真下紀子道議の3月議会報告 |
13.03.31 |
政府の「緊急経済対策」を受けた補正予算と本予算の実質「15カ月予算」を審議した臨時議会・第1回定例道議会が閉会しました,安倍政権のもとで初の予算編成となった道議会について、千田悟党道自治体部長が真下紀子道議に聞きました。
大きな特徴が2つありました。
ひとつは、安倍政権と歩を一にして公共事業の大判振舞いと、弱者に犠牲を強いる政治をすすめようとしていることです。サンルダムなど3事業4ダムを復活させ、穴あき東郷ダムを継続するなど大型公共事業を再開する一方で、低所得層をねらい撃ちにした道営住宅の家賃減免制度の負担増は顕著な例です。
また、道の雇用対策費のうち一般財源が8億円程度、3年で22%も削る、など道民の願いに背を向けています。
もう一つの特徴は、自民党・道民連合、公明党が国政与党の立場を鮮明にしたことです。安倍首相がTPP交渉への参加を表明したため、道議会では決議や意見書をめぐって緊迫したやり取りが繰り広げられました。私は決議、意見書とも後退しそうになる文言に異議を申しのべ、交渉参加を前提とした変更を許しませんでした。
しかし、提案権のある議員団がどうしても必要です。本当に悔しい思いでいっぱいです。
100人中わずか1人ですが、いくつかの注目される仕事ができました。東日本大震災から2年目を迎えた3月11日日、一般質問で原子力ムラの構造をさらに明らかにしました。全国でも最大規模のやらせを行った北電に対して厳しい監視が期待されます。しかし、北電の社外監査役は年間700万円〜800万円の報酬のほかに、電気料金に含まれる事業報酬から株主配当金を受け取っていたのです。道新が「知事も苦言」と書き、NHKも報道しました。
また、地方議員を兼ねている北電社員の給与二重払い問題についてあらためてただし、この厚遇を北電が1月末でやめたと道が明らかにしました。昨年の12月議会でとりあげ、言論と運動のコラボが勝ち取った貴重な成果です。
核燃料税の増税も結局原発依存を続け、電気料金で道民負担となるため、「原発ゼロ」を求める共産党が核燃料税に頼らない財政を求めたのです。これは、同じ3月11日に泊再稼働を求めた自民党議員との対比・違いは鮮明でした。
道は道営住宅の管理戸数は5年で913戸も減らし、修繕費も増やしていないにもかかわらず、低所得者が最も重い負担となる提案をしてきました。住宅困窮者や低所得者向けに住宅を提供する本来の役割に逆行します。
入居者や生活と健康を守る会のみなさんが、短期間で団体署名と、個人署名を集めて道議会に提出しました。運動の高まりの中、道は当初の見直し案に激変緩和措置として、2段階での値上げを盛り込まざるを得ませんでした。
しかし、生活費に満たない収入の低所得層に対する負担増にかわりありません。引き続き撤回と改善を求めたいと思います。
運動が勝ち取った画期的な側もご紹介します。
北海道労働委員会の労働者委員の任命が同一系統の労働組合(連合)に独占されているため、道労連などが道を相手取って裁判を続けてきました。判決は道側の勝訴で確定判決となりました。
しかし判決文は、労働者委員の選任過程は「労組法上の推薦制度の趣旨を没却するものとして裁量権の逸脱・乱用にあたる」とのべ、知事による不公正な任命がおこなわれたと断じたのです。
公平・公正な選任を求めた質問に高橋知事は、「判決の一部について道の主張が認められなかったことは遺憾」だと認めざるを得ず、道の正当性をまったく主張できませんでした。傍聴者から「答弁不能になった」との感想が寄せられました。
11都府県が連合系による独占を改善している実態も明らかにし、長年の闘いのなかでの大きな前進といえます。
また、建交労が全道で調査にとりくんでいる指定管理者の労賃について、道は調査すると答弁。建設労働者の賃金調査に続く前進です。
民主党政権が退場させられて自公政権がめざす復古政治は道民の願いと真っ向から矛盾する風として強く地方に吹いてきます。アベノミクスの実像は物価高を導き暮らしと経済を苦しめること、TPP交渉参加表明で道民との矛盾はますます激しくなるでしょう。
電気料金の値上げや泊原発の再稼働問題が浮上することも確実です。
国民の意思とは正反対にすすむ政治の逆流にしっかりと立ち向かい、世論や運動と力を合わせて道民の声にこたえていきたいと思います。
(「ほっかい新報」13年03月31日より)