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2010年決算特別委員会

【花岡ユリ子道議、工水事業の過大投資、新エネ導入推進、院内感染対策、ジェネリック医薬品採用などただす】 10.11.09

2010年11月9日 企業会計決算特別委員会質疑概要

質問者 日本共産党 花岡ユリ子 議員

企業局関係

採算割れの工業用水道事業、「過大投資」と花岡道議指摘

○花岡ユリ子委員

工水事業について伺いたいと思います。

平成21年度における工業用水道事業の収益的収支の予算と決算及びその評価について、まず最初に伺いたいと思います。

○森山正之工業用水道課長

平成21年度における収益的収支の予算及び決算についてでありますが、平成21年度の予算といたしましては、総収入が21億100万円、総支出が21億2100万円でありまして、これから消費税を除いた上での差し引きである当年度純損失額は6400万円であると見込んでいたところでございます。

これに対し決算といたしましては、動力費等の経費節減が図られたことにより、当年度純損失額は5500万円となったところでございますが、依然として純損失を解消できない現状にありましては、引き続き厳しい経営状況にあると認識しているところでございます。

○花岡ユリ子委員

厳しい状況にあるのは十分承知しておりますけれども、石狩工水の経営が特に悪いのですよね。先ほどの質問でも話がありましたが、契約企業数と契約水量はどのように推移してきたのか、また、原因と今後の改善見通しについては、どのように考えているのか、伺います。

さらには、31億円を超える、長期借入金の未返済額についての説明も求めたいと思います。いかがですか。

○伊藤敏彦企業局次長

石狩工水の需要見込み等についてのお尋ねでございますが、契約企業数の推移につきましては、経営健全化計画が本格的にスタートした平成19年度当初におきましては29社であり、平成21年度末は、2社増加の31社となっております。

また、契約水量の推移につきましては、平成19年度当初が日量2404トンに対し、平成21年度末は、479トン増の2883トンとなっております。

この原因といたしましては、工業用水を利用する機会の少ない物流関連業種などが多いことに加えまして、長引く景気の低迷により、工業用水を多く使用する企業の立地が低調に推移していることなどが、工業用水の需要が伸びない大きな要因と考えているところでございます。

このため、企業局といたしましては、外部有識者で構成する経営評価委員会や、関係部、石狩開発株式会社で構成する需要開拓促進委員会での提案、意見を踏まえまして、需要開拓に取り組んできているところでございます。

また、経営健全化計画の目標であります、工水会計全体における平成25年度までの単年度収支黒字化の達成が重要と考えておりまして、長期借入金の末返済額につきましては、その後、経営の安定化を図りながら、順次、計画的に返済してまいりたいと考えております。

以上でございます。

○花岡ユリ子委員

石狩工水に対する一般会計からの出資金について、この間の推移と累計額、また、何のための出資金なのか、このことについてお答えいただきたいと思います。

○森山工業用水道課長

石狩工水に対する出資金についてでありますが、地方公営企業は、一般企業の資本金に相当する資金がないものですから、その事業用資産を取得する財源として、一般会計から出資金を繰り入れているものでございます。

石狩工水においては、幾春別川総合開発事業のダムに水源を求めておりますことから、その事業に対し支払う負担金の財源として繰り入れているところでございます。

その額につきましては、毎年度異なるところではございますが、事業費の12%で、平均で約5000万円を負担してきておりまして、平成21年度における出資金は6200万円、累計では7億8400万円となっているところでございます。

○花岡ユリ子委員

石狩工水に対する一般会計からの出資金について、推移と累計額、また、何のための出資金なのかを聞いたところですが、企業局による、幾春別川総合開発事業の出資比率の1.2%は、水需要をどの程度と見込んだものなのか、お答えいただきたいと思います。

○森山工業用水道課長

石狩工水の水需要についてでありますが、石狩工水の水需要は、平成5年度の事業開始時において、目量3万5000トンと想定いたしましたが、その後、大幅に下回ることが見込まれましたことから、平成14年7月に、これを見直すことといたしまして、日量1万2000トンと見込んでいるところでございます。

