後期高齢者医療制度や介護保険制度への高齢者の怒りと不安、高すぎる国民健康保険料や国保証とりあげ、私学の授業料の「公私間格差」、農林漁業の衰退…。政権が変わっても道民の悩み、苦しみは増大の一途をたどっています。
この大もとには、「痛みにたえよ」のかけ声のもとに、「構造改革」の推進があります。自民・公明に支えられてきた高橋知事は、「優しく温かい包容力のある絆社会の実現」などと公約していたにもかかわらず、地方切り捨ての「構造改革」路線を、ストレートに受け入れ、道民に“痛み”を押しつけてきました。
今度の道議会議員選挙は、道民に“痛み”を強いてきた高橋道政と道政与党の自民、公明に厳しい審判を下し、道民の声を道政に反映させ、実現する道議会をつくる、大きな一歩を踏み出す選挙です。
地方自治体の本来の役割は、「住民の福祉の増進を図る」(地方自治法第1条)ことです。しかし、高橋道政は地方自治の本旨からかけ離れ、道民の福祉と暮らしを削減する施策を強行してきました。その特徴は、「道民に冷たい道政」ということができます。
介護保険制度の導入から10年になりますが、特養待機者が激増し「老々介護」や介護疲れによる痛ましい事件が後を絶ちません。道内75歳以上の高齢者の介護保険と後期高齢者医療制度の保険料負担は、年間約11万8000円にもなっています。生活保護受給者は15万人、人口1000人当たりでは全国のほぼ倍です。正社員から非正規雇用への置き換えや、生活保護水準を下回る低賃金が、生きることの困難さを拡大しています。
農水産物の輸入拡大により、北海道の基幹産業の第一次産業では経営難が拡大し、それが後継者難に拍車をかける悪循環になっています。20年間で農業人口は22.3万人から11.6万人へ、漁業は4.3万人から3.3万人、林業も1.1万人から0.4万人へと激減しています。
地域経済の主役、中小企業・零細業者は倒産・廃業に追い込まれ、商店と商店街がなくなり、地域で日常生活さえ困難な地域が広がっています。
財界の要求に応えて民主党政権が、自公政権の「地方分権改革」を継承して進めている「地域主権改革」は、憲法と地方自治法の精神を踏みにじり、国の社会保障などへの最低基準の保障責任を解体し、「住民福祉の機関」としての自治体の機能と役割を弱めるものです。
こうした中で、おこなわれる知事・道議選は、民主党政権から地方自治を守る道政や道議会をつくるのか、それとも、国とともに悪政を進めるのか、するどく問われる選挙です。
自公道政は、福祉や教育など、自治体が責任を果たすべき分野を切り捨ててきました。保健福祉予算を、堀前知事時代より80億円削減しました。道独自の肝炎対策を縮小したために、1万1000人の患者さんが対象外とされています。道立病院や道立福祉施設12か所が移管・統廃合の対象とされました。「医療は人手不足分野」という位置づけとは裏腹に、看護師や助産師を養成する道立衛生学院を2013年3月で廃止、経営困難にいたっている地方の医療機関に、さらに追いうちをかけるものになっています。
道が3年ごとにたてる介護事業計画では、要介護2以上の重い方は2008年度の12万人から2015年には15万人に急増するのに、特別養護老人ホーム、老健施設、グループホームなど介護施設への収容率を45%から38%に削減させています。せめて08年の段階の43%を維持すれば、6.7万床に拡大すべきなのに、5.7万床へと1万床も削減計画をつくり市町村に抑制指導をおこない、「介護難民」として漂流せざるをえない状況を生んでいます。すでに道内41市町村で介護利用料の単独助成にのりだしていますが、道費助成がありません。
高校の統廃合によって、道内の公立高校は高橋知事になってから31校も減りました(平成22年度末)。
今後の高校再編計画についても、「道立戸井高校を残すために市立恵山高校を廃止したのに、なぜ募集停止なのか」(函館)、「中学3年生が10人しか減らない年度に、1学年7クラスの拓北高校を募集停止とするのはおかしい」(札幌北区)など、保護者や教育関係者から怒りの声が上がっています。他方で、私学運営費の単独助成(高校生1人当たり)を9年間で6万1000円から2万4000円へと6割も削減しています。
