【花岡ユリ子道議、地域主権改革にかかわって、子どもの育ち保障する予算切り縮めるなと指摘】 | 10.12.06 |
ひもつき補助金の一括交付金化は、地方自治体が使い道を自由に決めることができるものとしています。
そこで、小泉自公政権時代に行われました三位一体改革で、補助金が一般財源化されたことで自由となった就学援助費と公立保育所運営費について伺っていきたいというふうに思います。
初めに、準要保護児童生徒への就学援助についてですけれども、北海道教育委員会によりますと、道内の人口5万人以上の16市の平成21年度決算は、合計で約52億円となっています。この16市の、平成21年度普通交付税における準要保護児童生徒関係費の算定額は幾らなのか、伺いたいと思います。
また、決算額に対して、算定額はどの程度の割合となっているのか、あわせて伺いたいと思います。
経済的な理由から就学困難な児童生徒への就学援助に係る交付税措置額についてでございますが、就学援助費は、国の三位一体改革によりまして、平成17年度から、それまでの国庫補助金を、全額、一般財源化いたしまして、普通交付税において算定されているところでございます。
普通交付税の基準財政需要額は、実所要経費ではなく、各市町村の標準的な水準における行政を行うために必要な一般財源の額として算定されているところでございまして、平成21年度における算定額は、道内の16市の合計で約9億4000万円となっているところでございます。
準要保護児童生徒への就学援助につきまして、どのように行うかは、各市町村が、それぞれ、認定基準や給付内容を定めまして、実施しているものでございますが、お尋ねにありました、決算額の約52億円に対する割合といたしましては、約18%となっているところでございます。
以上でございます。
市町村から、これまで、交付税措置の充実について要望はなかったのでしょうか。また、国に対して要望を伝えていったのかどうか、伺いたいと思います。
これらの要望の結果、普通交付税におきましては、平成22年度から、準要保護児童生徒関係経費について、小学校費及び中学校費の単位費用の見直しにより、約7割が増額され、その充実が図られたところでございます。
道といたしましては、今後とも、市町村の実情を踏まえながら、必要な財政措置につきまして、国へ働きかけるなど、適切に対応してまいります。
以上であります。
道といたしましては、これらの都市の要望を踏まえまして、その充実について要望してまいったところでございます。
また、決算額に対する算定額の割合はどの程度になっているのか、伺いたいと思います。
お尋ねの、実所要額の決算額の約121億円に対する割合としましては、約93%となっているところでございます。
以上でございます。
3日の私の質問に対して、保健福祉部は、一般財源化された後の公立保育所の統廃合、民営化は、道内全体で38カ所に上ることを明らかにしました。函館市や苫小牧市、小樽市は、今後さらに、公立保育所を民営化するとしています。
また、道教委によりますと、就学援助について、所得が生活保護水準の1.5倍までを対象とする自治体が、平成17年度の10自治体から、平成21年度には7自治体に減りました。その一方で、生活保護水準の1.1倍までしか対象としない自治体が18自治体から24自治体となり、基準を切り下げています。
今回の地域主権改革の進行の中でも、財政難に苦しむ自治体が、ひもつき補助金の一括交付金化を契機に、福祉や教育の予算を切り詰めるといった事態になりかねません。そうならないための制度的・財政的担保が必要だと考えますが、答弁をいただきたいと思います。
11月22日には、第4回の国と地方の協議が開催され、一括交付金化につきましては、第1段階として、まずは投資的経費を対象として、都道府県分を平成23年度から実施し、市町村分は、年度間の予算の変動性を勘案し平成24年度から段階的に実施をするとされているところでありまして、委員が御指摘の、福祉、教育等に関する経常経費につきましての取り扱いは、まだ示されていないところでございます。
道といたしましては、これまでも、国に対して、一括交付金化の制度設計に当たっては、国の財源捻出の手段とせず、地方の自由裁量を拡大するとともに、必要な予算総額が確保され、北海道の発展に寄与するものとなるよう、主張してきているところでありますが、今後とも、地方の意見がしっかりと反映をされ、真に地方の自由度と裁量性が高まる制度となりますよう、全国知事会や地方6団体と連携をしながら、さらに国に対して働きかけてまいりたいと考えております。
以上でございます。
それで、就学援助については、国が交付税の中で、その予算額を確保せず、その結果、市町村が、対象となる所得水準を厳しくしました。
公立保育所運営費については、16市の合計では、交付税算定額と帳じりが合っているように見えますが、札幌市、旭川市、岩見沢市、石狩市では大幅な過充当になっています。つまり、保育予算をほかに回しているわけです。
北海道の子どもたちの健やかな育ちを保障するためにも、予算を、国であろうが、地方自治体であろうが、自由と裁量の名で切り縮めてはならないというふうに思います。そのことを厳しく指摘して、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
※ 単位は、金額が「百万円」、率は%。 | ||||||
準要保護・就学援助費 | 公立保育所運営費 | |||||
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決算額 | 交付税算定額 | 充当率 | 決算額 | 交付税算定額 | 充当率 | |
札幌市 | 2015.0 | 423.2 | 21.0 | 3355.4 | 5119.2 | 152.6 |
旭川市 | 648.7 | 79.6 | 12.3 | 374.9 | 1223.1 | 326.2 |
函館市 | 407.2 | 60.9 | 15.0 | 827.3 | 769.6 | 93.0 |
小樽市 | 172.6 | 29.1 | 16.9 | 538.8 | 393.2 | 73.0 |
室蘭市 | 90.2 | 26.5 | 29.3 | 537.9 | 296.3 | 55.1 |
釧路市 | 242.7 | 46.0 | 19.0 | 979.5 | 575.0 | 58.7 |
帯広市 | 411.5 | 44.6 | 10.8 | 1176.8 | 511.5 | 43.5 |
北見市 | 171.2 | 34.2 | 20.0 | 997.7 | 407.9 | 40.9 |
岩見沢市 | 108.5 | 27.9 | 25.7 | 87.2 | 261.9 | 300.3 |
苫小牧市 | 182.7 | 43.2 | 23.6 | 899.6 | 507.2 | 56.4 |
江別市 | 193.8 | 34.7 | 17.9 | 553.1 | 304.4 | 55.0 |
千歳市 | 127.7 | 26.5 | 20.8 | 389.1 | 238.1 | 61.2 |
登別市 | 48.4 | 11.2 | 23.1 | 418.8 | 167.4 | 40.0 |
恵庭市 | 152.5 | 20.0 | 13.1 | 413.2 | 180.5 | 43.7 |
北広島市 | 103.8 | 15.6 | 15.0 | 423.4 | 158.8 | 37.5 |
石狩市 | 112.4 | 18.7 | 16.6 | 98.6 | 164.1 | 166.4 |
合計 | 5188.9 | 941.9 | 18.2 | 12071.3 | 11278.2 | 93.4 |
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[日本共産党道議団編集]