○花岡ユリ子委員

実際には、1万2000トンの何%、何トンの需要で採算ラインとなるのか、このことについて、おわかりになれば答えていただきたいと思います。

○森山工業用水道課長

採算ラインについてでありますが、石狩工水においては、現在、一般会計からの長期借入金により収支均衡を図っているところでございます。

料金収入により収支の均衡を図るためには、計画給水量の日量1万2000トンの約80%、日量約9600トンの需要が必要であると考えておるところでございます。

○花岡ユリ子委員

平成21年度の契約水量は2883トンですから、採算ラインの9600トンには遠く及びません。このような過大な幾春別川総合開発事業における企業局の負担はどの程度となるのか、伺いたいと思います。

○森山工業用水道課長

今後の幾春別川総合開発事業全体における企業局の負担についてでありますが、幾春別川総合開発事業費の負担金につきましては、総事業費が約835億円、そのうち、企業局として事業完成までに総額約14億円を支払うこととなっておりまして、今後、約6億円を支出する予定となっております。

○花岡ユリ子委員

将来が見えない状況の中で、これだけのお金を投入するというのは、北海道の財政にとっても大変厳しいものになるのではないか、こういうふうに思います。

次に、平成21年度決算における、二風谷ダム取水塔の撤去工事の1億3000万円について、どういう使い方で、どうしてこういう状況になっているのか、答弁を伺いたいと思います。

○中川進工業用水道課参事

取水塔の撤去工事についてでありますが、二風谷ダムの取水塔は、苫小牧東部地域に工業用水を供給する目的で建設を行ったものの、社会経済情勢の変化の中で、苫小牧東部地区第1工業用水道事業は、平成19年度に、沙流川総合開発事業から撤退したところでございます。

このことにより、使用しなくなった施設については、河川法に基づき、河川の原状回復のため、撤去が義務づけられていることから、平成20年度から21年度の2ヵ年において、債務負担により撤去工事を行ったものであり、その2ヵ年にわたる工事費の総額として1億3200万円を要し、このうち、平成21年度の支出が1億3000万円となっているところでございます。

○花岡ユリ子委員

この取水塔は、1度でも使ったのでしょうか。

○中川工業用水道課参事

この取水塔建設後、「時のアセスメント」によって、平成10年度に、工業用水道専用施設の着工を凍結したため、すべての施設の完成には至らなかったものであり、使用せずに撤去することとなったところでございます。

○花岡ユリ子委員

使わなかった取水塔の建設費は幾らなのか、お答えください。

○中川工業用水道課参事

取水塔の建設費用などについてでありますけれども、平成8年4月から二風谷ダムの試験溢水を行うため、取水塔は、平成6年度から7年度にかけて、総額4億3900万円で建設したところであります。

○花岡ユリ子委員

今の答弁を聞いても、本当にびっくりするばかりです。1億3000万円あったら、もっと別なところに使えたかなとというふうに思っています。

それで、工水事業の最後の質問ですが、昨年度の取り組みの特徴に対する認識、及び、事業全体で赤字決算から脱却する見込みについて、どう考えているのか、伺いたいと思います。

○畑秀叔企業局長

今後の見通しについてでありますが、工業用水道事業については、経営健全化計画に基づきまして、平成19年度から、本格的に経営の健全化に向けスタートを切ったところでございます。

とりわけ、石狩工水の経営健全化が大きな課題であることから、需要開拓を推し進めるため、平成21年度においては、食品製造企業への、浄水器メーカーと連携をいたしました提案型の営業や、企業信用調査機関のノウハウを活用したダイレクトメールの発送などを行い、需要の拡大に取り組んできたところでございます。

この結果、食品製造業の新規企業1社との契約が成立したところであり、今後、この実績を活用しつつ、引き続き、こうした営業活動を進めていくことが必要と考えているところでございます。

また、工水会計全体において赤字決算から脱却するため、企業局といたしましては、経費の節減などにも取り組みながら、平成25年度までの単年度収支黒字化の目標を達成できるように努めてまいりたいと考えております。

