日本共産党 北海道議員団ホームページ ホーム
談話

道民不在の党利党略と政争/3月道議会と政党状況は…

10.04.11

自民・民主、それぞれに

道民不在の党利党略と政争

3月道議会と政党状況は…

日本共産党道議団幹事長 真下 紀子

北見道路予定地で北見道路予定地で花岡道議(左)と

昨年の政権交代後初の道議会予算議会は、政策議論よりも参議院選挙前の政争の様相でした。

北教組から違法な選挙資金提供を受け幹部の逮捕に至った小林千代美衆院議員陣営の政治資金規正法違反などに関連し、自民党は北教組批判だけでなく、教職員の政治活動の自由の制限に踏み込み、国旗・国歌の強制を押し付ける質問を繰り返しました。

道教委は国旗・国歌の実施実態を「職員を派遣して調査を行う」「地域や保護者から情報提供を受けるシステムをつくる」と次々答弁。高橋知事も高等看護学院など道の出先機関で「国歌斉唱を行う」と答える異常さでした。

一方、民主党は代表質問で民主党マニフェストを踏み絵にして政権交代後の道政運営を揺さぶるものの、党首・幹事長を含む政治とカネの問題では自ら解明もせず、自浄能力のなさを露呈しました。予算組み替え動議を提出し、予算案には反対しましたが、他の議案にはすべて賛成しました。

◇◇

企業団体献金禁止「一票差」で可決

自民党過半数ギリギリ
※議長のぞく、欠員6
会派名議員数
自民党49※
民主党39
公明党5
フロンティア4
共産党2
99

前代未聞の45本の決議案と意見案が提案され、各派の政策審議連絡協議会で調整した結果、最終日に決議4本と意見書20本を採択しました。

これまで自公が反対し、否決され続けた「企業団体献金禁止を求める」意見案は、「高校無償化」とともに共産・民主・公明・フロンティアなどが賛成、自民党だけが反対しましたが、1票差で可決させ、議場に拍手がわきました。単独可決が不可能となった自民党は、政権交代による自公の足並みの乱れで意見案を取り下げる事態も生まれました。

政治資金規正法違反で逮捕者を出した石川知裕議員と小林千代美議員の「辞職を求める」決議案、「鳩山首相と民主党の小沢幹事長の疑惑解明と説明責任を求める」決議案は民主党以外の賛成で可決。

教職員の政治活動を制限し市民的自由の制限につながる決議案と、北教組の事件に関連して「教育公務員特例法の早期改正」や「教育再生・教育の正常化」「職員団体の政治活動に関する法整備を求める」など、罰則強化や教職員の政治活動の規制などを盛り込んだ意見案は、共産・民主・フは反対しましたが、自公の賛成で可決しました。

民主提案通らず

民主党道民連合は、「日米間の外交に関わる密約問題の徹底解明等を求める」とする意見案を提案しました。

私は反対討論で、①核密約が公式の合意文書であることを認めず密約廃棄を前提としていないこと、②岡田外務大臣が、将来の政権がアメリカから核持ち込みを提起されたら「核持ち込みはありうる」と答弁するなど、非核三原則を守る保証が問われていると指摘し、党道議団は徹底解明に値しないとして、意見案に反対しました。

3.28道民集会で旭川代表団と3.28道民集会で旭川代表団と

また、「医療提供体制の拡充に関する」意見案は、新政権が検討中の後期高齢者医療制度に替わる新制度が、①年齢で差別する医療制度の骨格を変えていない、②65歳以上に広げる、③国民の声に逆行する制度設計になっていることを厳しく指摘し、反対しました。

国の福祉や教育に関する責任放棄につながる「地域主権・地方財政」意見案は、いずれも反対理由は異なるものの、自・公も反対し、否決されました。CO225%削減がもりこまれた「地球温暖化防止」意見案に共産党は賛成しましたが、自・公の反対で否決。

政権与党となった民主党は、マニフェストに沿った提案をしましたが、ことごとく否決。また、マニフェストや政権の意図に反する文言が入っているとして、他会派提出の意見案にことごとく反対、恐怖政治地方版とも言える状況があらわになり、他会派からも驚きの声が上がりました。

