高齢化社会の進展とともに拡大している「介護労働者の待遇改善は急務」です。国政ではこの間、処遇改善交付金の創設、介護報酬引き上げなど、一定の要求が実現してきましたが、交付金は2年半の時限立法であることや、介護報酬改定は厚労省の言う3%増に満たない事業所が全体の約7割を占め、利用者の負担増も招く一方で、依然として正規職員の6割以上が年収350万円以下、非正規職員の約6割が年収250万円以下にとどまるなど様々な課題があります。いま介護の充実のために、安定した雇用の実現、介護労働者の待遇改善が、国政・道政を問わず求められています。
高橋道政は、介護職員の待遇改善に消極的な姿勢が目立ちます。道は独自の対策はほとんどなく、処遇改善交付金の延長や対象職種拡大を国に対して要望したり、周知徹底を努力はしますが、関係団体が福祉俸給表を基本にした賃金や道補助による賃金増を求めても、これらには一切答えません。
この間介護の市場化の進行により、介護職場での非正規率は6割を超えるまでになりました。原因の一つは、正規職員の労働時間分を細切れに非正規であててよいとする「常勤換算方式」ですが、見直し・改善を求める関係団体に対し、道は、「常勤職員の配置を妨げるものではない」「加算もできる」として、この要望を否定しています。
また平成17年度から道単独事業で実施してきた産休代替制度の復活に対しても、介護保険によって「代替職員については事業者自らの運営努力により確保すべきもの」、「道として新たな措置は講じない」と要望に応えません。
来春通常国会で審議が始まる菅民主党政権による「介護包括ケア」構想は、介護サービスの切り下げが基本になっており、特別養護老人ホーム待機者問題では「お泊まりデイ」や24時間巡回訪問介護など居宅介護に置き換えようとしています。
「住民のくらしの防波堤」として道は、不足している特別養護老人ホームの抜本充実に向けて足をふみ出すべき時ですが、関係団体が要望している職員配置基準改善の国への申し入れや、道独自の予算措置について、道は行う意志を示しません。
埼玉県ではH20年から地域密着型特別養護老人ホーム整備のため県独自の補助制度を作り、1床当たり100万円(29床まで)直接事業者に補助しています。
長野県ではH14年以降、国庫補助対象にならない小規模ケア施設への補助制度(県負担1/2)を実施。千葉県は民間老人福祉施設を対象に、給与改善、勤務時間の短縮・業務の省力化等への県単独補助事業を実施してきました。
国の政策待ちにならず、「包括ケア」によるサービス切り下げを許すことなく、道民の暮らしを支えるための道独自の介護の取り組みが今こそ求められています。
(松井)
(10年12月12日付「ほっかい新報」より)
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