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道議会での取り組み
2010年予算特別委員会

【真下紀子道議、道営競馬事業継続の決断、エゾシカ被害に対する広域的、総合的な対策をもとめる】 10.10.05

2010年10月5日 予算特別委員会第2分科会質疑概要

質問者 日本共産党 真下紀子 議員

農政部所管の問題

道営競馬事業継続の決断をもとめる

○真下紀子委員

初めに、道営ホッカイドウ競馬について伺います。

本年度のホッカイドウ競馬の発売額は、計画を下回っているものの、前年比で99.8%という数字になっておりまして、景気が低迷している中で、大健闘していると思いますが、他の公営競馬の発売状況との比較も含めて、どのように受けとめているのか、まず伺います。

○小松茂副委員長

競馬事業室参事柴田弘行君。

○柴田競馬事業室参事

ホッカイドウ競馬の発売状況についてでございますが、平成22年4月から8月までの、全国の地方競馬全体の1日平均総売得金額で申し上げますと、前年対比で91.4%となっておりまして、景気の低迷などの影響により、厳しい状況にあるものと認識してございます。

一方、ホッカイドウ競馬の、第11回開催終了時の9月23日現在の発売額は、76億7000万円と、ほぼ前年並みの99.8%を確保しているものの、計画対比では91.2%となっておりまして、全国と同様に厳しい状況にあると認識しております。

○真下紀子委員

健闘はしているけれども、依然、厳しい状況にあるということですね。

それで、北海道は、言うまでもなく、そういった中でも国内最大の馬産地です。日高、胆振を中心に、全国の95%、年間で7200頭もの軽種馬が生産され、中央競馬を初め、全国の地方競馬に競走馬を供給しております。

北海道は、全国における馬産地として、他に比類ない重要性があると思いますが、いかがでしょうか。

○小松茂副委員長

食の安全推進局長田邊隆久君。

○田邊食の安全推進局長

馬産地としての北海道の位置づけについてでございますけれども、北海道は、全国の軽種馬生産頭数の9割以上を占める主要産地となってございまして、その生産のほとんどは、日高・胆振管内を中心に行われており、本道の馬産地は、中央競馬や地方競馬を支える重要な役割を担っているものというふうに認識しております。

また、馬産地につきましては、観光面などで、北海道ならではの魅力を発信するなど、本道の活性化にとっても大切な存在と考えておりますが、今後の中央競馬あるいは地方競馬の動向によりましては、日高や胆振など馬産地での軽種馬の生産活動ですとか、関連する観光産業など、地域経済にも大きな影響が生じることが心配されるところでございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

馬産地が美しいロケーションをつくっているという点では、付加価値が高いものだと私も思います。

馬産地の日高、胆振地方では、ホッカイドウ競馬の存続に向けて、新ひだか町、浦河町がAiba応援のイベントを月1回開催し馬券の売り上げ向上に努力をされております。日高町では、競馬関連の商品を販売するなど、さまざまな取り組みが行われております。

また、関係する各自治体は、ホッカイドウ競馬を存続させるために、毎年、7000万円から1億円もの負担金をつぎ込むなど、涙ぐましい努力を続けているというふうに承知しております。道は、そのことをどう受けとめているのか、伺います。

○小松茂副委員長

競馬事業室長川上修君。

○川上競馬事業室長

ホッカイドウ競馬への産地の支援についてでございますけれども、日高管内の自治体及び農業団体から、門別競馬場のナイター施設整備負担金として、平成20年度から22年度までの3年間、毎年、1億円の支援をいただくとともに、競馬関係団体からは、競馬場の駐車場整備や、道外ファンヘの広報宣伝等への寄附を初め、特別レースヘの協賛、無料送迎バスの運行、ファンプレゼント向け特産物の提供など、発売拡大に向けたさまざまな御支援をいただいているところでございます。

また、地元の有志が結成をいたしました、ホッカイドウ競馬を応援する会の歓迎のぼりなどによるPR活動に加えまして、軽種馬生産者の女性グループの皆さんが、門別競馬湯におきまして、地域の子どもたちを対象に、給本の読み聞かせ会を開催するといったように、さまざまな取り組みを通じまして、親しまれる競馬場づくりにも御協力をいただいているところでございます。

こうした取り組みを通じまして、道内はもとより、道外での発売拡大に結びついているものと認識をしてございまして、今後とも、産地や関係者の御協力をいただきながら、ホッカイドウ競馬のPRや、勝馬投票券の発売拡大に努めてまいりたいというふ引こ考えてございます。

