日本共産党 北海道議員団ホームページ
ホーム
道議会での取り組み
2013年第1回定例道議会

【真下紀子道議の2013年第1回定例会一般質問】 13.03.11

2013年03月11日 2013年第1回定例道議会

質問者 日本共産党 真下紀子 議員

真下紀子議員
  • 1.安倍政権と道政執行方針について
    • (1)経済対策等について
    • (2)TPPについて
  • 2.道労働委員の選任のあり方について
  • 3.生活保護の見直しと道民生活の影響について
  • 4.エネルギー政策等について

安倍政権の経済政策の評価を問う

○30番真下紀子君

(登壇)私は、知事及び教育長に伺います。

金融、財政、成長戦略の3本の矢による安倍首相の経済再生について、知事はどのように評価されますか。

雇用者報酬は2001年と2010年の比較で、全国平均は92%、北海道は85%まで下がったことがデフレ不況の一番の要因です。

物価の2%引き上げではなく、上げるべきは賃金です。同時に、賃金の減少の一因となっている正社員から非正規化による雇用破壊の修復が必要です。

知事が展望する新生北海道では、最低賃金の引き上げ、正社員雇用、社会保障の充実の3本の矢を道政執行の柱に据えるべきと考えますが、見解を伺います。

TPP参加は自民党の公約違反ではないか

TPPについてですが、安倍政権は、日米共同声明で、聖域なき関税撤廃が前提ではないことが明確になったとしていますが、すべての物品が交渉参加の対象であり、アウトラインは変更されていないことを国会でも認めざるを得ませんでした。どのような認識をお持ちか、伺います。

自民党は、先の総選挙で、TPPに関して、関税撤廃以外に、国民皆保険制度などを守るなど、非関税障壁に関する5項目を公約いたしました。

日米共同声明にこの5項目が含まれているという情報がないと、首相自身が認めました。TPP交渉参加は公約違反ではありませんか。知事の見解を伺います。

都道府県労働委員会労働者委員の構成
(平成25年1月21日現在)
※東京都のその他2名は旧総評系の地方組織で労連系に加盟しなかった2組織
大阪府の1団体は中立系の団体
労働者委員の定数任 命合計
連合系労連系その他
北海道
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
東京都131113
神奈川県
新潟県
富山県
石川県
福井県
山梨県
長野県
岐阜県
静岡県
愛知県
三重県
滋賀県
京都府
大阪府111011
兵庫県
奈良県
和歌山県
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
福岡県
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
鹿児島県
沖縄県

道労働委労働者委員の選任、知事に理なしの判決をどう受け止めるのか

昨年12月、第39期北海道労働委員会労働者委員任命処分取消等請求事件について判決が言い渡されました。

裁判は、知事の任命に理がないことを克明に指摘しています。この判決に対する認識を伺います。

生活保護基準見直しは道民生活に広範な影響、容認できない

安倍政権は、低所得者世帯と比較して、生活扶助を削減しようとしていますが、生活保護は48%が医療費であり、生活扶助は36%を占めるにすぎません。

生活保護基準の引き下げは、生活水準を際限なく低減させるだけではなく、命をも脅かします。

また、住民税の非課税基準も変わることにより、医療、介護、障がい者、公営住宅家賃や保育料に加え、最低賃金など、多くの福祉政策から多くの国民が排除されるものであり、到底容認できません。

日本弁護士会連合会は、引き下げに強く反対しています。私も、断固反対の立場を表明すべきと考えますが、生活保護基準の引き下げによる道民生活への広範な影響をどのように考え、どう対応されるのか、伺います。

平成23年度生活保護費支出状況
  • ※各扶助別の支出額は、政令・中核市を含む全道合計の額である。
  • ※内訳の郡部分については、道内町村部における支出額の合計である。
支出額(円)構成比(%)
生活扶助98,121,621,28735.57
住宅扶助33,678,415,82412.21
教育扶助2,165,624,2160.79
介護扶助4,378,277,7101.59
医療扶助133,893,609,38448.54
出産扶助16,158,2500.01
生業扶助1,359,271,4610.49
葬祭扶助354,903,0920.13
施設事務費1,802,738,3920.65
冬季薪炭費52,259,6160.02
275,822,879,232100.00
内訳郡部31,603,337,89111.46
市部244,219,541,34188.54

