サンル、平取ダムの工事凍結/住民、共産党の運動で | 09.10.09 |
前原誠司国土交通大臣が9日の会見で、全国のダム事業見直しについて、本年度は新たな本体工事や用地買収などを中止することを明らかにし、道内では平取ダム(平取町)、サンルダム(下川町)の工事が凍結されることになりました。
前原大臣は、国直轄ダム事業の48ダムについて、今年度は工事の次の段階への移行を凍結すると表明。今年度に新段階への移行が計画されていた全国6ダム(道内は平取、サンルの2ダム)が凍結されます。残りのダムについては来年度以降、凍結を含め検討することになります。
平取ダムの凍結について、建設反対を訴えてきた「日高町平取ダム建設問題協議会」の松井和男代表は「住民の運動が実ってうれしいです。沙流川総合開発は二風谷ダムと平取ダムの2ダム1事業で、すでに完成している二風谷ダムによって下流は水質汚染やヘドロの流出で深刻な被害が出ています。今回はあくまで凍結であり中止が決まったわけではないので、たたかいはこれからです。有害なダムはこれ以上造らないでほしい」と話していました。
サンルダムの凍結について、「明るい方向に進み始めました。紙智子参院議員(日本共産党)の継続的な援助が大きな力になりました」と話すのは下川町の住民団体である「サンルダム建設を考える集い」の渋谷静男代表です。
「私たちは堤防の整備や排水機場の建設で、地元の実情に合った治水対策をすべきだと訴えてきた」という渋谷氏は「治水にも利水にも役立たないサンルダムの建設を推進してきたことを国は反省してほしい」と語りました。
道内の凍結対象となるダムは、平取、サンル、留萌(留萌市)、夕張シューパロ(夕張市)、新桂沢(三笠市)、三笠ぽんべつ(同)の6ダムで、本体工事中の留萌、夕張シューパロは事業が継続されます。
日本共産党の真下紀子道議は、8日の道議会予特委知事総括質疑で、凍結の対象となる6ダムと道事業の4ダムの費用対効果が、1.1から2.5と中止を決定した八ツ場ダム(群馬県)の3.4を下回ることを明らかにし、ダム建設の中止を含む見直しを求めました。
高橋はるみ知事は「現時点では国から事業の見直しについての情報提供や指示はうけていない」として、「今後、国の動向を注視しながら適切に対処したい」と答えていました。
高橋知事は9日、道が事業主体の当別ダムなど4ダムについて、「節目で事業内容などをチェックし判断してきた」とのべ、事業を継続する考えを示し、国直轄ダムヘの対応として、「地元の意見を尊重して」国に訴えるとしています。
平取、サンルダムの今年度凍結を歓迎します。しかし、道が事業主体の当別ダムなど補助ダムも、同様に凍結すべきなのに、知事に判断をまかせたのは納得できません。
道開発局は、住民や自然保護団体の意見は聞かなくていいとして工事をすすめてきましたが、このような姿勢が、開発局不要論の根拠となっていることを反省すべきです。
凍結を受けて、道開発局や高橋知事は、50年後、100年後に向けて、人に恵みをもたらす川をどのように後世に残すかという視点で考えるべきです。
そのために、官僚主導ではない、住民に開かれた委員会など、真摯(しんし)に論議できる場を早急につくるべきです。
(09年10月11日付「しんぶん赤旗」北海道のページより)
〒060-0002 札幌市中央区北2条西6丁目
TEL011-231-4111(内線33-181)FAX011-232-4763