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申し入れ

2011年度北海道予算編成等に関する重点要望書

11.05.27

北海道知事 高橋 はるみ 様

2011年05月27日

日本共産党北海道委員会
  委員長
西野 敏郭
政策委員長
畠山 和也
日本共産党道議会議員
真下 紀子

2011年度北海道予算編成等に関する重点要望書

東日本大震災から2か月半が経過しました。いま、被災者と国民・住民に対して、国が責任を果たすという政治的なメッセージを打ち出すとともに、地方自治体としても、被災者の生活基盤と、風評を含めた被害の回復のための具体策を講じることが求められています。

大震災による福島第一原発・第二原発の事故は、チェルノブイリに匹敵する放射能汚染をもたらしました。今の原発技術が本質的に未完成で危険だという認識をもたず、地震・津波国である日本に次々と建設し、「安全神話」にしがみついて対策を怠ってきた歴代政府と電力会社の責任は極めて重大です。

同時に、国と北電の方針のままに泊原発の建設と稼働を認めてきた道としても、みずからの姿勢を検証するとともに、再生可能な自然エネルギーへの転換が求められます。

4月の道知事選挙、道議会選挙では、大災害から道民の安全をいかに守るのか、災害に強い北海道をどのようにつくっていくのか、泊原発や大間原発の危険から道民を守るとともに原発依存のエネルギー政策でよいのか――などが問われまた。

