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2010年予算特別委員会

【真下紀子道議、木材の利活用推進についてただし、大規模林道完成部管理は国の責任で、ともとめる】 10.10.04

2010年10月4日 予算特別委員会第2分科会質疑概要

質問者 日本共産党 真下紀子 議員

水産林務部所管の問題

木質バイオマスなど地元産木材の利活用の推進を

○真下紀子委員

私は、初めに、木質バイオマスなどの利活用について伺います。

私は、木質バイオマスのみならず、木材の利活用には発展分野が見込まれていると考えております。木製ガードレールやスーパーカーフハッチの普及の現状がどのようになっているのか、伺います。

○池田隆一委員長

林業木材課長巻口公治君。

○巻口林業木材課長

木製のカーフハッチやガードレールの普及についてでありますが、生まれたばかりの子牛を1頭ずつ離して保育するカーフハッチや、その後、成長した子牛を数頭ずつ育てるスーパーカーフハッチは、子牛の病気を防ぐ効果があることなどから、普及が進んでおり、酪農家みずからが、カラマツなどの木材を使用して設置しているほか、道東地域では、森林組合が製造して販売した実績も数百棟程度あると聞いているところでございます。

また、北海道型木製ガードレールにつきましては、平成17年に、道立林産試験場と北海道産木材利用協同組合の共同研究により開発され、組合員の企業により、自然散策路のバリアフリー転落防止さくなどとして製品化されているところでございます。

このガードレールは、本年3月に、国土交通省の実車衝突試験に合格し、自動車道での使用が可能となったことに加え、このたび制定されました公共建築物木材利用促進法におきましても、公共施設に係る工作物として例示されているところでございまして、道といたしましては、今後、木製ガードレールが、景観の向上や保全に高い効果があることを広く普及PRしながら、観光地や自然公園、景勝地など、良好な景観を保つ必要のある道路等への設置を促進してまいる考えであります。

以上でございます。

○真下紀子委員

低コスト化が必要になるのですけれども、ぜひ、スケールメリットを生かして、使うところをふやしていただきたいと思います。

また、家具や住宅のリフォームなどでの一層の努力というのも、あわせて求めておきたいと思います。

私は、エゾシカ対策について調査をしてきたのですけれども、エゾシカ侵入防止さくが全道に張りめぐらされておりまして、まるで万里の長城のようになっているのです。

ところが、スチール製のさくになっておりまして、ここのところに何とか木材が活用できないかというふうに思いまして、木材の利活用を促進するような助成制度なども考えて、全道規模で木材の利活用を図るべきではないかと思ったのですけれども、いかがでしょうか。

○巻口林業木材課長

エゾシカ侵入防止さくへの木材の利用促進についてでありますが、平成17年度から21年度までの5カ年間に道が実施をいたしました農業農村整備事業で設置したエゾシカ侵入防止さくの110キロメートルのうち、8割の88キロメートルで木製の支柱が使用されているところであり、また、市町村、森林組合、農協等が、国の交付金や道の森林整備加速化・林業再生基金などを活用して実施するエゾシカ対策の事業におきましても、木製のさくが設置されているところでございます。

道といたしましては、公共建築物木材利用促進法に基づく新たな方針の策定に当たりまして、公共施設の木造化、木質化を進めることはもとより、農業用施設に関しましても、木材利用の促進を内容に盛り込む方向で検討しており、エゾシカ対策につきましても、この方針の対象として位置づけ、国の政策や道の基金事業などを活用するとともに、全道エゾシカ対策協議会における、被害防除に関する検討なども踏まえながら、市町村や関係団体等と連携して、エゾシカ侵入防止さくへの一層の木材の利用を進めてまいる考えであります。

以上でございます。

○真下紀子委員

支柱に関してだけですと、使い方が少ないのですよね。それで、ぜひ、地元の林業者ですとか試験場との共同開発なども視野に入れて、もっともっと地元の木材を活用できるように、推進を図っていただきたいと思います。

次に、木質ペレットについてなのですけれども、木質ペレットは、ストーブの関係だけではなくなりまして、産業界にも進出をし始めています。

厚沢部町では、農業用ハウスの暖房を木質ペレットボイラーにした事例がありますし、また、函館市の南茅部においても、昆布乾燥施設でのボイラーの試験を行ったと聞いております。

ビニールハウスや昆布乾燥などといった分野で活用するということには、非常に期待が持てるわけですけれども、木質ペレット利用の取り組みがふえている中で、木質ペレットの現状と課題についてはどう認識して、また、今後の展開をどのようにしようとしているのか、伺いたいと思います。