知事は、雇用対策が「最重要」というものの、今年度の道予算における雇用対策費250億円の大部分は国費で、道単独分は12億円に過ぎません。「スキルアップ、資格取得は民間に任せればよい」とばかりに、稚内、滝川、網走の各道立技術専門学院を閉校して、定員を1020人から730人へと減らしました。地方で職業訓練を受ける機会が奪われています。
若者の就職を支援する「ジョブカフェ北海道」の予算も減らし続けています。道内失業者は15万人、高校新卒者の5人に1人が就職できないという事態を打開しようという意欲は感じられません。
高橋知事は、根強い反対意見を押し切る形で、総合振興局・振興局体制に移管を強行しました。市町村合併のために、1自治体3000万円の補助金(3自治体が合併すれば9000万円)まで出して推進を図りました。
自公道政になってからの7年間で、道職員約5100人、道立学校教諭は約730人削減しました。今年4月には、21の道立研究機関を独立行政法人化し、今後、運営費補助を毎年約1億円カットし続けています。
平和の問題では、普天間など在沖縄米軍基地移転について、高橋知事は移転検討するという異例の態度を表明しています。
道財政の危機をつくり出した根源は、1990年代に続けられた国による大型公共事業のバラマキに、歴代の道政が歩調を合わせて推進してきたことにあります。
財政危機が拡大した原因は、小泉自公政権の「三位一体改革」による地方交付税の削減がおこなわれたことです。
道は、「財政再建のため」だといって、道民に“痛み”を押し付ける一方で、巨額の赤字の原因である平取ダムなど大型公共事業に固執しています。
わずか4分短縮のために千歳空港インターチェンジ道路建設に20億円を投入、オジロワシが生息する地域に、「北見道路」(高規格道路総額323億円、道費60億円)の建設など無駄づかいに対して「事業継続」の姿勢をとり続けています。
財界優遇の姿勢も相変わらずです。国いいなりに、北電やNTTの電柱占有料を引き下げ、毎年2億円をサービスしています。
道財政危機打開の道は、①道民の介護、医療、国保など社会保障を拡充し、雇用や中小企業、農林漁業など暮らしの安定をはかり、税金の浪費や無駄づかいにメスを入れ、不要不急の事業を中止、凍結すること、②大企業への法人事業税への超過課税など能力に見合った応分の負担や「呼び込み型」の企業立地補助金を縮減する――こうした道民生活優先の道政を進めることで、税収増をもたらし、道民生活を犠牲にすることなく財政の立て直しの道を開くことができます。
道議会議員の大事な仕事は、①知事と執行部の行き過ぎや不正、誤りはないかを監視して正すというチェック機能を果たす、②道民の願いを道政に届け実現することで
す。しかし、自民、公明、民主の各会派は、その役割を十分果たしていません。質問時間の制限につながる「持ち時間制」が、予算特別委員会に続き、今年度から決算特別委員会にも適用するなど、道議会が質問権をみずから縮小することは、存在意義を否定してしまうことです。
毎月開かれる議会常任委員会と特別委員会の質問回数を比べると、議員1人当たりで日本共産党は68.5回。一方、自民は9.3回、民主12.7回、公明14.8回、フロンティア4.0回。日本共産党は他会派の4.6倍〜17.1倍とダントツです。
改選まで半年になって、民主党議員22名が1人約90万円を使って海外視察に行くなど、「特権」にしがみつこうという姿勢は、道民の常識からかけ離れています。自民党議員15人と民主党議員1人が昨年、韓国に行きましたが、海外視察報告書が、インターネットの引用で作成されていたことがわかり、大きな批判をあびました。
今度の選挙では、道政を監視し、道民の苦悩にしっかり心を寄せ、道民の立場に立って要求実現に奮闘する道議会議員をどれだけ伸ばすか、問われる選挙です。
中止の目安となる本体工事未着工の平取、サンル、新桂沢、三笠ぽんべつの国直轄4ダムのほか、知事が「中止」を決断できる道営の厚幌ダムについても、道民の税金
投入について見直そうとしません。
その一方で、福祉、教育の切り捨て、「行財政改革」の推進など、道民と道職員・教職員に“痛み”を押しつける施策を、知事といっしょになって進めてきました。 自民党は、北教組と民主・小林千代美元衆院議員の政治資金規正法事件などをテコに、教育への介入、教職員の管理強化を強める方向を道教委に迫っています。教職員に法令違反の「疑い」がないか直接、道教委に通報する制度をつくらせ、「密告を奨励するのか」と批判があがっています。
