道の第三者検証委員会の調査報告についての日本共産党道議団の見解 |
11.11.25 |
2011年11月25日
北海道電力泊発電所3号機のブルサーマル計画をめぐる「やらせ」問題(2008年当時)で、道の関与を調査していた道第三者検証委員会(検証委)は23日、道知事に対して報告書を提出した。道原子力安全課の当時の課長(元課長)が北電に対して、「賛成の立場からの意見の提出を」求めたと「やらせ」への関与を認定した一方で、元課長の発言は「計画的、組織的かつ周到に行われた」ものではないとして、道としての組識的関与については否定した。全体として不十分な調査に終わり、ズサンな報告といわざるをえない。
報告書の結論で、重要だと考える点は、以下の2点である。
第1は、道による「やらせ」への関与を認定したことである。
08年7月8日の道原安課と北電との「打ち合わせ」にかかわって、元課長は自らの発言は賛成意見の依頼ではないと否定したとされている。しかし、検証委は、北電側出席者による「メモ」や「ノート」、道側関係者の証言などをもとに、元課長が自らの認識を北電側に伝え、「賛成の立場からの意見」を依頼したと断定し、元課長による「やらせ」への関与を認めた。
第2は、元課長の行為が、「行政運営の公正性・透明性」を損なったと認定したことである。
賛成意見を増やす目的で「道民の目の届かないところ」で事業者たる北電を利用し、結果として「意見募集」の目的(①道民への惰報提供②道民意見の把握③道民意見の反映)に背き、「行政運営の基本理念」をないがしろにしたと結論付けた。
一方、時間的な制約もあるが、十分に調査が尽くされたとは到底言い難い。以下の2点を指摘する。
第1は、知事と当時の副知事、部長職らの証言をもとに、道の組織的関与を否定しだことてある。道側のメモや電子データなどの「物証」もー切でてきておらず、不十分である。
元課長が賛成意見の「依頼」を否定し、「意見の必要性をただ感想として伝えただけ」と述べていることについて、検証委として「不自然」だとしているにもかかわらす、元課長の発言の背景、経緯についての突き詰めだ解明はない。
地元4町村への道からの働きかけがなかったとしているが、根拠は首長からの聞き取りだけであり、各町村職員からの聴取は行われていない。
第2は、泊3号機・プルサーマル計画同意への影響について、元課長の発言に矮小化して評価したことである。
報告書は、元課長の発言が、①北電の行動②第2次意見募集の結果③有識者検討会議の検討と結果④道および4町村の事前了解の判断――のいずれにも影響を及ぼしていないと結論付けた。
しかし、北電が、元課長の発言をメール送信するなどして「やらせ」を大々的に展開したことは、北電・第三者委員会が認定済みである。また、7月3日のエネ庁職員との会議に出席した元課長が、北電にたいして、有識者検討会議メンバーヘの「基本的なレク]を求めている。
これらの事実経過に照らして、元課長の発言が北電によって実行に移され、北電関係者52人の賛成意見が出されるなど、プルサーマル計画合意の流れに重大な影響を及ぼしたことは、紛れもない事実である。
道の関与について、元課長だけの責任で幕引きを図ることは到底、許されない。7月3日のエネ庁との会議の「影響」、国の関与の解明もなされていない。
「やらせ」によって、計画に反対・不安が多数をしめる道民意見が大幅に歪められたことは、道政に重大な禍根を残した。泊3号機でのプルサーマル計画の前提である住民合意は崩れ去った。
日本共産党道議団は、何らの正当性をもたない泊3号機・プルサーマル計画の中止を求めるとともに、道民と力を合わせて、「やらせ」問題を徹底的に追及する決意である。
以 上