○巻口林業木材課長

木質ペレットの利用促進についてでありますが、木質ペレットにつきましては、二酸化炭素の排出量をふやさない、カーボンニュートラルの燃料でありますことから、地球温暖化防止の観点から、事業者や消費者の関心が高まってきており、平成21年度までの累計で、ペレットボイラーが81基、ストーブは約1600台導入され、木質ペレットの生産施設につきましては、平成21年度では14施設が稼働し、その生産量は、年間でおよそ4000トンとなっているところでございます。

現在、木質ペレットは、熱量当たりの単価が灯油に比べて4割程度高いことに加え、生産施設の稼働率が最大生産能力の3割程度と低い状況にあることなどが課題であると考えているところでございます。

道といたしましては、森林づくりにカーボンオフセットの仕組みを活用するため、公共施設での木質ペレットボイラーの使用などによる排出削減量を企業などに提供し、その対価として、森林づくりの資金提供を求めるモデル事業に取り組んでいるところであり、今後とも、この仕組みや、森林整備加速化・林業再生事業などの活用により、ペレットボイラーの導入を進めて、木質ペレットの需要をふやし、生産施設の稼働率を向上させるなどして、生産コストや価格の低減を図り、事業者や消費者のニーズにこたえられるよう、市町村や関係団体、研究機関などと連携しながら、木質ペレットの利用拡大に取り組んでまいる考えであります。

以上でございます。

○真下紀子委員

利用が生産に追いついていないという状況で頑張っていると思うのですけれども、道では、今年度の事業として、木質バイオマス大規模利用促進事業に取り組んでいると承知をしておりますが、どのような内容か、また、今後、木質バイオマスの活用にどのように取り組もうとしているのか、総じて伺っておきたいと思います。

○池田隆一委員長

林務局長沓澤敏君。

○沓澤林務局長

森林バイオマスのエネルギー利用についてでありますが、道の木質バイオマス大規模利用促進事業は、製紙工場の発電ボイラーや都市部での温水供給ボイラーに木質バイオマスを利用する取り組みを、大規模利用のモデルとして位置づけて、エネルギー利用者とバイオマス供給者が地域で一体となって行う、森林バイオマスの需給計画の作成や、集荷コストの低減対策などの取り組みに対して支援することを内容としておりまして、この8月には、旭川市におきまして、エネルギー利用者である製紙工場と、バイオマスの供給者である国有林、道有林、民有林の関係者の参加により、低コストな集荷システムや安定供給の方策などに係る検討会議を開催したところでございます。

道といたしましては、間伐材などを広範囲にわたって効率的に集荷する方法の検討や、資源を安定的に供給する体制の構築を進めるなどして、木質バイオマスのエネルギー利用を一層拡大し、地球温暖化防止への貢献と低炭素社会の実現を目指してまいりたいと考えております。

以上でございます。

大規模林道完成部の保全管理は国の責任で

○真下紀子委員

それでは続いて、ポスト大規模林道について、つまり、大規模林道のその後について伺ってまいりたいと思います。

2009年――昨年の11月に、知事が、山のみち地域づくり交付金事業としての事業継続は行わないとして、工事中の3路線、7区間を全面中止にした、いわゆる大規模林道のうち、滝雄・厚和線の2区間について、私は、一昨年に引き続き、9月15日に、保全状況などの現地調査を行いました。

昭和48年以来、さまざまに変遷してきたこの事業ですけれども、現在は、森林総合研究所が事業実施主体となって、森林農地整備センターが、国の既設道移管円滑化事業予算を使って保全工事を行い、道路舗装後、各町村に移管しようとしていると承知をしております。

2008年度の実績は、3路線、7区間の2.7キロメートルに3億4200万円が投じられ、2009年度は、1区間の1.6キロメートルに対して5300万円が投じられております。

今年度の予算額と事業内容がどのようになっているか、区間ごとにお示しいただきたいと思います。

○池田隆一委員長

幹線林道担当課長鈴木匡君。

○鈴木幹線林道担当課長

お答えいたします。

既設道移管円滑化事業についてでございますが、独立行政法人森林総合研究所の森林農地整備センターでは、平成22年度の事業といたしまして、滝雄・厚和線の滝上―白滝区間と白滝―丸瀬布区間におきまして、のり面などの保全工事を一括して実施しており、その事業費は約8600万円となっているところでございます。

○真下紀子委員

対象が1路線になっているということなのですけれども、それでは、国有林、民有林とも、大規模林道を活用した施業計画の見通しについては、各路線ごとにどのようになっているのか、お示しください。

○鈴木幹線林道担当課長

施業計画の見通しについてでございますが、道では、昨年の10月に、山のみち地域づくり交付金事業の検討に際しまして、平成21年度から平成25年度までの森林施業の計画を取りまとめており、間伐や保育等につきまして、滝雄・厚和線では、国有林が71へクタール、民有林が21ヘクタール、平取・えりも線では、国有林が249ヘクタール、民有林が691へクタール、置戸・阿寒線では、国有林が722ヘクタール、民有林が3ヘクタールの計画があると承知しております。