○真下紀子委員

今の答弁にもありましたように、地域が一丸となって支えているホッカイドウ競馬です。年間で100億円以上の売り上げがあって、1000人以上の人たちが従事をしている一大産業となっております。

北海道の厳しい経済状況のもと、道営競馬は、地域経済を支える大きな役割を果たしていると私は考えますが、こうしたホッカイドウ競馬の重要性を道はどのように認識しているのでしょうか。

○川上競馬事業室長

ホッカイドウ競馬の役割についてでございますけれども、ホッカイドウ競馬は、国内唯一の産地競馬といたしまして、毎年、数多くの新馬を受け入れ、調教による強い馬づくりや、レース経験を通じて、競走馬としての付加価値を高め、全国に供給するという役割を担うとともに、競馬開催に係る従事員の雇用に加えまして、施設の維持管理などのための清掃、警備、さらには輸送などの面でも、雇用の創出に寄与しているところでございます。

また、門別競馬場は、軽種馬の美しい牧場風景とともに、魅力的な観光資源の一つともなってございまして、こうした点から、ホッカイドウ競馬は、日高・胆振地域にとどまらず、道内のさまざまな経済活動と密接に結びついて、地域経済に大きな役割を果たしているものと認識しているところでございます。

○真下紀子委員

馬という生き物相手の仕事ですから、大変な努力があると私も思います。

地域の関係者からは、生産者にとって、馬の最大の消費は競馬で走ること、地方の競馬場がなくなることは生活の崩壊につながることになると、悲痛な訴えが寄せられております。

この馬産地を守って、さらに発展させる上でも、競馬事業を一つの産業として、北海道が責任を持って事業継続に向けて取り組まなければならないと考えますが、部長の見解を伺います。

○小松茂副委員長

農政部長東修二君。

○東農政部長

道営競馬についてでございますけれども、道では、平成20年3月に策定しました北海道競馬改革ビジョンに基づきまして、これまで、産地と一体となりまして、さまざまな競馬改革に取り組み、収支均衡を見通せる段階まで来たところでございます。

こうした取り組みにつきましては、北海道地方競馬運営委員会などからも、一定の評価をいただいたところでございます。

一方で、本年度のホッカイドウ競馬の発売額は、計画を下回って推移しており、また、地方競馬全体を取り巻く環境は、全国的にも発売額が大きく減少するなど、依然として厳しい状況にございます。

こうした中で、日高、胆振などの軽種馬産地の活性化を図るためには、ホッカイドウ競馬を将来にわたって安定的に継続していくことが重要であると考えております。

今後とも、競馬事業の継続に向けまして、改革ビジョンの達成に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

以上でございます。

○真下紀子委員

部長から、事業継続に向けての強い決意が語られたわけですけれども、事業継続を求める声というのは、私たちのところにも届いておりまして、判断をする知事に直接伺いたいと思いますので、よろしくお取り計らいをお願いいたします。

エゾシカ被害に対する広域的、総合的な対策をもとめる

○真下紀子委員

次に、エゾシカ対策について伺います。

私は、先月、エゾシカによる被害で大変な御苦労をされている十勝管内の足寄町と本別町を訪れ、実態をつぶさに調査してまいりました。また、幾つかの自治体からも、私ども日本共産党の議員を通して、実情を伺いました。

そこで、以下、伺ってまいります。

エゾシカ被害は、今や、道央から道南と、全道域にまで広がって、被害総額も50億円を超えるなど、災害とまで言われるほどになっております。

ところが、国の鳥獣被害防止総合対策事業が、今年度、政府の事業仕分けで予算が大幅に削減をされ、これでは防護さくが設置できないと、農家の方などから悲鳴が上がっている状況は既に御存じだと思います。

今年度の実際の交付額は、要望額の約3分の1だったということですが、事実でしょうか。

また、その結果、自治体のシカ被害防止対策にどのような影響が生じたと考えるのか、数字も含めて、具体的にお答えください。

○小松茂副委員長

農業環境担当課長阿部格也君。

○阿部農業環境担当課長

鳥獣被害防止総合対策事業についてでございますが、本年度、国の予算額が、前年度の28億円から約22億8000万円に削減されました一方、この事業に対しましては、全国的に需要が高まったと伺っております。

本道におきましても、エゾシカ被害の拡大に伴いまして、対策を急ぐ市町村がふえましたことから、侵入防止さくの整備などハード事業の要望が、34地区、補助金で約9億1000万円であったのに対しまして、国からの内示額は、3分の1程度の約2億6000万円であったため、その採択も10地区にとどまり、地域における計画的な被害防止対策におくれなどが生じる結果となったものと受けとめております。

