2010年11月19日 決算特別委員会 知事総括質疑概要
質問者 日本共産党 花岡ユリ子 議員
道営住宅の60歳以上世帯8千戸。知事、「高齢者支えるネットワークを検討」
○花岡ユリ子委員
私のほうから、高齢者の見守り・安否確認に資する事業について、まず最初に伺いたいと思います。
最初に、高齢者の見守りや安否確認などについてですが、道営住宅というコミュニティーの中で、高齢者に対して、見守りや声かけなどのサービスを行っていると承知していますが、これまでの取り組みについて、まず伺っておきたいと思います。
○高橋はるみ知事
高齢者向けの道営住宅についてでありますが、少子・高齢化が急速に進展する中で、高齢者の方々などが安全で安心して暮らせるように、住環境の整備を図ることが重要と考えております。
このため、道では、床の段差の解消や手すりを設置するほか、介護にも配慮したユニバーサルの視点による整備を進めるとともに、市町村と連携し、生活援助員による相談や安否確認などの見守りを行うシルバーハウジングの整備に取り組んでいるところであり、平成21年度末までに、11の市や町で247戸を整備したところであります。
以上であります。
○花岡ユリ子委員
道営住宅における、高齢者だけでお住まいの世帯数と、そのうちの単身世帯数を示していただきたいと思います。
また、シルバーハウジング以外の既存の道営住宅についても、高齢者の見守りは重要です。市町村は、介護保険制度の地域支援事業の中で実施していますが、十分とは言えません。知事の認識と今後の取り組みについて伺っておきたいと思います。
○高橋知事
高齢者の見守りなどについてでありますが、道営住宅において、60歳以上の高齢者のみで入居されている世帯数は、平成21年度末で申し上げますと、8046世帯となっているところであり、このうち、単身での入居者の方は4058世帯となっているところであります。
また、こうした、高齢者の方々が入居する道営住宅を含め、高齢者の方々の安否確認、緊急時の対応や一時的な家事援助を行う生活援助員を派遣するなどの取り組みが進んできているところであり、平成21年度の道内市町村の取り組みの実績は、27市町村に上っているところであります。
道といたしましては、今後とも、高齢者の方々を地域で見守る体制をさらに充実する観点から、地域における課題や具体的な取り組み方法などについて、現在、振興局ごとに、各市町村や地域包括支援センターの職員との意見交換を行うとともに、今月設置をいたしました、外部の有識者の方々による検討会において、地域で高齢者を支える関係機関とのネットワークなど、地域包括ケアのあり方について検討をいたしているところであります。
私といたしましては、こうした取り組みを通じて、住宅政策とも連携を図りながら、高齢者の方々が住みなれた地域で安心して暮らし続けていただけるよう、積極的に取り組んでまいる考えであります。
以上であります。
○花岡ユリ子委員
答弁をいただきましたが、兵庫県は、震災を教訓に、いきいき県住推進員など、既存の県営住宅における高齢者を含めた支援体制をつくっています。北海道も、兵庫県から学んで、高齢者が安心して道営住宅で暮らし続けることができるためのネットワークづくりが今必要なのではないかということを指摘しておきたいと思います。
北電・京極発電所の環境への影響、道は主体的に生態系全体の調査を
○花岡ユリ子委員
次に、京極発電所に関して伺います。
発電所が建設されている地域では、小湿原の水位の低下のほか、クマタカの飛翔が、平成18年度以降、1回しか確認されていないなど、憂慮されています。
クマゲラの営巣箇所の面的な調査を含めて、道が主体となった環境影響調査が必要と考えますが、どのようにお考えでしょうか。
○高橋知事
京極発電所に関し、環境影響調査についてでありますが、京極発電所につきましては、自然環境の保全に十分な配慮を要する地域にありますことから、道では、平成11年に北電から提出された環境影響評価準備書について、上部調整池近くの湿原の保全、貴重な動植物や猛禽類への影響の低減など、16項目にわたり、知事意見を付しているところであります。
北電は、この意見などをもとに、毎年、モニタリング調査を実施し、その結果について道に報告するほか、学識経験者などで構成する委員会に報告し、指導助言を受け、必要な対応を行うなど、環境影響の回避、低減に取り組んでいるものと認識をいたしております。
道といたしましては、北電が、専門家の指導助言に基づき、科学的な調査を継続的に実施しているところであり、今後とも、北電のモニタリング結果について確認するとともに、必要に応じて現地確認を行うなど、適切に対処してまいる考えであります。
以上であります。
○花岡ユリ子委員