日本共産党道委員会と道議団は、道民の生命と財産を守り、暮らしと福祉最優先の道政を実現するために、道予算編成にあたり下記の項目を重点要望します。

  1. 東日本大震災を教訓に、道民の命と安全第一の道政に。原発依存から再生可能な自然エネルギーへの転換を

    • (1)道内外の被災者・被災地支援と復旧・復興対策
      • ① 時間の経過とともに変わる岩手、宮城、福島などの被災地、および道内に避難してきた被災者の実態や生活環境、願いにそくしたきめ細やかな支援をおこなうこと。
        • 長く避難生活を続けている人たちの健康と心のケアのための医師や臨床心理士らの派遣。
        • 被災地の雇用と仕事起こしにつながる支援を実施する――仮設住宅促進のための道産資材の提供。三陸沿岸の水産加工業復旧のための原料となる道内水産物の供給など。
        • 被災地からの要請があった場合に災害廃棄物などを受け入れる。
        • 福島の放射能汚染の被害と風評被害への支援――避難を余儀なくされた地域住民の集団受け入れや、安全が確認された福島県の物産の道内での販売支援、外出が制限されている福島の子どもたちの「夏休み招待事業」など。
      • ② 被災した道内漁業者らへの個人補償を含む財政支援、仕事の確保、福祉的な支援策を早急に実施すること。そのための実態調査を急ぐこと。
        • 被災した漁船や施設の対して必要財政支援をおこなう。
        • 被災漁民の二重債務を解消し、「マイナス」ではなく、せめて「ゼロ」からのスタートを。
        • 緊急雇用交付金など雇用対策費を動員して、被災者と災害による失職者の雇用を確保する。
        • 就学援助や国保、介護などの保険料、保育料の減免、住民税などの軽減など万全を期す。
      • ③ 震災復興を理由とした消費税増税など庶民増税案に反対すること。
    • (2)災害に強い北海道を。ハード、ソフト両面の対策強化で「災害弱者」らを支えられる地域に
      • ① 日本海溝・千島海溝型地震をはじめ、本道周辺で発生しうる巨大地震、連動型地震と津波による災害対策を抜本的に強化すること。
        • 道内外の研究者らの知恵を集めて検討委員会を設置する。
        • 津波ハザードマップと避難計画の策定、海岸からの避難路指定などを推進するために、市町村を人的・財政的に支援すること。
        • 岩手・三陸には「津波てんでんこ」という知恵が伝えられている。市町村が、子どもと一般道民をそれぞれ対象とした災害教育、避難訓練を実施できるよう支援する。
      • ② 避難所に指定されている公共施設、小中学校や保育所、医療・福祉施設等の耐震化を進めること。また、上・下水道やガス、電気、道路などのライフライン、防潮堤や漁港の岸壁、河川の樋門、橋梁などの耐震化、老朽化対策の推進計画をもち促進すること。
      • ③ 災害時に住民の命を守る地方公務員、医療や福祉、教育分野の労働者を増員すること。
        • 市町村とともに、消防職員の充足率100%をめざす。
        • 保育士の最低基準を見直す(1、2歳児6人に対して保育士1人では、避難させられません)。
        • 同様に、認知症グループホームなど高齢者施設、障害者施設の職員配置基準を見直す。
      • ④ 高齢者や障害者、乳幼児、妊産婦ら「災害弱者」が、日ごろから安全・安心に暮らしていけるコミュニティをつくること。
        • 「災害時要援護者」の支援計画と名簿の整備、福祉避難所の設置をすすめる。
        • 道営住宅におけるシルバーハウジングを増設し、現役世代と高齢者がともに暮らす道営・公営団地を各地につくる。
        • 地域における高齢者世帯等への配食サービス、声かけ・安否確認等の事業を支援する。
        • 都市部、過疎地域を問わず地域支援員や「独居高齢者見守り隊」、民生委員らの担い手を増やす対策を策定し、市町村とともに実施する。
        • 商店街と連携した買い物難民対策、コミュニティーバスなど地域交通の支援で安心して暮らせる地域をつくる。
    • (3)泊原発の規制。原発からの撤退のプログラム策定を。原子力への依存から北海道にふさわしい再生可能な自然エネルギーへの転換を
      • ① 泊原発の厳格な総点検を道民参加でおこない、防災体制を確立すること。
        • 国、北電任せでなく、道の責任で専門家による委員会を立ち上げ、活断層の再評価をおこなう。
        • 原発の危険性を説いている研究者・専門家や、岩宇4か町村以外の自治体関係者らも参加する「泊原発安全検討委員会」を設置し、道民の命を守る立場で検証する。議論は、道民への公開で進める。
        • 運転開始から20年以上経過している1、2号機の運転を中止して厳格に総点検し、結果を公表する。
        • 「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」(EPZ)を、少なくもIAEAが提案する30キロ(「緊急防護措置計画範囲」(UPZ))まで拡大する。後志管内のすべての市町村関係者・住民が参加して防災計画を策定する。
      • ② 破綻した「安全神話」から抜け出し、原発からの撤退を決断すること。
      • ③ 知事・道議は、北電役員等から政治献金を受け取らず、パーティー券購入も依頼しないこと。
      • ④ 原発依存を転換し、北海道にふさわしい再生可能な自然エネルギーを拡大すること。
        • 国に対し期限を決めた原発ゼロのプログラムを策定させる。少なくとも4000億円以上ある国の原発・原子力関連予算を減らし、自然エネルギーの研究開発費を拡大する。
        • 道として太陽光、風力、小水力、地熱、木質・畜産バイオマスなど地域密着の自然エネルギーによる発電を抜本的に拡大する計画を早急に策定する。
  2. 地域に根ざした産業の振興と道民の暮らし第一の財政運営へ

