | 1,021 | 791 | ▲22.5% | ▲1.4% |
富良野 | 539 | 486 | ▲9.9% | 6.00% |
留萌 | 768 | 561 | ▲27.0% | 0.00% |
宗谷 | 775 | 581 | ▲25.0% | 3.60% |
北網 | 3,323 | 2,447 | ▲26.4% | 16.20% |
遠紋 | 1,210 | 777 | ▲35.8% | ▲0.0% |
十勝 | 4,741 | 4,060 | ▲14.4% | 22.70% |
釧路 | 3,697 | 3,009 | ▲18.6% | 17.80% |
根室 | 616 | 495 | ▲19.6% | 20.00% |
昨年成立した「医療介護総合確保推進法」に基づき、都道府県は来年度までに地域医療構想を策定することが義務付けられました。
全国で43万床、道内で1万床もの病床削減指標が示され、地域からは「我が町から病院がなくなるのでは?」と不安の声が上がっています。
地域医療構想とは、病床機能を「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の四つに分類し、国が示した指針に基づき、2025年における機能別の病床必要数を二次医療圏域ごとに明らかにしたもので、病床機能の再編を進めることを目的にされています。道内21の二次医療圏域ごとに、地域の医療・介護・福祉・自治体関係者等で構成する「地域医療構想調整会議」で今年度までに各区域の案を策定予定です。その後、道は各圏域の案を元に「北海道地域医療構想」を策定します。
策定の根拠となるのが、国によって示された「地域医療構想策定ガイドライン」です。ガイドラインでは、25年における病床区分ごとの医療需要を推計し、これを元に都道府県が推計値を出すことを定めています。この推計値を元に、調整会議で二次医療圏域ごとの必要病床数が議論されることになります。
しかし、レセプトを元に推計した「必要病床数」は、地域の実態や潜在的医療需要を全く考慮せず機械的に当てはめを行っただけに過ぎず、何より通院している人のみを元に計算されています。今でも「医療費の支払ができない」「無保険」「通院が困難」などの切実な理由で、病院に行きたくても行けない実態が明らかになっています(12年社会保障人口問題基本調査「生活と支えあいに関する調査」)。
政府は「許可病床数に対して稼働病床が少ない」ことを理由に、病床削減の正当性を強調しますが、宮川潤道議は、医師看護師不足のため病棟を閉鎖せざるを得なかった病院が多い実態を示して、十分な医療を安心して受けられるようにするべきと道議会で繰り返し質問してきました。宮川道議が行った日高地域の医療調査でも、ある病院関係者は「地域医療構想で無理やりベッドを減らさなくても、既に病床休廃止が相次いでおり、既に医療崩壊の危機にある」と、切実な実態を語っています。
こうした国のやり方が許されれば本来必要とされる病床の利用率が低いことを囗実に、際限なく病床が減らされるおそれがあります。
地域医療構想策定後は、知事に過剰な病床の機能区分転換の命令や要請ができる権限が与えられ、従わなかった場合は「医療機関名の公表」「地域医療支援病院の不承認・取消」「管理者の変更命令」などができる強力な権限を持つことになります。道は「推計に基づき病床を強制的に削減していくという趣旨ではない」としていますが、高橋道政が、国のやり方に異をとなえるとは考えられません。
地域を壊す病床削減にノー! と声をあげ、地域医療を守る運動を大きく広げることが決定的に大切です。地域医療構想調整会議でも「患者の病態が反映されていない」「実情が反映されないまま病床を議論するのは難しい」(東胆振)と委員から疑問の声が出されています。徳島県議会では「国が一方的に病床削減を強いることは地域の医療ニーズに十分応じることができなくなる」と明確に述べた意見書を自民党も含めた全会一致で可決しています(第2回定例会)。保守層も含め、地域医療を守れの要求は幅広い一致が可能です。運動を広げに広げ、住民や医療関係者の声を十分反映させ、必要な医療を確保させることが必要です。
(日本共産党道議団事務局次長・紙谷恭平)
(15年11月01日付「ほっかい新報」より)