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申し入れ

再生可能エネルギーの飛躍的拡充に関する緊急要望

11.07.08

再生可能エネルギーの飛躍的拡充に関する緊急要望

2011年07月08日

北海道知事 高橋はるみ様

日本共産党
北海道委員会政策委員長
畠山 和也
北海道議会議員
真下 紀子

福島第一原発事故は、史上最悪の重大事故となり、いまだ収束の見通しが立たず、原発の安全性への信頼を根底から崩壊させました。道民の間には「泊原発に不安」は88%にのぼり、「廃止」が60%と「存続」「増設」の合計14%の4倍強となっています。(「道新」7月3日)

いまこそ危険な原発依存のエネルギー政策を転換し、再生可能エネルギー中心の安全なエネルギー政策を確立すること、道政において再生可能エネルギーの爆発的拡充こそもとめられます。

また、九州電力の「やらせメール」による世論の誘導が発覚し、国民の怒りが沸騰しています。

再生可能エネルギ―の道内賦存量は太陽光74.7PJ、風力11PJ、中小水力17.7PJ、地熱・温泉熱38.6PJなど(道エネルギー問題懇談会の10年3月戦略メッセージ資料編)、極めて豊富です。

道の「省エネ新エネ行動計画」の進捗は風力23%、太陽光5%、水力5%など極めて低いレベルにとどまっているのは、道として本腰を入れてこなかった結果です。

よって、道においては、地球温暖化対策にも貢献する再生可能エネルギーの飛躍的拡充に、本格的に取り組むよう提案します。

  1. 再生可能エネルギーの地産地消と地域循環

    ソフトバンクによってメガソーラー計画が提案され、道内28市町村事業者から誘致計画が進んでいるが、地域の資源に根ざした再生可能エネルギーの開発にあたっては、大規模誘致型に偏ることなく、地域に根ざした市町村・市民会社・NPO等が主導し、地域経済循環型で進められるべきである。これを道の方針の基本にすえること。

  2. 再生可能エネルギー推進条例の検討と数値目標の策定

    新たな「再生可能エネルギー推進条例」の制定の検討を進めること。

    北海道の再生可能エネルギー自給率は3.75%の低レベルにとどまっている(千葉大学・永続地帯2010年版報告書)。5年後、10年後の数値目標をすえて、積極策を講ずること。

  3. 再生可能エネルギー推進局の設置

    道は今回の機構改正で、経済部に環境エネルギー室を設置した。経済部環境・エネルギー室のうち、「省エネ新エネグループ」は参事を入れて8人体制にすぎない。これでは再生可能エネルギーを飛躍的に発展さようという意気込を道民に発信しえず、全庁の司令塔にはなりうるように、総合政策部に「再生可能エネルギー推進局」を設置し、強力な推進体制を構築すべきである。

  4. 北海道の多様な自然条件にふさわしい再生可能エネルギーの活用と研究・開発の促進を

    下川町においては林地残材、製材所のバーク・木くずなどを活用して木質ボイラーを導入し、役場周辺や児童施設、育苗ハウスに熱供給を進めている。足寄町、美幌町などの先進事例もある。

    林業活性化・森林再生とあわせて、木質ボイラー・ストーブの利活用を木質ペレット利用とともに大規模に進めること。公共施設とともに、野菜ビニールハウスやコンブ乾燥などの先進的事例集を発行し、道立施設での導入普及啓発をはかること。9月議会補正予算に所用措置を組み入れること。

    日本海側の風力や道東地方の地熱、畜産バイオマス、雪氷など多様で多彩な自然条件とエネルギー資源を生かすこと。道内の大学や道立・国立の試験研究機関、民間団体が協力して再生可能ヱネルギーの研究・開発が促進されるよう財政措置を講じること。

  5. 国に対して、電力の固定価格での全量買い取り制度と発送電分離を強く求めること

    2年前に成立した非化石エネルギー関連法案は、買い取り対象が太陽光発電の余剰分に限定され、化石エネルギー以外のエネルギー源の利用促進をはかると称して、原発推進を含めていることや、買い取り費用は電気料金に上乗せして利用者から撤収することを認めるなど大きな問題点を抱えている。よって、電力会社による買い取り制度は、原発抜きで、あらゆる分野の再生可能エネルギーの固定価格での買い取りを義務付けること。原発推進に使われている電源開発促進税(年間約3500億円)などを利用して、電気料金に転嫁させないこと。

    各電力会社による地域独占を可能としてきた「発電」と「送電」を分離し、発電事業への新規参入をめざす各地域の小規模な事業者も送電網を公平な条件で使えるようにし、再生可能エネルギーの普及促進につなげること。

以 上


※ ぺタジュール:10の15乗ジュール。エネルギーの単位。1PJは約23,885toe(石油換算トン)。同資料によれば、道内の年間エネルギー消費量は694PJとされている。