原発撤退の決断を/真下道議の第2回定例会一般質問より | 11.06.29 |
6月29日、道議会第2回定例会で行った真下紀子道議の一般質問が大きな反響を呼んでいます。
原発問題、災害、津波対策について、そのポイントを紹介します。
真下紀子道議は「原発所在地の知事として段階的撤退を決断し、それまでの工程表を明らかにすべきだ」と迫り、道としての安全判断基準を明確にするよう求めました。また、道幹部職員の北電への天下り、知事への北電幹部からの献金など、知事と北電をめぐるしがらみを断つよう求めました。
ところが高橋知事は、原発依存から自然エネルギーヘの転換する姿勢を示せず、北電と知事をめぐるしがらみの追及にもまともな答弁ができず、議長から「特別発言」が認められました。
知事も御存じの、世界的に有名な作家・村上春樹さんは、9日、スペインのカタルーニャ国際賞の授賞式でスピーチをしました。
その内容は、
こういうスピーチをしました。福島の事故は、日本人が体験する2度目の大きな核の被害です。我々日本人は、核に対するノーを叫び続けるべきだった。原子力発電にかわるエネルギー開発を国家レベルで追求すべきだった。損なわれた倫理や批判の再生は、我々全員の仕事になります。その作業を進めなければなりません。
核兵器の廃絶を願う知事が、お子さんと一緒に行った原爆記念館で、核の被害を目の当たりにして流した涙を思い出してください。福島の苦しみを共有してください。原発は、犠牲なくしては成り立たないのです。今こそ、知事が、原発からの撤退を決断すべきときです。
私も子を持つ母です。私は、脱原発の共同作業のためなら、知事への協力を惜しみません。そのことを申し上げて、特別発言を終わります。(拍手)
知事は、泊原発の再稼働とプルサーマルについて、何より安全が不可欠と繰り返し、国からの説明待ちですが、知事のおっしゃる安全の判断基準は何か、どのような根拠資料を求めていくのか、判然としないので、明確に答えてください。
これまで安全だと言ってきた国の基準で、福島の事故が起きました。いまだ収束のめどもなく、推進機関と規制機関の分離もしていない国が安全だとお墨つきを与えたなら、知事はゴーサインを出すのかどうか、お聞きします。
世論調査でも、住民の声は、圧倒的に、段階的な原発からの撤退を求めています。道内の自治体からの意見書も次々と上がっています。こうした道民の声をどのように受けとめているのか、伺います。
今月23日、枝野官房長官は、所在地の知事らが絶対に反対しているものを再稼働させることはできないと、私ども日本共産党の志位和夫委員長に答えました。げたは知事に預けられたわけです。
知事は、原発からの段階的撤退を決断し、それまでの工程表を明らかにすべきではないでしょうか。見解を伺います。
発電所の安全性についてでありますが、国では、緊急安全対策やシビアアクシデントへの対応に関する措置などが、事業者において適切に実施、対応されているとして、地元自治体に対し、原子力発電所の運転再開について理解を求めているところであります。
しかしながら、私どもが求めている、福島の事故における地震の影響などについて、いまだなお、国から明確な説明がない状況にあることは、先ほど御答弁を申し上げたとおりであります。
私といたしましては、原子力発電所は何よりも安全性の確保が不可欠であり、安全対策に万全を期す必要があると考えておりますことから、まずは国からの説明が必要であると考えており、その説明を受けた上で、泊発電所の再稼働に関する道としての対応を検討してまいる所存であります。
原子力発電についてでありますが、本道経済の活性化や社会生活の豊かさを確保するためには、電力の安定供給は不可欠であり、多様なエネルギー源による電源構成とすることが必要であります。
道内の電力供給の約4割を原子力発電が占めている現状の中で、何よりも安全性の確保を最重点に、安定供給が確保されるとともに、本道に優位性のある再生可能エネルギーの開発、導入に積極的に取り組むなど、生活や産業を支える安定的なエネルギーの供給が図られるよう努めてまいります。
次に、原発は安全対策が不可欠と繰り返している知事の発言は、安全神話から抜け出していないように受け取れます。国による安全対策がとられれば、原発を容認するという姿勢に見えます。
ソフトバンクの孫正義社長は、インターネット上で、今まで原発推進の側にいたことを心から反省する、命のリスクをさらしてまで原発は要らないと発言しましたが、知事は、その言葉をどう受けとめるのか。
