2011年08月01日
北海道知事
高橋はるみ 様
- 日本共産党
- 北海道委員会委員長
- 西野 敏郭
- 政策委員長
- 畠山 和也
- 北海道議会議員
- 真下 紀子
東日本大震災、福島原発事故を教訓に
道民の命と安全を守る道政実現を求める重点要望
3月11日の東日本大震災から、5か月が経過しようとしていますが、依然、被災3県の7万人を超える被災者の22・8%が避難所でくらしています。
福島第一原発は「安定」には程遠く、稲わらの放射性セシウム汚染による食肉への影響が全国に広がりをみせ、安全対策と被害への補償の遅れは、住民の命と暮らしをおびやかしています。
福島原発事故は、現在の原発技術が本質的に未完成で危険なものであり、ひとたび重大事故が発生すれば、被害は空間的にどこまでも広がり、将来にわたって危害をおよぼし、地域社会の存続さえも危うくすることを示しました。
いま必要なことは、北海道において、原発からの撤退を政治的に決断することです。
東日本大震災と福島原発事故を教訓として道民の命が最優先される道政を実現すること、原発からの撤退とエネルギー政策を大本から転換するために、下記のとおり提案するものです。
記
原発から撤退し、北海道にふさわしい再生可能な自然エネルギーへの転換を
- (1) 泊原発――総点検と安全対策を確立すること。期限を決め、運転中止から廃炉へと向かうこと。
- (2) 大間原発――建設を中止し、道南の住民の安全確保に万全を期す。
- (3) 幌延「深地層」――「北の大地」を核廃棄物最終処分場にさせない。核燃料サイクルの中止要求を。
- (4) 福島原発事故による汚染と被害への対策を。同事故を教訓として道民の安全を守る対策の強化を。
- (5) 原発からの撤退と再生可能エネルギーの拡大を一体で進めること。
東日本大震災を教訓にし、防災対策の強化を
- (1) 被災者への支援を継続・強化すること。
- ① 釧路管内のカキ、アサリ、噴火湾沿岸のホタテなど養殖漁業復興に支援を強めること。復旧、災害廃棄物の処理が来年度までかかる見込みの地域は、来年度も予算措置できるようにすること。
- ② 被災漁民、事業者の多重債務を解消すること。被災者と災害による失職者の雇用を確保すること。就学援助や国保、介護などの保険料、保育料の減免、住民税などの軽減などきめ細やかに実施すること。
- ③ 福島、宮城、岩手の各県から道内に避難してきている被災者への実態に合った支援を強めること。
- (ⅰ) 立ち上がり資金や、就職活動、福祉的な支援、心のケア等に万全を期すこと。
- (ⅱ) 生活保護にかかわって、義援金を収入認定しないようにするとともに、市町村を指導すること。
- (ⅲ) 被災地の高校生・学生向けに、道内企業がまとまって「現地就職説明会」を実施するなど就職活動を支援すること。
- ④ 復興財源を口実とした消費税増税、庶民増税に反対すること。
- (2) 災害に強い北海道を。ハード、ソフト両面の対策強化で「災害弱者」らを支えられる地域に
- ① 北海道沖で過去に発生した300〜500年周期の大地震とそれに伴う津波調査を行うこと。その知見を踏まえ、ハザードマップの全道的な改定を図り、津波避難計画を見直し強化すること。
- ② 液状化対策、コンビナートの安全対策を強化すること。
- (ⅰ) 液状化マップを策定している自治体は札幌、旭川、函館、北見の4市にすぎない。各自治体の液状化対策を支援すること。
- (ⅱ) 石油備蓄施設について、スロッシング(地震動による大きな横ゆれ)対策にとどまらず、液状化に伴う「測方流動」対策、津波対策(道内6コンビナートは海抜3〜9メートル)を強化すること。
- ③ 公共施設、個人住宅の耐震化を促進すること。
- (ⅰ) 避難所に指定されている公共施設、小中学校や保育所、私立学校、医療・福祉施設等の耐震化を進めること。
- (ⅱ) 上・下水道やガス、電気、道路などのライフライン、防潮堤や漁港の岸壁、河川の樋門、橋梁などの耐震化、老朽化対策の推進計画を策定し促進すること。
- (ⅲ) 川崎市では6月議会で、個人住宅の耐震化助成措置を拡大した(助成限度額200万円・補助率2分の1、非課税世帯は300万円・補助率4分の3)。道と市町村が協力して、財政支援すること。
- ④ 公立小中学校の「施設整備基本方針」(文科省、5月24日)にそって、道内小中学校の防災機能を強化すること。
- (ⅰ) 耐震化事業の国庫補助率かさ上げの延長を踏まえ、2016年3月までのできるだけ早い時期に学校耐震化を進めるための実施計画を策定すること。市町村への助成計画をつくること。
- (ⅱ) 小中学校が地域の防災拠点の機能を果たすよう、貯水槽、備蓄倉庫、トイレ、自家発電装置等を設置すること。倉庫の整備と一体に、物資の分散備蓄を進めること。
- ⑤ 災害時に住民の命を守る公務員、労働者を増やすこと。
- (ⅰ) 7割台にとどまる道内消防職員の充足率を100%にすること。そのための財政措置を国に強く求めること。地域に密着した消防体制に反する広域化は進めないこと。
- (ⅱ) 障がい者や高齢者、患者、乳幼児など災害弱者を直接援助する、医療や福祉、教育分野の労働者、公務員を増員すること。
- ⑥ 人工透析や人工呼吸器利用の患者らが、災害時に必要な医療を受けられるよう電源確保をすること。
- (ⅰ) 東北の各地の医療機関では、今回の災害で、透析治療等のための電源が不足した。道として、医療機関の自家発電設備の調査を行い、対策を講じること。
- (ⅱ) 人工呼吸器の予備バッテリーや酸素ボンベの備蓄・確保状況について、道として調査を行い、対策を講じること。
- (ⅲ) 発電のための燃料(重油)の備蓄、自前の地下水くみ上げ設備を含む水の確保、医薬品等の備蓄、通信手段の確保についても対策を講じること。
- ⑦ 「災害時要援護者」の支援を充実させること。
- (ⅰ) 要援護者支援計画と名簿の整備、福祉避難所の設置拡大を進めること。
- (ⅱ) 移動が難しい車いす(肢体不自由)の人や高齢者、状況の把握が難しい視覚障がい者、コミュニケーションが困難な聴覚障がい者や知的障がい者、内部障がい者など、それぞれに合ったきめ細かい対策を進めること。
- (ⅲ) 「高齢者・障がい者等に対する支援対策マニュアル」を、イラストを入れるなどしてわかりやすく改定すること。マニュアルを活用して、障がい者・高齢者と、いわゆる健常者が参加しての「支援訓練」を実施すること。
以上