公明党も自民党とともに、教職員の政治活動への規制と罰則強化を盛り込んだ意見書案に賛成しました(共産、民主、フロンティアは反対)。
民主党はこの間、当初予算に反対していますが、知事提案のほかの議案には賛成しています。
道民の財産である道立試験研究機関の独法化では、研究職など1200人を移管、道から切り離されましたが、関連の条例案に賛成しました。
住民の足となる並行在来線(函館本線)の経営分離を前提とした新幹線の札幌延伸について、建設促進の態度をとり、苫小牧東部の30億円の道有地をわずか3億円で売却する提案については、その責任を問わず、いっさい質問せず、ノーチェックで賛成しました。
自然環境破壊が著しいサンルダムや平取ダムについても建設推進。大型公共事業推進は、自民党、公明党とかわりません。
北海道農業に打撃を与える「日米FTA交渉ストップを求める意見書」に反対し、児童福祉や障害者福祉などへの国の責任(最低基準)をなし崩しにする「地域主権改革」推進の意見書に賛成するなど、道民の利益を損なう態度をとり続けています。
07年の改選以降、海外視察に民主党道議23人が参加。14人が参加した自民党以上に「豪華海外旅行」に熱心なのが民主党です。
共産党道議団は、大企業奉仕の無駄づかいを進めながら、道民には「財政再建」を錦の御旗にして、次々と“痛み”を押しつける高橋道政に対して、現場に足を運んで調査し、道民の切実な要求を突きつけ、国会議員団や地方議員団、民主団体と連携して実現を迫り全力をあげてきました。
無駄や浪費、天下りや談合など不正の追及では、何度も知事から「極めて遺憾」「早急に是正」「調査する」などの答弁を引き出し、マスコミにも大きく報道されるなど、チェック機能を発揮し、存在感を示しました。
無駄と不正を追及できるのは、大企業と何のしがらみもない清潔な党だからこそです。
共産党道議団の質問回数(07年の改選以降の常任・特別委員会の合計、1人当たり)は69回で、自民の約7倍、民主の約6倍、公明の約5倍、フロンティアの約17倍で、断然トップです。
毎議会ごとに、暮らしや福祉、教育など道民の切実な要求を取り上げ、高橋知事に改善を迫りました。
リンカーンフォーラム北海道(NPO)の「道議会仕事人ランキング」でも、1位、2位ともに共産党議員が占めました。
回数が多いだけではなく、以下のような貴重な成果を得るなど、護民官として「国の悪政からの防波堤」の役割を果たしています。
さまざまな税金の無駄遣いや、議員の海外視察など「特権的」と道民から批判が強い支出について、議会のチェック機能が試されていますが、それらについて議会で追及しているのは共産党道議団だけです。自然破壊の無駄な大規模林道事業をついに中止に追い込みました。
天下り問題では、道の元幹部が理事長などに3代以上続いて居座る「指定席」が12団体あり、中には、40年間、道OBが居座り続けている団体があることを明らかにし、天下りに甘い知事の姿勢を浮き彫りにしました。
また、知事が、談合などの不正で指名停止処分を受けた企業の指名停止期間を半分に短縮したり、道から指名停止処分を受けた業者を「特例」を使って、当別ダム建設
工事の入札に参加させた問題も、共産党道議団の追及で判明しました。
道民の生命と安全・安心を脅かす動きに対して断固反対し、地域の暮らしと安全を守り抜くために積極的に議会でとりあげてきました。
在沖縄米軍の矢臼別演習場での訓練については、約束違反の夜間訓練や射撃訓練による連続山火事発生の問題で、政府と道の責任を厳しく追及しました。
「子どもの命を守りたい」と、共産党道議団が繰り返し取り上げてきた結果、すべての道立高校に、自動体外式除細動器(AED)の設置が実現しました。
地域住民の避難場所でもある学校の耐震改修が遅れている問題で共産党道議団は、全国での都府県が独自の補助を行って耐震改修を大きく前進させていることを具体的に示しながら、「金がないのではなく、やる気がないだけだ」と、議会のたびに耐震改修の促進を求めています。
民主党政権が地球温暖化の“抑止力”として原発を推進している問題は重大です。共産党道議団は、地域住民とともに、泊原発でのプルサーマル計画、幌延深地層計画など原発推進に絶対反対の立場で論戦を繰り返し行っています。