以上でございます。

○真下紀子委員

今の答弁にもありましたように、事業仕分けによる予算削減の結果、留萌地方では、6地区が要望したのに、採択はわずかに羽幌町の一つだけとなっております。それも、予想した額の半分ほどだということです。

留萌市では、不採択となったため、事業費の30%を市が助成し、残りを11戸の農家が負担し、13キロメートルの電気牧さくを自力で設置する予定だということです。

全道の不採択の自治体がどれだけあって、その実態がどうなっているのか、このような実態をどう受けとめているのか、そしてまた、今後どう対応するおつもりなのか、伺いたいと思います。

○田邊食の安全推進局長

事業の採択などについてでございますけれども、木年度、鳥獣被害防止総合対策事業が、地域からの要望に応じ切れず、24地区が不採択となりまして、道といたしましては、地域における被害防止対策に、規模の縮小ですとか、おくれが生じるというような結果になったことは、極めて残念だというふうに思っているところでございます。

このようなことから、道といたしましては、来年度以降のこの事業の継続と予算枠の拡大など、支援策の充実強化について強く要請をしてきたところでございます。

こうした中、さきに示されました、平成23年度予算の農林水産省の概算要求におきましては、この事業の継続のほか、緊急対策といたしまして、国の直接採択による、市町村へのソフト、ハード両面にわたる大規模な支援事業が盛り込まれたところでございます。

道といたしましては、今後、これらの事業の実現に向けまして、国などに積極的に働きかけてまいりたいというふうに考えてございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

私も応援したいと思いますけれども、今の答弁の中で、ソフト、ハード両面にわたって大規模な支援事業が盛り込まれたとありますが、ソフト面で、犬を活用した追い払いが、旭川市の旭山動物園とも協力して検討されていると聞きます。道内での取り組みがどのようになっているのか、お示しください。

○田邊食の安全推進局長

犬を使った追い払いなどについてでございますけれども、道内におきましては、美幌町の地域協議会が、東京農業大学及び旭山動物園と協力いたしまして、犬によるエゾシカの追い払い、あるいは、囲いわなへの追い込みを行う、いわゆるディアードッグ―シカ用の犬ということですね。そういったディアードッグ活用実証試験を行っているというふうに承知しているところでございます。

この試験では、今後、犬の訓練を行いながら、犬の動きに応じたシカの逃げ方、あるいは、追い込み可能な群れのサイズなどにつきまして調査を行っていくというふうに伺ってございまして、道といたしましては、こうした新たな取り組みも注視してまいりたいというふうに考えております。

以上でございます。

○真下紀子委員

新たな取り組みに期待をしたいと思います。

私が現地調査をしました足寄町は、昨年度のエゾシカによる農業被害が1億4000万円で、町内の防止さくは、総延長が何と666キロメートルにも及んでいまして、十勝と札幌を往復した以上の長さになっていて、まるで万里の長城のように見えました。

本別町では、エゾシカが出没する東地区の整備を進めますと、今度は西地区で被害が広がって、まるでイタチごっこだと嘆いておりました。足寄町長さんからは、農業被害ははかり知れない、一刻も早く広域での対応をと訴えられました。

私も、シカには住民票があるわけでもありませんし、何かついているわけでもありませんので、行政区単位では限界があって、広域での対応が不可欠だと思いますけれども、道はどうお考えになっているでしょうか。

○阿部農業環境担当課長

広域的な対応についてでございますが、エゾシカ被害の防止に向けましては、地形や被害実態など、地域の実情に応じまして、例えば、一斉駆除の実施や侵入防止さくの整備など、隣接する市町村の協力により、より効果的、効率的な防止対策が可能となる場合も想定されるところでございます。

このため、道といたしましては、総合振興局や振興局との連携を強め、市町村や農業団体の意向を十分踏まえながら、広域的な取り組みを含め、地域におけるより効果的な防止対策となるよう、努めてまいる考えでございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

広域的に取り組むということなのですけれども、鳥獣被害防止特別措置法に基づく被害防止計画を持だない自治体が73もあるわけです。それらの地域はどのようにするおつもりなのでしょうか。

○阿部農業環境担当課長

被害防止計画についてでございますが、地域における被害防止対策を円滑に進めるためには、市町村が、法に基づく被害防止計画を作成し国の支援制度を積極的に活用していくことが重要であると認識してございます。