生活保護基準の見直し、子育て世帯に深刻な影響

道内に、10万人近くいる、要保護・準要保護児童生徒の家庭では、今でさえ、部活費がなくて参加できない、食費まで切り詰めなくてはならないという声でいっぱいです。

生活保護基準の見直しは、子育て世帯に対して深刻な影響を与えるものと考えますが、知事及び教育長の認識と対応について伺います。

安倍政権の原発政策は国民の意思に反するものではないのか

東京電力福島第一原発事故から、きょうで2年を迎えました。いまだに放射能汚染が住民を苦しめ続け、汚染水の増加は深刻です。

多くの方々が散り散りにされ、愛するふるさとに戻れる見込みが立たない状況で、安倍政権は民主党政権が掲げた2030年代に原発ゼロ政策を白紙に戻し、なおかつ、世界一安全の触れ込みで、原発の海外輸出の商談まで進めていますが、知事はどう評価するのか、伺います。

各種世論調査で、7割以上が、将来、原発に依存しないとしており、国民意思に反するものだと考えますが、合わせて見解を伺います。

原発なしで乗り切れた電力需給、知事の受け止めは

電力需給について伺います。

国民の協力で、事実上、原発が稼動することなく、昨年夏の猛暑も、ことしの厳しい冬の寒さも乗り切った事実は非常に重いと思いますが、知事の受けとめを伺います。

北電の料金値上げ、知事の見解を問う

北電の電力料金について、川合北電社長は、1月30日の記者会見で、火力燃料費などの大幅増加等を理由に、8月にも大幅値上げを実施する方向を明らかにしました。

その際、社長は、値上げを回避するための具体的な経営努力の詳細には全く触れずに、泊原発3基が再稼動すれば、値上げを回避できるかもしれないと述べています。

これは、値上げと泊原発の再稼働をてんびんにかけさせる、極めて不穏当な発言です。

値上げを回避するための具体的経営努力の詳細をこそ、道民に明らかにするべきではなかったでしょうか。知事の見解を伺います。

北電の高額な役員・顧問報酬、社員議員の厚遇への見解を問う

電力料金値上げ申請をした電力会社での高額な役員報酬や顧問等への報酬の支払いについて、国民から批判があります。

北電の14人の常勤役員の報酬は、平均3500万円から3600万円、月一、二回の会議に出席するだけの3人の社外監査役にも、それぞれ、年間700万円から800万円の報酬が支払われています。

また、昨年の第4回定例会で私がただした北電の社員議員の厚遇も、原資は、道民が負担する電気料金で賄われています。

北電は、役員、顧問への高額な報酬を大幅に引き下げるとともに、北電の社員議員の特例を廃止すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

北電社外監査役の株保有状況(敬称略)
区 分82期
(H18)
85期
(H21)
86期
(H22)
87期
(H23)
88期
(H24)
野崎 幸雄
弁護士・元高裁長官
(H10〜H23)
5,2007,1008,5009,800――
丹保 憲仁
元北大総長
(H17〜現在)
3001,9002,6003,3004,300
石井 純二
北洋銀行頭取
(H21〜現在)
――4001,1002,100
市川 茂樹
弁護士
(H24〜)
――――――――
北電以外の社外監査役等の兼務
野崎 幸雄
(87期時点)
①(株)みずほコーポレート銀行監査役(H14〜H23)
②(株)みずほファイナンシャルグループ監査役(H15〜H23)
③(株)東京ドーム監査役(H17〜現在)
④(株)みずほ銀行監査役(H18〜現在)
石井 純二
(88期現在)
①(株)ネクステップ監査役(H18〜
②北海道国際航空(株)監査役(H22〜
③日本清酒(株)取締役(H22〜
④(株)札幌北洋ホールディングス取締役社長
⑤(株)北洋銀行取締役頭取