福島の原発事故を目の当たりにしても、なお、知事は、原発の危険性について言及していませんが、原発を推進した側として反省したことがないのか、伺います。
ドイツやスイスのように、期限を定めて、原発からの段階的撤退を本気でお考えになることを求めますが、いかがでしょうか。あわせてお答えください。
まずは、国から、今回の福島原発事故における地震の影響や、シビアアクシデント対策などについて説明をしていただくことが必要であると考えているところであり、それを伺った上で、道としての判断をしてまいります。
原発問題に対する知事の答弁からは、知事は、まだ安全神話に縛られていると言わざるを得ない、このように指摘をしておきます。
私は、省エネとともに、多様な再生可能エネルギーの促進がより急がれると考えます。これまで、道内外の取り組みを紹介し、知事も、積極的に取り組むと答えてきました。
その方策の一つとして、国が検討している固定価格買い取り制度とともに、風力、太陽光、バイオマス、中小水力、地熱など、地域特性を踏まえて初期投資を支援するコミュニティーファンドの役割が大きいと考えますが、知事の見解を伺います。
地域分散型、市民参加型の取り組みが地域経済を活性化させることも、事例を挙げて、これまでの議会議論で紹介してきましたが、再生可能エネルギーの利用促進のために、振興局とともに、本庁でも、推進局や推進室として、推進体制を強化することを検討すべきではないかと考えますが、見解を伺います。
再生可能エネルギーと地域活性化に関し、初めに、新エネルギーの利用促進についてでありますが、市民などからの出資をもとに資金的な支援を行いますコミュニティーファンドによる新エネルギーへの投資としては、道内では、浜頓別町や石狩市における風力発電施設への例がございますが、地域の実情に応じて、多様な主体による新エネルギーを導入する上で効果的であると考えております。
また、国の買い取り制度創設の動きは、新エネルギー導入促進につながるものと考えており、道といたしましては、今後とも、地域特性を生かした新エネ導入プロジェクトの実現などに努めてまいる考えであります。
次に、新エネルギー利用促進に向けた推進体制についてでありますが、道といたしましては、エネルギー施策と環境産業振興施策を総合的に推進するため、6月の機構改正で、環境・エネルギー室を設置いたしますとともに、地域の実情に応じて、多様な主体による新エネルギー導入の取り組みを促進していくため、振興局を窓口として、市町村や民間企業、NPOなどとの連携体制の整備を図ることとしており、本庁と振興局が一体となって、新エネルギー導入の促進に努めてまいる考えであります。
再生可能エネルギーの推進体制について指摘します。
再生可能エネルギーの宝庫と言う知事ですが、使わなければ、宝の持ちぐされです。知事の本気度が試されています。そのために、体制強化は不可欠だと強く指摘しておきます。
市町村名 | 学校名 | 避難訓練 | |
---|---|---|---|
実施 済 | 実施 予定 | ||
小学校 | |||
島牧村 | 島牧小 | ○ | |
積丹町 | 美国小 | ○ | |
日司小 | ○ | ||
野塚小 | ○ | ||
余別小 | ○ | ||
浦河町 | 浦河小 | ○ | |
堺町小 | ○ | ||
浦東部小 | ○ | ||
荻伏小 | ○ | ||
えりも町 | 東洋小 | ○ | |
えりも岬小 | ○ | ||
庶野小 | ○ | ||
北斗市 | 茂辺地小 | ○ | |
谷川小 | ○ | ||
上磯小 | ○ | ||
久根別小 | ○ | ||
浜分小 | ○ | ||
島川小 | ○ | ||
松前町 | 小島小 | ○ | |
木古内町 | 木古内小 | ○ | |
せたな町 | 平田内小 | ○ | |
島歌小 | ○ | ||
稚内市 | 稚内西小 | ○ | |
富磯小 | ○ | ||
猿払村 | 鬼志別小 | ○ | |
知来別小 | ○ | ||
浜鬼志別小 | ○ | ||
浜猿払小 | ○ | ||
芦野小 | ○ | ||
浅茅野小 | ○ | ||
枝幸町 | 風烈布小 | ○ | |
礼文町 | 礼文小 | ○ | |
船泊小 | ○ | ||
神崎小 | ○ | ||
紋別市 | 元紋別小 | ○ | |
斜里町 | 峰浜小 | ○ | |
