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道議会での取り組み
2010年第3回定例道議会

【真下紀子道議の2010年第3回定例会補正予算案質疑】 10.09.14

2010年9月14日 2010年第3回定例道議会

質問者 日本共産党 真下紀子 議員

○30番真下紀子君

(登壇・拍手) 私は日本共産党道議団を代表して、先ほど提案のありました、議案第1号について、知事に質問いたします。

質問に先立ち、8月23日から24日にかけての豪雨によって亡くなられたお二人と、ご家族の方々に、お悔やみを申し上げます。被災された方々に、心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧を願いながら、以下、質問に入ります。

8月上旬分までの災害復旧費として、総額39億2500万円の補正予算案が提案をされています。今回の補正予算案には計上されていませんが、8月23日から24日の天人峡旭岳温泉に向かう道道の被害について、私は、翌日、25日に現地調査を行いまして、26日に、道に対して被害対策を求める緊急の申し入れを行いました。直接の質問は今後にいたしますが、それらも参考に、以下、伺ってまいります。

災害時の連絡体制、情報の共有について

8月上旬までの災害対応で、たとえば、7月28日から30日の大雨では、気象警報が発令されて、国道で7路線、13区間、道道では42路線、47区間が通行止となり、道路パトロールも行われたと、承知をしております。

こうした大雨が発生した際、どのような連絡体制により、対応されているのか、まず、伺います。

特に、林地の法面崩壊、地すべりなどによる被害情報の共有、国、道、市町村道など、管理者相互の情報の共有、ライフライン保全管理者同士の連絡などは、大変重要なことと考えますが、そうした情報の共有体制はどのようになっているのか、また、改善すべき点については、どのようにお考えか、伺います。

大規模災害によって孤立地域が生じた場合の連絡通信体制の強化など、ライフラインの確保、強化を求める声があると承知をしております。私は、調査と改善が必要と考えますが、いかがでしょうか。

災害時の初動体制について

次に、災害時の初動体制についてですが、組織として住民の安全を守る体制が必要なことは言うまでもありません。一方で、大雨被害は気象情報で予測しやすいはずであったのが、昨今のゲリラ豪雨など、予測しがたい事態が頻発する状況となっております。こうした事態に適切に対応していくためには、一部に過剰な負担を強いることにならないよう、より一層の組織的対応によって持続的な体制を確保することが肝要と考えますが、知事のお考えを伺います。

大規模土砂災害対策について

今年は、気象警報の発令が例年に比べて特に多く、局地的な豪雨による災害危険度が高まっています。独立行政法人・土木研究所の火山・土石流チームは、地すべりを二つのタイプに大別し、急斜面の深さ2メートルから3メートルの浅い部分で発生する表層崩壊と、比較的緩やかな斜面でも下部の風化した岩盤まで同時に崩れる深層崩壊があると指摘をしています。深層崩壊は、雨がやんでから発生することや、地震による誘発、融雪時の発生など、その崩壊のメカニズムも指摘されています。

国土交通省が発表した深層崩壊に関する全国マップによれば、道内にも発生頻度が特に高い地域が示されており、また、土木研究所によりますと、日本で起きた深層崩壊は、1990年代に19例だったのが、2000年代は、24例、北海道においても過去にその発生が指摘されています。道としても、大規模な土砂災害による被害を最小限に食い止めるような対策を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

また、避難体制については、単なる周知にとどまらず、具体的な見直しも必要と考えますが、あわせてお答え願います。

林道被害について

道有林の林道においても大きな被害が出ています。森林資源の保全管理は今後、一層重要性を増すと考えますが、復旧の見込みと、今年の施業への影響については、どのようにお考えか、伺います。

被災農家への支援について

次に、被災農家への支援についてです。

農地及び農業用施設などの農業被害に対する復旧事業も提案されていますが、昨年の不作による減収に加えての被害だけに、被災農家にとっては大きなダメージとなっています。農地復旧の自己負担軽減策を講じるとともに、農業共済の早期支払いへの働きかけ、農林漁業セーフティネット資金の借り入れ条件の緩和や、利子補給の実施、償還猶予、さらには地方税や各種保険料などの減額・免除措置の周知、徹底など、被災農家を支援する対策が必要と考えますが、いかがでしょうか。

中小零細業者の受注機会の確保について

最後に、中小零細業者の受注機会の確保などについてです。

本道の建設業、とりわけ、中小零細の建設土木業者の経営状況が厳しい中、災害時に連携を図る企業を確保していく観点からも、災害復旧事業や、道費単独事業の発注に際しては、特に、中小の、C、Dクラスへの発注機会を高める必要があると考えます。道として2割以上アップするなどの具体的な目標を持って取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。