日本共産党道議団 2013.3.11

幌延深地層研、情報公開の徹底と立ち入り検査基準を

2月6日に生じた、幌延深地層研究センターでの、メタンガス濃度の上昇と、地下水の異常増水について、翌7日に開催の意見交換でも公表せず、情報隠しとの批判が上がったのは当然です。

福島原発事故後、使用済み核燃料への関心が高まったにもかかわらず、センターは、個別の説明会への対応を拒否しています。情報公開と住民説明のあり方を改善すべきと考えますが、見解を伺います。

また、過去の異常について、原子力研究開発機構も、道も、これまで公表していません。今月1日の現地立ち入り調査で、道は安全だとしていますが、これまでの異常の発生状況などの記録も含めて調査を実施し、安全を判断する道としての立ち入り調査の基準を設けるべきと考えますが、見解を伺います。

自然エネルギーへの転換、数値目標を定め加速すべき

原発から自然エネルギーへの転換は、国民の7割以上が求めており、この流れは変わりません。

福島の震災以降、熊本県や神奈川県など全国の9県では、導入目標を定め、山形県では、具体的な工程表を掲げて取り組みを進めています。

知事は、本道は再生可能エネルギーの宝庫と繰り返すだけで、いまだに数値目標を定めていません。このままでは、宝の持ち腐れと言われかねません。早急に数値目標を設定し、取り組みを加速させる必要があると考えますが、いかがでしょうか。

各県の新エネルギーに係る計画及び目標の内容
(H23年度以降に制定・改定、目標数値設定)
都道府県名称策定年度計画期間数値目標(合計値)の内容策定日
単位現状目標
北海道省エネルギー・新エネルギー促進行動計画H23H23〜H32原油換算 H24.3.30
岩手県岩手県地球温暖化対策実行計画H23H23〜H32原油換算55万kl98.7万kl他H24.3.21
山形県山形県エネルギー戦略H23H23〜H42発電設備換算7万kw102万kw他H24.3.30
福島県福島県再生可能エネルギー推進ビジョンH23H23〜H32原油換算192万kl523万kl他H24.3.30
神奈川県かながわスマートエネルギー構想H23H23〜H32県内消費電力比2.3%20%他H23.9.12
三重県三重県新エネルギービジョンH23H24〜H32原油換算38万kl85.6万kl他H24.3
鳥取県とっとり環境イニシアティブプランH23H23〜H26発電設備換算66万kw76万kw他H24.3.31
長野県長野県環境エネルギー戦略(案)H25〜H32(H62)最終エネ消費に占める割合9.5%他策定中
徳島県徳島県地球温暖化対策推進計画(地球温暖化対策推進法第20条の3に基づく地方公共団体実行計画【区域施策編】)H23H23〜H32住宅用太陽光4千台13千台H23.8.19
風力発電施設15基20基以上
バイオマスモデル地区11地区19地区他

海洋エネルギー開発支援、今後どう進めるのか

函館市の工藤市長は、津軽海峡で潮流発電を行うため、新年度に、海水の流速調査を行うことを表明いたしました。

私は、先日、函館市を訪問し、副市長さんなどからお話を伺いましたが、海洋発電の実現が地元産業の振興にもつながると考え、積極的に取り組みを進める姿勢であり、道にも強く支援を求めておりました。青森県、岩手県、新潟県、佐賀県など、多くは県主体で、早くから取り組みを進めています。

知事は函館市への支援を今後、どう進めるのか、伺います。

以上、再質問を留保し、私の質問を終わります。


高橋はるみ知事の答弁

○知事高橋はるみ君

(登壇)真下議員の御質問にお答えをいたします。

最初に、経済対策についてでありますが、安倍政権においては、金融緩和、財政出動、成長戦略の三つの矢で、長引くデフレから脱却することを目指し、切れ目のない経済対策などを実施することとしているところであり、今後の具体的な政策展開に当たっては、地域の厳しい現状や意向を十分踏まえながら、総力を挙げて取り組んでいただくことを期待するものであります。

こうしたなか、高齢化の急速な進行や、厳しい経済、雇用に直面する本道において、雇用対策や社会保障の充実は重要な課題であり、道政の推進に当っては、中小企業への支援やセーフティーネットの整備など、資源と資金が循環する地域経済・雇用の確立、地域医療の充実や地域包括ケアシステムの構築など、地域をつなぐ安心の確保を重点政策の柱として位置づけているところであり、これらの積極的な推進を図ってまいります。