豊頃町 | 大津小 | ○ | |
浦幌町 | 厚内小 | ○ | |
白糠町 | 白糠小 | ○ | |
釧路市 | 中央小 | ○ | |
釧路市 | 城山小 | ○ | |
共栄小 | ○ | ||
新陽小 | ○ | ||
厚岸町 | 厚岸小 | ○ | |
真龍小 | ○ | ||
床潭小 | ○ | ||
浜中町 | 琵琶瀬小 | ○ | |
散布小 | ○ | ||
榊町小 | ○ | ||
市町村名 | 学校名 | 避難訓練 | |
実施 済 | 実施 予定 | ||
中学校 | |||
積丹町 | 美国中 | ○ | |
神恵内村 | 神恵内中 | ○ | |
浦河町 | 浦第一中 | ○ | |
浦第二中 | ○ | ||
荻伏中 | ○ | ||
北斗市 | 茂辺地中 | ○ | |
上磯中 | ○ | ||
浜分中 | ○ | ||
松前町 | 大島中 | ○ | |
稚内市 | 稚内西中 | ○ | |
宗谷中 | ○ | ||
猿払村 | 拓心中 | ○ | |
礼文町 | 香深中 | ○ | |
船舶中 | ○ | ||
網走市 | 第四中 | ○ | |
白糠町 | 庶路中 | ○ | |
釧路町 | 昆布森中 | ○ | |
釧路市 | 北 中 | ○ | |
厚岸町 | 厚岸中 | ○ | |
真龍中 | ○ | ||
浜中町 | 散布中 | ○ | |
霧多市中 | ○ | ||
高等学校 | |||
知内町 | 知内高校 | ○ | |
厚岸町 | 厚岸翔洋高校 | ○ | |
浜中町 | 霧多布高校 | ○ | |
幼稚園 | |||
様似町 | あすなろ幼稚園 | ○ | |
浦幌町 | 厚内幼稚園 | ○ | |
白糠町 | 庶路幼稚園 | ○ | |
25 | 77 | 25 | 52 |
また、北海道の学校耐震化は、ことし4月で69%にとどまっています。早期完了に向け、これまでにない特段の対策が必要ですが、知事及び教育長の見解を伺います。
特に問題となった、1次、2次の避難場所指定はどうでしょうか。今回と同規模の津波に対応し、子どもたちが逃げられる避難場所の選定と訓練の実施が急がれておりますが、教育長に今後の対応を伺います。
学校の耐震化についてでございますが、学校施設は、子どもたちが学ぶ場であるとともに、災害発生時には、地域住民の避難所など防災拠点施設としても大切な役割を担っていることから、道民の方々の安全、安心を確保する上で、その耐震化は大変重要なことと認識しているところでございます。
道といたしましては、今後、一層の耐震化が促進されるよう、市町村に対し、国の助成制度の積極的な活用を促すとともに、補助制度の拡充を国に強く働きかけるなどして、道教委と連携しながら、道民の方々の安全で安心した生活を確保してまいりたいと考えております。
まず、学校の耐震化についてでございますが、児童生徒等が一日の多くの時間を過ごす学校施設の耐震化が極めて重要であることは、このたびの東日本大震災におきましても、改めて強く認識をされたところでございます。
道教委といたしましては、これまでも、市町村に対し、国の助成制度を活用して、学校施設の耐震化の促進を図るよう、積極的に働きかけをいたしますとともに、市町村に技術職員を派遣して1次診断を実施するなど、支援を行ってきたところでございますが、今後とも、知事部局などと連携を図りながら、市町村の財政負担軽減のため、国に対し、さらなる国庫補助率のかさ上げなどを要望いたしますとともに、国が目標としております、平成27年度までの耐震化の完了に向け、市町村が危機感を持って取り組むよう、強く働きかけを行うなど、耐震化の一層の促進に努めてまいりたいと考えております。
次に、災害時の避難についてでございますが、避難所につきましては、市町村が策定する地域防災計画において指定をされているところでございますが、津波による浸水が懸念される学校におきましては、児童生徒の安全を確保するため、一時的な避難場所を設定しているところもあり、津波による浸水が懸念される学校の77校のうち、本年度、25校が、既に津波を想定した避難訓練を実施しており、その他の52校においても、今後、実施を予定しているところでございます。
