【道発注工事の賃金、事の姿勢をただす】 | 12.10.03 |
これより委員外議員の発言を許します。
真下紀子さん。
最初に、公共事業における建設労働等について伺います。
知事は、2009年の最低制限価格引き上げの効果について、予定価格は5%から7%アップし、小さな工事ほど引き上げ幅が高い、建設業の利益アップは、下請企業や労働条件の改善に波及するものとお答えになって、業界でも、高い評価と期待が寄せられたところです。
ところが、公共工事設計労務単価は、10種類が全国最低で、道の下請状況等調査でも、10%以上も賃金が低いケースが拡大していることが分科会で明らかになりました。
3年たっても、知事の答弁とは裏腹に、この波及効果のなさは、知事にとっても不本意と考えますが、どのように受けとめておられるのか、まず伺います。
最低制限価格の引き上げについてでありますが、平成21年7月に行った最低制限価格の引き上げにつきましては、公共工事の品質を確保する観点に加え、道内の建設業が継続的に経営できる環境を整備する観点から、当面の措置として実施をいたしたところであります。
この引き上げによりまして、公共事業の品質の確保や、建設業の安定的な経営に効果があらわれるよう、元請・下請間の契約状況や、工事施工中における雇用実態などについての調査及び指導を強化したところであります。
一方、この3年間の状況を見ますと、国が都道府県ごとに定めている労務単価については、北海道は、全国的に低い水準にあるものの、近年、上昇している職種も増加しているところであり、品質の確保に向けた取り組みとともに、下請状況等調査の強化を図ってまいりたいと考えております。
以上であります。
労務単価は低水準なのですね。
それで、建設部は、設計労務単価を10%以上下回った場合、次年度の再調査を検討すると答弁しましたが、知事においては、さらに、重層的下請や労賃への波及効果を高めるために、より実効ある対策をとるべきと考えますが、いかがでしょうか。
今後の対応についてでありますが、下請状況等調査は、基本的に、元請負人と1次下請負人を対象としているところであります。
また、労務単価については、調査の結果、企業内において、経験などにより賃金の差はありますが、公共工事設計労務単価を10%以上下回る場合、改善を要請しているところであります。
道といたしましては、労務単価の状況をより詳しく把握することは必要なことと考えているところであり、2次以下の下請負人についても、対象をさらに拡大するなど、調査の充実強化に努め、今後とも、適正な賃金の支払いについて要請をしてまいります。
以上であります。
次に、安定沃素剤について伺います。
まず、原子力事故時の緊急被曝に対する安定沃素剤の予防効果と、配布、服用について、知事のお考えを伺います。
安定沃素剤の効果などについてでありますが、安定沃素剤の服用は、放射性沃素による内部被曝で発生する甲状腺がん等を防ぐための予防措置の一つとして有効であるとされており、本年3月に原子力安全委員会がまとめた、防災対策に関する中間取りまとめにおいても、原発事故の初期における重要な防護対策であると位置づけられているところであります。
私といたしましては、原子力災害が発生した際には、住民等に対し、適時適切に安定沃素剤の服用指示がなされるなど、住民の方々の放射線被曝を低減するための対策を講じていくことが重要と考えているところであります。
以上であります。
そのとおりなのです。
ところが、北海道の有識者専門委員会では、「昆布だしのみそ汁を毎日飲んでいれば、そんなものは要らない」とか、「そういうときは、ノリを巻いたおにぎりを配る」などと、あたかも安定沃素剤は不要のような議論が繰り返されたわけです。
座長は、「非常に重要で、的を射た御指摘だ」と大絶賛しておりますが、お二人とも、専門家で、スペシャリストの方です。でも、私は、とても専門家の御意見とは考えられないわけです。
これは、知事の今の御答弁とも、国の見直しの議論とも、真逆な関係にあります。知事、これでよろしいのでしょうか。