今、クマゲラの営巣について、北電は、上部調整池付近の定点観測だけしかやっていないということですが、道が主体的に生態系全体の調査を行うことを強く求めておきたいというふうに思います。
「国家プロジェクト」大間原発からの電力購入は問題だと指摘
○花岡ユリ子委員
続いてですが、北電のエネルギー供給計画の中で、京極発電所の電源となるベース電源、つまり、原子力発電や石炭火力などの供給計画はどのようになっていますか。
京極発電所は、ベース電源を極端に拡大しつつ、余った電力を消費するためのものではないのでしょうか。送電線網の計画を見ても、泊原発と京極発電所は直結されています。知事は、この矛盾をどのように認識しているのか、伺いたいと思います。
○高橋知事
揚水式発電所の電源についてでありますが、北電の供給計画では、京極発電所が運転を開始する平成26年度において、ベース電源として運用が可能な原子力発電及び石炭火力発電の電源構成に占める割合を約53%と見込んでいるところであり、水力や石油火力も含め、特定の電源に偏ることなく、燃料情勢の変化や低炭素社会の実現に対応できる構成を確保することとしているところであります。
揚水式の京極発電所は、電力需要が少ない深夜、早朝の電力を活用し、ピーク時や需要の急激な変動の際に発電をし、全体として効率的な運用を図るためのものと承知いたしているところであります。
以上であります。
○花岡ユリ子委員
北電の資料では、京極発電所の運転開始年度と、大間原発からの電力買い入れ開始年度が、2014年度で、同じです。発電電力量に占める原子力発電のシェアは、2009年度の35%から、2014年度の40%に引き上げられる計画です。
大間原発から電力供給を受ける根拠、それと同じ年に京極発電所が運転開始すること、さらに、原子力発電のシェアが拡大することについて、北電からの説明及び知事の認識を伺いたいと思います。
○高橋知事
原子力発電所との関連についてでありますが、大間原子力発電所につきましては、全国9社の電力会社が、重要な国家プロジェクトであることを踏まえ、受電する計画であり、北電が受電する電力につきましては、本州方面への電力融通に利用するとの説明を受けているところであります。
また、発電電力量に占める原子力発電のシェアにつきましては、泊発電所3号機の運転開始に伴い、4割となっているところでありますが、ピーク時や需要の急激な変動の際に発電をし全体の効率的な運用が図られるよう、京極発電所を平成26年に運転開始するものと聞いているところであります。
私いたしましては、原子力発電は、燃料情勢の変化への柔軟な対応や、CO2の排出抑制に貢献するものであり、また、揚水発電の導入による、ピーク時の供給体制の充実などにより、道民生活と産業活動に不可欠な電力の安定的な供給を担っていくことが重要と認識いたしております。
以上であります。
○花岡ユリ子委員
道内で消費する必要性がないのに、大間原発から電力を買う、それが、国家プロジェクトとして、9電力横並びでやられているわけです。そのことが、資源エネルギー庁の平成22年度電力供給計画に書かれています。その重大性を知事としても十分認識していただきたい、このことを指摘して、次に移ります。
知事は環境省に電力会社をCO2排出量総量規制の例外としないことを求めよ
○花岡ユリ子委員
北海道地球温暖化対策推進計画では、電力事業のCO
2排出量の推計値に関して、エネルギー転換部門では、1990年度と2007年度の比で何%伸びているのか、伺います。
また、環境省案では、電力会社のCO2排出量について、総排出量規制の例外とされています。北電は、安価な輸入炭を使う苫東厚真発電所を拡大し、CO2の排出量を増加させています。
知事として、環境省に対し電力会社を総量規制の例外としないことを求めるべきと考えますが、御答弁をいただきたいと思います。
○高橋知事
温室効果ガスの排出量削減についてでありますが、まず、エネルギー転換部門の二酸化炭素排出量につきましては、電気事業やガス事業などの管理運営に基づき排出されるものであり、2007年度の排出量は208万トンと、1990年度と比較をいたしますと、46.9%増加いたしておりますが、全排出量の3.2%となっているところであります。
次に、排出量の総量規制については、現在、環境省において、温室効果ガスの排出量の削減に係る施策の一つである国内排出量取引制度の検討の中で、議論が進められているところであり、電気事業者に対し排出枠を設定することや、排出枠を設定せず、発電量当たりの排出量の改善を義務づけることなどについて検討されていると承知いたしております。
私といたしましては、こうした国における制度検討の動向を把握しながら、必要に応じ、適切に対応してまいる考えであります。
