日銀札幌支店は、7月1日の金融経済概況で「道内景気は、厳しさを残しつつも、着実に持ち直している」と発表しました。しかし、この評価は、私たちが毎日接触する中小企業者の実感には程遠い状況です。業者と挨拶代わりに交わされる言葉は、「お客が来ない、仕事がない」「商売を始めてこんなことははじめて」などです。
景気は、一昨年の秋以降、日に日に厳しくなっています。日銀概況でも、「公共事業は減少している」とし、住宅投資は「持ち直している」としながらも建築着工件数は前年同月比では増えているが、いまだ一昨年の3分の2程度の水準です。
個人消費も、政府の大企業支援のエコポイント制度で家電や自動車の販売は好調でも、地場の消費は盛り上がらず、大型小売店やコンビ二の売上高は、前年同月比割れが続いています。
日銀の景況判断の全体評価を支配しているのは、輸出の回復によって一部製造業の生産が増加していることによる「持ち直し」であり、地場の大半の中小企業の経営は、これまで以上に厳しさをましています。
中小企業経営の困難は、雇用情勢に厳しく現われています。北海道の5月の有効求人倍率は0.35で最悪。札幌圏のこの春の高卒就職率は57.3%という異常事態で、北海道の若年層(15~24歳)の完全失業率は12.5%で全国一の高水準です。
こうした状況の中で、北海道政は何をしてきたのか?数次にわたる国の緊急雇用・経済対策のもとで、道独自の対策はほとんどなく、国の対策も、学校にパソコンとテレビ、電子黒板をそろえる。役所の公用車をエコカーにするなど、大企業製品の押し付けばかりでした。
この間、地域の中小建設業者は、仕事おこしと住民生活の向上を目指して、住宅リフォーム助成制度の創設や小規模修繕工事登録制度の拡充を求めて、自治体へ要望を重ねてきました。しかし道政は冷たい対応に終始しています。
北見市などいくつかの自治体で実現し、地域の仕事起こしと経済の活性化に大きな効果が生まれています。秋田県ではリフォーム助成を実施し好評を博しています。しかし、道政はこうした要望を一切取り上げません。それどころか、いまだ大企業の企業誘致政策に固助成予算を計上しています。
(北商連・三浦)
(10年07月25日付「ほっかい新報」より)
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