精神障害者に一日も早く運賃割引の適用を/保健福祉委員会 | 12.08.07 |
道議会保健福祉委員会が7日、開かれ、真下紀子・日本共産党道議は、「バス運賃割引制度に精神障害の方々が加わったことは、当事者団体の粘り強い運動の成果」とのべ、道にいっそうの努力を求めました。
真下道議は、レセプト(医療費請求事務)データにもとづき、精神疾患患者が広域で通院している状況を示しました。21の2次医療圈のうち。7つの医療圈では、精神疾患患者すべて(100%)が札幌や旭川(上川中部)、函館(南渡島)など他の医療圈に通院しています。真下道議は、「根室医療圈の精神疾患患者さんは100%、釧路に約2時間かけて通院している」とのべました。
道が筆頭株主の北海道エアシステム(HAC)について、今年7月までの7か月間で、のべ922人が身体障害者割引を利用(同伴者含む)していると紹介。精神障害者に対しても航空運賃割引を実施するよう求めました。
白川賢一・道保健福祉部長は、JRやタクシーのほか、航空会社などヘも要請し、精神障害者ヘの運賃割引制度が「早期に実現されるよう最大限努力する」と答えました。
委員会には、札幌精神障害者回復者クラブ連合会(「社団連」)会長・細川潮氏や視覚障害者の江刺誠一さん、車イスの障害者らが傍聴しました。
江刺誠一さんは――真下さんの質問はよかった。道が動いてくれると答弁がありました,国にむけた運動を積み重ねてきて、「約款」が改定されたことが大きい。精神障害者にも一日も早く割引が実施されるように運動を強めたい。今日の内容を8月21日に開かれる「精神障害者にも、身体・知的障害者と同等に『運賃割引制度』適用を求める実行委員会」で報告したい――と語っています。
標準運送約款の7月改定はバス事業者に割引制度の実施義務を課すものではありませんが、運賃改定に国(地方運輸局)の認可を必要とするバス事業者にとって、乗客との間で守るべきルール(「約款」)に割引制度が盛り込まれた意義は大きいものがあります。
道内の民間バス事業者40社のうち、これまで12社が精神障害者の割引制度を独自に実施していますが、道は「改定」を受けて、未実施の28事業者に割引制度の導入を要請し、精神障害者の割引制度がない鉄道や航空機など他の公共交通機関にたいしても強く働きかけていくという答弁にも、そのことがあらわれています。
運賃割引を求めて運動を続けてきた関係団体も、引き続き運動を強化する予定です。また、運賃割引がある身体障害者や知的障害者についても、JRや私鉄各社では、本人が単独で乗車する場合の割引が片道101キロ以上に制限されるなど、改善されるべき課題は数多く残されています。
これまでのように事業者の自主性に任せていたのでは、割引制度や改善の実施は遅れるばかりです。
障害者自立支援法は問題が多い法律ですが、理念の一つに。障害の種別(身体障害・知的障害・精神障害)の一元化という、障害者団体が要望してきた前進面も合わせもっています。
かつて政府は、身体障害者手帳の交付を受けている障害者へのバス運賃の割引を、都道府県に再度通知(厚生省社会・児童局長連名通知、昭和27年8月29日)を出して徹底したこともありました。
道の努力とともに、国において、さらに具体的な推進の手だてが講じられる必要があります。
(T)
(12年08月12日付「ほっかい新報」より)
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