建設進める「純揚水」発電所/京極町で花岡道議と党議員団が視察 | 10.10.13 |
2014年の運転開始をめざし、北海道電力が建設を進める「京極水力発電所」(後志管内京極町)。道内初の「純揚水」発電所です。最大出力60万キロワットの巨大発電所建設が大きな関心を集めています。
(小田一郎道議団事務局長)
日本共産党の花岡ユリ子道議と泊原子力発電所の地元・岩内町の党町議団が13日、建設現場を視察しました。巨大ダンプカーが走る、下池(「京極ダム」)付近。「総工事費は?電力料金にどのようにはね返るのですか?」という花岡道議の問いに、発電所建設所の古谷恵一所長は「1350億円です。他の発電所の余剰電力を有効に使うという目的から、電力料金への影響の算出は難しい」と説明します。
地下発電所本体の建設現場へは、斜度10%の下りトンネルが続きます。全員、防じんマスクを付け、車で案内された先は、まさに「地下巨大空間」。20万キロワットの発電機が3機設置されます。
最初に案内された上池(標高約900メートル)から、地下発電所までの深さは約400メートル。この標高差を利用して発電するのが、水力発電の一方式である「揚水発電」です。発電を終え下池に蓄えられた水を、電力が余っている時に、その電力を使って上池にくみ上げ、再び落として発電する――このサイクルを繰り返します。
北電は09年12月から、泊原発3号機の運転を開始しています。原子力発電は、運転の変化が炉心などにストレスを与えて安全性を損ないかねないことから、昼夜を問わず一定の出力で運転されます。ところが、深夜の電力消費量は昼間ピーク時の6〜7割。原子力発電を推進すれば、この3〜4割の「差」を調整するために、どうしても「純揚水発電」などに頼らざるを得なくなるという事情があります。北電の原発への依存姿勢が、京極発電所建設の動機の一つとなっています。
さらに、北電幹部は「苫東厚真発電所(石炭火力)の運転を夜間も絞らずに、安価な海外炭を有効に使いたい。そのために揚水発電は必要」と説明します。「脱化石燃料」より経済性を優先する企業の論理が、もう一つの動機です。
京極発電所の本体と上池、下池はすべて国有林内にあり、保安林を解除して建設が進められてきました。大型ダンプなど工事車両が通るため、林野庁の許可を得て従来の林道を拡幅、アスファルト舗装しました。
古谷所長は、通称「京極湿原」を回避して上池を建設したと強調。送電線の鉄塔建設に伴うヘリコプター活用は、クマゲラが巣立った後の9月以降に限定しているなどと説明します。
花岡道議は話します。「環境と希少生物への一定の配慮は認めますが、京極ダムに水がたまればクマゲラだけでなく、エゾサンショウウオやエゾノレイジンソウなど、貴重な動植物と生息域がダム湖に沈みます。すでに執行された工事による影響を含め、検証作業と対策が必要です」
(10年10月20日付「しんぶん赤旗」北海道・東北のページより)
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