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道議団の動き
美利河ダムバイパス式魚道/党道議団が調査

サクラマス保全には疑問

美利河ダムバイパス式魚道

党道議団が調査

桧山管内今金町にある後志利別(しりべしとしべつ)川には、美利和(ぴりか)ダムをう回する全国最長2.4キロメートルの魚道があります。その魚道がサクラマスなど自然環境の保全に有効なのかどうか疑問視されています。道開発局は、この魚道方式を、天塩川水系サンル川のサンルダム建設推進の根拠にしており、日本共産党道議団は9日、美利河ダムのバイパス式魚道調査のため現地入りしました。調査に同行しました。

(土田浩一記者)

サンルダムの口実にするな

長万部町国縫(くんぬい)から12キロメートル入った今金町美利河地域。山々には緑豊かな森が保たれ、1級河川の後志利別川など三つの川が注ぎ込む多目的ダムとしてつくられた美利河ダム(1991年完成)が現れます。ダムの南側から西側に、問題の、ダム湖「ピリカ湖」をう回するバイパス式魚道(魚のみち)があります。

「ピリカ」とはアイヌ語で「美しい」の意味。「ピリカ湖」に流れ込む後志利別川は、北海道を代表する清流として知られ、何度も「清流日本一」にランクされています。

後志利別川には、サクラマスはじめ、10科23種の魚類や水生生物が生息しています。ところが美利河ダム建設で、魚の回遊が遮断され上流への遡上(そじょう)もできなくなりました。

美利河ダムに魚道を設置する計画が浮上、2005年にダムの上流へ親魚が遡上でき、スモルト(サクラマスの1歳魚)の降下も可能だとしてバイパス式魚道をつくりました。

◇・・・◇

花岡ユリ子、真下紀子両道議など調査団は、美利河ダム管理支所でダムや魚道の説明を受けたあと。函館開発建設部今金河川事務所の二階堂司所長、長内章匡(のりまさ)支所長らの案内で魚道を見て回りました。

長内支所長は「サクラマスなど回遊魚は、産卵後海に降下し再び川に戻る1サイクルが3〜4年なので、魚道の設置から5年目では、戻ってきているかどうかなど実態はつかめない」と説明します。

昨年、ダム湖上流で13カ所の産卵床が見つかったといいます。ダム建設前の数が把握されていないので比較はできないとしても、サクラマスの保全には程遠い結果です。

同ダムは、高さ40メートルと比較的低く、焦道は勾配(こうばい)のゆるい自然の小川に近い構造。魚道の一般部は「多自然型魚道」で、幅2〜3メートルの水路の川底には玉石や倒木が敷かれ、両岸に木々が植えられています。階段式魚道は、段差が最大50センチメートルで、「切り欠き」といわれる切り込みがあります。

さらにダムで分断されている後志利別川を魚道でつなげる延長(3.6キロメートル)工事も計画されているため、魚道を行き交う魚が休息したり、越冬できるように中州や倒木で変化をつけた「待避プール」がつくってあります。

花岡、真下両氏は、「巨大なダムをつくり自然を破壊しておいて、さらに20億円もかけてよくこんなものをつくったと思います。魚道が本当に機能するかどうかも疑問です」と指摘します。

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同行した道自然保護協会の佐々木克之副会長は、「魚道がまったくだめだとはならないとしても、サクラマスの保全という見地から、このやり方は無理があります。漁業資源回復というより環境の一部回復ということが妥当です」と言います。

魚道を泳ぐ魚を見ることができる「観察窓」では、1〜2年目のヤマメやウグイが見られましたが、親魚は確認できませんでした。

二階堂所長は「いまのところ、魚が遡上、降下するうえで、問題はないということがわかっただけで、親魚の遡上や保全確認には、さらなる調査が必要です」と話しました。

道開発局は、天塩川水系サンル川でも、美利河ダムと同様の長いバイパス魚道設置を条件に、自然保護団体の反対を無視し、サンルダム建設を推進しようとしています。

「サクラマスの再生産を損なう」とダム建設に反対してきた地元漁協が「魚道が機能するなら」と建設着工に同意しましたが、魚道の効果がないとなれば建設見直しの可能性も再び浮上してきます。

佐々木氏は「美利河の2.4キロメートルの魚道そのものは7億円ですが、サンルは8キロメートルを8億円でつくるといっています。水量が少なく、小さなサンル川で同じような魚道をつくって、果たして魚が回遊するようになるのか、はなはだ疑問ですね」と語りました。

(09年09月13日付「しんぶん赤旗」北海道のページより)