道教委といたしましては、このたびの東日本大震災を教訓といたしまして、市町村教育委員会や学校に対し、地震や津波を想定した避難訓練を早期に実施し、その結果を踏まえ、危機管理マニュアルの見直しなどを行うよう指導したところであり、今後、市町村教育委員会に対しまして、市町村が防災計画を見直す際には、避難場所や避難経路の安全を改めて点検し、児童生徒の安全確保を図るよう指導してまいりたいと考えております。
釧路地区 | 海抜3.0メートル | 44基 |
苫小牧地区 | 海抜6.5〜9.0メートル | 331基 |
室蘭地区 | 海抜4.0〜5.0メートル | 161基 |
北斗地区 | 海抜3.0〜5.0メートル | 63基 |
知内地区 | 海抜3.5メートル | 6基 |
石狩地区 | 海抜3.0メートル | 17基 |
道内には、六つのコンビナート地区が指定されています。石狩、釧路、北斗の各地区は海抜3メートルで、一番高い苫小牧地区でも海抜9メートル以下です。
道の石油コンビナート等防災計画に基づいて、これまで、どのように津波対策を進めてきたのか、また、今後どのように対応しようとしているのか、伺います。
1993年の北海道南西沖地震以降、道内でも、コンビナート事故が続発しました。2017年度までの終了が義務づけられている、道内6地区合計で623基の屋外貯蔵タンクについての耐震化の進捗状況を掌握し、その促進を図るべきと考えますが、見解を伺います。
東日本大震災では、地盤の液状化による被害が起きています。道の液状化災害予防計画では、道は、道内のどの地域で液状化のおそれがあると認識をしているのか、液状化マップの作成状況をどのように把握し、対策を進めようとしているのか、伺います。
液状化対策についてでありますが、道では、道総研の地質研究所と連携して、北海道地盤液状化予測地質図を作成したところであり、その結果、液状化のおそれのある地域は、河川の周辺や埋立地、海岸線に多くあるものと認識をいたしております。
また、札幌市、函館市、旭川市、北見市の4市においては、道から提供した情報などをもとに、より詳細な液状化マップを独自に作成しているところであります。
こうした中、国では、さきの東日本大震災を受け、液状化対策技術検討会議を設置し、液状化の被害実態把握や発生メカニズムの確認を進めているところであり、本年夏ごろに検討結果を取りまとめ、公表する予定としているところであり、この成果をもとに、各施設ごとの技術的検討が進められるものと承知をいたしております。
道といたしましては、これまでも、液状化対策を進めてきたところであり、今後とも、国の動向を注視しながら、適切な対応に努めてまいる考えであります。
石油コンビナートにおける津波対策についてでありますが、道では、石油コンビナート等防災計画に基づき、地震、津波などによる、石油コンビナート施設からの油の漏えいや火災の発生を想定した総合防災訓練を隔年で実施しているほか、国、道、市町村が構成員となる防災本部による合同立入検査を毎年実施しているところであります。
道といたしましては、このたびの大震災を踏まえ、現在、国において進められている、東日本大震災を踏まえた危険物施設等の地震・津波対策のあり方に係る検討会の検討の結果を見据えながら、市町村や関係機関とも連携して、防災計画や訓練のあり方などについて、検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、屋外貯蔵タンクの耐震化についてでありますが、屋外貯蔵タンクに関しては、昭和52年の消防法改正により、新たに設置するタンクについては、地盤やタンクの構造などの耐震基準が引き上げられ、その後、平成16年の消防法改正により、昭和52年以前に設置された屋外貯蔵タンクについても、平成29年までに、昭和52年の耐震基準に合わせる改修を行うよう、経過措置が設けられたところであります。
道では、これまで、コンビナート地区にある28の事業所を対象に、各事業所について、3年に1回、立入検査を行っており、その中で耐震状況なども把握しており、耐震強化が求められている屋外貯蔵タンクの約8割が既に改修されているものと承知しております。
道といたしましては、今後、国における、危険物施設等の地震、津波に関する検討状況も踏まえながら、屋外貯蔵タンクの耐震性の強化の促進について、市町村と連携のもと、必要な検討を進めてまいりたいと考えております。
(11年07月10日付「ほっかい新報」記事を再構成)
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