次に、TPPに関する自民党の公約についてでありますが、食の安全、安心の基準や国民皆保険制度を守るといった5項目が自民党の公約に含まれているのかについては、さまざまな御意見があると承知をしておりますが、いずれにいたしましても、本道の重要品目のすべてが関税撤廃の対象から除外されるのか、また、食の安全や医療、公共事業などへの影響はどうなるのかといった情報がない状況であり、まずは、国の責任において、十分な情報提供が行われることが欠かせないと考えているところであります。

なお、関税撤廃などについては、担当の部長から答弁をさせていただきます。

次に、生活保護基準の見直しについででありますが、今般、国では、生活保護基準の見直しに伴い、その基準を参照し、対象者を設定している社会保障分野や税分野などの制度については影響を受けることから、それぞれの制度の趣旨や目的、実態を十分考慮しながら、できる限り、その影響が及ばないようにすることを基本的な考え方とする対応方針を示したところであります。

このため、道といたしましては、この国の方針について、庁内の各関係部に対し周知徹底を図るとともに、道教委や市町村に通知を発出したところであり、今後とも、さまざまな機会を活用して、その理解を得るよう努めていく考えであります。

なお、子育て世帯については、担当の部長から答弁をさせていただきます。

次に、エネルギー政策等に関し、まず、原発政策についてでありますが、今国会における安倍総理の施政方針演説においては、できる限り原発依存度を低減させていくという方針が示されたところであり、また、原子力のインフラ輸出については、経産大臣が記者会見において、我が国がこれまで蓄積した技術や人材を活用する観点から、相手国の希望や安全性を大前提に進めるとの考えを示されているものと承知いたしております。

原子力発電については、国民の間にはさまざまな御意見がありますが、私といたしましては、原子力発電所は、安全性の確保が何よりも重要であると考えており、原子力規制委員会が、専門的知見のもとで策定をする新たな安全基準に基づき、しっかりと審査、確認するとともに、国として、将来にわたる最適なエネルギーミックスを視野に入れたエネルギー政策の全体像を構築し、国民にわかりやすく説明していく必要があるものと考えております。

次に、電力需給についてでありますが、本道においては、原発が停止している中、電力需給の安定を確保するため、昨年の夏に引き続き、この冬においても、冬の厳しさや電力融通の制約などを踏まえ、12月10日から3月8日まで、数値目標つきの節電が実施されたところであります。

この間、発電設備の計画外停止などが発生したものの、小まめな消灯など、家庭におけるさまざまな工夫や、省エネ設備や自家発電装置の設置といった企業の皆様の努力の積み重ねにより、需給逼迫という事態には至らず、私といたしましては、道民や企業の皆様方の御理解と御協力に心から感謝をいたしているところであります。

最後に、新エネルギーの導入促進についてでありますが、国においては、石油や石炭、再生可能エネルギーなど、エネルギーごとの目標を含むエネルギー政策の方向性を定めたエネルギー基本計画を見直すことといたしております。

道といたしましては、行動計画の目標の設定に向けては、太陽光や風力など、道内におけるプロジェクトの把握や、国の支援策の動向とその活用状況、さらには、エネルギー需給の推計手法等について、道内外の専門家の御意見を伺うなどの検討を行っているところであり、今後策定されるエネルギー基本計画を踏まえ、本道にふさわしい目標を設定してまいる考えであります。

なお、電気料金などについては、担当の部長から答弁をさせていただきます。

以上でございます。


○総合政策部長荒川裕生君

(登壇)TPPに関し、聖域なき関税撤廃の認識についてでございますが、日米首脳会談の共同声明におきましては、日本がTPP交渉に参加する場合には、すべての物品が交渉の対象にされることを確認した上で、日米両国に2国間貿易上の慎重な取り扱いを求める品目が存在すること、最終的な結果は交渉の中で決まっていくこと、一方的にすべての関税を撤廃することを求められるものではないことにつきまして、日米両政府の間で、公式な文書による確認がなされたものと理解をしておりますが、道内の重要品目のすべてが関税撤廃の対象から除外されるのかなど、具体的な情報がないことから、国民合意、道民合意がないままでのTPP協定への参加には反対するという道の考えに変わりはございません。