以上でございます。

企業局として談合などの防止対策強化を求める

○花岡ユリ子委員

次の質問に移ります。

まず、確認しますが、競争性のある公正な入札、契約が経費の節減につながり、企業局の経営改善につながると考えますが、認識を伺いたいと思います。

○成田恭一総務課長

入札に関する認識についてでありますが、公共工事の入札及び契約につきまして、その適正化を図ることは、工事に対する信頼の確保と、建設業の健全な発達を図る上でも重要であると考えており、企業局では、平成20年度から、工事の入札は、原則、一般競争入札によることとするなど、公正な競争の促進や不正行為の排除などに取り組んでいるところであります。

以上でございます。

○花岡ユリ子委員

企業局は、これまで、談合などの不適正な入札の防止の取り組みをどのように進め、今後どう取り組みを強めていくのか、伺っておきたいと思います。

○畑企業局長

今後の取り組みについてでありますけれども、企業局では、平成20年度から、工事等の入札はすべて、原則、一般競争入札によることとしており、入札参加者の指名等を厳正かつ適正に行うため、局内の合議制組織であります入札委員会におきまして、入札参加に必要な資格要件等を審議しているところでございます。

また、適正価格による契約の推進及び工事の品質確保、並びに適正な施工体制確保のため、工事等の入札は、知事部局と同様に、最低制限価格制度を適用しているほか、平成20年12月以降は、予定価格の事後公表を実施するなど、入札及び契約の適正化に向けた取り組みを行っているところでございます。

企業局といたしましては、今後とも、知事部局と十分緊密に連携しながら、実効性のある取り組みを進めてまいりたいと考えているところでございます。

以上でございます。

新エネ導入、先進地に学ぶべき

○花岡ユリ子委員

今、全国、世界じゅうで、生物多様性の問題というのが大変大きな課題になってきていますが、名古屋で生物多様性国際会議が開催されるなど、地球的規模での自然環境保護、新エネルギーの導入の機運は急速に高まっています。企業局としての受けとめと、これらに対しての取り組みについて伺いたいと思います。

○畑企業局長

新エネルギー導入の取り組みについてでありますが、地球温暖化が、地球規模の深刻な問題として早期に解決すべき重要な課題となる中、道におきまして、本年5月に、北海道地球温暖化対策推進計画が策定され、本道における温室効果ガス削減目標値が設定されるなど、地球温暖化対策の取り組みが進められており、企業局といたしましても、本道の温室効果ガス削減に資するよう、これまで進めてきた再生可能エネルギー導入に、引き続き取り組んでいく考えでございます。

このため、平成17年度に創設をいたしました地域新エネルギー導入アドバイザー制度によりまして、電気事業の運営を通じて得た技術や経営の知識を活用して、地域における再生可能エネルギー導入を支援していくほか、議会の御議論などもいただきながら、道における地球温暖化対策の施策とも連携を図って、再生可能エネルギー導入に向けた調査検討などを行ってまいりたいと考えているところでございます。

○花岡ユリ子委員

昨年、我が党の真下議員は、企業局としても、新エネルギーの導入で積極的な取り組みを展開している岩手県などに学ぶべきと提案いたしました。実際に視察したと聞いておりますが、その結果と、今後これをどう生かすつもりなのか、伺いたいと思います。

○伊藤企業局次長

現地調査の結果などについてでございますが、富山県企業局や、山梨県の都留市、南アルプス市においては、農業用水路や砂防堰堤を利用した小水力発電設備の設置によりまして、地域における再生可能エネルギーの活用が図られているところであり、また、山梨県企業局においては、平成20年度に開発支援室を開設いたしまして、小水力発電の導入を計画する市町村に対しまして、技術や経営などに関する支援を行っているものと承知しております。

企業局といたしましては、未利用の再生可能エネルギーの掘り起こしは、その普及の観点から重要と考えておりまして、これらの事例を参考といたしまして、現在進めております地域新エネルギー導入アドバイザー制度を活用した、市町村等への導入支援などに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

