【公共事業における建設労働者の賃金など改善迫る】 | 12.09.28 |
質問者 日本共産党 真下紀子 議員
真下紀子君。
建設工事下請状況等調査に労務単価の項目が追加されて、3年が経過しました。公共工事の設計労務単価を10%以上下回る労務単価と、そのうち、20%以上下回る労務単価の推移について伺います。元請、下請それぞれについて示してください。
※「10%超」「20%超」は、公共工事設計労務単価と実際の労務単価とのかい離の幅(道建設部建設管理局所管分) | |||||||
2009年 | 2010年 | 2011年 | |||||
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元請 | 下請 | 元請 | 下請 | 元請 | 下請 | ||
10%超下回った 件数 | 0 | 2 | 5 | 8 | 21 | 20 | |
うち、20%超 下回った件数 | 0 | 0 | 0 | 5 | 11 | 6 |
また、平成23年度は41件で、元請負人に係るものが21件、下請負人に係るものが20件となっているところでございます。
さらに、このうち、20%以上下回っていた件数については、平成21年度はございませんでしたが、平成22年度は5件で、すべて下請負人に係るものであり、平成23年度は、17件で、元請負人に係るものが11件、下請負人に係るものが6件となっているところでございます。
特に、下請業者よりも、予定価格の90%以上で受注している元請事業者のほうで低労務費がふえている実態をどういうふうに受けとめているでしょうか。
下請に対して、元請の地位を利用した不適切な取引が疑われる、こういった懸念をぬぐい切れません。
また、道は、2009年に最低制限価格を90%に引き上げたわけですね。この政策目的を達成するために、調査を強化するということが必要だと思うのですけれども、いかがでしょうか。
調査の結果では、企業内において、経験などにより賃金の差はありますが、労務単価が公共工事設計労務単価と比べて10%以上下回っていた場合には、請負人に対して改善を要請しているところであり、今後とも引き続き、適正な調査の実施に努めてまいりたいと考えております。
今後は、労務単価に係る要請を行った元請負人等につきましては、翌年度の調査対象に加えるなどの検討をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
各建設管理部所管の工事で、元請は、3年間、横ばいなのですけれども、1次下請は、429社が173社に、2次下請は、40社から7社へと激減をしております。建設局所管工事に至っては、2次下請を一つも調査しておりません。3次下請を含めて、建設業の重層的な下請構造を反映した調査対象に改めていく必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
なお、必要に応じ、2次以下の下請負人等も調査対象としているところでございます。
元請・下請間の契約関係の一層の適正化を図るためには、元請人の調査件数を一定程度確保することが必要であることから、その調査対象は、施工中の工事のおおむね1割程度、件数では150件程度をめどとしてございまして、今後とも、適正な調査の実施に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
次に、道内の建設労働者の賃金、労働条件についてです。
北海道の2012年度の公共工事設計労務単価は、51職種中、特殊作業員や型枠工など10の職種で全国最下位だということです。北海道の鉄筋工は、全国で下から3番目です。建設新聞では、ベテランでも日給が1万円、20代前半に至っては9000円未満という状況の中で、道内の鉄筋技能者数は、2003年と比べて、約25%、921人が流出したと報じられております。
建設業を支える技能労働者の確保のためにも、公共工事設計労務単価を引き上げる必要がある、このように考えるわけですけれども、道としての認識と対策を伺います。
また、労務単価につきましては、国と都道府県、政令指定都市などが共同で調査して、国が都道府県ごとに定めているところでございます。
道といたしましては、建設業を担う人材確保や公共工事の品質を確保するため、公共工事設計労務単価の適正な設定は重要であると認識してございまして、今後も、その適正な設定に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
予定価格は、実例価格が考慮されて、もともと低い賃金が一層引き下げられるわけです。それがまた根拠にされて、下がっていくわけですから、上がることはないのです、負のスパイラルなわけですから。これを引き上げるということが必要です。実態としては、横ばいになっています。
先ほど申し上げましたように、最低制限価格が90%になって、本来であれば、5%から7%引き上げられているはずなのに、横ばいなのです。ですから、ここをしっかりと反映させるために、具体的にどう対応するのか、検討していただけないでしょうか。
道といたしましては、この労務費調査の精度向上に努めるとともに、設計労務単価の適切な設定に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
以上でございます。
それと、私は、最後のほうで提案しておきたいのですけれども、一つは、総合評価方式で、労務単価について加点するなどの改善を検討していただきたい。今の北海道の総合評価方式では、賃金に関する項目が欠落しているという大問題を抱えているので、これを改善していただきたい。
もう一つは、公契約条例というものを真剣に考える時期だと思います。このことをきちっと考えていただきたいと思います。
道のほうは、これまでも、公契約条例はなかなか難しいのだということで、全国の状況を注視するという立場をとってきたのですけれども、3年前にも私が質問して、注視されたままなのですよね。中止と思われるかもしれませんが……。
北海学園大学の川村雅則准教授の調査では、道内の建設事業者の4分の1が、賃金の最低価格の設定や労働契約の締結が不可欠で、公契約条例を制定しなくても、それと同内容の施策を業界のほうが求めているということに注目しております。
道としても、こうしたことを真剣に検討すべき段階だと思うのですけれども、あわせて伺います。
次に、公契約条例についてでございますが、全国的に、公契約条例を制定している地方自治体におきましては、工事請負契約についても条例の対象とし、公共工事設計労務単価をもとに基準額を設定していると承知しているところでございます。
また、労働契約の内容を直接規制する条例の制定は、受注企業の経営への影響も懸念されることや、条例を制定した地方自治体におきましては、実効性の確保などの課題もあるものと承知しているところでございます。
このことから、道では、公契約に関する国の議論や、既に条例を制定した地方自治体の動向などについて、十分注視するとともに、情報の収集に努めることとしているところでございます。
今の答弁は、総合評価方式において、賃金の改善については、これまで以上のことはしないという答弁でした。それから、公契約条例等についても、このままでいいのだという答弁でした。これで、北海道の労務単価が引き上げられ、雇用環境が改善されるのでしょうか。
2009年、2010年と、高橋知事は、道議会で、最低制限価格を引き上げるときに何とお話しになっていたか、御存じですよね。最低制限価格を4%から7%へ引き上げるときに、下請契約状況、雇用実態調査、指導監督を強化する、フロー効果を期待するのだということを答弁していたわけです。それから3年です。
今の答弁を聞いて、部長、どうでしょうか。それでいいのですか。知事の言っていたことが実現されていますか、お答えください。
今後とも、適正な賃金の支払いなど、雇用・労働条件の改善に努めてまいりたいと考えております。
次に、公契約条例についてでございますが、建設部といたしましては、道庁内の関係部が連携を密にして対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
ありがとうございました。
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