以上でございます。

○真下紀子委員

滝雄・厚和線は、施業計画がほとんどないというか、非常に少なくなっております。置戸・阿寒線は、国有林がほとんどとなっており、道有林の割合が比較的多いのが平取・えりも線で、約2分の1の312ヘクタールです。

それで、この大規模林道事業についてなのですけれども、この事業は、事業を継続しているときから、災害誘発事業だというふうに言われておりまして、危険を指摘されておりました。

今回、私は行ってみて非常に驚いたのですけれども、滝雄・厚和線のうち、白滝側から数百メートル入ったところでは、切り裂いた山が崩落し始めているのです。非常に危険だということを感じましたし、近くには川の源流がありますから、大規模な土砂崩れの危険があり、自然環境を破壊していくのではないかという懸念を非常に持ちました。

道は、現在、各路線がどのような状態になっていると把握しているのか、伺いたいと思います。

○鈴木幹線林道担当課長

既設道路の状況などについてでございますが、緑資源幹線林道として整備されました林道のうち、市町村等に移管が行われていない区間につきましては、森林農地整備センターが維持管理を行っており、必要に応じて保全対策等を実施しているものと承知しております。

こうした区間では、滝雄・厚和線を初め、3路線のすべてにおきまして、道路への落石が見られますほか、平取・えりも線の静内―三石区間では、のり面が崩壊し、道路がふさがれた箇所などもありますことから、道といたしましては、保全対策を早期に実施するよう、森林農地整備センターに働きかけているところでございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

今答弁がありましたが、私の見てきたところで、先ほどの答弁にありました8600万円の工事が実際に行われていましたけれども、のり面の勾配がきついですから、植生がはがれて、まるで、さいの河原状態です。

それから、同じく答弁にありましたように、日高などでは、崩れやすい地層になっているものですから、土砂崩れによる通行どめになっている、そして、路肩が緩くなったことで通行どめになっているという状況だと思います。

私が行った丸瀬布側のところでは、幅が60メートル、高さが30メートルののり面に対して、鉄筋枠を、アンカーボルトを打ち込んでとめて、さらにモルタルを吹きつけて、暗渠を設置して、網をかけて植生を復活させるという大工事の真っ最中でした。人が入り込まない、行きどまり寸前のところでやっているわけです。その行きどまりの道路に貴重な税金をかけて、どれだけ保全事業を行えばいいのか、予測もつかないような状況です。

道は、今後どの程度の保全が必要とお考えなのか、そしてまた、そのための保全計画と見通しについてはどうお考えなのか、伺いたいと思います。

私は、今回の調査を通じて、保全をどこまでやるかという見きわめが必要だと感じました。必要最小限の保全にとどめて、閉鎖することも選択肢にすべきではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。

○池田隆一委員長

森林計画担当局長森田良二君。

○森田森林計画担当局長

保全計画などについてでありますが、道では、緑資源幹線林道として整備された林道の保全対策を進めるため、道有林内に所在する平取・えりも線におきまして、道及び森林農地整備センターと関係市町村が現地に集まって、どのような工法を採用するかといった具体的な保全対策や、部分的に林道を閉鎖し、森林に復元させることなどについて検討を進めてきたところでございます。

道といたしましては、今後、国有林を主な利用区域とする他の路線、区間においても、森林農地整備センターとともに、地元市町村、及び国有林を管理する北海道森林管理局と合同で、今後の森林の整備や管理への活用等の必要性を現地において十分に検討するなどして、適切な保全対策の実施につなげてまいる考えであります。

○真下紀子委員

大規模林道事業はむだな事業だとして、中止を求めてきました。中止した後も、こうして税金がかかるわけですよね。納税者の一人として、私は全く納得がいかないわけです。

それだけではなくて、遠軽町のところでは、遠軽町の水道の取水口から50メートルも離れていない道路に、10メートル以上にわたって、ひび割れが生じているのです。

それで、コンクリートでつくった擁壁が20センチメートルほど川側にずれているのです。写真が私のホームページに載っていますので、ごらんいただけるかと思いますけれども、それを見た建設部の幹部の方から、ずさんな工事ではないかという声も出ておりました。道路が崩壊して、取水できなくなるのではないかといった不安が遠軽町では広がっております。

工事をしたのは確かに緑資源機構で、舗装をもって完成として、維持管理を遠軽町に移管しているわけですけれども、果たして、このひび割れを遠軽町が改修しなければならないのでしょうか。私は非常に疑問なのですけれども、道はどうお考えでしょうか。