以上でございます。


○保健福祉部長白川賢一君

(登壇)生活保護の見直しと道民生活の影響に関しまして、子育て世帯への影響についてでございますが、国では、今回の生活保護基準の見直しにおきまして、学用品や教材代、学校給食費、通学交通費など、就学に必要な経費に係る教育扶助につきましては対象としていないところでございます。

また、市町村が、経済的理由により就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対し、学用品費などの支給を行う就学援助につきましても、できる限り影響が及ばないよう、その対応方針を示しておりまして、今回の生活保護基準の見直しに当たりましては、子育て世帯に配慮しているものと考えているところでございます。

道といたしましては、この国の方針につきまして、庁内の関係部に周知徹底を図りますとともに、道教委や市町村に通知を発出したところでありまして、今後とも、子どもの就学に支障が生じないよう、努めてまいりたいと考えております。

以上でございます。


○経済部長山谷吉宏君

(登壇)初めに、道労働委員の選任のあり方に関し、北海道労働委員会委員の任命についてでありますが、このたび、道労働委員会の労働者委員の任命に関して、候補者を推薦した労働組合などから、任命処分の取り消しと、任命されながった候補者等に対する損害賠償を請求する訴えがなされ、昨年12月に言い渡された判決では、訴えのあった任命処分取り消し及び損害賠償請求をいずれも退けており、道の主張が認められたものと考えております。

次に、エネルギー政策等に関し、初めに、電気料金についてでありますが、北電では、泊発電所の長期停止による火力発電所の代替燃料費の大幅な増加などにより、極めて厳しい経営状況となっていることから、設備の安全性や電力の安定供給を前提としたコスト削減を進めるほか、人件費の一層の削減を検討するとともに、電気料金の改定について、遅くとも年度末までに判断することとしているものと承知をいたしております。

道としては、電気料金の値上げは、道民生活や産業活動などに広範な影響がありますことから、経営上の課題について、道民に対し十分な説明を尽くすことが必要であり、今後の北電の対応をしっかりと見きわめてまいる考えであります。

次に、北電の役員報酬などについてでありますが、電気料金については、いわゆる総括原価方式に基づき算定され、値上げに際しては、国による認可を受けることとされております。

経済産業省では、昨年3月に、電気料金に関する審査要領を改正し、総括原価方式の本来の目的に沿って厳正に査定するとの方針のもと、役員給与などを含む人件費につきましても、類似の公益企業とも比較し、査定するとしており、道としては、こうした審査要領に則し適切に対処されるべきものと考えております。

また、北電からは、市町村の議会議員を兼職している社員が公務を行う場合、公務休暇の特例として、一定の日数を有給としていたが、本年2月からは無給としていると聞いているところであります。

次に、幌延深地層研究の情報公開などについてでありますが、道は、幌延深地層研究センターにおける深地層研究計画の推進に当たり、このたびの事象を踏まえ、去る2月18日、今後の情報公開に向けた対応の見直しについて、機構本部及びセンターに対し、文書により申し入れを行ったところであります。

センターでは、これに対し、新たに、近隣町村や報道機関への情報提供を初め、お知らせ情報の追加など、マニュアルを改正するとともに、現場の公開、さらに、今後、近隣自治体からの要請に基づき、研究計画の進捗状況等の住民説明会を開催するなどの対策を講じることとし、その旨を公表したところであります。

道といたしましては、事業の透明性を高める観点から、道民の皆様に対し、丁寧に情報を公開することが重要であると考えており、今後とも、必要に応じ、センターに対し、申し入れを行ってまいる考えであります。

次に、幌延深地層研究センターヘの立入調査についてでありますが、幌延深地層研究センターの工事では、稚内労働基準監督署に対し、労働安全衛生法に基づく建設工事計画を届け出るとともに、可燃性ガスについては、労働安全衛生規則に基づき、安全措置が講じられているところであります。

