治山ダム撤去/北海道せたな町 真下道議が調査 | 12.05.23 |
治山ダムが下流への土砂の供給を遮断し、サケなどの遡上(そじょう)を妨げていることが問題になっているなか、北海道が試験的に治山ダムを撤去しています。異例ともいえる撤去の現場を日本共産党の真下紀子道議が23日、調査しました。
撤去工事が行われた治山ダムは、せたな町の良瑠石(らるいし)川です。道は試験的にダムの切り下げ(撤去)工事を行い、サケ・マスの遡上状況の調査を行っています。
良瑠石川は全長9.8kmで、本流と支流に各2基の治山ダムが設置されています。本流のダムには、らせん式の魚道が付いていますが、構造上の問題から毎年土砂が詰まり、魚道としての機能を十分果たしていませんでした。
調査に同行した地元の釣り同好会「一平会」の大口義孝会長は、「20年以上ボランティアでわれわれが魚道清掃を行ってきたが、すぐに詰まるので『抜本的な対策が必要だ』と道に強く訴え続けてきた。今回治山ダムの改良工事が実施されたのは、地元の漁業者が一緒に行動してくれたからで、感無量です」と語りました。
真下道議、江上恭司・前せたな町議らは、道の檜山振興局林務課の小林真吾主査らの案内で、川沿いを歩きました。5月下旬にもかかわらず水温は低く、長時間手を入れていることができません。「だからこそ冷温を好むヤマメやアメマスなどの貴重な魚も生息できる」。大口会長は誇らしげに語ります。
河口から500mほどの所に、1基目の治山ダムを撤去した跡がありました。施工後の川幅は4m程です。
すでにサケ、サクラマスのほか、アユ、アメマス、ニジマスの遡上が確認されています。地元ではサケとサクラマスの放流にも取り組んでいます。
一行は、撤去工事施工前の支流にも足をのばしました。高さは3m、幅が20mあり、断崖のような建造物です。このような治山ダムは、全道に約2万4000基、檜山管内だけでも約1200基あります。良瑠石川の治山ダム撤去を知った他の地域の漁業関係者からは「うちの河川のダムも撤去して」との声が上がっています。
「造ったら止まらない」といわれてきた治山ダムが撤去されたことは画期的です。全道の治山ダムは土砂に埋まったまま放置されています。魚にも自然にも優しい川づくりのために、これまで以上に力を尽くしたいと思います。
(12年05月27日付「しんぶん赤旗」北海道・東北のページより)
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