無駄なダムや高速道路の建設よりも、住民の命にかかわる、老朽化した下水道や橋梁の建てかえを優先すべき―と質問し、知事に「計画的に推進する」と答弁させました。
私たちは、次の要求前進のために力をつくします。
道内の中小零細企業は、本道地域経済の根幹を担っています。しかしそれにふさわしい位置づけが弱く、施策がなされていません。現在の道の条例は、大企業の誘致推進と中小企業高度化を目的としたものにすぎません。道として中小企業振興条例をつくり、施策を拡充し、中小零細企業予算を5割増めざします。
ILO条約94号では、公契約に関する事業には労働条件の規制が必要とされており、千葉県野田市では公契約条例がスタートしました。道として、ILO94号に基づき官製ワーキングプアをなくすことをめざし、①公契約の実態調査を行ない、②公契約条例の検討委員会をつくり、③当面して帯広市なみの要綱を適用すべきです。
また保育、障害、介護などの職種は、半分以上が非正規職員で年収200万円以下の劣悪な労働条件です。人間らしくまともに働ける環境にかえます。
北海道では10万人の季節労働者が、建設現場や水産加工場で働いていますが、その労働条件は劣悪で、1日5000〜8000円で、年収は200万円以下です。
季節労働者の就労事業を実施している73市町村に、道として事業の半額助成を行ないます。市町村事業を4倍加し、就労を拡大し、希望者全てが一時金の資格をとれるようにします。
2010年3月末の高卒者の就職未定者は2188人(未定率20.1%)をこえる深刻な事態です。秋田県では進学校を除き37校に1名ずつの就職相談員を配置するとともに、自動車運転免許、パソコン、ボイラーなどの資格取得を助成するなど手厚い支援策をとっています。道として、①若者の雇用拡大計画をつくる、②道庁の臨時職員雇用枠を拡大する、③高校相談員(14人)を秋田県なみに10倍化する、④非課税世帯の高卒者に運転免許講習費助成策をとる、⑤基準よりも3000人も不足している消防職員の拡充を図る――など対策をとります。
秋田県では住宅リフォーム支援事業を3月から12.6億円でスタートしていますが、申込みが殺到し、秋には8.4億円の追加補正予算を計上しました。1件当り20万円を限度に工事の1割相当を1.5万戸に助成するものです。
道内市町村では、高齢者の住宅リフォーム助成が53、障害者住宅リフォームが79(実質92)の市町村で実施。道として住宅リフォーム事業を実施し、500億円の事業(50億円の助成)をめざします。紋別市のように道産材活用への助成もすすめます。
地域のかくれた資源「宝もの」を発掘し、資源を行かす地域づくりをすすめます。農林漁業と食品加工など農商工が連携をひろげる計画と施策をすすめます。地産地消の拡大、旬の地場産品など学校給食の利用拡大をはかります。農林漁業の担い手(後継者)づくりのため、希望する人に月15万円の支援を行ないます。
また、エゾシカ被害防止や地域密着の土地改良など「事業仕分け」の減額をおさえ、必要な事業は道の財政援助を行ないます。
本道の小中学校の耐震診断率は、全国最低の92%、耐震化は60%で全国ワースト5位と、低レベルです。小中学校の耐震化を市町村まかせにせず、道としての助成を開始すべきです。
公営住宅や保育所、上下水道など公共施設の耐震化を早めます。
山奥の大規模林道、平取、サンルなど無駄なダム事業は中止させます。北見など環境破壊の高規格道路、石狩湾・苫東など大水深の岸壁工事は中止させます。
年収150万円の世帯で10万円の国保料金(1人平均9.2万円)負担はあまりにも重すぎます。滞納者は17万世帯(19.5%)にものぼり、国保証をとりあげ(資格証+短期証)は8.8万世帯にもなり、皆保険のたてまえがくずれています。
これまで道は、①12億円の道単補助金を廃止、②国保証とりあげを防ぐ有効策をとらずにいた(国の指導によって18歳までのこどもには医療証交付)――という貧弱な国保政策をとってきました。これを根本的に改め、国保を社会保障として再生することが必要です。
(イ)道として独自の運営費補助を復活する、(ロ)国保法に基づき患者負担金の軽減策を徹底する、(ハ)国保証とりあげ解消策を追求する、こども医療など福祉医療へのペナルティを中止させる――ことが大切です。国保料の引上げにつながる国保事業運営の広域化(都道府県単位での統合)には反対します。