また、季節労働者などの就労機会確保にも、最大限、取り組むべきと考えます。今回の補正で、何人工の雇用機会の確保をはかるお考えか、あわせて見解を伺います。

天人峡、旭岳温泉線などの豪雨被害については、定例会の中で取り上げてまいります。

以上で私の質問を終わります。


知事答弁

○知事高橋はるみ君

(登壇) 真下議員のご質問にお答えをいたします。

最初に、災害復旧事業に関し、まず、防災情報の共有などについてでありますが、大雨などによる防災情報については、あらかじめ、国、道、市町村など、関係機関相互の連絡網を定めており、災害時にはインターネットや電話、ファックス送信などにより情報の共有を図っているところであります。このような取り組みについては、平成15年8月の台風第10号の教訓から、北海道開発局、札幌管区気象台及び北海道を構成員とする地域防災情報共有推進会議を設置した上で進めてきたところであり、今後、一層改善点を整理しながら、情報共有が図られるよう努めてまいります。

次に、孤立地域についてでありますが、道では、平成21年度に、災害時に孤立のおそれがある地域の調査を実施をし、避難施設や、水、食糧などの備蓄、通信設備などの把握に努めたところであります。

孤立地域における道路、通信体制の確保を図るため、市町村に対して、防災行政無線等の整備について、指導しているところであり、また、平成21年度には、孤立地域の避難所に、発電機、簡易ベッドなどの資機材を配備をし、避難時の生活環境の改善を図ったところであります。今後とも市町村と協議をしながら孤立地域の実態把握に努めるとともに、応急対策については、万全な対応がとられるよう、関係機関と調整をしてまいりたいと考えております。

次に、初動体制についてでありますが、道の防災体制については、北海道地域防災計画に基づき、災害対策要綱等で道職員の動員配備を定め、非常配備体制を整えているところであります。近年、短時間で局地的に大雨に見舞われる、いわゆるゲリラ豪雨による災害が、全国的に頻発しておりますことから、各路線のパトロールや、通行規制の基準も含め、防災体制の見直しを行ってまいる考えであります。

次に、大規模土砂災害対策についてでありますが、深層崩壊は斜面崩壊のうち、滑り面が深いところで発生する大規模土砂災害であり、本年8月に、国土交通省などが深層崩壊に関する全国マップを公表をいたしたところであります。

本道における、発生頻度が特に高いと推定される地域は、日高山脈など、全道面積の4%となっているところでありますが、各地域の危険度を示す精度のものではないとしているところであります。また、深層崩壊は、学術的にも未解明な部分が多く、今後、調査研究や可能な対策の検討を進めると聞いているところであり、道といたしましては、その推移などを見守りながら、避難体制について検討してまいる考えであります。

次に、林道の被害についてでありますが、道有林では、このたびの7月と8月の大雨により、渡島や上川管内を中心に、10市町村において26路線の林道が路面の流失などの被害を受け、現在も6市町村で9路線の林道が通行止となっているところであります。このため、総合振興局などでは、応急処置や復旧工事に向けた災害査定の対応など、早期発注への作業を鋭意進めているところでありますが、一部の路線の復旧は来年度以降になる見込みであります。

通行止の林道周辺では、今後、115ヘクタールの間伐や、野ねずみの被害対策などを予定していたところであり、道といたしましては、速やかな復旧を図るよう、全力で取り組んでいく考えであります。

次に、農業被害への対応についてでありますが、7月から8月にかけての局地的な豪雨等により、一部地域においては、水稲や畑作物などの農作物が、浸水、冠水したほか、農地や水路などの施設に被災があったところであります。このため、道といたしましては、今後の営農に支障が生じないよう、農業改良普及センターを通じた技術指導を行うとともに、被災した農地などについては、農家の意向を踏まえ、災害査定前の応急工事を実施するなど、弾力的な対応に努めてまいります。また、被害状況や、被災された地域の要望を踏まえつつ、農業共済金の早期支払いや、農林漁業セーフティネット資金の円滑な融通などについて、関係機関と協議してまいるほか、地方税や国民健康保険料の減免などについても、総合振興局、振興局を通じて必要な助言や働きかけを行ってまいりたいと考えております。

最後に、中小零細業者の受注機会の確保などについてでありますが、本道の建設業は、地域の経済や雇用を支え、さらに、災害時の対応など、地域の安全安心に寄与するといった、重要な役割を担っているところであります。このたびの補正予算案に係る工事の発注にあたっては、地元中小建設企業の受注機会の確保を図るとともに、予算の効果的な執行を通じ、季節労働者の方々の就労を初め、お一人でも多くの方々の雇用機会の維持や確保に努めてまいりたい。このように考えているところであります。

以上でございます。


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[日本共産党道議団編集]

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