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申し入れ

当面する道政執行に関する緊急要請

10.10.27

当面する道政執行に関する緊急要請

〜交付金等を活用し道民のくらし応援の抜本拡充を〜

2010年10月27日

日本共産党北海道委員会   
委員長   西野 敏郭
政策委員長 畠山 和也
日本共産党道議会議員団   
団  長  花岡ユリ子

北海道知事
   高橋 はるみ 様

道民のくらしと営業は、賃金低下、消費不況、円高と「円高体質」などにより、いっそう深刻さを増しています。たとえば、学卒者の就職困難、老々介護や一人ぐらし高齢者の不安増大、農漁業者や中小企業の危機進行など、道民の不安と困難が進んでいます。

これに対して道及び市町村が「住民福祉の増進」という、本来の役割を発揮することが特別に強く求められています。政府は、経済危機対応・地域活性化予備費9,179億円の使用をきめ(道内228億円+α)、さらに交付税特別会計繰入れを除き3.8兆円規模の補正予算を用意しています。

道として、道民の不安と困難を直視し、11月の臨時道議会の開催も視野に入れ、くらし応援の抜本拡充をすすめられるよう、具体的に以下7点について要請します。

  1. 新規学卒者の就業対策の拡充

    10年3月卒業の就職未定者が1,000人(新規高校卒業者就職内定率79.9%、全国ワースト2(3月末))をこえ、11年3月卒業予定者の求人が少ないという異常事態を迎えています。

    よって、①今春卒業生の未定者を放置せず、緊急の臨時対策をとる、②来春の就職希望者に対して、秋田県・宮城県のように、運転免許取得費補助等を実施する、③就職希望者のいる全高校に1名以上の進路相談員を配置する、④希望する商工会・会議所に就職開拓員を配置する――など有効な対策を確立することを求めます。

  2. 重点雇用の推進、若者の雇用・季節労働者の就労対

    重点分野雇用創造事業の拡充が、9月24日に閣議決定、本道には、追加交付額76.9億円が内示され、かつ、①未就職卒業者は分野によらず事業実施できる、②40歳未満の雇用・就業期間は、平成22年からの実施事業については、更新(1回)可能となりました。

    10月8日に議決した、道の追加補正予算では歳出8億円しか計上されず、道施行20億円、市町村40億円の1.3割にすぎません。あまりに貧弱です。関係部門の職員を増員してでも、あと52億円の歳出計画を早急にたてるべきです。

    特に40歳以下の若者の雇用については、若者雇用拡大計画を策定し、必要な支援策を確立すべきです。

    また、坂の多い夕張市では、特に冬のゴミ出しが困難な世帯が多数あります。小樽市のような、ふれあい収集を実施するため、交付金を活用してふれあい収集員を配置するなど、モデル事業を実施することを提案します。

    さらに公共事業削減により働く場を失った季節労働者が、希望する特例一時金を受給するにふさわしい就労事業として実施すべきです。そのため、100億円の仕事を充当することを求めます。

  3. 介護者支援訪問相談員の設置、介護者支援条例(仮称)の検討

    老々介護は本道でも深刻さを増しています。超高齢者の行方不明問題も潜行しています。特養ホーム入居の待機者は2.2万人をこえ、介護保険の不備も露わになっています。介護保険利用以外の要保護者にも広く手をさしのべることが求められています。花巻市では五つの地域包括支援センターに6人の訪問相談員を配置(ふるさと雇用再生基金充当)し、とても歓迎されています。道として256カ所の支援センターに1〜2名の訪問相談員を配置し、支援策をとることを求めます。

    また、介護をかかえこんでいる世帯の問題が潜在化しており、介護者をサポートするシステムの確立が必要であり、道として「介護者支援条例」(仮称)を検討すべきです。当面して、介護者の実態調査を行なうとともに、その支援策をとることを求めます。

  4. グループホーム等のスプリンクラー整備と小中学校・災害拠点病院の耐震化

    経済危機対応・地域活性化予備費の使用(9,179億円)が決まり、道内配分として既に明確なものは228億円(国庫ベース)で、さらに追加配分としてスプリンクラー等介護基盤、学校・病院の耐震化、中小企業対策などが予定されています。

    いずれにせよ、道内に全体で6〜700億円の配分が期待される中で、道民の雇用・生活・社会基盤にかかわる事業に有効活用をはかるよう、積極的なとりくみが必要です。

    グループホーム等のスプリンクラー整備については、すでに667か所を整備(予定含む)しますが、なお159か所が未整備となっているため、入居者の安全確保のため早期推進が求められており、年度内に完備するよう求めます。

    また、本道の小中学校の耐震化率(60.6%)は、全国最低レベルですが、他府県では遅れている耐震化促進のため、市町村への特別支援を行なっています。本道において市町村助成制度を創設するよう求めます。

    災害拠点病院の耐震化率は52.0%にすぎず、いざという時の災害時救急医療の欠落が危惧されるので、医療施設耐震化臨時特例交付金の活用など整備の加速を求めます。

  5. 住民生活に光をそそぐ交付金(仮称)等の活用とペレットの普及計画の策定

    10月8日閣議決定された経済対策は、雇用・子育て・安心、地域活性化等の5本柱であり、交付税特会繰入れを除き3.8兆円程度とされています。全体評価には異をとなえますが、交付税増額、とくに「住民生活に光をそそぐ交付金」(仮称)は地域住民のとりくみを拡充する絶好の機会であり、積極活用が求められます。

    釧路市で進められている生活保護の母子家庭自立支援は先駆的事例です。高校進学塾と居場所づくりの全道的展開をはかることを提案します。また、住民税非課税世帯の高校進学の準備にかかわる特別奨学金制度(進学後免除)の創設を求めます。

    また、「きめ細かな交付金」(仮称)は電柱の地中化など従来型の土木事業に偏重することなく、自然エネルギーの利活用の拡大、とくにコンブ乾燥やビニールハウス栽培等の暖房を石油製品からペレット燃料にきりかえることを重点的に促進し、CO2削減と林業振興の2本柱での地域経済循環の活発化を促進することが大切です。

    ペレット燃料の需要と供給の一体的活性化を促進する行動計画の策定を求めます。

  6. 住宅リフォーム事業の積極的な推進

    高齢者・障害者にやさしい住宅リフォーム事業は、生活の質の向上と幅広い地域中小業者への波及により、どこでも大きな歓迎を受けています。すでに秋田県では1.5万戸改修に21億円の補助金を出し、200億円をこえる大きな経済波及効果をあげています。道内でも53市町村でリフォーム助成事業を行なっています。住宅の耐震化も求められており、紋別市のように道産材の普及拡大も重要です。

    道としてリフォーム事業に着手し、地域経済循環を活発化することを求めます。

  7. 新幹線札幌延伸と函館本線(函館〜小樽間)経営分離の撤回

    新幹線札幌延伸にともない、JR側は函館本線(函館〜小樽間)の経営分離を打ち出したことに、函館市や余市町及び沿線住民から重大な疑問と不安の声が出されています。経営分離は運賃値上げと廃線の道が必至であり、道として、JRと国に対して函館本線の経営分離計画の撤回を要請することを求めます

以 上