    • (1)地域の仕事をつくり、雇用の拡大を
      • ① 道として住宅リフォーム助成事業、ライフライン等の耐震化・老朽化対策事業を促進すること。
        • 国、北電任せでなく、道の責任で専門家による委員会を立ち上げ、活断層の再評価をおこなう。
        • 原発の危険性を説いている研究者・専門家や、岩宇4か町村以外の自治体関係者らも参加する「泊原発安全検討委員会」を設置し、道民の命を守る立場で検証する。議論は、道民への公開で進める。
        • 運転開始から20年以上経過している1、2号機の運転を中止して厳格に総点検し、結果を公表する。
        • 「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」(EPZ)を、少なくもIAEAが提案する30キロ(「緊急防護措置計画範囲」(UPZ))まで拡大する。後志管内のすべての市町村関係者・住民が参加して防災計画を策定する。
      • ② 大企業に対して雇用への責任を果たさせるとともに、道と市町村みずからが安定した雇用を創出すること。
        • 道労働局とともに、大震災にともなう「雇い止め実態調査」をおこなう。道の誘致補助金等を受け取っている企業が雇い止めしていた場合には厳正に対処し、雇用責任を果たさせる。
        • 道内企業、中小企業が新卒者(卒業から3年以内)や若者の正規雇用を拡大するように、道として財政支援すること。緊急雇用から正規雇用への道を広げる施策を展開すること。
        • 消防職員や少人数学級による教員の増員、看護・介護職員など公的雇用を大幅に拡充する。
        • 公契約条例を制定し、官製ワーキングプアをなくす。そのための調査費を計上すること。
      • ③ 基幹産業である農林水産業を守り強化すること。
        • TPPへの参加反対を貫き、道内の共同を広げる。
        • 4年間で45%〜75%に減らされた農林漁業の担い手対策費(道単独)を復元する。
        • 学校給食での地元農水産物の利用拡大と、安全安心な道産食品・食材の消費拡大を図る。
        • 道内試験研究機関などと連携し、第一次産業と関連加工業を支援する。
    • (2)ムダな大型事業を見直し、道民の暮らしと福祉、教育を充実し、豊かな環境を守る
      • ① 地域医療と福祉を充実する。
        • 道と市町村の共同で国保料(税)を一世帯平均1万円引き下げる。差し押さえ等による国保料の強権的な徴収はおこなわない。すべての自治体が医療費窓口負担の減免できるように援助する。患者への「定額負担」の上乗せ、70〜74歳の窓口負担の2割へ引き上げに反対する。
        • 軽度の要介護者をサービスの対象から外す「介護予防・日常生活支援総合事業」に反対し、安心して介護が受けられるように国庫負担割合を引き上げる。75歳以上の保険料軽減措置の縮小、39歳以下への保険料支払い年齢拡大はおこなわないこと。特養ホーム待機者の解消をめざし、当面4000床の増設をめざす。道内41自治体が実施している介護利用料の軽減を道として助成する。要介護者だけでなく介護者を支援するシステムを構築する。
        • 地域医療を守るため、医師・看護師確保を重点対策とし、公立病院の機能を最大限発揮すること。災害拠点病院を充実すること。
      • ② 子ども医療費の無料化を小学校卒業まで。子育て支援の拡大を。
        • 保育所経営への営利企業の参入、保護者との直接契約に道を開き、市町村の保育実施義務をないがしろにする「保育新システム」に反対する。昨年10月現在、札幌市で2,142人、旭川市で253人などに上る保育所の待機児童解消のために、普通交付税措置されている「公立保育所運営費」の適切な活用などを積極的に助言すること。
        • 入院・通院ともに子ども医療費を小学校卒業まで無料にする。
      • ③ 不要不急の公共事業にメスを入れ、凍結・中止の決断を。
        • 国直轄の平取ダムやサンルダム、道営の厚幌ダムは中止を。
        • オジロワシが繁殖する豊かな自然を破壊する北見道路の中止と、高規格道路の路線ごとの検証。
        • 土砂で埋もれた治山ダム・砂防ダムについても総点検する。
        • 並行在来線(函館本線)のJRからの経営分離を前提とし、道民負担、自治体負担について合意がないまま北海道新幹線を建設する計画は凍結すること。
      • ④ 生物多様性保全条例制定にあたり、豊かな生物多様性、生態系を守る基準を策定すること。建設中や計画段階の開発事業についても規制を加えられる実効性ある条例とすること。そのためにも専門家・研究者、住民や団体の意見を十分に聞き、反映すること。
  3. 平和、教育――憲法が生かされる道政へ

    • (1)憲法9条を生かし、非核・平和の北海道をつくること。
      • ① 「非核北海道条例」をつくる。核兵器不搭載を証明しない米艦船について、道内港湾への寄港を認めないこと。
      • ② 米軍の矢臼別演習場での夜間訓練、白リン弾等の訓練を中止させること。
    • (2)アイヌ民族の生活と権利の保障を進めること。
      • ① アイヌ民族の子どもたちの教育を受ける権利を保障すること。就学費の助成、大学等への進学に際して十分な奨学金(返済不要)を確立すること。
      • ② 無年金・低年金のアイヌ古老の生活を支援するために、「特別手当制度」を創設すること。
    • (3)憲法にもとづき、こどもの学ぶ権利を最大限保障する教育行政に転換すること。
      • ① 道独自で少人数学級を段階的に実施する。
      • ② 地域から高校をなくす高校統廃合計画を中止する。「道立学校の配置・定数は道教委の専権事項」という姿勢を改め、道民の参加で新たな計画をつくる。
      • ③ 高校生1人当たり3万円も削減(5.5万円→2.4万円)した道単独の私学助成を復元する。
      • ④ 道教委による教育現場への「介入」と、教職員の管理強化をやめる。憲法が保障する思想信条の自由を侵す「服務規律調査」「日の丸・君が代」通知を撤回するとともに、教師と保護者による自主的な学校づくりを壊す「通報制度」をただちに廃止すること。

以 上