こうした中で、今回、メタンガスの発生や湧水の増加などがありましたことから、幌延町、日本原子力研究開発機構及び道が締結している、いわゆる三者協定に基づき、幌延町とともに立入調査を実施したものであります。

この調査では、今般の事象への対応状況や、今後の情報公開の対応などについて、メタンガスの発生箇所や湧水の増加箇所などで現場確認を行うとともに、センター職員から、情報の公表内容や安全対策について説明を聴取し、作業を行う上で、安全が確保されていることを確認したものであります。

次に、海洋再生可能エネルギーについてでありますが、国におきましては、技術開発や事業化を促進するため、大規模な実証フィールドの整備事業に取り組むこととし、公算により、適地を選定することとしております。

道では、こうした国の動きを踏まえ、道内の意欲ある地域が応募に向けて取り組みを進められるよう、今年度、基礎調査として、風力や潮流などのポテンシャルを把握するとともに、地元の意向なども踏まえ、函館、宗谷、岩内の3海域で現地調査を実施しているところであります。

道といたしましては、今回の調査結果を生かし、関係市町村と連携して、国に対し、道内における海洋再生可能エネルギーの開発促進が図られるよう、積極的に働きかけてまいる考えであります。

以上でございます。


教育長の答弁

○教育長高橋教一君

(登壇)真下議員の御質問にお答えいたします。

生活保護の見直しと子育て世帯への影響についてでございますが、就学援助は、経済的理由によって就学が困難と認められる児童生徒に対して援助を行い、教育の機会均等の精神に基づき、すべての児童生徒が義務教育を円滑に受けることができるようにするための重要な制度であると認識しているところでございます。

こうした中、国は、このたびの生活保護基準の引き下げに関連いたしまして、平成25年度の対応として、年度当初に要保護者として就学支援を受けていた者につきましては、生活保護基準の見直し以降も、引き続き、国による補助の対象とすることとし、また、準要保護者への就学援助につきましては、各市町村に対し、こうした国の取り組みを説明いたしますとともに、その趣旨を理解した上で判断をいただくよう依頼する予定というふうに承知しているところでございます。

道教委では、こうした国の動きにつきまして、各市町村教育委員会に情報堤供をいたし、就学援助の趣旨を踏まえ、できる限り影響が及ばないように、適切に判断いただくよう要請したところでございます。

道教委といたしましては、今後とも、さまざまな機会を通じて、強く働きかけを行いますとともに、市町村が十分な就学援助を行えるよう、全国都道府県教育委員会連合会とも連携いたしながら、国に対して、地方財政措置の拡充を強く要望してまいりたいと考えております。

以上でございます。


真下紀子議員の再質問

○30番真下紀子君

(登壇)知事に再質問いたします。

TPP、知事は危機感を持って参加反対の先頭に立て

TPPについてですが、日米共同声明の理解が違います。

東大大学院の鈴木宣弘教授は、日本は、すべての農産物の関税を撤廃するというアメリカの目的を理解したと、アメリカでは説明されているとしています。関税撤廃の聖域はもちろん、守るべき国益の項目の多くが既に破綻しているのに、なぜ参加表明できるのかとも述べているとおり、TPPは、地域と地域経済を崩壊させます。

知事は、危機感を持って道民に説明し、先頭に立って、参加反対の声を広げるべきです。知事のかたい決意を伺います。

労働者委員選任は適切でなかったとする判決趣旨を重く受けとめよ

次に、労働者委員の選任についてですが、判決では、第37期判決の説示を踏まえて、これを考慮した形跡がいささかも見受けられないと指摘し、過去の任命についても、明確に知事の姿勢に反省を求めました。

今回の判決では、知事は、形式的に審査の対象としながらも、実質的に審査をせず、連合北海道に属する推薦組合に係る候補者のみを再任する本件各処分に及んだもので、本件各処分は、労組法上の推薦制度の趣旨を没却するものとして、裁量権の逸脱、乱用に当たると言わなければならないとまで指摘し、裁判所は、知事の任命を適切だとは認めていません。