以上でございます。

○花岡ユリ子委員

今や、全国の公営電気事業者が、さまざまな新エネルギーの導入などに積極的に取り組み始めています。

先日、後志でも、ニセコで小水力発電を回してきているという状況もありましたので、いろいろな形で取り組みを進めさせていくべきだと思うのです。

道は実態を調査したとのことですけれども、その特徴をどう受けとめているのか、伺っておきたいと思います。

○中西由一発電課長

他県における新エネルギー導入の取り組みについてでございますが、全国の公営電気事業者の多くでは、自治体における地球温暖化対策や環境保全などの施策との連携のもと、水力発電の経験を生かした小水力発電を初めとして、太陽光や風力等を活用した発電の導入に取り組んでおります。

また、岩手県などでは、再生可能エネルギーの導入を計画する市町村等への技術支援などの取り組みが行われていると承知しております。

企業局といたしましては、再生可能エネルギー導入の取り組みに当たりまして、これらの事例や取り組みを参考にしてまいりたいと考えております。

以上でございます。

○花岡ユリ子委員

企業局みずからが新エネルギー導入を検討するなど、具体的で積極的な取り組みを考えるべきだというふうに思いますが、管理者の決意を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

○武内良雄公営企業管理者

今後の取り組みについてでございますが、地球温暖化が国内外で喫緊の課題となる中、発電に際し温室効果ガスを発生しない再生可能エネルギーの導入の取り組みは重要であると認識しているところであり、道営電気事業におきましても、これまでの事業運営を通じて蓄積した技術や経営のノウハウを生かし取り組む必要があると考えているところでございます。

このため、公営電気事業者の全国組織でございます公営電気事業経営者会議などを通じ、他の公営電気事業者などとの情報交換を行いながら、再生可能エネルギーの技術や経営に関する最新の動向の把握に努めているところであります。

私といたしましては、みずからが再生可能エネルギーの導入に取り組むに当たりましても、議会での御議論などをいただきながら、道における、環境やエネルギーに関連する施策と連携を図りつつ、検討を進めて対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

以上でございます。

○花岡ユリ子委員

取り組みを本当にやるのかという言い方はちょっと失礼かもしれませんけれども、生物多様性への対応の問題だとか、さまざまな形で、積極的にエネルギーの分散をしていくというのですか、化石燃料を使わないでやっていくことが今大事なのだろうと思うのです。その取り組みを本当にやるのかどうか、実際に岩手県などの実態を見て、今後に生かしていただきたいと思います。

私も、葛巻町などに行かせていただきましたけれども、そこで頑張っていらっしやる、さまざまな運動体の人方もいらっしやいました。そういう人方と力を合わせて、北海道でも、もっといろいろな形で対策がとれるのではないか、こういうふうに思いますので、今後に生かしていただきたいと思いますが、管理者の考えを伺っておきたいと思います。

○武内公営企業管理者

今後の取り組みについてでございますが、私も、他の地域の実態を見ることは有意義なことであると考えておりまして、昨年、山梨県の北杜市における大規模太陽光発電の先進的事例を視察してきたところであります。

先ほども御答弁したとおり、本道における地球温暖化対策を進める上で、再生可能エネルギーの導入は重要であるというふうに考えておりますので、その導入促進に向けまして、今後、組織を挙げて対応してまいりたいというふうに考えております。

○花岡ユリ子委員

組織を挙げて頑張るという決意は、本当にそのとおりだと思いますけれども、やはり、「百聞は一見にしかず」という言葉がありますから、ぜひ、地元に行って、専門家がやっていらっしやる都留市だとか岩手県だとか、そういうところときちんと話し合いをするなどして、もっと積極的に、北海道の広い大地の中で、化石燃料ではない新たな――風車を回していくだとか、そういうことをもっともっと積極的にやるという意味で、近いわけですし、ヨーロツパに行きなさいと言っているわけじやないですから、ぜひ、先進地に行って、見て、地域がどういうふうにしてこれをつくってきたのか、そういうこともしっかりと学んでくる必要があるのじやないかと思いますので、改めて、管理者の決意を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

