事故のPCB処理施設/紙参院議員ら調査 | 09.11.02 |
日本共産党の紙智子参院議員ら調査団は2日、10月の点検中に作業員が洗浄油被浴事故を起こした室蘭市内のPCB(ポリ塩化ビフェニール)処理施設、日本環境安全事業(JESCO)を訪ね、施設の安全対策について聞き取り調査をしました。宮内聡国会議員団道事務所長、花岡ユリ子道議、田村農夫成室蘭市議らが同行しました。
現在、PCBの製造・輸入は原則的に禁止され、事業者の保管するPCBの廃棄処理が決められています。
不燃性、電気絶縁性が高いなど、化学的にも安定な性質を有することから、トランス、コンデンサーなど電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙などに利用されました。
PCBは脂肪に溶けやすく、慢性的な摂取により体内に蓄積され、さまざまな症状が起きました。カネミ油症事件(1968年)では、熱媒体として使われたPCBが製造過程で米ぬか食用油に混入し、それを食べた人に皮膚障害、肝機能障害などの油症を発症し、その毒性が注目されました。
PCB廃棄物は、1974年に製造や新たな使用が禁止されて以来、約30年以上の長期保管が余儀なくされてきましたが、2001年に「ポリ塩化ビフェニール廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」が制定され、PCB廃棄物の保管事業者は16年までに処理することが義務付けられました。08年5月に操業開始したJESCOは、北海道と東北、北関東、北陸、甲信越の15県内のPCB廃棄物の処理を行っています。
施設の見学を終えた調査団は、JESCO側から、公表されている操業開始時から起こった事故8件の報告を受け、懇談しました。
紙氏らは、10月の事故について、「洗浄油といっても安全とは限らない。濃度が低くてもPCBは含まれている」と指摘。作業員の皮膚に直接の接触はないとしながら翌日に、その作業員を病院に行かせたことに「不安があるのになぜ翌日なのか」とのべました。
JESCOは、道および市に対する通報や報告の義務がない機器等の異常なトラブルや、作業中、トラブルまで至らないが実際に発生した危険な事象を、「ヒヤリハッ卜」として事業所内で報告・整理しています。
紙氏は「安全に処理することが最優先であり、公表されていない事故などトラブルの記録を開示し、現場の問題点を明らかにするべきだ」と求めました。JESCO側は「(道や室蘭市、学識経験者などで構成する)道PCB廃棄物処理事業監視円卓会議で求められれば、提示することもある」と答えました。
(09年11月04日付「しんぶん赤旗」北海道のページより)
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