知事は、判決文をお読みになった上でお答えなのでしょうか。判決の趣旨を重く受けとめ、今後、民主的な選任に徹するべきと考えますが、見解を伺います。

料金値上げはかる北電、役員などの高報酬不問にできるのか

兵庫県の井戸知事も委員を務める関西電力の電気料金値上げの審査会では、常勤役員報酬を高過ぎると評し、官庁の次官並みの1800万円に引き下げよとの発言もありますが、知事はどのように受けとめられるでしょうか。

北電の役員報酬の原資は、電気料金です。知事の退職金を大きく上回る北電の常勤役員報酬を高過ぎると知事は思わないのでしょうか。

国に判断を丸投げするだけではなく、知事みずからの受けとめを示すべきです。お答えください。

北電社外監査役の大量株保有、これでふさわしい役割果たせるのか

北電の社外監査役について伺います。

社外監査役の最も重要な役割は、社外からのクリーンな目で、厳しく会社の運営をチェックすることです。

やらせを行った北電には厳しい目が向けられており、社外監査役に期待したいところです。

ところが、87期の北電の3人の社外監査役は、全員が北電の株を所有し、総括原価方式で電気料金に含まれる事業報酬から、少なからぬ配当金まで受け取っています。そのうちの1人は、北電の大株主の銀行の常勤役員で、現在は頭取となっている方です。いわゆるオーナー的な存在です。

また、15年間も北電の社外監査役を務めた弁護士さんは、元高等裁判所長官から電力会社に天下りした、原子力村の村人の一人として、マスコミに取り上げられました。

こうした深い関係で、社外監査役にふさわしい役割を果たせるのかとの声が上がっていますが、知事はいかがお考えでしょうか。

深地層研に対し、住民団体の説明要請にこたえるよう求めよ

最後に、幌延の深地層研究に対して、地元で大変大きな不安を抱えていることから、質問させていただきます。

周辺自治体の要請による説明会だけでは、他の声を排除しかねず、不十分です。

道は、センターに対して、これまで以上に住民や団体への説明要請にこたえるよう、今後も求めていくべきではないでしょうか。知事の見解を伺います。

以上、再々質問を留保し、私の質問を終わります。


高橋はるみ知事の再答弁

○知事高橋はるみ君

(登壇)真下議員の再質問にお答えをいたします。

最初に、TPPについてでありますが、私は、これまでも、道議会並びに関係団体の皆様方と一体となって、国民合意、道民合意がないままTPP協定への参加を決して行わないことを一貫して国に求めてきているところであり、去る2月27日にも、このことを強く求め、交渉への参加を拙速に判断しないよう、緊急要請を行ってまいったところであります。

私といたしましては、引き続き、国に対し、農林水産業はもとより、社会全般へのTPP協定の影響などについて、十分な情報の提供を強く求めるとともに、効果的な情報発信に努めながら、時期を逸することのないよう、オール北海道としての取り組みを適時適切に行ってまいりたいと考えております。

次に、労働者委員の任命についてでありますが、今回の札幌地方裁判所の判決では、道の行った任命処分について、裁量権の逸脱、乱用とした一方で、原告には、法律上、保護すべき訴えの利益がないとして、原告の請求を退け、道が勝訴したところであります。

道といたしましては、適切に委員を任命したと考えており、判決理由の一部について、道の主張が認められながったことは遺憾でありますが、裁判には勝訴していることから、控訴はしておりません。

今後とも、道といたしましては、労働委員会を規定した法の趣旨及び労働委員会が果たすべき役割、労働界の現状などを勘案するとともに、公平公正を旨とし、総合的に判断し適任者を選任してまいる考えであります。

次に、北電の役員報酬についてでありますが、電気料金の値上げに当たっては、国において、審査要領に即し、役員給与などを含む人件費についても、厳正に査定する方針であり、既に申請されている関西電力の値上げについては、電気料金審査専門委員会においで、兵庫県知事が意見陳述人として出席を求められ、徹底的な合理化や効率化等の経営努力が必要であることなどについて意見を述べたものと承知いたしております。