○武内公営企業管理者

視察についてでございますが、電気事業会計につきましては、大変厳しい財政状況の中、経費の削減や経営の効率化に努めているところではございますが、委員が御指摘のとおり、やはり、岩手県葛巻町などの先進地を視察するということは、大変大事なことと考えておりますので、機会を見て視察してまいりたいというふうに考えております。

以上でございます。

○花岡ユリ子委員

なるべく早目に行っていただければ、なおうれしいと思います。

そして、その思いを全道に広げていただきたい。市町村でも、取り組みたいとか、いろんなことを思っていると思いますので、そういうためにも、まず管理者が行って、こういう方向がいいのじやないかとか、そういうことも含めてぜひ検討していただきたい、こういうことを申し述べて、終わりたいと思います。


道立病院関係

道立病院の院内感染対策強化求める

○花岡ユリ子委員

私からも質問させていただきます。

とりわけて、帝京大学医学部附属病院で、院内感染による死亡事故が起こったことは記億に新しいと思いますが、道立病院では、どのような対策を講じているのか、まず伺いたいと思います。

○高橋幸雄保健福祉部長

道立病院におきます院内感染対策についてでございますが、道といたしましては、平成16年に、道立北見病院におきまして、MRSAによる院内感染が発生したことを教訓といたしまして、各道立病院の院長や看護師等の各部門の責任者で構成する院内感染対策委員会に、実動部隊となります院内感染対策チームを設置し院内の感染情報を共有するとともに、病棟などの巡回による医療環境の衛生管理や感染予防策の実施など、院内の感染防止対策の徹底に努めているところでございます。

また、このたびの帝京大学医学部附属病院の院内感染にかかわる国からの通知を踏まえまして、善道立病院に対しまして注意喚起を行い、改めて、院内感染防止対策の徹底を指示したところでございます。

以上でございます。

○花岡ユリ子委員

徹底して対策を立てていらっしやるという中の一つに、私も今回初めて勉強させていただきましたが、リンクナースという組織があって、感染を予防する一つのキーワードになっているのじやないかと思いますが、この役割はどのようなものなのか、伺いたいと思います。

○奥山盛道立病院室参事

リンクナースの役割についてでございますが、いわゆるリンクナースとは、院内感染対策チームと現場をつなぐ、感染症対策に経験豊富な看護師のことでございまして、各道立病院においては、各病棟や手術室、透析室などに配置している看護師の中から、適任者をリンクナースとして位置づけ、このリンクナースに、院内における感染症患者や保菌者の把握、感染予防対策の教育、指導などの役割を担わせているところでございます。

以上でございます。

○花岡ユリ子委員

感染症については、病院など密閉されたような場所であれば、病原菌が発生をすると、すぐに蔓延するという状況でありますから、病院の全職員による一致した行動が求められると思います。道立病院では、どのような体制をとっているのか、伺います。

○奥山道立病院室参事

感染防止体制についてでございますが、各道立病院におきましては、院内感染対策委員会を毎月定例的に開催し、院内感染情報について共有化を図るほか、感染防止策や職員研修の実施について検討するなど、各種の院内感染防止対策に取り組んでいるところでございます。

また、院内感染対策委員会に、医師や臨床検査技師、薬剤師、リンクナース等で構成します院内感染対策チームを設置し、感染症対策専門の認定取得者も参画させながら、感染情報を把握、分析しているところでございまして、リンクナースを中心として、病棟等の巡回による対策などに取り組んでいるところでございます。

以上でございます。

○花岡ユリ子委員

私も、昔、看護師をやっておりまして、看護師のシンボルはキャップですよね。ナースキャップというのがあるのですが、最近、ナースキャップは見たことがないのじやないかと思います。

それは、ナースキャップをかぶることによって、髪をさわるとか、手でキャップをさわるとか、そういうことが感染の原因になるということもありまして、今、ナースキャップを余りかぶらないような状況が広がっているというふうに思うのです。そのくらい、感染に対して、起こさないようにしなければならないという立場で皆さんが頑張っているのだろうと思います。

