’10年第3回定例道議会を終えて/真下紀子幹事長 |
10.11.11 |
9月14日から10月8日まで第3回定例道議会が行なわれました。今回は、真下紀子議員の論戦を紹介します。
第3回定例会は、豪雨災害によって4人の死傷者を出した8月の天人峡・旭岳温泉線の豪雨災害調査(写真)から始まり、一刻も早い復旧と復旧予算の確保、被害の原因調査と検証による新たな基準・計画などにとりくむことを緊急に申し入れました。その後、初動体制の不備などが次々と明らかになり、道は災害時対応を複数で行うことなど、新たな対応策を講じることとなりました。
知事総括質疑でダム問題をとりあげ、「建設ありき」で臨む知事の姿勢を浮き彫りにしました、道内では本体未着工のサンル・平取ダムなど国の4ダムと、道ダムの厚幌ダムが見直しの対象です、国が示した有識者会議の「中間とりまとめ」は、事業主体による検討の場の設置、複数の治水対策案の検討、7つの評価軸による検討と地域の意見の反映が提言されました。
5ダム建設による道負担はこれまでに270億円、今後7年間でさらに250億円が見込まれることを初めて明らかにしました。事業費総額は3036億円にものぼりますが、その基本的な数字を知事は把握せずに「選択と集中によってダム建設予算を確保」すると答えました。検討開始前から「道のダムは必要」と記者会見で発言するなど公正さに欠ける姿勢です。
私は「河川事業は転換点に立っている。緊急な安全確保のため堤防や河床掘削などのダムによらない対案に耳を傾け、自然の生態系が保全され、財政を守るよう提言」しました。
「北海道のダム事業を検証する全国集会」が10月3日に開催され、道議会でのとりくみを報告しました。
私は「道内のダム事業すべての費用対効果は中止が表明されている八ツ場ダムよりも低い」と報告,また、紙智子参議の質問主意言を元に、「サンルダムの魚道専門家会議委員8人のうち6人が開発から事業を受注した利害関係者であり、流域委員のうち二人も研究費を受けている」と道議会質問を報告すると、「オーッ」と会場から声が上がりました。北海道自然保護協会の佐々木副会長から「11月に知事と会うことになった。道議会でのとりくみの成果」と紹介されました。
「川は誰のものか」と知事に直接質問したところ、答弁に窮して予算特別委員会が中断。私は生物多様性を学ぶ中で「川は誰のものでもなく、地球上のすべての生物の財産」と考えるに至っています。
全国で初めて中止に追い込んだ大規模林道の現地調査に基づく危険性を指摘し、維持管理に関する国と道の責任について予算委員会で質問しました。道水産林務部長は、維持管理に関する国の役割について初めて言及し、移管予定区間の国への移管の働きかけ、既移管区間の費用負担について道が調整をはかると答弁しました。
「今年だけで保全費用は8600万円、必要最低限の保全・閉鎖の見極めを」と膨大な税投入の見直しを求めました。
遠軽町では地元負担の多い事業中止に謝意が寄せられました。
道営競馬の継続について、現地の党議員などから実情を伺い「北海道は年間7200頭、全国の95%の軽種馬を生産する比類ない役割を果たしている。収支均衡を見通せる段階にきており、存続の決断を」と知事に迫り、「存続を決断する」との答弁を引き出しました。
そのほか、エゾシカ被害対策、サケの遡上を疎外する花園頭首工の撤去や旭川市への高等養護学校の設置、医療的ケアを必要とする障がい児の就学、道教委の事務事業集約化による混乱などについてとりあげ、常任委員会では国保の広域化問題を質問しました。
現地の声は切実です。でも、ふたりの道議だけで対応できる課題はわずかです。来年の選挙で党道議を増やし、全道くまなく活動できる5人以上の議員団実現を切望してやみません。
(10年11月14日付「ほっかい新報」より)