北電では、電気料金の改定について、年度末までに判断するとしておりますので、私といたしましては、今後の状況に適切に対応してまいる考えであります。

次に、社外監査役についてでありますが、社外監査役は、監査体制の独立性及び中立性を一層高めるために、法令上、その選任が義務づけられているものであります。

北電においては、社外監査役として、財務や会計などに関する知見を有する方々を、所定の手続を経て、株主総会で選任し、法律に基づき、その業務を行っていただいているものと承知いたしております。

また、社外監査役が自社の株式を保有すること自体は、法律等で禁止されてはおりませんが、その取引については、適正に行わなければならないものと理解をいたします。

最後に、幌延深地層研究センターの情報公開についてでありますが、道といたしましては、幌延深地層研究計画の推進に当たっては、積極的な情報公開が必要であると考えており、今後とも、幌延町、日本原子力研究開発機構、道とで締結をしております、幌延町における深地層の研究に関する協定書、いわゆる三者協定に基づき、センターに対し、住民への一層の情報提供について求めてまいる考えであります。

以上でございます。


真下紀子議員の再々質問

○30番真下紀子君

(登壇)再々質問いたします。

労働者委員の選任、知事は姿勢を改めよ

労働者委員の選任についてです。

知事は、勝訴したと言いますが、委員選任の正当性については、道の主張がいささかも認められなかった判決です。公平公正に選任すればどうなるか、全国の11の都府県で、同一系列の組合独占が変更されています。

知事も姿勢を改め、全国に類例のない恥ずかしい判決をこれ以上繰り返すことがないよう、賢明な判断を強く求めておきます。

社外監査役と北電の深い関係、不問にできない

北電の社外監査役等についてです。

社外監査役の役割については、既に2001年に、社外の目と監査の日を持って臨むことが期待されていると、日本監査役協会の報告書で述べられています。

ところが、北電の社外監査役は、就任当初の株保有はゼロでしたが、その責にある間に株の保有数をふやし続け、北電と深い関係になっていく。これで道民の理解が得られるでしょうか。

元高裁長官の社外監査役は、会長、社長に次ぐ大株主で、現在の社長よりも多い、9800株も有していたようです。これでは社外監査役を形骸化させるのではありませんか。

知事も、法的に問題なしとしながら、北電の役員からの個人献金を辞退したではありませんか。社外監査役のあり方についても、国民的議論が必要と指摘をしておきます。

福島の事故の真っただ中に再稼働を口する北電の値上げ、どう考えるのか

知事も、北電も、節電への協力に感謝を述べています。

しかし感謝したはずの北電は、道民に対し、電気料金の値上げを求める、値上げ回避のためには、泊原発の再稼働が必要だと言わんばかりです。こうしたことを、日本の国では、恩をあだで返すというのではありませんか。

2年たった今でも、福島原発は事故の真っただ中です。福島県議会議長の言葉を朝日新聞が社説で紹介していますが、原文のまま引用いたします。

「『原発が必要』という人ほど事故後の福島を見に来ない。(中略)3号機の前に立ってみろって。そしたら再稼働なんて簡単に言えなくなる」、こう言っています。ばりばりの原発推進派と言われる方の重い発言です。

原発の再稼働を軽々に口にしての北電の電気料金の値上げに、知事は適切に対応されると答弁されました。そうであるなら、知事御自身が事故現場に立ち、もう一度よくお考えになってはいかがかと思いますが、知事のお考えをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。


高橋はるみ知事の再々答弁

○知事高橋はるみ君

(登壇)真下議員の再々質間にお答えをいたします。

北電の電気料金の値上げについてでありますが、私といたしましては、2年前の東日本大震災発生直後から、福島を初め、被災地の支援に取り組んでまいったところでありますが、今なお、道内に約3000人の方々が避難されている状況にあり、一日も早い復興を願っているものであります。

いずれにいたしましても、北電に関しては、値上げを申請されるかどうかは明らかではありませんが、私といたしましては、国の諸手続に沿って、適切に対応してまいる考えであります。

以上であります。


※人名・地名等、コンピュータの機種によって表示できない旧字、異字等は通用字体に改めているものがあります。

[日本共産党道議団編集]

pagetop