日本共産党 北海道議員団ホームページ ホーム
申し入れ

2009年度北海道予算編成、雇用確保等に関する要望書

09.01.28

2009年度北海道予算編成、雇用確保等に関する要望書

北海道知事

高橋 はるみ 様

2009年1月28日
日本共産党北海道委員会
委 員 長 西野 敏郭
日本共産党道国会議員団事務所
所 長 宮内  聡
日本共産党道議会議員団
団 長 花岡ユリ子

私ども日本共産党は、16日に山本副知事に対して171項目の道民の切実な要望を提出しました。そのなかで特に、道民の雇用不安と生活困窮の現状を踏まえた「二大不安と苦難を解消するための特別の支援の実施」を求めたところです。

景気悪化のもとで、深刻な雇用破壊、地域破壊が進むなか、日本経済の体質を外需頼みから内需主導に転換する必要があることは幅広い共通認識となっています。政府も国民の世論と運動に押されて、6千億円の地域対策交付金と4千億円の就労基金を提案しました。

これらのお金をどう効果的に活用するか、道路や河川といった従来型大型公共事業の偏重ではなく、道営住宅・道立学校の改修や福祉・教育の充実などに重点を置いたうえで、分離・分割発注によって地元中小企業を優先することが重要です。

アメリカ発の不況と大企業の身勝手な雇用破壊が道民生活を直撃しているもとで、北海道が道民の雇用と暮らしを守ることを基本に、安心してかかれる医療と介護などへの対応、地球温暖化防止と原子力に頼らないエネルギー政策への転換、基幹産業である農林水産業の振興、ゆきとどいた教育の実現などに全力を尽くすことが、強く求められています。

日本共産党は、来年度予算を真に道民本位のものとするため、以下の重点要望を提出いたします。

  1. 派遣切りなど雇用と失業の危機から、雇用を守るための緊急対策を

    ①「ふるさと雇用再生特別交付金」「緊急雇用創出交付金」(国の第2次補正)を活用して新規事業を早急に創出し、基金の創設にあたっては、道による上乗せ措置を講ずること。また、新たな地方交付税の「地域雇用創出推進費(道分96億円)」を活用して、有効な雇用拡大策を実施すること。

    ②道は国の交付金事業実施の前に、道独自の大規模な雇用対策補正予算を計上すること。「地域活性化・生活対策臨時交付金(道分206億円)」の大半を新たな雇用創出にも寄与する施策展開に振り向けること。今回雇用する臨時職員については、4月以降においても引き続き雇用できるよう取り組むこと。34億円の雇用対策予算を編成する鳥取県のように、農林水産業分野の雇用創出と担い手対策を行うこと。

    ③一方的な派遣切りなどに対して、経済団体や誘致企業に雇用の継続を要請すること。特に膨大な補助金を出したトヨタ、NDK、パナソニックなどの大企業に対しては、内部留保の活用による雇用確保を申し入れること。

    ④会社の寮を出ざるをえなくなった派遣社員、期間社員が少なからず生まれているもとで、市町村とともに、公営住宅や民家を失職者むけに提供すること。支庁ごとに総合相談窓口を設置すること。そのための改修・修繕を、事業化すること。国、札幌市などとともに、救護施設の就労支援事業、緊急一時入所事業を拡充すること。ホームレス一時宿泊施設、ホームレス自立支援施設の整備に早急に取り組むこと。

  2. 地球温暖化対策と原子力に頼らないエネルギー政策。道民の安全と豊かな環境を守る

    ①北電・泊原発3号機でのプルサーマル計画については、核燃料サイクルの未確立、実用規模の実証計画がなされていないなど安全性と技術が未確立である。専門家の間でも合意がない(第5回有識者会議)ことから、計画の撤回を求めること。少なくとも最終判断にあたっては、「経済性」「必要性」について、十分な議論と情報公開をおこない、地元4町村と道民が賛否を表明する機会を保障すること(住民投票・アンケートなど)。

  3. 地方自治体の原点である住民福祉の増進を最優先に、安心してかかれる医療と介護・福祉・社会保障を

    ①介護分野の人材確保に本格的に取り組むこと。国に対して抜本的な報酬改定を求めること。基金活用により介護保険料を引き下げ、高齢者、利用者の負担増にならないよう、国庫からの支出を拡大すること。

    ②「障害者自立支援法」について、国に「応益負担」の撤廃を求め、国と道の責任で施設・事業所への報酬単価引き上げをおこなうこと。障害者福祉の分野での人材確保のために、賃金・雇用条件が改善されるようにすること。地域活動支援センター事業への道補助金の削減計画を撤回し、地域生活支援事業の財政保障をおこなうこと。

    ③地域の産科医療体制の確保を図るため、産科医療機関の運営を支援するとともに、産科医師の負担軽減を図るための助産師外来の開設を促進すること。2次医療圏すべてに周産期医療センターを整備するとともに、ハイリスクな新生児に対応するNICUの整備充実を図ること。円滑な救急搬送体制を図るため、周産期搬送コーディネーターを配置すること。

  4. 道民本位、市町村の自律を支援する道政をすすめる

    ①「財政建て直し」を理由とした道民・道職員への犠牲転化はせず、不要・不急の公共事業や大企業への補助金など「聖域」にメスを入れること。また、道内3つの大規模林道を道が引き継ぐことはせず、630億円の残事業(節減しても362億円)は、全面中止すること。

    ②天下り防止のための職員倫理の確立、再就職要綱の見直しを早急におこなうこと。コンサルタント会社や子会社などを経れば指名業者に「再々就職」できる現行の要綱を改め、関連会社を含めて道幹部の天下りを禁止すること。道が許認可権限をもつ社会福祉法人や団体への天下りは、発注三部の場合と同様の制限を設けること。また、「渡り」は一切禁止すること。

    ③市町村合併は、あくまでも地元住民の判断によること。「特例中核市」「定住自立圏構想」を“テコ”にした合併推進はおこなわないこと。1自治体あたり9千万円もの“合併補助金”は廃止すること。連合自治など、多様な自治を育てること。町村会などが反対している支庁再編計画を全面凍結すること。各教育局や農業改良普及センター、保健所支所などの統廃合はしないこと。

  5. ゆきとどいた教育を実現し、学術・文化の発展をめざすこと

    ①競争教育と格差を激しくする全国いっせい学力テストの公開(大阪府、秋田県)は、絶対におこなわないこと。市町村教育委員会に対しても厳格に指導すること。国に対して、同テストを中止し、その予算を教員増や学校施設の充実に使うよう求めること。

    ②私学経費の5割を目途に公費でまかなうこと。道費上乗せ措置の削減計画をやめ、予算の単価と総額を増やすこと。私学教職員の低賃金と劣悪な雇用条件(長く非正規のままで正採用されない、有給休暇が取得できないなど)を改善すること。

以 上