京都府は、総合医師確保対策として18億円を投じています。道の医師確保予算は、①対策費は京都の3分の1にすぎず、②看護師のための院内保育所の予算をゼロに減らし、③国に追随して74の病院の集約化(診療所化、病床削減)をはかる――など、極めて貧困です。
これから、①医師確保は道と国の責任で進める、②道が医師派遣もできるよう医師確保予算をふやす、③函館、道東に医科大学設置を検討、促進する、④看護師確保に逆行する衛生学院の廃止計画をやめ、院内保育所への運営費助成を復活する――など積極策をとります。
「老々介護」の苦労など、介護問題の深刻化が進んでいます。かつて非課税の世帯は、ホームヘルプサービスも、共同作業所の利用も無料でしたが、政府の応益負担主義によって原則1割負担とされています。軽減のため道としての積極策も欠如しています。
介護保険では1割負担が払えないため、限度額の3〜5割しかサービスを利用せず、かえって介護状態が悪化しています。すでに道内44市町村ではホームヘルプサービスやデイサービスの利用料を5%に軽減しています。道として軽減する運営費助成を検討します。
後期高齢者の医療費抑制のために、財政安定化基金への財政積み増しを行ない、保険料負担の軽減をはかります。障害者サービスについても、道として軽減策をはかります。
一人暮らしなど高齢者のみまもり支援員・相談員を配置します。
特養の待機者が5年前は1.2万人に、08年で2.2万人に激増しています。これは、道が国いいなりになって、施設利用拡大を約1万床も抑制する指導をすすめているからです。道の介護計画は、国の基準(要介護2以上の37%)に追随して、介護施策を要介護2以上5万4304人のうち収容率45.2%→5年後に5万7720人のうちの38.5%に抑制するとしています。
いま特養ホームにもグループホームにも入れない方がどこの町にも100人位にのぼり、介護難民が生じています。国の抑制指導を撤廃させ、必要な施設はつくる計画に転換すべきです。当面して4000床の増床をはかります。
新幹線の札幌延伸は、需要予測や財源確保など根本的に見直しをするとともに、並行在来線の存続が担保されないうちは凍結します。JRが木古内〜函館、新函館〜函館、函館〜小樽までの並行線の経営を継続するよう求めます。
障害者や高齢者の足を守る施策をとります。過疎地のバス確保は過疎法20条により道の責任できちんと担保すべきです。コミュニティバスなど維持策をとります。
地域から高校、町立病院、公的機関が次々と消え、地域の衰退が進んでいます。公立病院の統廃合、道立高校の廃校などの計画を凍結・中止させます。郵便局、農協等も存続させ、安心して暮らせる地域の社会基盤を存続させます。
道の乳幼児医療費助成(通院)は6歳児までですが、これを小学校卒業まで拡大します。すでに道内72市町村が小学校卒業まで助成しており、蘭越町やむかわ町では高校卒業まで助成しています。また東京、神奈川、愛知は中卒まで拡大しています。また、山形、栃木、長野、京都、兵庫が小3ないし小6まで拡大しています。
幼児虐待は昨年で2000件にのぼり、大きな社会問題になっています。虐待ゼロをめざして、①虐待根絶の道民推進会議の設立、②虐待ゼロをめざす行動計画の策定、③足りない児童相談所の職員、とくに児童福祉司65人を倍増し――困っている親と子ども支援をつよめること、道内全振興局に分室を設置すること、分室にも一時保護の施設を整備することが大切です。
日本の子どもの貧困率は14%と異常に高く、OECDの中で貧困が改善されない唯一の国となっています。イギリスでは10年まえから子ども貧困半減をかかげ、貧困率の低下へ努力を続け、今年「子ども貧困法」が制定されました。日本の子ども貧困法制定を求めます。道として、①子ども貧困の実態調査を行なう、②子どもの貧困を考える道民会議をつくる、③子ども貧困半減の行動計画をつくる――など、総合的計画的な推進を図ることです。
また、就職援助をPTA会費、クラブ活動費などに拡大し、給食費・入学金支給単価を実勢に引上げるなど、抜本拡充を図ります。
昨年秋の時点で、待機児童は2517人にものぼります。これは、保育所の増設が必要数の半分以下に抑えられているためです。国に対して新設財源措置を求めるとともに、4年で100か所(6000人)の新増設をはかります。また、障害児保育、病児保育などの拡充を進めます。
