新聞の使用に文句/教育介入批判高まる | 09.10.06 |
社説を使った公民授業を「不適切」とし、自民党道議から指摘を受けた道教委が全道立高に対し調査した問題が波紋を呼んでいます。10月6日の道議会予算特別委員会で真下紀子道議がこの問題を取り上げました。
真下氏は、自民党道議のブログを紹介しながら、政治家からの異例な介入であったことを指摘し、「不適切」と判断した具体的説明を求め、教育の主体である学校での解決を選択しなかった理由をただしました。これに対し、道教委は「政党の政策を論じた社説の使用であり、選挙期間中であり指導上の工夫や配慮がなく、教育の中立性を確保するための慎重さを欠いた」との説明を繰り返すだけで答弁不能に陥りました。
池田委員長から「質問に答えていません。同じ答弁を繰り返しているだけでしょう」と注意を受けました。
道教委は、教育基本法を根拠に授業内容を不適切と判断した具体的説明ができないばかりか、自民道議からの指摘を受け、学校における解決の方法を排除したうえで「不適切」と断じた経過が明らかとなりました。
帯広市内の道立高校で公民の授業の教材として総選挙公示日の8月18日付「北海道新聞」の社説が使われたことで、自民道議からの指摘を受けた道教委が「特定の政党の政策について偏った認識を生徒に持たせかねない不適切な指導が行われた」と9月7日に通知し、翌8日までの回答を求める異例の全道調査を行いました。道教委による教育内容への不当な介入だと厳しい批判の声が広がっています。
真下氏は「学校現場の解決の選択を放棄し自由裁量に踏み込んでいる。現場の教員に及ばす委縮効果は計り知れない。教育委員会は教員に対する不当な支配から保護すべき職務上の義務がある。職責を放棄していると言わざるを得ない」と述べ、道教委の対応が慎重さを欠き拙速だったと厳しく批判。そのうえで、教育基本法が国家や行政が教育内容に不当に介入することを厳しく抑制した教育基本法の初心を橋場昇教育委員長に質問。
橋場氏は「戦後間もないわが国が、民主的で平和な国家を再建するために根幹を担うものは教育であるとの認識のもとで生まれ、戦後の教育を発展させてきた原動力となった。改正によっても理念はしっかりと受け継がれている。中立性、不偏不党性の確保は法律の定めるところで行われるべき」だと述べ、道教委をたしなめるような答弁を行いました。
自民党道議の指摘を受けた道教委は、通知を出した9月7日、同議員に授業内容の調査結果を報告したことも明らかにしました。
9月30日の道議会一般質問で花岡ユリ子党道議は、「議員から指摘を受けて道教委が現場の教育に介入すべきではない」という姉崎洋一北大大学院教授の発言を紹介し、「憲法と教育基本法にもとづく豊かな教育と学校づくりに勇気を持ってとりくむよう」求めました。
(09年10月21日付「しんぶん赤旗」北海道のページより)
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