いのち、安全守る鉄道こそ/真下紀子道議会議員 | 13.10.27 |
一昨年5月に石勝線のトンネル内での脱線火災事故以来、JR北海道では事故や故障等がつづいています。今年に入ってからも、車輛から出火、線路下砂利流出で貨物列車が脱線、運転手によるATS装置の破壊、レールの異常を放置など、とても安心して利用できる状態ではありません。
10月27日に日本共産党国会議員団北海道事務所と党道委員会が主催する「緊急シンポジウム JR北海道 何が問題で、何を解決したらいいのか」が開かれました。武田泉・道教育大学札幌校准教授、牧田智雄・元国労札幌闘争団長、紙智子・参議院議員の3氏が問題提起、真下紀子道議が特別報告し、意見交換しました。
真下紀子道議の発言を紹介します。
2010年6月、福知山線の事故の前に小さな事故が続いたように、重大事故が起こる前に小さな事故の積み重ねがあると、道議会質問で警鐘を鳴らしました。JR北海道と運輸局への事故防止対策を申し入れるよう、道に求めました。そして、11年石勝線の事故が起き、2年後の今年5月5日「スーパーカムイ」から出火事故がありました。当初はディーゼルだけの問題だとされていましたが、電車の「スーパーカムイ」からの出火事故は大変なことだと、JR北海道に安全対策を申し入れるべきだと考え、直ちに道に申し入れをしています。
高橋知事は6月の社長交代時の就任あいさつに来た社長に苦言を呈しただけですが、それだけでは不十分です。7月に連続して事故が起きた段階で、私はもっと厳しい態度をとるべきだったと、9月25日本会議の一般質問でとりあげました。
7月末に本社へ申入れ
私は7月31日に紙智子参議と一緒にJR本社に申し入れに行きました。この一連の事故の背景に構造的・歴史的問題があると指摘しまして、経営体質、経営方針まで抜本的に検証すべきだと主張しました。この時、私は、たとえ5分、10分遅れても安全優先の対策をとってほしい、そう申し入れました。JR北海道の「効率化、高速化、コスト削減」に一番の大きな問題がある、今後も続けていけば事故は必ず起きる、繰り返されると思い、行動したわけです。
8月国交省申入れと甘い認識
JR北海道だけではだめ、この問題を解決するためには監督官庁である国交省に直接出向かないと解決しないということで、8月26日、紙議員、大門実記史参議と一緒に、鉄道局に直接申し入れしました。ところが、鉄道局の担当者は「JR北海道は安全基本計画をつくったばかりだ。すぐには改善しません」と言いました。これが国の認識だったのです。
北海道の事故が続いている状況をまったく深刻に捉えていない、これは本当に国の深刻な事態だと思います。それで大門議員が「安全の問題を何と言っているのか」と、議論になり、国会連絡室の方が飛んでまいりまして、「しっかりと鉄道局に伝えます」という一幕もありました。そのくらい北海道のことが、国の方では認知されていない状態です。
知事も直接申し入れる
9月の一般質問では、当初JRの運行の安全については私だけしか質問通告していなかったのですが、19日にJR貨物が脱線して、レールの異常放置問題が明らかになり、自民党も急きょ質問することになりました。
私は、知事と道の認識が薄かったと指摘、知事もJRの社長に直接申入れると言わざるをえないところまできたわけです。この自覚を欠いたJR北海道に厳しい対応しなさい、と言うことを言う人がいなければ変わらないのではないかということを実感しました。
4人の国会調査団
その翌日26日に、穀田、紙、大門、辰巳各議員の4人の国会調査団が入ったわけです。そこでわかったことは、監査が定期的におこなわれていない、なぜこれまで大きな様々な構造的な問題があるのに、国がそれを把握して指摘することができなかったのか。監督官庁の重大な責任が問われます。
JR北海道の経営が厳しいことはわかっていながら財政措置をしてこなかった国の責任、また民営化後の安全軽視のJR北海道の体質と姿勢が明らかになってきた中で事故が起こっていて、非常に残念でなりません。
なくすわけにいかない鉄路
その後、10月の予算委員会でも質問してきました。北海道がもっている気象の厳しさ、長大路線、この鉄路というのは交通弱者といわれる人たちの交通権とともに、農水産物等の貨物を輸送し、本州に届けるという、人の命とそれを支える仕事があるのだから、なくすわけにはいかないんです。
その立場で私たちが声をあげて力を合わせて今、頑張っていかなければならない、強い気持ちでとりくんでいます。
現場の声を反映し再建を
9月26日の調査の後、現場の労働者の方々からお話を伺いました。現場の声を反映させ安全優先の運行が求められます。
2日前(25日)に、増毛のなだれの現場を見てきました。補修はされていますが、同じように危険なところは各所にあります。でも今年度の工事は全て終了したので、これ以上は対策とれないという。これで木当に大丈夫なのか、と言いました。同じ保線なのに土砂崩れの土木の部分とレール運行の部分は別々で、情報が共有されていない。認識と方針が一元化されていなくて総合的に把握できないようです。構造的な問題も含め改善していかなければ同じような事故がまた起きてしまう。そういうことは絶対避けなければならないと考え、発言しました。
(13年11月03日付「ほっかい新報」より)
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