国も義務制の少人数学級化(30〜35人)に本格的に足をふみ出す方向ですが、道としても先行的に30人学級の少人数化を推し進めます。また、道立高校においても、少人数学級化の計画をもちます。
私立高校生1人当りの私学助成は32.9万円から33.6万円になりましたが、道単独補助9.6万円から2.4万円へと、75%も削減されました。「財政難」を口実に道単独補助金を削減する計画を中止し、1人当り9.6万円に復元をはかるため、20億円増額します。また入学金など生徒の負担を軽減させます。
いまの自公道政は、憲法13条、25条をしっかりすえ「道民の福祉増進」を具体化するという地方自治法の根本精神を投げ捨てています。
憲法13条(幸福追求権)、25条(生存権保障)を道政に貫くことをめざします。
憲法9条をいかし、非核平和の北海道をつくります。
(イ)在沖米軍県道越え移転訓練は、同等同量をこえる夜間等や白リン弾の訓練は中止させるとともに、(ロ)普天間関連のヘリ部隊等の移転は絶対認めません。
文科省・自民党の支援の下に、教員と学校に不当介入をはかるため「通報制度」など、教師と父母の自主的学校づくりを根本から破壊されようとしています。これを中止させ、教育への不要な管理統制をやめ、教育の自主性を確立します。
アイヌ民族の生活安定・民族的文化の保護、教育向上などの諸権利を保障する「アイヌ新法」の制定めざします。
アイヌ古老の存命自体が、かけがえのない文化的民族的意義をもっています。生活支援策としてアイヌ古老(エカシ・フチ)に特別手当制度(条例)の創設めざします。
危険性の高い泊原発でのプルサーマル計画に反対します。大型風力発電機などから発生した低周波騒音・振動の健康への影響についてただちに調査・研究を行ない、影響調査を義務付けます。
かつて代表質問は年4回定例会に行なわれてきましたが、9年前から3月、9月の2回に限定されました。また、本会議の再質問時間は前回の5割以下と制限され、(たとえば共産党初回8分なら再質問時間4分、再々質問は2分に)活発な論議を抑えています。
予算委員会・決算委員会は、道政全般を集中審議する大切な場です。ところが10年前から予算委員会に時間制限が導入され(1定例中、20〜30分など厳しい制限)、自由闊達な議論が制限されました。そのうえ、決算委員会までこの秋から時間制限です(自、民、公が一致して強行)。「時間すぎれば逃れられる」と、理事者もまともな答弁を逃れ、審議を空洞化する決算委員会の時間制限を撤廃すべきです。
4年の任期のうち1人当り90万円を上限に海外視察費の支出が特権的に制度化されています。09年と10年で自民、民主ののべ37名の議員が海外視察しました。視察の目的も効果もハッキリしない海外視察旅費の支出は中止すべきです。
議員1人当り政務調査費は53万円(会派10万+個人43万)が支給されていますが、使途がガラス張りではなく、道民から疑問がもたれています。たとえば、自動車借上げ代が年間90万円、政党本部への一括委託金(09年度自民4445万円、民主2894万円)など不透明です。また、支払先の個人名が黒塗りの非公開です。(イ)個人名も含めて道民に全面オープンするとともに、(ロ)政務調査費の2割削減を提案します。
2議席からさらに前進できれば、道民の願い実現する力が大きくなります。
いま、2名の日本共産党道議団は、①道政のゆきすぎをチェックし、②道民の声を確実に道政にとどけ、③道民要求の実現に奮闘する――かけがえのない役割を果たしています。しかし、2名という少数の議員団のため、9つある常任委員会のうち2つの常任委員会にしか出られず、道民の声を届けるうえで大きな制限があります。例えば、高校統廃合を審議する文教委員会に出れず、統廃合をストップできないくやしい思いをしています。共産党は、現有の2議席を必ずかち取るため全力を尽くすとともに、4人以上1人でも多く当選めざしてとりくみます。
2名の共産党道議団が躍進して4名以上になると、①会派として認められ、代表質問が保障され、②議会運営委員会の正式メンバーとなり、③4つの常任委員会、予算委員会・決算委員会に2人の委員をおくり、雇用、医療、介護、教育など道民の願いを道政に届けて、これまで以上に道民要求実現の大きな力となります。
道民のみなさんの大きなご支援をお願いします。
(「ほっかい新報」10年10月24日付より)