安定沃素剤についての御質問でございますが、有識者専門委員会の議論の中で、議員が御指摘のような発言があったことは、私も報告を受けているところでありますが、専門委員会が取りまとめた報告書においては、避難住民に対し、迅速かつ適切に安定沃素剤が配布されるような体制を整備することが必要とされており、私といたしましては、安定沃素剤の必要性を前提とした提言がなされているものと受けとめているところであります。
以上であります。
ところが、委員の方がおっしゃっていることは驚くべきことでして、何のために、繰り返し、こういうことをおっしゃるかというと、啓蒙のためだというのです。
それで、今、夕刊に報道されたのですけれども、原子力災害対策指針の案の中に、50キロメートル圏内に防災対策地域を拡大して、安定沃素剤については事前配布する、このような方針が示されました。つまり、事前配布された住民が、昆布入りのノリ巻きのおにぎりを食べれば、それで済むのじゃないかと思ったら大変なことになるわけです。命にかかわる問題です。ですから、こういった啓蒙をするような議論というのは適切ではないと考えるのですけれども、どうでしょうか。
命にかかわる問題ですから、慎重に御答弁してくださいね。
安定沃素剤の服用に関する重ねての御質問でございますが、専門委員会における委員の発言は、日本人は、日常の生活において、昆布などから沃素を摂取する頻度が高いため、放射性沃素の甲状腺への取り込みは少なくなるといった認識を述べられたものと受けとめているところでありますが、私といたしましては、原子力防災時には、住民等に対し、適時適切に安定沃素剤の服用指示などがなされる必要があるものと考えているところであります。
以上であります。
立命館大学の安斎育郎先生は、急性被曝のおそれには沃素剤の服用が重要だと。放射線防護の専門家がこう話しています。ですから、昆布やノリで事足りるような啓蒙というのはやってはいけないのです。そのことをはっきりとおっしゃってください。
安定沃素剤の服用に関しての重ねての重ねての御質問でございますが、専門委員会における委員の発言は、先ほど私が申し上げたような趣旨において行われたものと理解をしているところでありますが、私といたしましては、原子力災害時には、住民等に対し、適時適切に安定沃素剤の服用指示などがなされる必要があるものと考えているところであります。
以上であります。
間違った啓蒙が、北海道の知事が選任した委員のもとで行われてはならないと厳しく指摘をしておきます。
最後の質問にします。
政府の事故調査委員会、国会事故調査委員会の報告で、沃素剤の予防・服用措置はうまく機能しなかった、国と知事の失敗だと厳しく指摘しております。
緊急被曝時に、行政にしかできない仕事があるということで、福島県三春町のように、住民に信頼されて、整然と安定沃素剤が服用されたことが報道されております。
原発災害時に住民の命を守るために、適時な判断を行うことを知事としてはどうお考えか。また、安定沃素剤の服用について、国で見直しをされておりますが、道は、今後、原子力防災計画にどのように反映されるおつもりなのか、あわせて伺います。
安定沃素剤の服用指示などについてでありますが、原子力災害が発生した場合に、放射線の被曝を低減させるためには、安定沃素剤を適時に予防服用させることが重要であります。
こうした中、福島原発の事故では、国の災害対策本部や県から町村への服用指示が適切に行われなかったことから、三春町などでは、現地自治体の判断により、服用などがなされたものと伺っているところであります。
こうしたことから、私といたしましては、国会事故調などの指摘も踏まえ、緊急時における沃素剤の服用指示が適時適切になされるよう、国や道県の果たすべき機能が発揮される仕組みなどを構築していく必要があるものと考えているところであります。
また、原子力防災計画への反映についてでありますが、緊急時における安定沃素剤の取り扱い方法については、安定沃素剤の必要性を前提とした有識者専門委員会の報告書も参考としながら、原子力規制委員会における、災害時の安定沃素剤の投与指示のあり方や、指示の判断基準などの今後の検討を踏まえ、道の原子力防災計画に反映をしてまいる考えであります。
以上であります。
終わります。
委員長、ありがとうございました。
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[日本共産党道議団編集]