本道におきましては、これまでに作成の済んだ106市町村に加え、本年度中に作成を予定している市町村が21ございますが、道といたしましては、計画末作成の市町村に対する働きかけを強めますとともに、計画作成の手引を配付するなどして、積極的な指導助言に努め、市町村における計画づくりを促進してまいる考えでございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

計画策定は前提かもしれませんが、やはり、市町村単位だけでは困難があると思います。

深刻な被害を減らすためには、適正管理数となるよう、エゾシカの処理頭数を大幅にふやすしかないと考えます。道の計画でも、年間の捕複数を11万5000順にすることになっていますが、問題は、殺処分した後の解体処理施設が圧倒的に少ないことだと考えます。

十勝からも要望がありましたが、今後、解体処理施設を地域ごとにどう設置していくおつもりなのか、お示しいただきたい。

また、後継者不足が心配されている解体処理技術者をどう養成していくおつもりか、現伏と今後の見通しについても、あわせてお示し願いたいと思います。

○田邊食の安全推進局長

解体処理施設などについてでございますけれども、シカ肉の処理施設につきましては、道内では、平成21年度末で、事業者や個人により、約80の施設が設置をされているところでございます。

また、捕獲したエゾシカの残滓につきましては、市町村が、一般廃棄物といたしまして、焼却ですとか埋却などにより処理をしているところでございますが、道といたしましては、今後、エゾシカの捕獲数の増加が見込まれる中で、捕獲後の処理ですとか有効活用の促進は重要な課題というふうに考えてございまして、地域の要望に応じまして、国費事業の活用などにより、シカ肉処理施設あるいは焼却処理施設の整備を支援してまいりたいというふうに考えてございます。

さらに、シカ肉の処理につきましては、処理施設で働く技術者の方々など向けに、エゾシカ衛生処理マニュアルを作成、配付し、シカ肉の衛生的な処理技術の普及を図っているところでございまして、今後とも、庁内のエゾシカ対策協議会の中で、関係部と連携を図りながら、残滓処理や有効活用の促進に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

シカ肉処理をする方たちが高齢化してきて、そういう技術者の方からは、マニュアルだけではなくて、実際に一緒に解体するところから次の後継者を育てていきたいという声もありますので、御検討いただきたいと思います。

それから、実際には、食肉活用は限られていますよね。残滓処理が課題になっております。一生懸命取り組んだ市町村の負担が重くなるという点では、公平性が問われるわけです。やはり、広域対策とあわせて、道がしっかりとした支援をしていくということは不可欠だと私は思います。

被害の増加を食いとめるために、必要な数まで捕獲が必要だと先ほど指摘をいたしましたが、財政負担、広域対策については、ここではなかなか御答弁いただけないと思いますので、知事に直接伺いたいと思います。

最後の質問になりますが、現在、防止さくのほとんどが金属製のものを使用しております。昨日の水産休務部所管審査でも質問したのですけれども、防止さくに木材を活用できないかという提案なのですが、道内のどこでも生産されているカラマツなどを使った木製防止さくを検討してみてはどうかと思います。

林産試験場などと連携して、地元産の木材で、見た目も美しく、しかも、環境に優しい防止さくの活用は、一石三鳥になるのではないかと思います。こうした点も合めて、最後に、エゾシカ防止さくの整備などとあわせて、今後の対応について道の見解を伺います。

○小松茂副委員長

食の安全推進監坂井秀利君。

○坂井食の安全推進監

エゾシカ対策に関し、木製防止さくの活用も含めました今後の対応についてでございますけれども、道といたしましては、これまでも、エゾシカ侵入防止さくの整備に当たって、支柱に道産材を活用したこともございまして、引き続いて、公共設備の木質化や地材地消の観点から、市町村などの地域や、庁内のエゾシカ対策協議会において、関係部と連携を図りながら、一層の道産材の利用を進めてまいりたいと考えております。

いずれにいたしましても、侵入防止さくの整備に関しては、本年度、国費事業を活用できなかった地域が多く、緊急的な整備が必要と認識しており、現在、概算要求されている、国の大規模な支援事業が来年度予算として成立するよう、また、道の実情に即した事業となるよう、今後とも、市町村や農業団体などと十分に連携を図りながら、国などに対し強く働きかけ、エゾシカによる農作物被害が軽減されるよう、最善を尽くしてまいりたいと考えております。

以上でございます。

○真下紀子委員

エゾシカによる被害が全道的な課題になっておりまして、北海道では、特別にといいますか、全国的にも先進的に研究機関としての研究施設を独自に持っています。そういったところとの連携等を含めて、先ほど言ったこととあわせて、エゾシカ対策について総合的に知事にお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

以上で終わります。


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