【真下紀子道議の反対討論】 | 12.12.25 |
議案第23号は、北海道児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例案です。
児童福祉法第45条では、児童福祉施設の設置者に対し、施設の設備、運営について、水準の向上を求めています。
道においても、法の趣旨にのっとって基準を設定すべきであり、北海道ならではの、ゆとりある保育環境に改善すべきです。
しかしながら、地域主権改革一括法に伴う条例委任により、自主的に基準の拡充が可能であるにもかかわらず、日本が、戦後の混乱期で、貧しい経済状態にあった時期に定められた劣悪な基準と指摘されている3.3平方メートル以上をそのまま適用しており、賛成できません。
議案第25号は、北海道道路の構造の技術的基準等を定める条例案であり、第23号と同じく、地域主権改革一括法により、条例委任されたものです。
この条例では、歩道の幅員について、縮小規定を設け、1.5メートルでの整備を認めていますが、現行基準の2メートルは、車いすがすれ違える幅として定められております。
基準の変更に当たっては、車いす利用者や家族、支援者の方々の意見を聞いてしかるべきです。
しかし、私どもが確認をいたしました、道内の代表的な障がい者団体では、初めて聞く話だとし、障がい者の社会参加、共生社会に照らして、合理的な配慮をお願いしたいと述べられておりました。
パブリックコメントの実施のみで、当事者や関係者からの意見を直接聞かないまま基準を切り下げることは、行政手続として問題であると言えます。よって、反対です。
議案第29号は、北海道税条例の一部を改正する条例案です。
自民、民主、公明などによる消費税増税に伴い、地方消費税の税率を引き上げるという改正であり、反対です。
反対の理由として、第1に、サンルダムや平取ダム、幾春別川の三笠ぽんべつダム、さらに、穴あきダムの東郷ダムの工事再開など、不要不急の大型事業を復活させる一方で、庶民に大増税を課すことを認めるわけにはまいりません。
第2に、道民の暮らし、地域の経済、医療、福祉にも、壊滅的と言っていいほどの負担を強いることになり、反対です。
私の質問で明らかになりましたが、消費税率が10%になれば、道立病院の控除対象外消費税が5億円、札幌医大は10億円にもなり、この負担増は、道内のすべての医療機関に当てはまります。
さらに、40歳以上の片働きで、年収が300万円の4人家族では、年間で25万円の負担増、1カ月分の給与に相当する可処分所得が消えてしまいます。
北海道の基幹産業である農業の年間産出額の約1兆円を大きく上回る1兆1570億円の消費税負担額となり、道民の暮らしを不安に陥れ、地域経済を冷え込ませてしまいます。
以上の理由により、道税条例の改正に反対です。
消費税増税に頼るのではなく、応能負担の原則に基づいた財源の確保で社会保障を充実させること、賃金を引き上げて、働く貧困層をなくすことや、地域の自然再生エネルギーや食関連産業などを応援するなどして、雇用と、中小企業の仕事をつくり、税収をふやすという方向にこそ、政策のかじを切るべきです。
議案第46号は、北海道公立大学法人札幌医科大学の第2期中期目標です。
医師派遣件数をふやし、道内の地域医療に貢献するとしている点は評価できますが、業務や組織の効率化、簡素化を求め、運営費交付金を縮減し続けるというのは問題です。
教育研究機関としての本来の役割が阻害されるおそれは否定できず、反対です。
報告第1号は、2009年の積丹岳における男性の遭難事件に関する判決について、控訴した専決処分の承認案件です。
判決が出された2日後に、専決処分により控訴しましたが、拙速な対応であると言わざるを得ず、賛成できません。
以上、反対の立場からの討論といたします
意見案第1号は、道民の医療を守るための充実・強化を求める意見書です。
意見案において求めている、医療の営利産業化へとつながるTPP交渉への参加に断固反対すること、医療における控除対象外消費税の解消を図ることには全く賛成です。
国民皆保険を守る立場からも、TPP交渉への参加については、私ども日本共産党は、一貫して、断固反対を貫きます。
しかし、社会保障と税の一体改革の着実な実施については、逆進性の強い消費税の増税が前提となっているため、賛成できません。
意見案が指摘するように、消費税増税は、医療においても、控除対象外消費税が医療機関の経営を直撃し、地域医療を崩壊させかねない問題であることを道議会でも明らかにしてまいりました。
この控除対象外消費税に象徴されるように、消費税は、社会保障財源として最もふさわしくないものです。国の税収に占める消費税収入の割合は既に20%を超え、社会保障の先進諸国に並んでいます。
一方で、年金を減らし、医療、介護の保険料、利用料などの自己負担を強いるなど、社会保障費を抑制することは大問題です。
応能負担に基づく公平な税制を実現し、同時に、むだを見直し、社会保障を充実させる方向への税金の使い道の転換による福祉国家への前進こそが必要です。
以上、反対理由を述べ、討論といたします。
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[日本共産党道議団編集]