それで、道立病院では、医療安全対策加算が算定されている病院と、算定されていない病院があります。何が違うのか、答弁を伺いたいと思います。

○奥山道立病院室参事

医療安全対策加算についてでございますが、医療安全対策加算につきましては、組織的な医療安全対策を実施している医療機関を診療報酬で評価するものでございまして、道立病院におきましては、診療報酬算定の届け出要件とされております、必要な研修を受講した看護師を配置しており、当該看護師を医療安全対策の責任者に選任し医療安全確保のための業務改善等を継続的に実施できる体制が整った病院から、順次、届け出を行っているところでございます。

現在、紋別病院、羽幌病院及びコドモックルの3病院におきまして、医療安全対策加算を診療報酬上算定しているところでございますが、その他の道立病院についても、届け出の準備を進めているところでございます。

以上でございます。

○花岡ユリ子委員

紋別病院にはICD取得者がいると承知しておりますが、ほかの病院では必要ないのか、この状況はどうなっているのか、お答えください。

○多田好宏道立病院室長

ICD取得者についてでございますが、このICD取得者とは、感染症の関連学会等で組織されておりますICD制度協議会において認定されました、院内感染対策を専門に取り扱う、医師や博士号を取得している医療従事者のことであり、道立病院におきましては、紋別病院で1名、コドモックルで2名の医師がICD取得者となっているところでございます。

道といたしましては、その他の、ICD取得者のいない道立病院におきましても、必要な者が研修を受講できるような環境整備に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

○花岡ユリ子委員

やはり、大きな病院になりますと、いつ、どこで感染が広がるかというのはわからないわけですから、こういう専門家――お医者さんがいいのかというのもありますけれども、そういう資格を持っているお医者さんがいらっしやるということは大変心強いですよね。

そういう意味では、どこの病院でも、できれば、ICD収得者を養成していくというのですか、お医者さんだとすれば、養成の時間をとるのはなかなか大変だろうというふうに思いますけれども、そういうことも含めた対策こそ、今必要ではないかと思いますが、どうでしょうか。

○多田道立病院室長

先ほどもお答えいたしましたとおり、道といたしましては、必要な者が研修を受講できるような環境の整備というものに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

ジェネリック医薬品採用拡大で目標と対策を

○花岡ユリ子委員

時間がありませんので、次を続けます。

次に、ジェネリック医薬品についてですが、平成21年度決算書から、薬品購入単価の病院間の差について伺います。

塩酸バンコマイシン散の購入単価の違いの理由を示してください。

○奥山道立病院室参事

薬品購入単価についてございますが、道立病院におきましては、紋別病院、羽幌病院、コドモックルの3病院で、抗生物質であります塩酸バンコマイシン散を購入しておりますが、その単価は、紋別病院が2万円、羽幌病院が約3万2000円、コドモックルが約1万8000円となっておりまして、購入単価に違いがあるところでございます。

その主な理由といたしましては、紋別病院とコドモックルにおきましては、ジェネリック医薬品を採用しておりますが、羽幌病院においては、医師の判断によりまして、先発医薬品を購入していることによるものでございます。

以上でございます。

○花岡ユリ子委員

今、これほどジェネリック医薬品が広がっている中でも、どうしてもやっばり先発医薬品という――医者の考え方もあるのだろうと思いますけれども、ジェネリック医薬品は、安い医療薬として期待をされているわけですから、ぜひ、そこも含めて検討していただきたいと思います。

それで、ジェネリック医薬品のほうが安価だということですが、道立病院におけるジェネリック医薬品の採用状況について、平成21年度までの推移を伺います。

また、道立病院の間で採用状況に差があると承知していますが、どのように分析しているのか、伺います。

○奥山道立病院室参事

ジェネリック医薬品の使用伏況についてでございますが、道立病院におきますジェネリック医薬品の採用に当たりましては、患者の治療に責任を持つ担当医師が、その経験や実績などに基づき、支障がないと判断した場合に、各病院の薬事委員会の協議を経て、ジェネリック医薬品による治療を行っているところでございまして、患者負担の軽減を図る観点からも、その拡大に向けて取り組んでいるところでございます。