以上であります。
○花岡ユリ子委員
答弁はいただきましたけれども、EUでは、電力会社も総排出量規制の対象です。知事は、国の動向を見守るという受け身ではなくて、京極周辺地域の豊かな自然環境を保全し、温室効果ガスの25%削減計画に責任を持つためにも、国に対して積極的に提言すべきです。明確な答弁をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○高橋知事
総排出量規制方式についての重ねての御質問でございますが、環境省が検討を進めている国内排出量取引制度につきましては、電気事業者に対する規制のあり方のみならず、電力消費者である事業者に係る規制のあり方なども検討課題とされていると承知をいたしております。
私といたしましては、こうしたさまざまな課題について、国民や関係業界からの意見なども踏まえながら、削減効果や公平性、さらには経済活動への影響など、総合的な観点から、十分に、また幅広く制度の検討がなされる必要があるものと考えるところであります。
以上であります。
○花岡ユリ子委員
積極的に役割を果たすという意思が表明されなかったことは、大変残念だということを指摘して、次の、小樽・銭函地区に関係する風力発電所の質問に移りたいと思います。
風力発電の貴重な自然環境への影響ただし、実効あるアセス条例求める
○花岡ユリ子委員
石狩海岸は、環境省が植生自然度10の折り紙をつけた貴重な砂丘ですが、この砂浜に風力発電を15基建設する計画が進められています。
風力発電のくい打ちは、土台の下に、直径1.5メートル、深さ50メートルのくいが8本打たれる方式です。 6000から6800立米の掘削残土の処理は、一部を再生に使うと言われていますが、砂浜へのダンプの進入を含め、知事は、海岸の保全をどのように図るお考えか、まず伺いたいと思います。
○高橋知事
石狩海岸の保全についてでございますが、道におきましては、砂丘に広がる、自然植生が豊かな草原や湿地帯、カシワ林に至るまでの天然防風林、そこに生息する動物や景観など、すぐれた自然の要素に着目して、北海道自然環境保全指針において、石狩海岸一帯を「すぐれた自然地域」として整理いたしているところであります。
道は、この石狩海岸の貴重な自然環境が適切に保全されるよう、指針に基づき、事業者による開発事業行為の構想段階から、自発的、積極的な自然環境への配慮を促してきているところであります。
以上であります。
○花岡ユリ子委員
今回、事業者は、NEDOのマニュアルに基づいて環境影響調査を実施しました。福島、兵庫、長野、滋賀、岡山、長崎の6県と新潟市は、風力発電もアセス条例の対象としています。
道においても、風力発電もアセスの対象とするよう、条例改正作業を進めるべきと考えますが、お答えください。
○高橋知事
環境影響評価条例の改正についてでありますが、現在、国においては、説明会の開催など、住民参加手続の拡充などを内容とする環境影響評価法改正案を国会に提出しており、その政令改正の中で、風力発電施設についても対象事業として加えることとし、具体的な規模や評価項目などを検討していくこととしているところであります。
道といたしましては、かねてより、これら改正法案の審議状況や具体的な検討内容について、情報収集に努めているところであり、引き続き、国の動きを注視するとともに、他の都府県の対応についても参考にしながら、北海道環境影響評価条例のあり方について、十分検討してまいりたいと考えております。
以上であります。
○花岡ユリ子委員
風力発電の建設予定地は、世界じゅうで、石狩海岸と下北半島にしか生存が確認されていないキタホウネンエビ、あるいは、石狩海岸特有のエゾアカヤマアリのスーパーコロニーなど、貴重な種と特異な生態をはぐくんでいる自然環境です。生物多様性、生態系の多様性の観点から見た石狩海岸の貴重性について、知事はどのように認識しているのか、伺います。
○高橋知事
石狩海岸の貴重性についてでありますが、石狩海岸には、ただいま委員が御指摘のとおり、エゾアカヤマアリのスーパーコロニーが存在するほか、キタホウネンエビといった特異な昆虫などが生息をし、さらには、天然防風林であるカシワ・ミズナラ林が群生するなど、貴重な動植物が生息する、生物多様性が豊かな地域であると認識いたしているところであります。
以上であります。
○花岡ユリ子委員
「すぐれた自然地域」として指定した地域の保全を実効あるものにするために、保全指針を、単なる道しるべではなく、強制力のある条例などに改正すべきだということを指摘して、私の質問を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。