調査に基づく党道議団提案―全会一致可決

共産党道議団は、調査活動などで道民要望を意見案にまとめ、他会派の賛同を得て提案。

「学校耐震化促進」「医療的ケアの必要な子どもの就学に係る地方自治体への支援」「介護福祉士等修学資金貸付制度の拡充」ほか、民主提案の「雇用対策の拡充」に季節労働者を雇用保険法の対象とすることを盛り込みました。はたやま候補が地方議員と先進的にとりくんだ地域職業訓練センター問題、いずれも全会一致で可決されました。

参院選挙を前に、道民要求をどの政党が実現するのか、厳しく問われる中、議案提案権がない党道議団は他会派の賛同をえて、意見案を提案。最多の6件可決です。

道民の願いにこたえて奮闘する共産党

くらし優先予算に転換を

こうした中、真下紀子は13分の一般質問で、高橋道政と前知事時代を比較し、保健福祉予算が80億円以上も減額され、道営住宅建設費は4割も削減されたことを明らかにしました。しかし、323億円をかけ10.3キロメートルに8本の橋と5本のトンネルで北見丘陵を貫く北見道路は見直しされません。道議団は現地調査を元に救急指定病院への搬送が10分も遅れると指摘。渋滞もないのに強行するムダと、自然破壊の問題点を明らかにし、大型公共事業依存型から道民生活支援の財政構造に転換するよう求めました。

学校給食に地場の魚を!

北るもい漁協天塩支所のとりくみに学び、学校給食に魚を活用する政策提言を行いました。

高橋教一教育長は「『北海道食育推進計画』で定める平成25年度までに購入率75%という目標には道産水産物の使用割合を高めることは重要」「仮称『学校給食における地場産物活用促進検討会』を設置する」と答え、地場の魚が給食メニューに取り入れられる見通しとなりました。

重度障害児の療育体制整備を

道内の重度障害児は在宅で836人、施設に1289人、施設の空床は15床しかありません。退院後の行き先が確保できずNICU(新生児集中治療管理室)の長期入院につながっている「ポストNICU」の課題として、重度心身障害児・者の療育体制整備を求め、職員配置の制度改正と、先進例に学んだ小児・重症障害児ケアの研修事業を提案ました。知事は早期の制度改正を他県とも連携して要請するとともに、研修のあり方を研究していくと答えました。

知事が核廃絶署名

NPT代表団の高橋知事との面談でNPT代表団の高橋知事との面談で

3月24日、高橋はるみ知事は、5月にニューヨークで開催される「核不拡散条約(NPT)再検討会議」に提出する核廃絶署名に記名し、代表団に託しました。

席上、知事は「子どもたちと訪ねた原爆資料館で一つ一つの展示に涙が出て、子ども達から『お母さんはそんなに泣く人だったの』と言われました」とエピソードを紹介しながら、核兵器廃絶への思いを話し、代表団を激励しました。

花岡ユリ子議員が代表団の一員として、知事署名実現に尽力しました。

教育公務員の人権  踏み込む権限ない

私は国旗・国歌の問題で立命館大学の市川正人氏が「道教委の調査は憲法に抵触する」と指摘したことを紹介しながら「09年度調査で国旗掲揚・国歌斉唱の実施率は100%。いったいこれ以上何を調査するのか」と、道教委の姿勢をただしました。

高橋教一教育長は「学習指導要領に基づく教育課程の実施を調査し把握することは問題ない」と答弁しました。

しかし、私はこの答弁に納得せず「新学習指導要領のどこを見ても国旗国歌の尊重のために起立しなければならないとか、大きな声で歌わなければならないなど、一切記載されていない。まして調査など求められていない」「表現は個人個人で違い、そこに踏み込むことは憲法に抵触する。道教委の調査・通報は、憲法上問題がある」と厳しく指摘しました。

その上で「あってはならない特定政党支持の押し付けを背景とする北教組の政治資金規正法違反と混同させて、憲法が保障する基本的人権、思想・良心の自由に踏み込む権限は道教委に付与されていない」と力強くのべ、道教委の姿勢を批判しました。

また、全員調査から抽出調査に変更された学力テストに関して、市町村が全員調査できるよう道教委は約1億円の予算をつけました。「1億円もかける予算があるなら、少人数学級などの教育環境整備にこそ使うべきだ」とのべ、競争と序列化を生む全員調査の見直しを求めました。

(10年04月11日付「ほっかい新報」より)

ページトップへ