○森田森林計画担当局長

林道の改修についてでありますが、白滝―丸瀬布区間において路面にひび割れが生じている箇所は、町が既に移管を受けていることから、原則として、林道の管理者である町が改修を行う必要がございますが、道としては、この箇所が、700人余りの方々が利用する上水道の取水口に近接し、地域の住民の方々の生活に直接かかわることなどを踏まえまして、森林農地整備センターの協力を得ながら、早急に改修が行われるよう、町と連携して、具体的な保全対策について検討してまいる考えでございます。

○真下紀子委員

移管したから、こうした工事を町に任せるというのじゃなくて、やっぱり国に責任があるわけですから、ここのところはしっかりと言っていただきたいと思います。

私は、現地を見ているうちに、8月の天人峡の道路崩壊を思い起こしたのですけれども、今般の大雨被害をもたらしたような豪雨が、もしあの沢にあった場合、被害が出て、多分、あそこは崩れてしまうでしょう。そうなったとき、一体どこが責任を持つのかということが問われるわけです。

維持管理費を含めて、災害時の対応など、とても、移管された町村が負担できるような規模ではないと考えます。こうした事業を進めてきた国が、しっかり責任を持って管理すべきと考えますが、市町村からはどのような要望があるのか、伺っておきたいと思います。

○鈴木幹線林道担当課長

市町村からの要望についてでございますが、緑資源幹線林道の工事が取りやめとなりました市町村のうち、滝上町、遠軽町、新ひだか町、釧路市からは、受益者が国有林でありますことから、未移管の区間は国が移管を受けて維持管理を行うこと、さらに、滝上町、遠軽町からは、既に移管を受けている区間につきましても、国に維持管理を行ってもらいたいといった要望が寄せられているところでございます。

○真下紀子委員

この大規模林道事業は、国と道が進めてきたと思うのですけれども、中止になったから、こうして、町のほうでも本音のところで意見が出てきたと思うのです。

それで、移管されていないところは、国がそのまま維持管理を行うということ、そのためには舗装もしないでほしいという声も出ていましたけれども、既に移管を受けている区間についても、国に維持管理を行ってもらいたいと。

こういう要望が出てくるのは当然だなと思ったのは、滝雄・厚和線のほとんどが国有林内なのですよね。国有林の森林整備に使う国有林内の道路を、なぜ町が維持管理しなければならないのか、これは説明できないと私は思います。

遠軽町の幹部の方とお話をいたしまして、御要望を伺ってまいりましたけれども、国有林の中にある国有林を管理する既設道は、町への移管ではなく、国で管理をしてほしいという要望を受けました。全くそのとおりだと考えます。

また、移管されていない部分については、舗装せずに、町に移管しないでいただきたいという御要望も受けてまいりました。

遠軽町を初め、移管された各自治体とも話し合いを持って、要望をよく聞いて、今後の道路管理のあり方を検討する必要がある、そういう時期に来ていると思います。連絡協議会などを設置して、ここのところは道がしっかりと調整役を務めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○池田隆一委員長

水産林務部長野呂田隆史君。

○野呂田水産林務部長

今後の道路管理のあり方などについてでありますが、緑資源幹線林道のうち、工事が中止となった区間につきましては、その多くが国有林に所在し、主に国有林関係者が利用するものと見ており、こうした林道の維持管理に当たりましては、国に一定の役割を担っていただくことも必要と考えているところでございます。

このため、道といたしましては、市町村からの要望を踏まえ、国有林に所在し、今後、市町村への移管が予定されている区間につきましては、関係市町村と連携し、国への移管を働きかけていくとともに、既に市町村に移管されている区間につきましても、費用負担の方法といった維持管理のあり方につきまして、地元市町村が北海道森林管理局と円滑に協議を行うことができるよう、道として調整を進め、緑資源幹線林道が適切に維持管理されるよう努めてまいる考えでございます。

以上でございます。

○真下紀子委員

こうした事業に、森林整備の貴重な予算が使われてきたということは、何とも言いがたい思いがありますが、1年かけて皆さんが検討して、全国で初めて、この大規模林道事業を中止したわけですから、今の部長のような答弁もできるのだと思うのです。

しかしながら、やはり、国と一緒にこの事業を推進してきた北海道の責任は非常に重いと思います。森林保全・活用の本来あるべき姿にいま一度立ち返って、考え直すときではないでしょうか。

森林環境にも、そして財政的にも大きな傷となった大規模林道のその後を、これからも私も検証してまいりたいと思いますので、安全に、必要最低限の予算で保全を行い、市町村の要望をしっかり聞いていただくように申し上げまして、質問を終わります。


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[日本共産党道議団編集]

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