北海道電力/ウラ出向、経営体質浮き彫り | 14.09.24 |
大幅値上げを北海道民に押しつけようとしながら、業界団体や経済界へ会社持ちで社員を出向させる―。日本共産党の真下紀子道議が24日の道議会本会議で明らかにした北海道電力の出向の実態からは、道民の痛みを顧みない電力会社の経営体質がみえてきました。
「(北海道の)食産業分野の優位性を最大限生かした研究開発、輸出促進に向けた取り組み」。北海道食産業総合振興機構は、こうした「フード特区」づくりをかかげ、道内でイベントを開催する団体です。
電力業界紙の人事録(8月発行)によれば、北海道電は、電力事業と関係があるとは思えない同団体に、4人の管理職社員を出向させています。
北海道経済連合会(道経連)や北海道経済同友会などにも北海道電が管理職社員を出向させていることが記されています。出向先とされる一部企業は、出向の事実を認めています。
昨年5月、電力各社の電気料金を査定した経済産業省の審議会。ここに北海道電が提出した資料には、これら24団体の出向先と69人の出向者がいることは記されていませんでした。
北海道電が明らかにしている電力中央研究所や、ほくでんサービスなどのグループ会社など17団体、計254人の出向者の給与は電気料金の原価に含まれています。これに対し69人の〝ウラ出向〟社員の給与は電気料金の原価に反映されてはいません(図参照)。北海道電は、経費などを差し引いた〝利益〟から、〝ウラ出向〟社員の給与を負担しているとみられます。
北海道電の元関係者は「電力会社の利益は、『総括原価方式』によって、会社が持つ資産の額×2.9%となっている。北海道電は年389億円の利益が出る仕組みだ。結局は、電気料金が原資であることは変わりない」と指摘します。
こうした利益は、3年連続の赤字を計上し、東日本大震災以後、2度目の料金値上げを計画する北海道電が、当然、経営合理化すべき対象です。
24日の道議会で、真下議員は「北海道電は、なぜ24団体への『ウラ出向』の人数などを、道民に説明しないのか。再値上げで死活問題の道民に説明が必要だ」と、情報開示を迫りました。
高橋はるみ知事は「原価に算入せず、電気料金に影響しない出向(の人件費)は、北海道電が必要性で判断している」と、実態を隠す北海道電をかばいました。
北海道電の再値上げには、経産省の有識者委員会でも「料金値上げや原発が動けば、経営悪化が解消するという考えは甘い」と厳しい批判が上がっています。
北海道新聞の社説(8月26日付)でも「利用者が問うているのは、電気料金と再稼働を結びつける北(海道)電の姿勢である」と、電気料金を〝人質〟に、原発再稼働を迫る姿に不信の声が上がっています。
真下議員は「北海道電は、〝利益〟をまず赤字の縮小にあて、出向した優秀な人材を経営再建にあてるべきだ。徹底的な経営の見直しを」と求めました。
(矢野昌弘)
(14年09月25日付「しんぶん赤旗」より)
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