道立病院全体におきます採用品目数に占めるジェネリック医薬品の状況は、平成17年度は507品目で9.5%であったのに対し21年度は810品目で15.6%を占めておりまして、5年間で6.1ポイント増加したところでございます。

また、ジェネリック医薬品の使用状況つきましては、医師の判断もありますが、精神病院において、他の道立病院より比較的高い使用率となっているところでございます。

以上でございます。

○花岡ユリ子委員

ジェネリック医薬品による患者の医療費負担の軽減は、概算で幾らくらいと試算できるのか、答弁を求めたいと思います。

○奥山道立病院室参事

患者の負担軽減についてでございますが、平成19年度に、全道立病院を対象に実施しました、ジェネリック医薬品の使用実態調査によりますと、道立病院で実際に使用したジェネリック医薬品をすべて先発医薬品と仮定した場合、薬価ベースで約1.52倍となったところでございます。

平成21年度に使用したジェネリック医薬品をすべて先発医薬品に置きかえて、患者負担の差を試算することは困難でございますが、仮に、ジェネリック医薬品の購入額の3割を自己負担とした場合に、患者負担額は2400万円であるのに対しそのすべてを先発医薬品とした場合は、平成19年度の調査結果をもとに、1.52倍を乗じますと、自己負担額は1200万円程度増加するのではないかと考えられるところでございます。

以上でございます。

○花岡ユリ子委員

ジェネリック医薬品の採用は、各道立病院内の薬事委員会に任されていると承知しています。

改善の方向として、各病院の薬事委員会の議論等の情報を交換するシステムとか、第三者機関による検証と提言などが必要だと考えますが、認識を伺います。

○多田道立病院室長

ジェネリック医薬品の採用についてでございますが、ジェネリック医薬品の採用の適否につきましては、まずは、担当医師が必要とする医薬品を指定いたしまして、院内に設置している薬事委員会で判断しているところであり、患者の治療に最も身近なところで、より適切に対応する必要があるものというふうに考えております。

いずれにいたしましても、今後、道立病院におけるジェネリック医薬品の採用情報などにつきましては、他県の取り組みも参考にしながら、各病院間で共有できるよう、取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○花岡ユリ子委員

道立病院室によると、道立病院のジェネリック医薬品採用率は、集計できた全国30都道府県の中で5番目に高いとされています。本道よりも採用率の高い岩手、和歌山、大分の各県では、どのように取り組んでいるのか、示していただきたい。

それと同時に、道立病院としての目標と対策もあわせて伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

○高橋保健福祉部長

他県の状況と、道立病院における今後の目標などについてでございますが、岩手県におきましては、毎年度、目標とするジェネリック医薬品の採用率を設定いたしまして、県立病院の医師や薬剤師が参加する会議を開催して、推奨するジェネリック医薬品などの情報交換を行っていると聞いているところでございます。

また、大分県では、県立病院において、必要の都度、採用品目を見直すなどしながら、採用率の向上に努めていると聞いております。

こうした中、道立病院におきましても、ジェネリック医薬品の採用率を高めるため、当面、平成19年度の岩手県の採用率を目標に、各道立病院において、それぞれ目標を定め、薬事委員会を通して、採用率の向上に向けた取り組みを進めているところでございます。

今後は、各病院の薬局長を招集する会議を開催いたしまして、それぞれの病院における取り組み伏況を相互に交換する機会を設けるなどして、道立病院におけるジェネリック医薬品の採用が一層拡大するよう努めてまいりたい、このように考えております。

○花岡ユリ子委員

私ども共産党としまして、ジェネリック医薬品のことを取り上げてから、数年になります。ジェネリック医薬品も知名度が高まっています。

今、医療費が高くて大変、薬代が大変、こういう声が広がっています。そういう中で、きちんと確認され、そして一定安いジェネリック医薬品は、効果は同じなわけですから、ジェネリック医薬品を大いに活用するということが今必要なのではないでしょうか。

そういう点で、私たちも、道立病院がジェネリック医薬品を使用することに対して応援しますので、ぜひ頑張っていただきたい、こういうふうに思っております。よろしくお願いしたいと思います。

以上で終わります。ありがとうございました。


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