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道議団の動き
エネルギー自給率80%/党道議団が岩手県葛巻町を訪問

残材、風、太陽光・・・
 エネルギー自給率80%

党道議団が葛巻町(岩手)を訪問

地球温暖化防止対策で、燃やすと二酸化炭素を出す石油や石炭の化石燃料に頼るのではなく、風力や太陽光など再生可能な自然エネルギーに転換する動きが各地で始まっています。日本共産党道議団は先月、新エネルギーによる持続可能なまちづくりをすすめる岩手県葛巻町を訪ねました。

(党道議団事務局長・三上博介)

木質ペレット原料を前に木質ペレット原料を前に、花岡ユリ子団長(右)、真下紀子道議(左)=岩手県葛巻町

日本初の木質ペレットの製造販売に成功した葛巻林業を訪問。楢木健一工場長は「廃棄していた残材をなんとか活用できないかと考えたのが始まりです」と説明します。

1981年に生産が始まった同社のペレット出荷量は年間約1600トンで4年前の4倍です。07年からはカラマツ間伐材樹皮も活用しているといいます。

「京都議定書以降、生産が増えました。7割がボイラー用ですべて県内で消費されています」と床がギシギシと鳴る事務所で自らお茶をいれながら、「それでもなんとか黒字経営です」と話します。

町は、町民がペレットストーブを購入する場合、設置費用の2分の1(上限10万円)を助成。県の支援もあり、61台普及しています。2台を使っているホテルの支配人は「冬はいつまでも暖かく、暖房費の節約になります。心が癒やされるとお客様に喜ばれています」と話します。

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県北部に位置し、標高1000メートルの山々に囲まれた葛巻町は、年間風速7〜8メートルの風が吹く「風の町」。緑の美しい高原には、葛巻町のクリーンエネルギーの象徴でもある風車が回っていました。

ところが長い間、町民はこの強風を″やっかいもの″としか見ていなかったそうです。

転機は、産廃業者の進出を粘り強い住民運動で阻止したことから始まりました。温泉もなければ施設もない町に進出しそうな企業はなく、悩んだ末に住民が出した結論が「わが町には風がある。これを何とかできないか」だったといいます。

発想の転換がドラマを生みました。3基で始まった風力発電はいまでは15基となり、電力だけのエネルギー自給率を見れば、町の電力供給可能量は185%になっています。「風車ができたことで町民の意識が変わりました」と町役場の日向信二さんは語ります。

“やっかいもの”と思われた風が電力ばかりか、住民に自信をもたらしたのです。

葛巻中学校に太陽光パネルが設置されたのは98年。当時は県内で最大規模の50キロワットの電池容量で、中学校が昼間に消費する電力以外は電力会社に売電しています。校内の消費電力を表示する省エネナビを見て、生徒が家庭の電気をこまめに消すという省エネ努力の教育的効果も見られるそうです。

「まちなか駐軍場」や役場入り口の広報板には、バッテリー内蔵で数日間は日照無しでも点灯が可能なソーラー街灯がありました。

県企業局の支援事業で、これまでに1基100万円。合計12基が設置されています。

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葛巻町が「新エネルギービジョン」を99年に策定して10年。風力や太陽光、畜産ふん尿や森林、水力を積極的に活用してきた結果、いまではエネルギー自給率が約80%になり、全国から視察が訪れるといいます。

私たちを案内してくれた日向さんは20代の若者ですが、「第三セクターの4社だけで200人の雇用が生まれました。私もですが、若者のUターン、Iターンも増えています」と胸を張りました。

真下紀子道議は「葛巻の経験を自治体が学ぶ必要があると思いました。『ないものねだり』でなく、『あるものさがし』が大切なことがわかりました、道議会質問に生かしたい」と語っています。

(09年06月24日付「しんぶん赤旗」北海道のページより)